土日を全力で楽しむため仕事頑張る、それでいいじゃない。──ヤプリ笹岡ふみに学ぶ、19ヶ月連続商談獲得数No.1トップセールスになるための3箇条

登壇者
笹岡 ふみ
  • 株式会社ヤプリ インサイドセールス部 

新卒でソフトバンク コマース&サービス株式会社(現SB C&S株式会社)に入社し、法人営業を経験。その後、2019年4月にヤプリへインサイドセールスとしてジョイン。2021年2月、インサイドセールス部 マネージャーに就任。趣味はゴルフ、特技は飲酒。

会社のなかでひときわ活躍している社員がいる。群を抜いて優秀な社員がいる。そんな“エース”と呼ばれる人間は、いかにしてエースになったのだろうか──。

20代エースの正体に迫る連載企画「突撃エース」の内容を元に、本記事ではそのエースたる所以を考察した。

第二回は、株式会社ヤプリにてインサイドセールスで入社後19ヶ月連続商談獲得数No.1を獲得した笹岡 ふみ氏。彼女の仕事に対する、いや人生そのものに対する向き合い方は、つい現代人が忘れがちな「本当に大事にすべきこと」を教えてくれる。

  • TEXT BY SHO HIGUCHI
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「やるべきことを淡々と」で、気づけば19ヶ月連続商談獲得数No.1のトップインサイドセールスに

笹岡氏にとってヤプリは2社目。新卒で入社したSB C&S株式会社にて3年間のセールス経験を経て、4年目の年にヤプリのインサイドセールスに転職した。インサイドセールスは、マーケティングが獲得してきた見込み顧客に対して電話やメールを通じてアプローチをかけ、セールス担当者につなぐまでを担当する職種だ。しかし彼女は1社目でインサイドセールスの経験をしてこなかった。

学生時代は「いわゆる“飲みサー”で、ずっと遊びまくっていた」と苦笑いで振り返る笹岡氏。その言葉には、一種の謙遜のようなものもあるだろう。しかし、その日々は無駄ではなかった。遊びながらも確かに身につけた“関係性構築”という強みが、2社目にして大きく役に立つことになったのだ。

「Mobile Tech for All」がミッションであることからもわかる通り、同社は実にテックドリブンな企業文化。そんな中、入社当初笹岡氏はITが実に苦手だったという。一体どんなカラクリを用いてエースまで登りつめたのか。ここで同氏の強みが光る、“関係性構築力”を活かし、わからないことがあればすぐに聞けるよう、仲のいい先輩や同僚をとにかく増やしたのだ。飲みサーで揉まれた人間はとにかく相手の懐に入り込むのが上手なのかもしれない。困ったときに頼れる存在ができたことで、苦手な分野の知識でも、スピーディーに吸収していくことが可能になった。

さらに笹岡氏は、自身が得た知識をナレッジノートにまとめ、社内の他のメンバーにも共有するようにした。「深い考えがあったわけではありません。自分一人では全部を覚えられないと思ったから……」と笑う。こうして、社内にナレッジ共有の文化ができた。その後に入社してくるインサイドセールスのメンバーも、この文化のおかげで、すぐに仕事にキャッチアップできるようになったことだろう。周りのことを考えて動くこの姿勢が、ますます社内での同氏の信用を高めていったことは想像に難くない。

笹岡氏のチャレンジはまだまだ続く。あろうことか外交的なその性格とは裏腹に電話が苦手だったのだ、それも“かなり”。ただ、ご安心を、もう察しの言い方はお気づきだろう、ここでも持ち前の前向きさを遺憾無く発揮し、また一つ「19ヶ月連続商談獲得数No.1のトップインサイドセールス」へと歩みを進めるのだ。

笹岡「私らしく、まずはたくさん失敗しよう」と考え、とにもかくにも量をこなしました。

数々の失敗を重ねるなかで、「お客様の抱えているであろう課題に対しYappliで解決するイメージが湧いていない」、「Noへの切り返しイメージができていない」など、会話が続かなかった要因を一つひとつ洗い出して、しらみ潰しに分析していきました。

