「支社 = チャンスがない」は誤解──全社表彰を連発する電通総研の中部・豊田支社。秘訣は“立地”と“組織構造”にあり
Sponsored本社と支社では、得られる機会にギャップがあるのでは──。
かつては配属において語られていたこの言葉も、デジタル化とともに変化を見せ始めている。オンラインでの商談やリモートワークが一般化する中、本社以外の支社で働くことの価値が問い直されている。
しかし、本社から離れた支社配属となれば、大型案件から遠ざかり、キャリアの選択肢は限られてしまうのではないか。そんな疑問を持つ読者も少なくないだろう。
その固定観念を覆す企業がある。2024年1月、電通国際情報サービス(ISID)から社名を変更した電通総研だ。システムインテグレーション、コンサルティング、シンクタンクの3つの機能を軸に、企業や社会全体のデジタル変革を支援する同社は、東京・品川の本社に加え、関西、中部・豊田(愛知)、広島の4拠点で事業を展開している。
今回、FastGrowは日本のものづくりの中核拠点である中部支社を訪問。そこは国内を代表する自動車メーカーや部品メーカーなど、世界に名だたる製造業の「おひざ元」だ。この地の利を強みに、同支社では顧客との距離の近さを活かした密接な連携と、少人数体制ならではの大きな裁量のもと、若手たちの挑戦が繰り広げられていた。
- TEXT BY YUKO YAMADA
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
- EDIT BY TAKUYA OHAMA
新人賞は「中部・豊田支社」が連続受賞。
「支社 = チャンスがない」という誤解
米丸「支社配属って、本社との距離感もあり、キャリアを狭めてしまうんじゃないか」。当初、私はそんな不安を抱えていました。しかし、実際に働いてみるとその考えは大きく変わりました。むしろ、想像以上にフラットだなと実感しています。
例えば、本社から役員が来訪した際、入社数年目の私に対しても「お、米丸」と気さくに声をかけていただけるんです。個人的な見解ですが、電通総研は社員2,000名を超える組織にもかかわらず、全体として上下フラットな関係性があります。だからこそ、本社/支社に関わらず、若手が顔や名前を覚えてもらいやすい環境にあるんだなと感じています。
製造ソリューション事業部で自社製品の技術担当を務める入社5年目の米丸氏は、電通総研ならではの特長をこう語る。
とはいえ、FastGrow読者からすると「支社配属者の都合の良い解釈では?」──そんな疑問も浮かぶかもしれない。しかし、同社の支社の環境には明確な構造的メリットが存在していた。
品川本社の全社員のうち、入社10年目以内の若手社員・または32歳以下の社員は約30%以下。一方、中部・豊田支社は約35%が若手社員だ。(2024年10月時点)。本社と比べて規模が小さい分、支社では若手一人ひとりの存在感が際立ちやすい傾向にある。
さらに、少人数体制だからこそ、支社は若手に成長の機会をどんどん与えることができる。限られた人数でプロジェクトを推進するため、一人ひとりの役割や責任が自然と大きくなるからだ。そのため、電通総研における支社配属は単なる人員配置ではなく、成果を出せる人材に託される重要な機会となっている。
2010年に入社し、SEとしてキャリアをスタート。2012年に営業へ転向し、以降、国内大手の自動車メーカーを担当してきた谷口氏は語る。
谷口入社当初、上司から「支社は本社に負けじと成長が早いぞ」と言われてきましたが、まさにその通りでした。人数が少ないからこそ、若手のうちから大きな裁量が与えられています。
私自身、入社1年目の後半から会計基幹システムのITインフラ刷新プロジェクトに参画し、テストチームのリーダーを任せていただきました。自分で考え、決断し、実行する。そのプロセスの繰り返しが、個々の成長スピードを加速させているのだと思います。
