AnyMindやモンスターラボのIPOから見る、スタートアップ資本市場の最前線──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。
土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。
今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から3本のニュース・話題をピックアップ。
・スタートアップ上場ラッシュ!AnyMind、モンスターラボなど
・デスクレスに賭けるAll-in-One Product『カミナシ』とは
・FindyのChatGPT大会に1600人が参加!各所でも開催
について見ていく。
- TEXT BY HIKARU HAMADA
スタートアップ上場ラッシュ!
AnyMind、モンスターラボなど
3月はスタートアップの上場が相次いだ月となった。Vtuberの代表格「ホロライブ」運営のカバーや、DX推進をサポートするモンスターラボなどが上場。注目の月となった。
中でも今回注目したい会社が、次世代のコマースインフラを目指すAnyMind Groupだ。同社は2022年3月と2022年12月の二度、上場承認を受けながら上場延期を発表していた。今回の上場はこの延長を乗り越えた上で達成されたものとなった。
AnyMind Groupは東証グロース市場に上場いたしました。
— 十河 宏輔(Kosuke Sogo) / AnyMind Group CEO (@kosuke47) March 29, 2023
改めて当社に関わっていただいた全てのステークホルダーの皆さまに感謝申し上げます。
僕たちが目指すのは今後も急成長するアジア市場における中長期的な成長です!今後も継続的に成長し、アジアを代表する会社になっていきたいと思います! pic.twitter.com/ZiixtKC1yS
AnyMindは、シンガポールやバンコクなどアジア13ヵ国・地域に展開する、ブランドコマース事業とパートナーグロース事業を展開するスタートアップだ。クラウドものづくり『AnyFactory』や自社ECサイト構築『AnyShop』などを展開する。市場からの注目度も高く、初値は1,000円だった。
また4月には宇宙スタートアップのispaceや営業支援サービスのスタジアム、AIコンサルや人工衛星データのAIサービスを手掛けるRidge-iなどが上場を控えている。
デスクレスに賭けるAll-in-One Product『カミナシ』とは
今週の資金調達も盛り上がったのではないだろうか。ヘルステックのカケハシがシリーズCで総額94億円の調達を発表。カメラ機材のサブスクリプションサービスを展開してきたGOOPASSもシリーズCラウンドの1stクローズで累計調達額が36億円を超えたと発表した。
カミナシは、シリーズBでCoral Capitalをリード投資家として、みずほキャピタルなどから総額30億円の資金調達を発表した。
カミナシは総額30億円の資金調達を実施しました。創業から2,295日、サービスリリースから今日でちょうど2年9ヶ月。やっと夢の入口です。「ノンデスクワーカーの才能を解き放つ」というテーマを、この会社で、この仲間と実現したいと思います!https://t.co/qpILolaaR2
— 諸岡 裕人|カミナシ CEO (@morooka_hiroto) March 29, 2023
今回調達した資金用途は、プロダクト職の採用と組織体制の強化にあてる予定。IoTやAIといったテクノロジーへの投資を積極的に行い、人員は2023年中に2倍の約50名へと拡大する方針とのことだ。
また同日、カミナシは中長期プロダクト戦略の「まるごと現場DX構想」を発表。
『カミナシ』を「多くのことを」「安価に」「1つのサービスで」完結できるオールインワンサービスとするため、「業務」「人」「コミュニケーション」の3つの領域に関連するプロダクトを開発していくという。
またカミナシ代表取締役CEOの諸岡裕人氏は、「デスクレスSaaSの未来、カミナシの賭け」とのタイトルのnoteを公開。カミナシが今後どこへ向かうのか、シリーズAからのプロダクトの話と、新サービスの話となっている。
ノンデスクワーカーが「挑戦し、報われる世界」を目指すため、今後もプロダクトを中心とした組織として注目したい。
また、IVRyはシリーズBラウンドとして13.1億円の調達を発表。引受先はフェムトパートナーズ、Headline Asia、SMBCベンチャーキャピタル、三菱UFJキャピタル、みずほキャピタル、三菱地所のCVCであるBRICKS FUND TOKYOと、名だたるVC/CVCが並んでいる。
IVRy(アイブリー)がシリーズBで、13.1億円の資金調達を実施し、合わせて、AI音声認識やChatGPTを活用した通話音声要約機能をリリースしました
— Ryoga Okunishi / 電話DXのIVRy(アイブリー) (@onishiki_plus) March 29, 2023
今後も、AI含め価値あるソフトウェアを、日本のすべての企業に届けていきます!
※いいね&RTよろしくですhttps://t.co/PQ1e8Ueb3T @PRTIMES_JPより
リリースには、「ChatGPT等のAI技術を活用」といった文言が目立つ。時流に乗った──というかたちにもみえるが、決して付け焼刃などではなく、同社が以前から持っている強みがこのAI活用なのである。AI開発・実装の知見を持つエンジニアが創業期から在籍し、このAIブームをいわば予言していた。プロダクトにChatGPTがまもなく到来するであろうこの先駆けた動きに、さらなる期待を抱かずにいられない。
同社がターゲットとしているのは中小企業、それも全国47都道府県すべてを当然のように市場としている。日本全体の、本質的なDXを実現する黒子としての躍動が楽しみだ。
FindyのChatGPT大会に1600人が参加!
各所でも開催
資金調達のセクションでも触れたように、相変わらずChatGPTのネタが尽きない。今回は、ChatGPTを使ったイベントをどのように開催し、ナレッジを共有しあっているのかについて見ていきたい。
Findyは、ChatGPT選手権を開催。第1回目は23日に開催され、1700人を超える応募があったという。テーマは「業務/個人開発/プロダクトにGPTを取り組んでみた事例」。 想定以上に注目を集めたため、第2回も4月に開催予定という。
お申し込み1600人超えました!
— まっきーㅣFindy広報・DevRel (@ayamakkie) March 23, 2023
このあと12時から開始!本日モデレートします
ChatGPT選手権!エンジニアリングに組み込んでみたらこうなりました LT大会 https://t.co/CYKaP4RgFM #GPT_findy
社内でChatGPTを活用したPoCを行う企業も出てきた。LayerXの松村優也氏は、「ChatGPT選手権!エンジニアリングに組み込んでみたらこうなりました LT大会」にて利用したLT資料を公開。実務上でどのようにChatGPTを活用しているのかを共有。
「ChatGPT選手権!エンジニアリングに組み込んでみたらこうなりました LT大会」にて利用したLT資料です。LTということなので事例を多めに紹介(+お気持ち表明)しました。
— Yuya Matsumura (@yu__ya4) March 23, 2023
MLエンジニアでなくとも誰でも・低コストでこのような検証を行える世界素敵!https://t.co/2EVnPGWgYH
#GPT_findy
注目され、多くの人に使い倒されている今だからこそ、さまざまな利用方法をキャッチアップし、活用していく。まだまだ黎明期と言えるこのタイミングでこそ、そんな機会に積極的に参加することを検討したいところだ。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2023年03月31日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。