連載現役BizDevに聞いた「オススメ書籍」

現役BizDevに聞いた「オススメ書籍」Vol.05──5名から計7冊をご紹介

事業を立ち上げたり、事業を伸ばしたり。あるいは、事業を見直したり。FastGrowの読者の中でも特に比率が高い「BizDev」に携わる者たちは日々、前述のような状況下で、さまざまな悩みに向き合っていることだろう。そんな時、心の支えになる一つがきっと、書籍(本)だ。

実際にこれまで多くのBizDevを取材する中で、書籍についての話が出る機会は多かった。事業や経営に関する意思決定を進める際に、理由や指針、あるいは勇気づけられる言葉として存在感を発揮するのが、書籍で得た知見やヒントであるはず。

そこで、書籍の情報に特化し、現役BizDevの皆様から紹介をいただく記事連載を制作しよう。題して、BizDevに聞いた「オススメ書籍」。

今回は計7冊、

マッキンゼー 経営の本質 意思と仕組み

ハイパワー・マーケティング あなたのビジネスを加速させる「力」の見つけ方

チャレンジャー・セールス・モデル 成約に直結させる「指導」「適応」「支配」

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

影響力の武器: なぜ、人は動かされるのか

コンサルが「マネージャー時代」に学ぶコト 知るだけでビジネスモンスターになれる79のスキル/思考と矜持

「暗記する」戦略思考 「唱えるだけで」深く、面白い「解」を作り出す破壊的なコンサル思考

  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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ラクスル 木下氏
『マッキンゼー 経営の本質 意思と仕組み』


ラクスル株式会社
ラクスル事業本部 Marketing & Business Supply統括部 統括部長
木下 治紀氏(Xアカウントはコチラ

マッキンゼー 経営の本質 意思と仕組み

書籍情報
著者 マービン・バウワー
出版社 ダイヤモンド社
出版日 2004/3/5
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この書籍から学んだこと

マネジメントの基礎となる考え方を学びました。本書との出会いは、私が当社にグループインいただいたダンボールワンの事業統括をしていたときです。

私は、それまで数名程度且つ半年程度の時間軸のマネジメント経験しかなかったなかで、100名弱の組織、2-3年程度の時間軸とマネジメントの領域を大きく広げることが必要でした。

本書から、そのために必要な事業リーダーとして果たすべき役割や経営システムの基礎的な考え方を学び、現在もこの思考を土台に事業経営に活かすことが出来ています。

誰に対してオススメしたいか

事業経営・事業開発に今後チャレンジしていく方

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ソルブレイン 亀割氏
『ハイパワー・マーケティング あなたのビジネスを加速させる「力」の見つけ方』
『チャレンジャー・セールス・モデル 成約に直結させる「指導」「適応」「支配」』


株式会社ソルブレイン
BizDev総合職
亀割 寛太氏

ハイパワー・マーケティング あなたのビジネスを加速させる「力」の見つけ方

書籍情報
著者 ジェイ・エイブラハム
出版社 KADOKAWA
出版日 2017/10/27
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この書籍から学んだこと

社会人1年目に広告運用に行き詰まった時にこの本を読みました。マーケティングのノウハウを掴むためのきっかけになればと手に取りましたが、その後のセールスまでつながる内容を学びました。特に「卓越論」の心がまえの「自分のニーズよりも相手のニーズを優先させる」考え方は、その後の仕事のスタイルに大きく影響を与えています。広告を出す際にもユーザーがどんなことに興味を持っているのかを考え、クライアントとの仕事でも相手の利益を高めるためにどんな対応をすべきかを考えるようになりました。

誰に対してオススメしたいか

セールス、マーケティングに関わる業種の方に一度読んでほしい内容です。始めたて、行き詰まったなどどのタイミングでも役にたつ内容ですが、できれば新卒のうちに読んでいただき、マインドの土台にしていただきたいです。

チャレンジャー・セールス・モデル 成約に直結させる「指導」「適応」「支配」

書籍情報
著者 マシュー・ディクソン
出版社 海と月社
出版日 2015/10/30
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この書籍から学んだこと

社会人2年目でセールスの仕事に携わるときに読みました。きっかけはメンバーに自分が実践していることの言語化ができていないと感じ、ノウハウとして言語化されている本があると知ったためです。営業で最も成果を発揮するは「チャレンジャー」であり、顧客に新しい価値を提供することが重要であると書かれています。どのB to B、B to Cのどのセールスでも共通する考え方で、うまく利益を生み出せていない時に読み返すと自分に足りていない課題を見つけることができます。また、「関係構築」タイプの販売員は、成果を出せない理由も書かれており、伸び悩んでいる新卒への営業指導にも役立つ内容です。

誰に対してオススメしたいか

セールス、営業で成果を出したい方、教育係として営業方法を教える方にオススメの内容です。

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X Mile 伊藤氏
『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』


