連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

メルカリ山田氏の後継者育成計画が話題に──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。

土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。

今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。

・メルカリ山田氏の後継者育成が話題?

・瀬戸内海で“船”の自動運転実現へ、実証が本格化

・19億円調達のオルツ、AIへの投資を拡大

・ラクスルの「CEO報酬パッケージ」どう見る?

について見ていく。

  • TEXT BY HIKARU HAMADA
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メルカリ山田氏の後継者育成が話題?

2013年に設立したメルカリ。山田進太郎氏が10年にわたってリードしてきた同社の後継者育成が話題となっている。そのキーとなる記事が、BUSINESS INSIDERで前後編にわたって掲載された「メルカリCEO山田進太郎『僕は臆病すぎた』。新経営体制で意識し始めた『後継者』」と「『日本人男性だけで世界で勝てます?』メルカリ山田進太郎、熱弁60分」だ。

メルカリは6月に新経営体制を発表。新体制で社外取締役として新たに迎えたのは、パナソニックホールディングスなど複数社で社外取を務め、一般社団法人・日本取締役協会会長の冨山和彦氏と、楽天で常務執行役員CDOを務めた北川拓也氏だ。新体制では取締役10人中、社内4人、社外6人となる予定。過半数が社外取締役の指名委員会等設置会社にしている。

この新体制について、山田氏は「グローバルスタンダードで、それこそ僕自身がいなくなっても、ちゃんとミッションに向かって成長できる会社にすることを考えると、やはりガバナンスを強化する必要がある」ためとしている。今後の後継者育成も含め、このような体制になったのではないかと思われる。

この記事公開を受け、X(旧Twitter)では、新社外取締役のネームバリューについてのコメントや、今後も会社を5倍、10倍にグロースさせていきたい内容のコメントなどが流れていた。

メルカリは国内の起業家たちにとって、一つの成功例ともいえる企業だ。プロダクト開発や広報、組織体制など、あらゆる面でお手本になる。そのメルカリが次の5年、10年どのように成長していくのか気になるところだ。

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瀬戸内海で“船”の自動運転実現へ、実証が本格化

船の自律航行技術を開発するエイトノットは、広島県に新拠点を開設すると発表した。県内に142の離島を抱える広島県をフィールドに、事業を強化していくことが目的。事業フィールドに拠点を置くことで、地元自治体との関係性の強化や実証実験の強化、雇用の創出に貢献するとのことだ。

エイトノットとは、「海のDX」と「船舶のロボット化」を推進する自律航行技術の社会実装を目指すスタートアップ。小型船舶向け自律航行プラットフォーム『エイトノット AI CAPTAIN』を開発するほか、小型船への搭載や無人船のコンサルティングなどを手がけている。

自律航行の必要性は、旅客船やフェリーの廃止によって高まっている。特に広島県では人口減少に伴う利用者の減少、高齢化で船員確保が困難となり、2020年度以降5つの航路で旅客船やフェリーが廃止、長期運休となっているとのこと。このような課題を抱える広島県で、自律航行の実証実験を行うことで、共に課題解決を目指していくとのことだ。

新しいプロダクトを社会に受け入れてもらうため、課題を抱えている場所に拠点を置き、共に課題を解決し、プロダクトをグロースさせていく好事例が生まれていくのか。ぜひ今後も動向をウォッチしていきたい。

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19億円調達のオルツ、AIへの投資を拡大

パーソナル人工知能『P.A.I.®️』を手掛けるオルツは、エクイティファイナンスで近鉄ベンチャーパートナーズやUB Venturesなど、デットファイナンスで三井住友銀行とみずほ銀行から資金調達を行い、総額約19億円を調達したと発表した。今回調達した資金は、生成系AIやAI技術基盤への投資や、プロダクト開発に利用するとのことだ。

オルツは2014年設立。AIの対話エンジンの開発から生まれた音声認識テクノロジーを活用した『AI GIJIROKU』などを開発するAI系スタートアップ。顧客が抱えるプロダクトや事業の効率化を、同社が強みとするAIのパーソナライズとカスタマイズで解決している。

生成系AIの技術は、急速に一般に浸透してきている。多岐にわたる業界やアプリケーションでの利用が拡大しており、この流れは今後も加速することが期待される。未来のビジネスやイノベーションの中心として、生成系AIの役割はますます重要となっていくだろう。

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ラクスルの「CEO報酬パッケージ」どう見る?

ラクスル2023年7月期の決算報告書で公開した「CEO報酬パッケージ」が話題だ。

ラクスルは8月にCEOを交代。2014年にCFOとして参画した永見世央氏が新CEOへ就任した。永見氏の就任に際し、新たにラクスルは「CEOに対するインセンティブ設計」として、次の10年の企業価値拡大のための“創業者“になることをメッセージに入れ込んだ。その内容とは、金銭報酬は上場企業経営者の水準より低くする一方で、株式報酬の割合を最大限高く設定することで長期コミットを促す内容となっている。

では成功した場合、現状維持にとどまった場合はどうなるのだろうか。この話をわかりやすくまとめたnoteをシニフィアン共同代表の村上誠典氏が公開しているので紹介したい。

成功した場合、ラクスルの時価総額が1兆円となった場合は、個人資産が470億円という計算になるとのこと。一方で現状維持にとどまった場合、時価総額が800億円となった場合は、13.8億円となる。今までの日本上場企業のCEO報酬では珍しい設計ともいえるだろう。

しかしこのような報酬体系は、今後スタートアップがユニコーン企業へとグロースしていく上で重要であるとも、シニフィアンの村上氏は書いている。ぜひ気になった方はご一読いただきたい。

さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2023年09月22日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

濱田 ひかる

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