連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

気になるPodcastが続々誕生。マネフォCOOや、ANRI×ジョーシス/newmoなど──5分で注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、ウォッチしておくべきニュースやコラムをまとめた記事を配信していく。題して、スタートアップ通信──。

土日にまとめて読みたい話題を、定期的に更新中。

昨今も国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせている。その中から1本の話題、そしてトレンドとして押さえたいニュース数本をピックアップ。

・Boost Capital小澤氏やWAmazing加藤氏から学ぶシード起業家向け実践型講義とは?

・対話型音声AI SaaSのIVRy、30億円の資金調達を実施

・YOUTRUST、20億調達の裏に「覇王色」

・気になるPodcastが続々誕生。マネフォCOOや、ANRI×ジョーシス/newmoなど

について見ていく。

  • TEXT BY HIKARU HAMADA
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News1──Boost Capital小澤氏やWAmazing加藤氏から学ぶシード起業家向け実践型講義とは?

シードVCのジェネシア・ベンチャーズは、2024年7月~11月の4ヶ月間、シード起業家向けの創業支援プログラム 「Ignition Academy 2024」を開催する。参加する起業家・企業を募集する中で今般、豪華な講師陣を公開した。

今回発表されたリリースによれば、本プログラムの講師は、Boost Capital代表取締役の小澤隆生氏やWAmazing代表取締役の加藤史子氏、HOKUTO代表取締役会長の五十嵐北斗氏だ。

小澤氏は、楽天やヤフー(現LINEヤフー)に事業を売却し、役員としてベンチャー経営に携わってきた人物だ。2024年1月には、ベンチャーキャピタル運営のBoostCapitalを設立した。加藤氏はリクルート出身。『じゃらん.net』や『ホットペッパーグルメ』の立ち上げなど、ネットでの新規事業開発に携わった。また、五十嵐氏は、2016年にHOKUTOを創業し、医師向けの臨床支援アプリなどを展開する起業家だ。

ジェネシア・ベンチャーズといえば、日本だけでなくインドネシアやタイなど東南アジアも対象とする、シード投資に特化したVCだ。シード起業家を主な対象としたこの創業支援プログラムは、まさに象徴的なものとなる。講師陣の顔ぶれだけでなく、「地方在住の採択者には国内渡航費を負担するなどサポートを充実させ、これまで必要な情報やネットワーキングの機会が得られなかった方々にも参加しやすい設計」としていることなどからも、ジェネシア・ベンチャーズの本気度がうかがえる。

まさに創業フェーズだというFastGrow読者も少なからずいるだろう。逃す手はない、ぜひ、今すぐ検討してほしい。

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News2──IVRy、30億調達で目指す「コンパウンドAIシステム」

IVRyが総額30億円の資金調達を実施したと発表した。ALL STAR SAAS FUNDをリード投資家として、フェムパートナーズ、SMBCベンチャーキャピタル、BRICKS FUND TOKYO、Boost Capitalと、VCの並びが壮観で話題を呼んだ。SNSで関連するポストを目にした読者がほとんどだろう。

同社は、対話型音声AI SaaSの『IVRy』を提供。自動応答や電話転送、SMS送信、AI自動文字起こしなどの機能を提供。47都道府県、80業界以上、累計12,000以上のアカウント発行・1,900万着電を突破し、AIを活用することで様々な事業者のコスト削減や人手不足の課題解決してきたという。

最近では、AIを活用した電話業務自動化を目的に24時間365日体制で飲食店の予約受付の無人対応の実証実験を実施。対話型音声AI SaaSとして、DXが進んでいない「電話」に着目し、電話を軸としたプロダクトを展開している。

この戦略について代表の奥西氏は、noteで「コンパウンドAIシステム」というモデルから解説。「AIを中心としたSaaSプロダクトが提供されることによって、従来の当たり前のソリューションが当たり前ではなくなり、各産業の様々な業務がAIを活用することで変革されていく時代が来る」とし、AIを当然のものとして組み込みながら、多言語やグローバル展開まで進めていくと表明する。

特に今回の資金調達により、「音声コンパウンドAIシステム基盤」を実現するための、AI技術を中心としたR&D人材の採用やマーケティングへ費用を投下する。

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News3──YOUTRUST、20億調達の裏に「覇王色」と「BU☆CHI☆A☆GE」