X Mile株式会社
経営企画部ゼネラルマネージャー
伊藤 隆明氏

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

書籍情報
著者 細谷 功
出版社 東洋経済新報社
出版日 2007/12/7
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この書籍から学んだこと

不確実性が高い状況下における意思決定の精度を上げるために、本書で言及されている思考プロセスを鍛え、活用することが非常に役立ちました。

企画立案や事業開発の能力は先天的・右脳的なものではなく、特定のトレーニングによって後天的に獲得し得るものであり、常にカオスの中にいるスタートアップにおいて有用なスキルと言えます。

書籍の中では、①仮説思考(まず仮説を立てて、物事に取り組む)、②フレームワーク思考(物事に取り組む際は、全体像から描く)③抽象思考(他事例を抽象化し、自らの問題に適用する)という3プロセスが提唱されており、これらを活用することによって目前の個別課題を解くための適切なアプローチが可能になります。

業務での実践例としては、私たちが提供している運送業界向けVertical SaaS「ロジポケ」のサービス開発におけるロードマップ検討にて、仮説思考から辿り着くべき姿を検討し、フレームワーク思考により開発計画のパズルを完成系から詳細化していき、他業界の先行事例を踏まえたUI/UX検討にて具体的な機能に落としていく・・・といった活用を行なったことが挙げられます。

Vertical SaaS自体の知見が世間にない状況でも、これまでの経験と考え方を活かして事業の方向性を示すことができたかと思います。

誰に対してオススメしたいか

Bizdevのような答えのない問いへの対応が求められるポジションは勿論のこと、Salesから事業責任者、コーポレート系職種まで全てのスタートアップ人材にお勧めできます。

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IVRy 高柳氏
『影響力の武器: なぜ、人は動かされるのか』


株式会社IVRy
プロダクトマネージャー/事業開発
高柳 龍太郎氏(Xアカウントはコチラ

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

書籍情報
著者 ロバート・B・チャルディーニ
出版社 誠信書房
出版日 2014/7/10
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この書籍から学んだこと

この本は事業開発について書いている本ではなく、「人が動く原理とはなにか」を社会心理学アプローチで説明している本になります。

Bizdevというと新しい事業をどう構想するか、ビジネスモデルをどう設計するか、どんなステップを描くとスマートなのかという部分に目が行きがちですが、本質的には「眼の前のお客様は何に困っているのか」を紐解くことこそがBizdevのファーストステップだと考えています。ただし、お客様はいつも本音を喋ってくれるわけではない。そんなときに役立つのが本書で挙げられている6つの原理です。

この本の中で紹介されている「返報性」「一貫性」「社会的証明」「好意」「権威」「希少性」を理解するだけで、眼の前のお客様から本当の本音を引き出す大きな武器になるはずです。

また、人を動かす力学は結果的にBizdevとしてのセールススキルにも直結する内容ですので、ぜひ2つの観点から読んでみてください!

誰に対してオススメしたいか

  • 事業開発をするにあたって、顧客からのインサイトを獲得したいと考えている方
  • 事業開発の初期フェーズで自らもプロダクトを売りながら顧客のフィードバックを得なければいけない方
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ストックマーク 中川氏
『コンサルが「マネージャー時代」に学ぶコト 知るだけでビジネスモンスターになれる79のスキル/思考と矜持』
『「暗記する」戦略思考 「唱えるだけで」深く、面白い「解」を作り出す破壊的なコンサル思考』


ストックマーク株式会社
Bizdev/Consulting team leader
中川 大輔氏

これらの書籍から学んだこと

Bizdevとして特に感じる点は「何をどのように取り組んでいくべきか自体が不明確」な点です。スタートアップ自体がとりあえず動いてみよう、という動きが強い中、Bizdevはただ走るだけではなく「何を目的に何を達成するためにどうするべきか」を考えながら動く必要性を感じています。

また、抽象度の高いテーマが多いためともすれば「で、なんだっけ?」となってしまうことも感じます。それを防ぐためにはまさに戦略コンサルタントに求められる「抽象的な問いを砕きながらアクションを起こし検討を進めていく」ことが重要です。

この本ではそういった戦略コンサルタントの考え方が具体的な内容とともに記載されており、ただの勉強本ではない納得感を感じることができます。スタートアップでは思考しながらの行動が求められるため、徹底的に考える「戦略コンサルタント」を目指す必要性はないとは思いますが、考え方やアクションの参考としては非常にためになります。

誰に対してオススメしたいか

抽象的なテーマに取り組む必要がある人全般

コンサルが「マネージャー時代」に学ぶコト 知るだけでビジネスモンスターになれる79のスキル/思考と矜持

書籍情報
著者 高松智史
出版社 ソシム
出版日 2023/11/15
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「暗記する」戦略思考 「唱えるだけで」深く、面白い「解」を作り出す破壊的なコンサル思考

書籍情報
著者 高松智史
出版社 かんき出版
出版日 2023/7/31
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こちらの記事は2024年12月17日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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編集

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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