こうした支社での若手育成方針は、具体的な成果となって表れている。電通総研全体の社員3,652名(2023年12月末現在)の中から事業部門ごとに選ばれる新人賞──。中部・豊田支社の製造営業部門が2年連続で獲得。2020年には営業部門、2021年には技術部門のメンバーが受賞を果たしているのだ。
支社とは、当該エリアの主要顧客に対する“コミットの現れ”
電通総研における地方支社の存在意義。それは、顧客により近い場所での迅速なサポートの提供にある。品川本社だけでは物理的な距離が障壁となる場合もあるだろう。そこで愛知、大阪、広島に支社を設置し、顧客に寄り添える体制を整えているのだ。
2014年の豊田支社*設立の背景にも、この方針は色濃く表れている。中部支社の一部門だった豊田支社が独立したのは、重要顧客へのより迅速で手厚い対応を実現するためだった。顧客に寄り添う同社の姿勢を象徴する出来事だと言える。
米丸最近では「製造DX」と呼ばれることが多いのですが、製品開発の効率化や品質向上を支えるITソリューションの提供が私たちの役割です。特に「設計」や「開発」の領域に強みを持っています。
中部・豊田支社が支援する顧客層には、日本のものづくりを支える主要な製造業が名を連ねる。大企業ほど支援範囲が広くなる傾向があり、数十億円規模のプロジェクトも珍しくない。
「中部圏だけでも製造業界をリードする100社以上の企業と取引がある」と谷口氏が語るように、同支社は日本の産業基盤を支える重要な役割を担う。
ただし、これだけの大規模な支援を支社単独で行うわけではない。
米丸品川本社の技術メンバーとはオンラインで密に連携し、サッカーのポジションでいう「ボランチ」のように、専門外の部分は本社にパスすることもあります。
特に今は、オンラインでの働き方が当たり前になり、場所による情報格差はほとんどありません。お客様とのオンラインミーティングでは、誰がどの拠点から参加しているかなど気にならないですよね(笑)。
中部・豊田支社が主担当のお客様との打ち合わせに、品川本社の仲間に入ってもらうこともあれば、その逆もあります。むしろ、柔軟な働き方が普及した今だからこそ、全社一丸となったサポート体制が実現できているように思います。
谷口中部・豊田支社の強みは技術面だけに留まりません。
豊田支社が担当するお客様は、電通グループの中でもお付き合いの長い企業様が多いです。当支社は日本の製造業の中心地に位置するため、営業部門には商社出身の人材も多く、交渉力や業界知識を活かしてお客様と長期的な信頼関係を築けるメンバーが揃っています。自分たちで言うのもなんですが、頼もしいチームですね。
人によっては「支社配属」にはネガティブな印象を持つ人がいるかもしれない。しかし、それは少なくとも電通総研には当てはまらないであろう。ここは日本のものづくりの中心地。電通総研が次世代を担う若手に大きな期待を寄せる、最重要拠点の一つなのだ。
グローバル案件への抜擢や、十数億円の売上創出。
電通総研の未来を担う若手たちの挑戦
では、支社の若手たちは具体的にどのような活躍を見せているのか。一般的に、企業にとっての注力案件、重要案件は本社メンバーが担当するケースが多い。他部門との連携のしやすさ、経営層との距離の近さ、意思決定の速さなど、本社ならではの利点があるためだ。
しかし、電通総研では大規模プロジェクトへの参画機会を支社の若手にも積極的に提供する。その代表例が、自動車のエンジンとモーター開発で世界をリードするAVLとの取り組みだ。
2023年11月、電通総研はAVLと業務提携を結んだ。世界90ヶ所以上に拠点を展開するモビリティテクノロジーのトップ企業との提携は、製造事業部のグローバル展開を加速させる重要な一手となる。このプロジェクトで重要な役割を任されたのが、米丸氏である。
