連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

38.5億円を調達したhacomono、ウェルネスを支えるインフラへ一歩──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。

土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。

今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。

・38.5億円を調達したhacomonoが目指す「ウェルネスのインフラ」とは

・マネージャーは手を動かしてもいい?Layerxのマネジメントを解説

・特許庁、大学の研究ソースを活用して起業するために必要なケーススタディを公開

・行政との連携を強化するスタートアップ100社を公開!アスエネやファストドクター掲載

について見ていく。

  • TEXT BY HIKARU HAMADA
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38.5億円を調達したhacomonoが目指す
「ウェルネスのインフラ」とは

今週は注目したい資金調達リリースが相次いだ週となった。商業用不動産業界DXを手掛けるestieの16億円資金調達リリースや、位置情報共有アプリを展開するLinQの20億円資金調達リリース長期資産形成に特化した新しい証券会社のブルーモ・インベストメントの8億円調達リリースなど、紹介したい事業を展開する企業の資金調達リリースが多かった。

その中で今回は、テクノロジーの力でウェルネスのインフラを目指すhacomonoを紹介したい。

hacomonoは、楽天グループやCygames Capital、GMO VenturePartnersなどから総額38.5億円を調達したと発表した。この3者が新規投資家としてこのラウンドから参画。リード投資家はCoral Capitalで、ほかに既存投資家のTHE FUNDとALL STAR SAAS FUNDもフォロー投資している。あおぞら企業投資、静岡銀行、東京スター銀行、名古屋銀行からのデットファイナンスも含む。

同社は、ウェルネス産業向けオールインワン基幹システム『hacomono』を展開する企業。フィットネスクラブやスクールの入会・予約・決済などの手続きをまるごとDXしていく支援で、全国3,000店舗以上、310万人を超えるユーザーが利用するサービスとなっている。

今回の資金調達リリースにおいて、2022年から1年間の導入店舗数や解約率、年間NRR(売り上げ維持率)などを公開。今回公開した資料によれば、導入店舗数は1年間で約3倍の3,000店舗、解約率は0.5%以下。そして年間NRRは135%という着実なトラクションを示した。

昨今、シリーズB以降のスタートアップで中・長期経営計画や目標計画数値の公開を行う企業が増加している様子が伺える。非上場企業でありつつも、会社の成長のひとつの見せ方として注目していきたいポイントだ。

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マネージャーは手を動かしてもいい?
Layerxのマネジメントを解説

「マネージャーであることを言い訳にせず、手を動かし続けます。」

マネージャーは激務だ。常にMTGでカレンダーが埋まり、名前のつかないタスクを多く抱え、責任の幅も広い。その中で、どうしても自ら手を動かして仕事をすることをしない決断をするマネージャーも多いのではないだろうか。そんなマネージャーにぜひ読んでもらいたいnoteがあったので紹介したい。

LayerXは全社的に、「現場」をとても大切にしているという。代表取締役CEO 福島良典氏をはじめとして、役員陣・マネージャー陣もプロダクトのコードを書き、当たり前のように日々新しい技術に触れ検証をしているとのこと。セールスのマネージャーは顧客との商談・ヒアリングをこなし、そのなかで新しいプロダクトや機能をリリースし続けている。

つまるところ、「現場から離れてしまったマネージャーが考えた戦略どおりに実行したところで、本当に良いモノをつくることはできない」という考えが、代表を含めたカルチャーとして根付いているようだ。

もちろん現場を知るためにはマネジメント業務が疎かになる可能性も捨てきれない。が、そういうことはなくケアは丁寧に行われているとのこと。必要なことを全員が高いレベルで“当たり前”をやり抜く「凡事徹底」が根底では生きており、マネージャーも含めた全員が現場で手を動かし続けることができているようだ。

マネージャー業務を一度でも経験したことのある人間は、その様子がものすごく羨ましく映るかもしれない。が、一度現場に立ち返ってみるのもいいかもしれない。

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特許庁、大学の研究ソースを活用して起業するために必要なケーススタディを公開

特許庁は、「大学研究成果の社会実装ケーススタディ(知財戦略デザイナー派遣事業2022ナレッジ集)」として取りまとめたと発表した。

大学の研究ソースを生かして、スタートアップを起業する事例は多々ある。例えば、核融合スタートアップの京都フュージョニアリングや、がんリスクスクリーニング検査のCraifなどがある。

大学研究のソースを生かしてビジネスをしていく上で欠かせないのが、特許を含めた知財戦略だ。この知財戦略を立てていく上で参考にしたいケーススタディを、「大学研究成果の社会実装ケーススタディ」としてまとめたとのこと。研究支援者には支援内容を検討する際の「考え方のヒント」として、産学連携を担当する大学経営層に対しては、「外部の知財専門家の活用事例」の参考にしてもらうべく作成したとのことだ。

今回公開したケーススタディ集は、「企業との共有特許を基にしたスタートアップの設立」をどう支援していけばいいのか、どのように知財戦略を策定すればいいのかなどをわかりやすく図解。また、大阪工業大学の事例を引き合いに出し、実際の事例をもとに紹介している。

その他にも特許庁は、スタートアップ支援施策として「知財アクセラレーションプログラム(IPAS)」を展開するなど、支援の幅を広げている。気になった方はぜひ一度調べてほしい。

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行政との連携を強化するスタートアップ100社を公開!
アスエネやファストドクター掲載

経済産業省は、行政との連携実績のあるスタートアップ100社と、その連携実例をまとめた「行政との連携事例のあるスタートアップ100選」を公開。ファストドクターやUbie、TBM、UPWARD、SmartHR、ラクスル、オンリーストーリーなど、社会課題解決を目指すスタートアップが選出された。

今回選定された100社は、行政が手がける「子育て、教育」や「医療、福祉」「インフラ、施設」といった、社会に関する分野で事業を展開する企業。実際にどのような課題に対して、どのような解決策・効果をもたらしたのかわかりやすくまとめた。

たとえばファストドクターの場合は、「救急車の軽症利用の増加、それによる二次・三次医療機関の負担増」の課題に対して、「ファストドクターのオンライン診療により医師が外来診療の適用判断を実施する事で、真に必要な患者のみを二次・三次救急に搬送する。必要時は往診等で代替するなど地域の課題解決に応じた医療体制を構築」するアプローチをとったとのことだ。

基本的には行政に向けたスタートアップとの連携の仕方がメインの資料となっているが、行政と連携したいスタートアップにとっても有益な資料となっている。行政とスタートアップとの連携に興味・検討している方はぜひ一読してほしい。

さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2023年04月21日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

濱田 ひかる

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