連載ベンチャー人事報

CAMPFIREの24歳執行役員、誰?“旬”のお試し転職から、年末年始のベンチャー代表交代まで──20年12月〜21年1月の注目人事情報

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ベンチャー・スタートアップの成長に影響する変数はさまざまあれど、最も重要なものは果たして何か。

それを「人」に見るのがFastGrowだ。月刊で「ベンチャー界隈の注目すべき人事情報」として、転職や異動、その他人事施策を取り上げていく。企業のスケールを推進するのは、起業家や事業家だけではない。対象は幅広く扱う。

第3回目となる今回、取り上げたのは、大橋桃太郎、篠原陽子、西村亜希子、吉開祐貴、緒方祥子、田島亮太、御林洋志、名村卓、大野暉、後藤道輝の計9氏だ。

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CAMPFIREに24歳執行役員が誕生

2020年末、BASEがCAMPFIREに出資し、資本業務提携を結んだと話題になった。BASE代表取締役CEOの鶴岡裕太氏は、以前CAMPFIREでインターンを経験していた縁がある。年が明けた2021年1月4日には、鶴岡氏がCAMPFIREの社外取締役になることも発表された。鶴岡氏本人もTwitterで「こうやって戻って来れて光栄です」とコメントした。

しかしCAMPFIREの人事については、さらに注目すべき点がある。新たに執行役員に任命された3名が非常に強力で、かつ多方面から期待をかけられる若手なのだ。

その一人が大橋桃太郎氏。24歳での執行役員就任という点が特に目につくが、事業開発への経験は若いながら豊富だ。社内起業やCAMPFIREアプリ立ち上げを担ってきた。また、グッドパッチのフルリモートデザインチーム『Goodpatch Anywhere』でUXデザイナーも務める。これからCAMPFIRE全体のプロダクトマネジメントという重責を担うとのこと。

もう一人は篠原陽子氏。アパレルメーカーやディー・エヌ・エーを経てCAMPFIREに入社し、メイン事業のクラウドファンディングサービス『CAMPFIRE』の事業部長として活躍。執行役員となり、引き続き事業の推進を担っていくという。

最後に、弁護士の西村亜希子氏。2019年にCAMPFIRE SOCIAL CAPITALへ内部監査部長としてジョインした。同年8月にCAMPFIREに移り法務コンプライアンス本部長を務め、主な職務はそのままに執行役員に就任。法務やコンプライアンスを統括する。

クラウドファンディングを巡る事情は複雑さを増しつつある。資金集めやテストマーケティングといった見方ではその存在が一般化しつつある一方で、さらに大きく「企業の資金調達」を目的とした株式投資型クラウドファンディングも2020年には注目を集め始めた。各企業が次の打ち手をさまざまに模索する中、CAMPFIREの若手執行役員がどのようにバリューを発揮していくのか。「上場準備に入った」と新聞にも書かれた注目企業の今後が楽しみだ。

大橋桃太郎
Kazamidoriを共同創業→CAMPFIRE(現職)→グッドパッチ(複業)→CAMPFIRE執行役員(2021年1月)
篠原陽子
慶応義塾大→アパレルメーカー→ディー・エヌ・エー→CAMPFIRE→CAMPFIRE執行役員(2021年1月)
西村亜希子
2001年弁護士登録→宮崎総合法律事務所→関東財務局証券取引等監視官部門→CAMPFIRE SOCIAL CAPITAL→CAMPFIRE→CAMPFIRE執行役員(2021年1月)
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ベンチャー経企→キャピタリストから、
スタートアップBizDevへキャリアチェンジ

昨今、スタートアップ界隈の転職市場で特に求められる職種の一つであるBizDev(ビズデブ)。この呼び名もようやく一般化してきたところだが、まだまだ企業によって求める人材像には違いがあるように思える。どのようなキャリアから、どのようにその職務を担うようになり、どのように活躍していくのか。FastGrowとしても、その実例をもっと追ってみたいところだ。

そんなBizDev職に、新たに挑戦する注目の人物がいる。ユーグレナで経営企画を担った後、リアルテックファンドに移りキャピタリストとし手も活躍した、吉開祐貴氏だ。その新天地は、10X

昨年中から業務委託としても既に働いており、この1月から正式にジョインするという。転職の理由などの熱い思いをnotionで綴って公開している

同社代表取締役CEOの矢本真丈氏も、TwitterやPodcastでさまざまな発信をする中で、BizDevについて語る機会も多い。吉開氏がどのように活躍していくのか、気になるところだ

吉開祐貴
九州工業大学大学院生命体工学研究科→ペンシルベニア州立大→ユーグレナ→リアルテックホールディングス(リアルテックファンド)→10X(2021年1月)
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副業でのお試し転職、いよいよ一般的に?
元Google、元メルカリの新天地

2020年に注目度を最も伸ばしたスタートアップの一つが、YOUTRUSTだろう。副業や転職のお誘い、仕事の近況報告を気軽にやりとりできるキャリアSNS『YOUTRUST』を運営する同社は、2020年5月に1万ユーザー、10月に2万ユーザー、12月に3万ユーザーの登録を達成と、加速度的に成長を遂げている。ディー・エヌ・エー南場智子氏やサッカー選手の本田圭佑氏、元AKB48の小嶋陽菜氏らの副業パートナー募集も手掛けるなど、多方面に話題を呼んでいた。