こちらも同様に、SNSで目にしなかった読者はほとんどいない出来事だったのではないか。YOUTRUSTが、グロービス・キャピタル・パートナーズをリード投資家として、グロービス本体やフェムトパートナーズ、STRIVE、Delight Ventures、ANRIを引受先としたエクイティファイナンス、そしてりそな銀行、三井住友銀行、商工中金からのデットファイナンスを合わせ、総額20億円超の資金調達を実施したと発表した。プロダクトの開発およびプロダクト職の採用と組織体制の強化や、AIやアルゴリズム開発といったテクノロジーへの積極的な投資を目的とするとしている。

こちらが特に注目を浴びた理由として、資金調達のリリースをX(Twitter)での投稿で見つけた際に「リポスト」と「いいね」を徹底するという、社員全員での「BU☆CHI☆A☆GE」がある。その中の様子を、代表取締役CEO岩﨑由夏氏のnote「YOUTRUST、20億円の資金調達の裏側 ~できる限り詳らかに。社長の視点から~」が紹介しているので見ていきたい。

まずはキーワードの一つ目、「覇王色」について。CFO不在でシリーズCラウンドを乗り切るため、CEO岩崎氏とCOO金子氏は創意工夫を重ねた。岩崎氏は「総矢面時間が人に覇気をまとわせる」という考えのもと、「本命のVCに関しては、矢面時間を重ねて覇気をまとえるようになった後半にお会いすることにしました」「ピッチ時は必ずオールバックのヘアスタイルにオールブラックで身を包み、身長が高くなる靴(元々背が高いので、結果177cmくらいになります)で、ピッチは言い切り型で話すマイルール」などを紹介。一方の金子氏の工夫については「カスタマーエクスペリエンスの20分はかかる紙芝居を入れたところがこれが大絶賛(もしくは大不評)」と紹介した。

そしてもう一つのキーワードが「BU☆CHI☆A☆GE」。なんと、資金調達リリースの拡散のために全社員のカレンダーをブロックしたという。加えて、全社員でリリース公開前に円陣を組み、クラッカーを使うなど大盛り上がりの中、公開のタイミングを迎えたとのことだ。

なぜここまで徹底してリリースを「BU☆CHI☆A☆GE」るのか。YOUTRUSTは「調達リリース自体や盛り上がっているという事実がプロダクトの各種KPIを伸ばして中長期の事業のベースアップにつながる」と考えているからだという。

前述のIVRyしかり、スタートアップがSNSを中心としたPR・広報活動を最大化させる例として、まさに見習いたい例だ。ここまで徹底してリリースを拡散し、XをYOUTRUST色に染め上げてこその盛り上がりなのではないだろうか。

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Column──気になるPodcastが続々誕生。
組織づくりや、ANRI×ジョーシス/newmoなど

スタートアップの発信活動の一選択肢として有望になりつつあるPodcast。ここ数ヶ月の間でも、数々の番組が立ち上がってきている。そこで今回は、ニューカマーの番組を3本紹介したい。

1本目は、ANRIが立ち上げた『ハートに火をつけろ by ANRI』だ。

佐俣アンリ氏が様々な起業家をゲストにお呼びし、起業背景や目指す未来など、起業家を突き動かす「熱」について深く掘り下げていく番組。3月に0回目が放送され、ジョーシス代表取締役社長松本恭攝氏や、newmo代表取締役CEO 青柳直樹氏が登場。今話題の起業家の話が聞ける番組として、徐々にポジションを確立しつつある。

2本目は同じくVCのBeyond Next Venturesが立ち上げた『Go Beyond, Be Brave.』。

地球規模の課題解決を目指す起業家、研究者、医師、業界のキーパーソンをゲストに迎え、起業ストーリーや業界の最新トレンドを紹介する番組。4月に1回目が放送され、シード期の起業家を中心に、ディープテックの話題を深掘りしている。

そして最後は、マネーフォワード取締役グループ執行役員マネーフォワードビジネスカンパニーCOO竹田正信氏とMIMIGURI執行役員COO原申氏がパーソナリティを務める『最高の組織づくり〜ベンチャーCxOの葛藤〜』だ。5月から毎週配信され、急成長する組織を上手に拡大していくための実践的なアプローチを深めていくPodcast番組。「逆境のときこそ、しぶとく粘り続けられる組織=最高の組織」とし、赤裸々な話を展開している。

このほかにも、さまざまなPodcast番組が続々と誕生している。ぜひこの土日に聞いてみてはいかがだろうか。

さて、今回のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も定期的に更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2024年05月24日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

濱田 ひかる

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