“候補者ファースト”な採用マーケットをつくりたい──Meetyが少人数ミートアップ×CRMに取り組む理由

インタビュイー
中村 拓哉
  • 株式会社Meety 代表取締役 

2011年Speeeに入社。デジタルマーケティングのコンサルティング、アドテク事業の立ち上げ、新卒・中途採用に従事。その後社長室にて投資実行したxR関連スタートアップVRizeへ事業開発として出向。2017年、COO事業推進責任者として転籍。大企業とのオープンイノベーションプロジェクトの推進、VRの技術を活用したアドネットワーク事業の立ち上げを推進。2019年5月株式会社Meetyを創業。

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カジュアル面談、ミートアップ、採用マーケティング…潜在層向けの採用手法は、日々アップデートされている。

しかし、株式会社Meety代表取締役の中村拓哉氏は「まだまだミスマッチだらけだ」と危機感を露わにする。中村氏は、2019年11月、少人数のイベント開催に特化したプラットフォーム『Meety』をローンチ。企業と候補者の長期的なコミュニケーションを可能にするCRM機能を提供予定だ。

本記事では、「採用市場を“候補者ファースト”のマーケットに変えていく」と意気込む中村氏にインタビュー。現状のミートアップでは成果を実感しづらい理由から、候補者との中長期的な関係を構築する方法、そして「種まき型」にシフトしつつある採用マーケットの未来まで聞いた。

  • TEXT BY RYOTARO WASHIO
  • EDIT BY MASAKI KOIKE
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「ミートアップ」や「カジュアル面談」が抱える問題点

採用は“長期戦”と化している。

売り手市場の採用マーケットにおいては、候補者の就職/転職意向が顕在化する前に企業側からアプローチし、接点を持ち続けないと、採用は成功しなくなりつつある。

しかし、現状の潜在層向け施策には、課題も多い。

たとえば、潜在層と接点を持つためにミートアップを開催する企業は多いが、「やって終わりのケースが多い」と中村氏は語る。開催に必要なコストやリソースが大きいにもかかわらず、効果検証がしづらく、採用ターゲットに出会えても、中長期的にコミュニケーションを取り続けるための仕掛けに乏しいのも要因だ。

本格的な選考過程に入る前の「カジュアル面談」にも課題がある。企業は転職意向のない候補者に時間を割く余裕がなく、候補者が「カジュアル面談だと思って参加したら、後日に不採用通知が送られてきた」と面食らうケースもあるという。よって、カジュアル面談と謳われていても「本当にカジュアルなの?」と疑う候補者も少なくない。

株式会社Meety代表取締役・中村拓哉氏

中村企業の採用手法と、求職者との期待値にズレが生まれている。ミスマッチを解消し、時代に則した採用マーケットをつくっていきたいんです。

中村氏がまず着手したのが、ミートアップの最適化だ。Meetyには、企業とユーザーが1対1で会話ができる「トーク」と、10人以下の座談会「グループトーク」のフォーマットが用意されている。企業は少人数のイベントを掲載し、参加者を募ることができる。集客からイベント当日の運営、その後の関係構築までサポートする機能を提供予定だという。

企業が使用する、Meetyの管理画面。

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ミートアップは「少人数に限る」と考える理由

多くの参加者とコミュニケーションを取るツールや手段はすでにあるが、Meetyは「少人数」に特化している点がユニークだ。

ミートアップ経由で採用が成功している企業を研究した中村氏は、少人数の場合に成功率が高まることに気付いたという。他企業に協力してもらい、参加者を5名限定としたミートアップを3回行ったところ、15人の参加者から2名の内定者を獲得できた。参加者にとっても、登壇者との距離が近いため深い話がしやすく、イベント満足度も高まったそうだ。

中村参加者一人ひとりとのコミュニケーションの量や質が高まるのはもちろん、大規模なミートアップには参加しないような、スキルの高いユーザーに出会える確率も高まります。

なぜなら、参加ハードルが上がるからです。たとえば、メルカリが「5名限定!山田進太郎と海外展開の戦略論を語ろう」というイベントをつくったとしたら、かなり腕に自信がないと、尻込みしてしまうと思うんです。僕もたぶん、怖気づいてなかなか参加ボタンを押せないでしょう(笑)。

参加ハードルが上がれば、外部には出しにくいような情報やナレッジが提供しやすくなるので、コンテンツの魅力も高められます。

選考中の候補者に対するアプローチとしても有効だ。面接・面談を繰り返しても表面化しなかった組織の雰囲気をリアルに体験してもらうことも可能となる。リファラル採用の受け皿として活用した事例や、スカウトメールに案内を添付することで、返信率が大幅にアップした事例もあるという。

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「いつか起業したいと思っていたら、30歳を越えてしまった」

起業前の中村氏は、2011年に「起業のための武者修行」として株式会社Speeeに入社。セールスや事業開発を経て、採用担当としてキャリアを積んだのち、投資先のVRのスタートアップである株式会社VRizeに出向、そのままCOOとして転籍した。