物量戦に持ち込めば、あとは私のフィールド。同期の2倍以上の行動量をもってして、もちろん改善のサイクルも回し続ける。決して特別なことではないですが、やはりこれを徹底できるかどうか、それが勝負の分かれ目だと断言できます。

気がつけばマネジャーもこのセールス方法を評価するようになり、さらに自信がついていった。一度“正のサイクル”にダイブできると人は見違えるように変わっていくものだ。日々のルーティーンを淡々とこなしていった結果、気がつけば同氏は、19カ月連続商談獲得数No.1のトップインサイドセールスの地位を獲得していた。

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インサイドセールスでトップになるための3つの極意

「前提として、架電時に画一的な話は絶対にしません」と話す笹岡氏。もちろんヤプリにおいても、インサイドセールス用のトークスクリプトもあれば、フィールドセールス用のトークスクリプトだってあるだろう。だが、そのうえで、いかにして画一的な会話に陥らないように努めるか、これが大事というわけだ。最近では採用面談・面接でも細かなトークスクリプトを用意している企業もあるが、この場合でももちろん、「いつもこの話をしているのだな」と思わせてしまったらそこで試合終了となってしまう。

それでは、その中でも特にインサイドセールスという職種にとって、成果を上げるために重要な心構えは何だろうか。笹岡氏は3つのポイントを挙げる。

当たり前だが、まずは「事前準備が大事」だという。笹岡氏が日常的にナレッジノートでやっていたように、わからない情報を日常的にインプットし続けることはもちろんのこと、その上で、「インサイドセールスでは仮説を立てることも重要」だと強調する。顧客が抱えている課題について想像し、仮説を立てておく。そしてその仮説についてどのような解決策が提案できるのか、事前準備の段階で策を練っておくのだ。

次に重要なのは、イメージやストーリーを描くこと。知識や課題解決のための提案を持っていても、実際に電話している最中にそれらを表現し、相手に伝えることは簡単なことではない。聞く姿勢がない相手もいるなかで、魅力的に聞こえる解決策を提案してセールスにつなげるには、事前に架電についてのイメージやストーリーを描き、練習しておくことが不可欠になる。想定される顧客の返しに対して、どう切り返していくか、細かく想定しておかなければ、架電本番で咄嗟に言葉は出てこない。

顧客が自社サービスになびいているように見えても、クロージングができなければそこまでの苦労は水の泡になる。つまり、クロージングが3つ目のポイントだ。「今は忙しいよ」などと言われて電話を切られそうになっても、「であればメールを送りますので、確認しておいていただけると幸いです」と言ってみたり、「何時頃であれば落ち着きそうですか」などと聞いたりする。必ず次につなげる問いかけ・アクションをして食らいつく。そうしたクローズに対する執念の一つひとつの積み重ねが、笹岡氏の圧倒的な実績をもたらしたわけだ。

“単調な業務”とも捉えられるインサイドセールスには、モチベーションを保ちづらい面もあるだろう。そんな方に向け笹岡氏は日々のルーティーンに少しのエッセンスを加える手法も披露してくれた。

例えば、午前中にメールをたくさんして午後に架電を集中させるという日課を、あえて逆にする日をつくってみたり、架電のみをする日をつくってみたりと、単調に見える業務にも変化を与えるべし、とのこと。

こうすることで、単調な日常に変化をもたらすことができるのはもちろんのこと、例えば返信率がより高い時間帯や曜日といった法則性を発見することができるかもしれない。セレンディピティ、計画的偶発性などといった言葉が示すように、まさにニュートンが木から落ちるりんごを見て万有引力の着想を得たように、有益なインサイトというものは得てして、そして期せずして、いろいろなところに転がっている。

「単純に量をこなすことは大事」と強調する笹岡氏。これは、「量をこなして失敗しなければ、改善すべきポイントは見えてこない」というよくある話だけでは終わらない。事業家たるもの、日常の小さな一コマからビジネスのタネを見つける工夫を怠ってはいけないことを示唆しているのだ。電話が苦手だったところからNo.1インサイドセールスにまで上り詰めた笹岡氏ほど、この言葉に説得力を持たせられる人物はそういないだろう。

