政府のスタートアップ支援、参院選後への期待やいかに──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。
土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。
今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。
・国を挙げてスタートアップを応援!スタートアップ担当相誕か
・どうなる日本?若者は海外流出が当たり前になるか
・ピボットの不安吐露、noteで広がる
・SkylandがWeb3カオスマップを公開。大きな反響?
について見ていく。
国を挙げてスタートアップを応援!スタートアップ担当相誕か
スタートアップ担当相がようやく設置されるようだ。
産経新聞は、政府がスタートアップ担当相の設置を模索していると報じた。岸田文雄内閣の看板施策の一つである「新しい資本主義」の一環で、スタートアップに力を入れていることの証明になりそうだ。
また日本経済新聞によれば、新しい資本主義の実行計画で「スタートアップを今後5年で10倍に増やす計画を年末に定めると明記した」という。スタートアップ相の新設はこの一環と見て間違い無いだろう。
スタートアップ相設置の報道を受け、起業家や投資家などからはポジティブ、ネガティブ両方の意見が聞こえてきた。
まずポジティブな意見から紹介する。新しい資本主義のもと、スタートアップが注目されているというのは、その通りだろう。
時代がキタ!
— Shoji Miyata (@miyata_shoji) July 2, 2022
<独自>スタートアップ担当相新設へ 新興企業支援に本腰(産経新聞)https://t.co/eoX0tSv6CS
参議院選挙後、スタートアップ関連政策が年末にかけて一気に動く。全てではないが、一部のスタートアップへの集中的な資金の流れも。ここから5年が正念場。この勝負でキッカケを作れなければ、日本はこのまま競争力を失っていく。現実を直視し、共に希望ある時代を創りたい。 https://t.co/nnnwz72MXq
— 志水 雄一郎 for Startups, Inc. CEO (@You7089) July 3, 2022
一方で中小企業庁との施策重複により「税金の無駄使いなのでは」とのネガティブな意見もあった。
スタートアップ支援は、すでに中小企業庁がやっている。
— 及川幸久@MJGA (@oikawa_yukihisa) July 4, 2022
なのに、スタートアップ担当相新設とは二重行政。つまり、税金の無駄使い。
政府がカネを使えば使うほど、国債が増え、カネが増える。
ようは、岸田インフレ促進策だ。https://t.co/i8KElvqUqS
担当の大臣が就くことで、どう日本のスタートアップの考え方が変わるのか、そして誰が担当するのか気になるところだ。今週末の参院選投開票を前に、有権者のビジネスパーソンが考えを一つ深めるきっかけにもなるだろう。
どうなる日本?若者は海外流出が当たり前になるか
経済産業省が6月にまとめた「未来人材ビジョン」について、意見が飛び交っている。
「絶望感溢れる100ページ」といったコメントや、「実態を知らないスタートアップに変な期待かけてて、なんじゃこりゃ」など、マイナスな発言が多い。終いには、海外で活躍するフィンテックスタートアップ五常・アンド・カンパニー代表の慎泰俊氏が、「優秀な若い人には、一旦この国を出ていってほしい」とコメント。加えて『衰退が確定した国におけるプランB』というタイトルでnoteを公開し、多くの拡散が生まれている。
しんてじゅん君からの私たち同世代とそれより下の方へのアドバイスです。私も同感です。
— Dai Tamesue 爲末大 (@daijapan) July 6, 2022
衰退が確定した国におけるプランB|Taejun @81TJ #note https://t.co/jvQCZT1c79
このnoteには、「日本はすでに詰んでいる」という意見のもと、なぜこうなってしまったのか「高齢化」と「硬直した人事制度」について指摘している。これを踏まえ、若者は海外へ行くべきだという。
世代間での意見の食い違いには、「大きな溝がある」という認識がずいぶん広がっている。それを象徴するような出来事とも言えそうだ。「もう日本は諦めるしかない」といったネガティブな意見ばかりが目につくこの現状に、あなたは何を思うだろうか。
ピボットの不安吐露、noteで広がる
起業家に事業方針を変更する「ピボット」はつきものだ。
今回はそんなピボットを経て成功した、ノーコードで実現可能なデータ分析サービスを目指すSrush代表取締役CEOの樋口海氏のnoteを紹介したい。このnoteは同社が1.8億円のプレシリーズA資金調達を経て書かれたものである。
シード期のスタートアップのリアルが詰まったnoteです
— 金子 剛士 / East Ventures (@evkaneko) July 5, 2022
既存株主の立場から
樋口さんの信じるプロダクトに対して
どこまで踏み込んで議論するか
残キャッシュとにらめっこして悩みながら話した記憶がありますhttps://t.co/rRNwhxbEr9
Srushは、シード調達した資金を全て注ぎ込んで作成したプロダクトをわずか数カ月で捨てると判断した。
シードスタートアップにとって、ピボットはよくある話だ。とはいえ、資金調達した資金全てを棒に振ることはなかなかない。しかし彼らにとって「プロダクトの完成度の低さ」「PLGに合わない営業スタイル」、そして「やりたいことをやっていない」ということは、ピボットに値したようだ。
彼らが新たに目をつけた領域、「データ分析」は巨大市場だ。デスクワーカー3,000万人のエクセルによるデータ集計グラフ化作業は、年間10兆円にも及ぶという。
また最近では、失敗をnoteに綴った事例も増えている。アルゴリズム取締役副社長の金田卓也氏が公開したnoteや、Micoworksの代表取締役である山田修氏が書いたnoteなどはその一例だ。
ピボットは大きな決断で、日の当たることは少ないが、悪いことであるわけがない。起業が100%成功する保証もない中、今後の企業の行く末を分ける意思決定の機会が、起業家には何度も訪れる。このnoteはそんな起業家に勇気を与えるものだろう。
SkylandがWeb3カオスマップを公開。大きな反響?
カオスな印象が強いであろう、Web3のの世界。そのカオスマップが誕生した。
Skyland Venturesは、Web3の国内と海外で活躍する日本人起業家スタートアップを取り巻く現状を整理。カオスマップを作成したと発表した。
Web3カオスマップを公開!
— kinoshitay.eth (Max) (@kinoshitay) July 6, 2022
Skyland Ventures、カオスマップを通して日本Web3業界の現状を整理 https://t.co/HHZS0jUkbT via @PRTIMES_JP#IVS2022 #IVSNAHA #IVSCrypto pic.twitter.com/y9f8QBRnYW
Web3とは、「次世代分散型インターネット」の総称だ。現在のGAFAMが独占しているインターネットの権力構図を塗り替える、分散した権力構造を想定している。
とはいえ、まだまだ途上でもあるWeb3領域。群雄割拠となっている状態を整理したのが、Skyland Venturesのカオスマップだ。
今回のカオスマップ公開にあたり、事業者からは「応援よろしくお願いします」との喜びの声がみられた。
また今週は、DMMがWeb3に本格参入を発表。伸びしろしかないWeb3領域には今後も注力してみていきたい。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2022年07月08日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。