「Speeeでは年に一度は異動があり、刺激的なチャレンジに事欠かなかったので、気がつけば6年も在籍させてもらいました。VRizeでの2年間は、『自分がCEOだったらどういう意思決定をするだろうか』と日々考えていましたね」と中村氏。起業に踏み切ったきっかけは、FastGrowが主催した、起業を志す20代後半から30代のビジネスパーソンを対象とした“起業合宿”「XTech Ventures Next Entrepreneur’s Bootcamp」だった。

「XTech Ventures Next Entrepreneur’s Bootcamp」でのディスカッション風景。

中村募集ページに、「いつか起業したいと思って日々の仕事を頑張っていたら、30歳を越えてしまった人」が対象だと書いてあって。まさに自分のことだなと(笑)。XTech Venturesの方々に事業アイデアをぶつけて腕試ししたかった想いもあり、応募を決めました。

XTech Ventures Next Entrepreneur’s Bootcampでは、XTech VenturesおよびXTechの主要メンバーがメンターを務め、参加者の事業内容をブラッシュアップする。中村氏は、Meetyの原型となるサービスを事業案として持ち込んだ。

中村XTech Venturesの手嶋浩己さんが、メンタリングをしてくれました。そのフィードバックがとても細かく、的確だったんです。事業家としての凄みを感じましたね。事業案も、かなり磨き上げられました。

手嶋氏にもコメントをもらった。合宿で中村氏に会った際、「バイタリティがある、エネルギーレベルが高い方だな」という第一印象を抱いたそうだ。合宿の期間中も、「粘り強く、諦めずに思考し続ける姿勢を持っていました」と振り返る。持続的な事業にするための論点、競争戦略の論点、HRサービスの世代交代論などをディスカッションしたという。

中村氏は、合宿で1位を獲得し、XTech Venturesからの投資も決定。投資の話は、事前に聞かされておらず「想定外だった」。

中村XTech Venturesの方々に認めていただけた気がして、とても嬉しく、自信にもなりました。「このタイミングを逃すと、一生起業しないな」と思ったので、合宿の1週間後には、退職の意向を伝えましたね。

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「刈り取り型」から「種まき型」へ。採用マーケットの地殻変動

中村氏は、採用マーケットにおいて、「潜在層向けのアプローチを強化する動きが、ますます強まっていく」と確信しているという。

中村Speeeではインターネット広告のコンサルティングファームの立場から、デジタルマーケティング業界における「刈り取り型から種まき型への変化」を目の当たりにしてきました。リスティング広告やリターゲティング広告のように「顕在化したニーズを直接的に購買につなげる」目的から、「認知度を向上させる」「エンゲージメントを高める」ことへトレンドが移り変わったんです。同様の流れが、採用領域にもやってくるはず。

中村氏は、ここにマーケットを見出している。直近は少人数ミートアップに専念するが、将来的には「採用候補者のリードジェネレーションからナーチャリングまで、一気通貫で支援できるサービスにしていく」ことで、高い付加価値を提供し、独自のポジショニングを築き上げる算段だ。

CRM機能の開発・強化に加え、Meetyに蓄積されたイベント参加者のデータを活用し、ユーザーごとに相性の良いイベントを提案する機能も実装していく。トラッキングURLも発行する。活用例としては、オウンドメディアの社員紹介記事に発行したURLを差し込むことで、記事を読了した候補者が通知され、機を逃さずイベントへ案内できる仕組みまで見据えているという。

2019年11月現在、約30社のローンチパートナーを迎えて走り始めたMeetyは、2020年の間に200社への提供を目指す。その先に見据えるのは、日本の採用マーケットの変革だ。

中村企業の採用手法を変え、“候補者ファースト”の採用市場をつくっていきたいんです。カジュアルな接点からの採用が普及すれば、候補者もさまざまな企業との接点を持てるようになり、選択の幅が広がるはずです。採用候補者が、最適なタイミングで、最適な選択が行えるマーケットにしていきたいですね。

こちらの記事は2019年12月02日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

鷲尾 諒太郎

1990年生、富山県出身。早稲田大学文化構想学部卒。新卒で株式会社リクルートジョブズに入社し、新卒採用などを担当。株式会社Loco Partnersを経て、フリーランスとして独立。複数の企業の採用支援などを行いながら、ライター・編集者としても活動。興味範囲は音楽や映画などのカルチャーや思想・哲学など。趣味ははしご酒と銭湯巡り。

編集

小池 真幸

編集者・ライター(モメンタム・ホース所属)。『CAIXA』副編集長、『FastGrow』編集パートナー、グロービス・キャピタル・パートナーズ編集パートナーなど。 関心領域:イノベーション論、メディア論、情報社会論、アカデミズム論、政治思想、社会思想などを行き来。

デスクチェック

長谷川 賢人

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

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