米丸AVLとの協業で展示会の出展が決まり、その対応や海外のお客様とのミーティングのため、今年ドイツへ行ってきました。
実は上層部から私に声がかかったのは展示会実施の2ヶ月前。準備期間が短く、プレッシャーもありましたが、何とか無事にやり遂げることができました。自分が選ばれたことに驚きつつも、それ以上に大きな責任とやりがいを感じましたね。
支社の若手への期待は、入社間もない頃から始まる。米丸氏は配属2年目からプロジェクトマネージャーとしてチームの最前線に立ち、サービスを提供してきた。
もちろん、技術者としての活動も積極的だ。通常、技術者が顧客と関わるのは製品導入時からが一般的だが、自社製品の技術メンバーが限られているため、米丸氏は営業と共にソリューションの紹介段階から参画。全国出張をこなし、技術提案から導入支援まで一貫して担当する。顧客との接点は技術者の中でもトップクラスだ。こうした実績が認められ、今回のグローバルプロジェクトへの抜擢につながった。
一方、谷口氏も支社ならではの大きな裁量を活かしキャリアを築いてきた。
谷口ある大手自動車メーカーを担当していた時代、基幹システムの大型案件は数えるほどしかなく、新規開拓が急務でした。そこで既存の案件をすべて後輩に引き継ぎ、新規開拓に専念することを決意したんです。まさに背水の陣でした。
ところが半年間、まったく成果が出ない。周囲からは「数字が上がらないと、このまま続けるのは厳しいぞ」という指摘を受け、評価への影響も懸念されました。それでも「今に見ていてください…!」と自分を奮い立たせ、お客様のさまざまな部署を訪問し続けました。
そして、ある部署のキーマンと出会い、他事業部のソリューションに関わる案件の相談を受けたんです。現場から徹底的に情報を集め、他事業部を巻き込むために奔走。何度も壁にぶつかりながらも粘り強く活動を続けた結果、ついに案件の獲得にこぎ着けました。3〜4年経った今では、その事業は数十億円の売上規模にまで成長し、社内表彰制度「AHEAD AWARD*」を受賞するに至りました。
「この挑戦がなければ、今の自分はない」と谷口氏は言う。そして、この経験で得た学びは、その後の大手部品メーカーを担当する際にも大きく活きることになる。
谷口社内の担当が急きょ変更になり、引き継ぎ時にはお客様の社内関係者全員のメールアドレスが刷新されていました。引き継ぎ案件での接点以外では、ほぼゼロからの開拓でしたね。
そこで業界の展示会や講演会に足を運び、登壇されるお客様の役員や部長クラスの方々との接点づくりを始めたんです。その地道な活動から始まった案件が、今では当社の主力事業の一つにまで成長しています。
正直、初対面で経営層の方に「谷口です」と声をかけるのは怖かったです。けれど、これを逃したら案件創出のチャンスはないと覚悟を決めました。大手自動車メーカーでの成功体験があったからこそ、自分にできることは何でもしようという思いで一歩踏み出すことができたんです。
この一連の経験は、谷口氏のビジネスパーソンとしての成長も促した。
谷口お客様の言葉をただ受け入れるのではなく、自分なりの提案を持つことが大切だと学びましたね。外部の人間だからこそ、時には顧客の部長クラスの方にも「こうするべきではないでしょうか」と提言できる。そういった対等なパートナーとしての関係性を築けるようになってきたのは、ここ最近の大きな変化です。
米丸氏と谷口氏の経験が示すように、支社での仕事は決して規模が小さいわけではない。むしろ、若手のうちからグローバルプロジェクトや十数億円規模の案件を任されることもある。そうした挑戦の中で、確かな実力が培われていく──。これこそが、電通総研の中部・豊田支社の真骨頂だ。
日本有数のものづくり企業を横断支援する、「伴走者」としての魅力
中部圏には、前述の通り、国内を代表する自動車メーカーや部品メーカーが集積する。多くの学生がこうした大企業への就職を志望する中、両氏はなぜ製造業を支援する立場の電通総研を選んだのか。
