大学発ベンチャー数3000社越え!急増する大学発ベンチャー──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。
土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。
今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。
・慶應大、2021年で最も起業家を誕生させた大学に!
・海外VCのみに出資目的の基金設立、反応は
・タイミー、また海外投資家が資本参画!
・トヨタ紡織初の出資、アロマビットとは
について見ていく。
- TEXT BY HIKARU HAMADA
慶應大、2021年で最も起業家を誕生させた大学に!
経済産業省は2021年10月時点までの大学発ベンチャー実態等調査の結果を発表した。
大学発ベンチャー実態等調査、大学発ベンチャーデータベースを公表
— 経済産業省 (@meti_NIPPON) May 8, 2019
同調査は「#イノベーション の担い手」として期待される大学発ベンチャーの効果的な支援検討のため実施しており、#大学発ベンチャー の設立状況、事業環境やニーズ等を調査し、成長の要因を分析していますhttps://t.co/THcCjYwd5A pic.twitter.com/6jLpNNlqWs
中でも群を抜いたのが慶應義塾大学だ。慶應は85社増加の合計175社。 もうひとつ飛び抜けた岐阜大は、前年比2.9倍という躍進を成し遂げ、37社が1年間で起業。合計57社となった。
21年度の大学初ベンチャーの設立数、数でみると東大・京大が頭一つ抜けてますが、慶応は前年比でほぼ倍になっていて伸び率が凄い
— もやし (@w_coast_0330) May 17, 2022
また、思っていたより国内理系トップ大学の東工大が少ない印象 pic.twitter.com/EPVsQ3CtvA
とはいえ、慶應大の躍進は目を見張るものがある。大学のシーズから生まれた会社も多く、山形県発ユニコーンのSpiberや、再生医療を手がける上場企業のサンバイオなどが有名だ。
また慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)の存在も大きいようだ。すでに2社IPOを成し遂げ、NEXTユニコーン30社に2社が選定されるなど、一定の成果を残している。
大学発はもちろん、研究から生まれる会社が多いのが特徴だ。そのため、開発から事業化に進む段階の「死の谷」でどうサポートするかが手腕の見せ所だ。ここをサポートしてきた実績があってこその躍進だと思える結果だった。
海外VCのみに出資目的の基金設立、反応は
日本経済新聞が報じた「海外VCのみに出資、政府が新基金 スタートアップ育成」の記事が物議を醸している。この記事は、国内のスタートアップへの投資を促すために海外VCへの基金を2023年めどに設置するという内容のもの。日経によれば、「海外VCの経営に関するノウハウを取り込み、国内のスタートアップを後押しする狙いがある」ようだ。
しかし、どうも起業家やVCは懐疑的だった。ここからは彼らの声を拾おうと思う。
まずはVCから。「いいね」数が600~700(本記事執筆時点)と、賛同している人が多い印象を受ける。内容はこの決定が「理解できない」とのものばかりだ。
ああ、またカモにされるだけだ、、、
— 堤達生 ベンチャーキャピタリスト/STRIVE代表パートナー (@tatsuken0205) May 18, 2022
そもそも海外のTopTierVCは、速攻でファンドレイズできちゃうから、わざわざこんなひも付きのお金を欲しがるVCなんて、基本的に微妙なVCしか残っていないような気がするが。。
てか、どうしてこういう発想になるのだろうか、、、https://t.co/taPMj6DOHP
何がどう転ぶとこの結論に辿り着くのか到底理解出来ないですね
— 堀新一郎(ほりしん)@Z Venture Capital (@horrrrry) May 18, 2022
海外VCのみに出資、政府が新基金 スタートアップ育成: 日本経済新聞 https://t.co/AWCq22DcJQ
起業家も同じ意見を持ったひとは一定数いたようだ。
政府としての優先順位が違うと感じる…
— 岡井 大輝|LUUP (@DAIKIOKAI) May 18, 2022
今の日本は、起業家が育ち、投資家が育ち、さらに起業家が育つという正のサイクルをさらに加速させるべきタイミング
(自分もまだ力不足で不甲斐ない限り)
日本には、凪の時代から日本市場の成長を信じてきた凄腕の投資家たちがいるhttps://t.co/991laENsXW
一方で、静観する意見もあった。エレファンテックの清水信哉氏は、「色々な意見はあるべきとは思いますがリスペクトは持ちましょう」とコメントした。
確かに海外からの資金流入は、スタートアップがスケールする上で必然となっている。政府による国内スタートアップ支援が、多様性を増しているということはできなくもないだろう。今回の決断はさておき、その動きには大いに期待したい。
タイミー、また海外投資家が資本参画!
タイミーはどこまでいくのだろうか。
香港のAspex Managementと、米国のWoodline Partnersが新規株主として資本参画したと発表した。ケールフェーズとコロナ禍明けを見据えた今後の積極的投資方針を踏まえた、強力な海外機関投資家の資本サポートが目的とのことだ。
この度セカンダリー取引を実施して香港・米国の海外機関投資家が新たに資本参画してくださいました。日本でもまだ珍しい事例だと思います。
— 小川嶺 (@Ryo_Ogawa70) May 18, 2022
タイミーの事業は前年同四半期比で4.0倍以上に成長しており今後も活発な投資を行い事業成長に努めていきます!https://t.co/ciyTIYUQcH @PRTIMES_JPより
タイミーがシリーズDラウンドで総額53億円の資金調達を発表したことは記憶に新しい。2021年9月、Keyrock Capital Management、Kadensa Capital、Seiga Asset Management、などを引受先とした合計40億円の第三者割当増資と、みずほ銀行など大手金融機関から合計13億円の借入を実施していた。
今では日本でも、上場前に海外投資家からの資本を投下する事例が見えてきたが、まだまだ事例は少ない。積極的に開拓していくことで、国内を代表する企業として楽しみだ。
トヨタ紡織初の出資、アロマビットとは
トヨタ紡織は、においセンサーを手がけるアロマビット(中央区)へ出資を決定したと発表した。出資金額は非公表。インテリアスペースクリエイターとして、移動空間の開発において新しい価値を創出することを目指すという。
アロマビットは、目で見えないにおいの可視化を目的に、においを識別する『ニオイ識別センサー』や、香りをコード化することで蓄積した『aroma code』を提供・開発するスタートアップだ。設立は2014年で、過去にはEast VenturesやSony Innovation Fund、日本たばこ産業(JT)などから出資を受けている。
日本経済新聞によれば、トヨタ紡織は2021年にスタートアップとの協業を模索する専門組織を立ち上げた。今回の出資が初めての取り組みとなる。
大企業がスタートアップへ出資する事例は、多いようで少ない。今後もいろいろな企業がスタートアップと協力することで、国内に新たな風を吹かせてほしい。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2022年05月20日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。