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モチベーションの源泉は「土日を全力で楽しむこと」。
自然体だからこそ思い切れる

そんな笹岡氏に対して、「仕事が好きなんだろう」と、穿った見方をしてしまう読者もいるかもしれない。しかしここでも期待を裏切られる。実は笹岡氏をドライブさせているのは、仕事そのものへのモチベーションではない。あくまで「土日を全力で楽しむこと」こそが、モチベーションの源泉なのだというから驚きだ。休日には、最近覚えたゴルフと、購入したての注文住宅のことで頭がいっぱいだと、この日一番のテンションで語り出す。

「土日に仕事を持ち越したくないからこそ頑張れる」という笹岡氏の意見に、共感を抱く方も少なくないはず。仕事において成果を出す人間が、“意識高い系”である必要はない。自然体でプライベートを全力で楽しみたい人物がトップインサイドセールスであることの意義は非常に大きい。笹岡氏にはこれからも、仕事に全てを捧げなくとも成果を出せることを証明したロールモデルとして、活躍を続けていってほしいものだ。

休日に仕事を持ち込まないために重要なのは、集中力ももちろんそうだが、「自分のキャパを理解し、いざというときに頼れる人を作っておくこと」だと笹岡氏は言う。どうしても休日出勤しなければならなくなるときもあるだろう。そんな場合であっても、頼れる人がいると、休日を確保することができる。しかしそれは、笹岡氏が日頃から周囲の人を助けているからこそ、つまり信頼関係が築けているからこそ、できることだ。

実績が認められ、チームをマネジメントする立場になった笹岡氏。チームとして成果を出すためにも、持ち前の“関係性構築”スキルを活かしている。かつて自分が失敗しながら身につけてきたノウハウを惜しげもなくメンバーに伝授し、メンバーが成果を出す姿を見ると「自分のことのように嬉しくなる」という。プレッシャーがかからないよう、メンバーには「ゆるっとサクッとやろうね」とも伝えている。

キャリアビジョンを聞くと、「長期的なことは考えていません」と話す。あくまで目の前の目標を全力で淡々とこなしてきた彼女らしい回答だ。

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誇りを持てる自社プロダクトを売るのは楽しい!

「そもそもなぜ、苦手なIT領域で勤め出したのか」という質問に「一刻も早く就活を終わらせたいので、一番最初に内定をもらった会社に就職したんです」と返す彼女は、やはりどこまでも真っ直ぐで自然体だ。どの回答も“らしい”の一言が実に相応しく自然と信用してしまう。よくも悪くも正直で嘘がない笹岡氏の語りは、セールスに最も重要な“誠実さ”の裏返しであろう。

ヤプリへの転職を決めたのも「本当に納得できるプロダクトを売りたい」という思いがふつふつと沸いてきたから。同社は、言うまでもなくITに詳しくない人でもノーコードで簡単にアプリを導入・運用できるサービスだ。「ITが苦手」な笹岡氏だからこそ、これに魅力を感じるのはまるで必然であったかのように感じてしまう。

ここまで読んでいただいたあなた、ぜひ自分に問うてみてほしい。「誇りを持って売れるプロダクトに出会えているか」と。労働は国民の三大義務である、との考えは大きく変わりつつある。数年前に比べ「社会的意義のある企業で働きたい」と叫ぶ20代が増加していることからも、“労働”と“自己実現”は決して相反するものではないはず。また「好きなものこそ上手なれ」という言葉からも、愛情、そして情熱を持って取り組むからこそ、高い成果が得られるものだ。

もしあなたが、自分の仕事に対してモヤモヤした気持ちを抱いているなら、それはチャンスかもしれない。笹岡氏のように未経験からエースとして花開く可能性は無限大に広がっている。コツコツと丁寧に、ときには大胆にキャリアを築いてきた彼女の姿勢には、我々も大いに学ぶところがあるだろう。

こちらの記事は2022年05月12日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

樋口 正

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