谷口自分は直接ものづくりはできないけれど、エンジニアの方々を支える立場でものづくりに携わりたいと考えました。そのきっかけは、2008年に旧電通国際情報サービスで参加した2週間のインターンシップ*です。
日本のトップメーカーへ同行し、「大学生がエンジニアのお悩みごとを聞く」という貴重な機会をいただいたんです。そこで日本のものづくりへの誇りと使命感を持って製品開発に取り組むエンジニアの方々の想いに、大きく心を動かされました。
さらに、大学時代の海外一人旅の経験も大きかったですね。世界中で日系メーカーの車が走り、日本製のデジカメを使う人たちを目にして、改めて日本の製造業の底力を実感したんです。
一方、物理学科出身の米丸氏も製造業への強い関心を抱いていた。
米丸メーカーで「ものづくりをしたい」という思いはありましたが、自分が一番伸ばしたいもの、興味があるものがITだったんです。ものづくりとIT、どちらも諦めたくない。ただ、IT企業が製造業をどのようにサポートしているのか、当時の学生にはほとんど知られていなかったと思います。
そんな中で、「電通総研の製造業分野が強い」という話を聞き、ITの力で製造業に深くコミットする姿勢に惹かれました。そこからは迷うことなく電通総研への入社を決めましたね。
実は、両者とも最初は本社での勤務を望んでいた。特に岐阜県出身の谷口氏は、千葉県の大学を卒業し、「東京で働きたい」という思いを抱いて入社した。しかし、本社での研修後に配属されたのは中部支社だった。
谷口都会への憧れもあって、最初は正直、「東京で働けたらいいな」と思っていました(笑)。けれど、実際に働き始めると、この環境でこそ実現できることの大きさを日々実感しています。
例えば、ある大手部品メーカーは、国内の自動車メーカーはもちろん、欧米の有力メーカーにも製品を供給しているんです。そのため、私たちが導入支援をさせていただくソリューションも、欧米のソフトウェアメーカーが開発したパッケージソフトウェアであることが多いんです。こうした関係から、海外にあるソフトウェアメーカーへお客様と一緒に行き、エンジニアの方々と関わる機会が生まれ、視野が広がっていきます。
さらに、支社ならではの良さもあります。少人数体制だからこそ、技術と営業の垣根が低く、エンジニアの方々と密にコミュニケーションが取れるんです。現場の声を聞いて、すぐに顧客へ提案し、その反応を見てまた新しいアプローチを考える。そんな経験を重ねるうちに、ここが自分の居場所だと確信するようになりました。今では「支社で良かった」どころか、「支社がいいんだ」と胸を張って言えますね。
製造業の最前線で働く中で、2人は新たな使命を見出していく。
米丸私たちが支援している製造業のエンジニアの方々は、日本随一とも言える高い専門性と探究心をお持ちです。ただ、その一方で働く環境に課題があるとも感じています。
大学時代の同期は3割がメーカー、3割がIT企業に進みましたが、メーカーに進んだ友人たちの話を聞くと、やりがいは大きいものの、デジタルの力でさらに効率的な働き方を模索する余地が大きく残されていると感じました。博士号を持つような高い専門知識を持つ優秀なエンジニアたちが、もっと幸せに働ける環境をつくれないか──。それが日々の業務とは別に、私自身が考えているもう1つの目標です。
谷口まさにその通りです。エンジニアの方々の純粋な熱意や探究心には頭が下がります。情熱を持って仕事に挑むエンジニアの方々が、より良い環境で活躍できるよう支援したい。それこそが私たちの役割だと考えています。
製造業の現場に深く関わる中で、2人はより具体的な使命感を見出していった。これは日本を代表する製造業と直接取引をし、サービス提供できる、電通総研だからこそ得られた気づきだろう。
戦略コンサル、PM、技術エキスパート。
広がるキャリアパスの選択肢