そんな『YOUTRUST』経由の副業転職の事例が見られたので、2名を紹介したい。一人はこのYOUTRUSTにGoogleから副業経由でジョインした緒方祥子氏だ。

リクルートとGoogleでの営業職という華々しい経歴を持ちながら、広報やPRへのキャリアチェンジを決心した緒方氏。副業の形で未経験業務を担える企業を探したところ、前職の同期がYOUTRUSTにいたこともあり、お試しも兼ねて一人目広報としてのチャレンジを始めたという。こんなエピソードも、『YOUTRUST』というキャリアSNSを通じての転職の特色だろう。

そのYOUTRUSTの『すごい副業』という企画を通じての注目転職もあったので、紹介したい。転職者は、田島亮太氏。

メルカリでプロダクトマネジャーとして活躍中、『YOUTRUST』で「franky赤坂優と事業立ち上げ」の募集が大々的に開始。赤坂氏のツイートで知った田島氏は応募し、初回から赤坂氏と面談。frankyの事業やこれからのビジョン、組織に惹かれ、「いっそ副業ではなく正社員で」と伝え、採用に至ったという。

対面での面接がしにくいコロナ禍という状況において、求職者は新たな転職の形を、企業は新たな採用の形を探し求めているようにも見える。YOUTRUSTが提唱する、副業を通じて試しに転職体験をする「お試し転職」も、2021年はより一般的になっていく可能性がある。

転職の形が増えていくことは、人材の流動性が低いという日本の課題の解決にもつながるはずだ。今後の動向もチェックしていきたい。

緒方祥子
東京大→リクルート→Google→YOUTRUST(2021年1月)
田島亮太
メルカリ→franky(2020年11月)
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シード特化キャピタリストがジョインに選んだスタートアップとは?

VCが増え、キャピタリストも多様化してきた昨今、投資先スタートアップにジョインするという例が、今では少なくないかもしれない。そんな例の一つとして注目したいのが、ANOBAKA(旧KVP)から日本酒スタートアップClearにジョインを決めた御林洋志氏だ。

御林氏は2018年と2020年の二度、KVPからClearに投資。伴走し支援を続け、2020年10月期に月商2億2千万円と、過去最高の売り上げを記録する成長を果たしてきた。しかし「常に順調に成長していたわけではなかった」とnoteには綴るほど、思い入れが強かった御林氏。ここからのスケールに向け、経験を活かしてファイナンスやコーポレートを担っていこうとなったようだ。

そもそも投資決定の時点でビジョンへの共感は強かったようだが、シード特化のVCでキャピタリストを5年も務めていた御林氏には、他にも気になるスタートアップがあったはず。この決断の背景を、もう少し聞いてみたいと感じる。

御林洋志
慶応義塾大→監査法人トーマツ(2009年)→シリコンバレーのスタートアップやVCでインターン(2011年)→グローバル・ブレイン(2013年)→KVP(現ANOBAKA)→Clear(2021年)
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メルカリCTOがZENKIGENのCTOも兼務

サイバーエージェントにてアメーバピグやAbemaTVを、メルカリではUS版サービス開発を担うなどした、日本のテックスタートアップ界を代表するエンジニア、名村卓氏。メルカリで執行役員CTOを務めるこの人物が、2021年1月から兼務という形で、HR TechスタートアップのZENKIGENでもCTOを務めると発表された

「名村さんからCTO就任について快諾の返事を聞いた瞬間、自然と涙が溢れました」と熱い想いをしたためたnoteを元日に公開した、ZENKIGEN代表取締役CEOの野澤比日樹氏。名村氏と同じくサイバーエージェントにて経験を積んだ野澤氏と、どのようにグローバル企業をつくっていくのか。2021年、特に注目すべきスタートアップだと言い切って、間違いないだろう。

野澤氏のFastGrowインタビュー記事はこちら

名村卓
サイバーエージェント(2004年)→メルカリ(2016年)→メルカリ執行役員CTO(2017年、現職)→ZENKIGEN取締役CTO(2021年1月、兼務)
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年末にベンチャー2社で代表の交代

年末年始、あるベンチャー企業2社の代表交代が、SNSで俄かに話題になった。一つは、サイバーセキュリティクラウドの大野暉氏退任だ。リリースが出たのは12月30日、12月31日をもっての取締役辞任と発表されている。

大野氏本人のSNSではこの件について目立った話も出ていないため詳細は不明だが、次なる活躍を速く見たいところだ。

またFinTechスタートアップのペイミーも、12月25日付での代表交代を、1月8日に発表した。だが、退任した後藤道輝氏は先駆けて12月18日にTwitterで先駆けて公表。社の発表まで間が空いたため、動向に注目が集まっていた。

後藤氏の今後についてはまだ不明だ。一方のペイミーはCFOだった石井達規氏が新たに代表となった。2021年、後藤氏とペイミーにそれぞれどのような動きがあるだろうか。

大野暉
ユニフェクト設立(2009年)→スターフェスティバル→サイバーセキュリティクラウド代表取締役社長(2016年)→退任(2020年12月)
後藤道輝
ディー・エヌ・エー→ペイミー創業(2017年)→代表取締役を退任(2020年12月)

こちらの記事は2021年01月20日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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