連載ベンチャー人事報
CTO兼COO?...CEO兼VPoE!?カケハシ西村晃氏の新たな挑戦など──21年6~7月の注目人事情報
ベンチャー・スタートアップの成長に影響する変数はさまざまあれど、最も重要なものは果たして何か。
それを「人」に見るのがFastGrowだ。月刊で「ベンチャー界隈の注目すべき人事情報」として、転職や異動、その他人事施策を取り上げていく。企業のスケールを推進するのは、起業家や事業家だけではない。対象は幅広く扱う。
「人」の流れをみることによって、皆さんに事業戦略だけでなくキャリアとしても、気づきを与えたい。
第9回目となる今回、取り上げたのは、和賀勝彦氏、矢ヶ崎哲宏氏、青柳直樹氏、森洋輝氏、古川明氏、八木耕介氏、西村晃氏の計7名。
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LegalForce、上場へのカウントダウンか
AI契約審査プラットフォーム『LegalForce』やAI契約書管理システム『LegalForceキャビネ』などを提供するLegalForceに、元カオナビ最高技術責任者和賀勝彦氏がVPoEとしてジョインした。
和賀氏はヤフーにて『Yahoo! DMP』の技術営業部門を統括。加えてデータおよび広告プロダクトのプロダクトマネジメントを牽引してきた。カオナビにおいては最高技術責任者兼プロダクト本部長として、プロダクト面のみならず“組織・仕組みの面”でも貢献した。
その後ROBOT PAYMENT執⾏役員CTOを経て、今回2021年6月よりLegalForceにてVPoEに就任することとなった。
和賀氏の経歴の華やかさはこれに止まらない。なんとこれまでパラレルワークとして、カラダノート、アルファアーキテクト、MyReferの3社にて社外技術顧問も担い、開発組織運営を推進してきたのだ。特に、カラダノートにおいては東証マザーズ上場に大きく貢献したといい、カオナビでのマザーズ上場経験もあることから、“上場請負人”とも呼べるかもしれない。
LegalForceにおいても、これまでの知見を生かして開発組織を牽引していくことが期待される。
今年2月にシリーズCラウンドにて約30億円の調達を実施。7月には、企業法務の知見が深く著書も多数ある佐々木毅尚氏を、新しくCLO(最高法務責任者)として招聘したことを発表した同社。こうした大型タレントの補強は、上場に向けてのカウントダウンか。目が離せない。
和賀勝彦 |
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ヤフー→カオナビ→ROBOT PAYMENT→LegalForce |
CTO兼COO!?...CEO兼VPoE!?!?
エンジニア特化型のコワーキングスペース「HarborS表参道」の運営やAWS認定保持者限定プラットフォーム「engineed」を提供するアンチパターンは、取締役CTO兼COOに元アマゾン ウェブ サービス ジャパンの矢ヶ崎哲宏氏が就任したと発表した。
CTOとCOOを兼務するということ自体耳にすることは少ないが、驚くのはそれだけではない。今回、代表取締役の小笹佑京氏もCEOとVPoEを兼任することを発表した。
小笹氏も同社の理念「日本のソフトウェアエンジニアを憧れの職業へ」を実現するために思い切った人事施策であったと語っている。
ビジネスの中心にソフトウェアがあるような社会において、ソフトウェアエンジニアが事業を推進するというのは非常に重要であると考えており、このような人事としました。
「実力あるAWSエンジニアがより活躍できる世界」の実現へ向けた取り組みに期待が高まる。
矢ヶ崎哲宏 |
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イノベーション→アマゾン ウェブ サービス ジャパン→アンチパターン |
ベテランの心を掴むのはやり「熱量」か。
AIを活用した教育プロダクトの開発・提供をするatama plusに、あのメルコイン代表青柳直樹氏がアドバイザーとして参画した。
青柳氏は、ドイツ証券を経てグリーにてCFO、米国法人CEO、事業本部長などを歴任。
その後メルペイ代表取締役に就任し、現在はメルカリ上級執行役員とメルコインの代表取締役を兼務しており、実績は折り紙付。
そんな青柳氏がなぜatama plusのアドバイザーに就任したのか。その経緯についてこう語っている。
「情熱とユーモアに溢れたatama plusのメンバーとお話する中で、ミッション実現とカルチャー醸成への強いこだわりを肌で感じました。atama+が世界中に広まることで、生徒の学習をどれだけ変えられるか、教育に携わる方々にどのように役立てるか、社会がどう変わっていくのか。無限大の可能性を感じ、ワクワクしています。自らも新しい領域でのチャレンジを楽しみながら、スタートアップ経営やサービス開発の経験を活かして、ミッション実現に貢献してまいります。」
atama plusの熱量に経験豊富なタレントも心を揺さぶられたというわけだ。
青柳直樹 |
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ドイツ証券投資銀行部門→グリー(CFO、米国法人CEO、事業本部長)→メルペイ代表取締役CEO→メルカリ上級執行役員→兼メルコイン代表取締役→兼atama plus(アドバイザー) |
最高介護事業責任者CCO
「誰もが認知症に困らない社会」の実現に向け、認知症介護施設展開や認知症コミュニケーションロボットの開発開発などを行うザ・ハーモニーは、新たに三名をボーディングメンバーに迎えた。ジョインしたのはCTOの森洋輝氏、CBO(最高経営管理責任者)の古川明氏、CCO(最高介護事業責任者)の八木耕介氏の三名。
ザ・ハーモニーは今年5月に融資で2億円の資金調達を実施したばかり。資金の用途としては、八月にオープン予定の認知症介護施設の開設費用となる。
この認知症介護施設とは、認知症患者に特化した「通い・住まい・泊り」をワンストップで提供可能な複合施設だ。独自のスタイルを確立することで、従来介護サービスとの差別化を図り認知症高齢者のQOL向上を目指すという。
テクノロジーで代替可能な介護作業を切り離し、人でしかできない本来の介護業務に人が専念することで「誰もが認知症に困らない社会」の実現へ向けて経営体制を強化した同社。
日本は世界に先駆けて超少子高齢社会を迎え、2025年には認知症高齢者は730万人を超え、介護職員は37.7万人が不足すると予測されている。課題先進国である日本の希望となれるか、同社の活躍に今後も目が離せない。
森洋輝 |
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ソフトバンク→ザ・ハーモニー |
古川明 |
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東京証券→介護事業所→ザ・ハーモニー |
八木耕介 |
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国立精神医療センター→N・フィールド→医療法人→ザ・ハーモニー |
カケハシ西村晃氏、リフカム執行役員として事業作りも
HR界の大物タレントの新天地での挑戦に注目が集まる。Sansan、カケハシにてHRを務めた西村晃氏が次なる新天地として選んだのがリフカムだ(リリースはこちら)。同社はリファラル採用を活性化するクラウドサービス『Refcome』をはじめとするHR Techソリューションを提供している。
今回西村氏は執行役員にも就任、これまでの知見を活かしてリフカムの組織体制の強化に取り組むと同時に、新規事業である「neutral(ニュートラル)」の事業責任者も務めるという。
西村氏も自身のSNSにて「今回は人事専任のキャリアではなく、事業に対しての挑戦をしたいと思ってのキャリアチェンジになります。」と語っている。
リフカム代表取締役 清水巧氏と西村氏は5年来の友人であるそうだ。まさに「採用を、仲間集めに。」という同社のミッションを体現するかのような動きだ。
西村晃 |
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証券会社→人事コンサルティング事業(個人)→Sansan→カケハシ→リフカム |