製造業支援の最前線に立つ中部・豊田支社では、どのようなキャリアを築けるのか。米丸氏は同支社でのキャリアの特徴を「製造業の業務知識」と「技術実装力」という2つの軸で説明する。
米丸SIerという立場だからこそ、多くの企業と直接対話する機会があります。お客様が抱えるIT課題は多様で、システムやソリューションを一つひとつカスタマイズしていく必要がある。その過程で現場の方々と密にコミュニケーションを重ねることで、製造業特有の課題やニーズを深く理解できるんです。
社内環境においても学びが多いですね。「メーカーでの経験を活かして、ITで課題解決に取り組みたい」と中途入社される方も少なくありません。そうした方々との対話を通じて、製造現場の実態をより深く知ることができます。
ITの面でも得られるスキルは多いのが特徴です。製造事業部では、Webアプリケーションの開発から、BIツールによるデータ分析やAI活用まで、最新のデジタル技術に触れる機会が豊富にあります。自社製品の開発に携わるメンバーもいれば、他社のパッケージソリューションを提供するメンバーもいる。技術者として多様な経験を積める環境だと実感しています。
米丸氏によれば、最初の数年間でこの2つの軸を身につければ、キャリアの幅は大きく広がっていくという。
培った業務知識や経験を活かし、業務コンサルタントや案件をリードするプロジェクトマネージャーとして活躍する道もあれば、日々進化するITを当領域に取り入れるシステムエンジニアとして専門性を高める道も開かれている。
谷口氏も、キャリアパスの広がりについて深く頷きながらこう語る。
谷口営業においても周囲を見渡すと、製品開発の現場で活躍する人、研究開発に携わる人、最近では農業ロボットといった新しい分野に挑戦する人もいます。メーカーでは特定の製品に特化しがちですが、私たちは自分の興味ある分野で、お客様の課題に応じた提案ができる。その中で自分らしいキャリアを築くチャンスがある。それが電通総研の魅力だと感じていますね。
中部・豊田支社が提供するキャリアの可能性は、従来の「支社」のイメージを大きく超える。世界的製造業の集積地で、最先端のデジタル技術を駆使しながら顧客の課題に直接向き合う。そうした経験を通じて、多様なキャリアパスが開かれていくのだ。
常に未来を見据えた「フィードフォワード」の精神で、次なる挑戦へ
取材を通して見えてきたこと。それは、電通総研においては、本社/支社に関わらず、豊富な挑戦機会と成長環境が整っているということだ。むしろ、中部・豊田支社という特有の環境だからこそ、多くの挑戦と裁量が与えられ、若手が大きく成長する舞台となっている。
では、この環境でどういった人材が活躍できるのか。
米丸私たち中部・豊田支社では裁量が大きい分、自分をしっかりアピールし、積極的にチャレンジできる人が評価される傾向にあると思います。ただし、これは一人ですべてを抱え込むということではありません。
技術面では強力なバックアップ体制があり、お客様の前で失敗することがないよう、必ず先輩がサポートしてくれる。この体制が若手の挑戦を後押ししているんです。私も納期が迫る中で業務が間に合わず、先輩に仕事を巻き取ってもらったことがありました。そのとき自分の力不足を痛感し、最後まで完遂できなかった悔しさが、「次は必ず自分の力で成し遂げよう」という強い意志につながりました。
失敗を責めるのではなく成長の機会として捉える文化は、営業部門でも同様だ。谷口氏のチームでも、若手の成長を支える独自の取り組みが行われている。
谷口私たちのチームでは、過去の反省にとどまらず、未来に目を向けた「フィードフォワード」の考え方を大切にしています。次に何をするべきか、どうすれば目標を達成できるかを前向きに議論することで、失敗も次の成長へのステップとして捉えられる。
この文化は電通総研全体にも根付いていますね。ミスがあったときもメンバーを責めるのではなく、すぐにお客様のために何ができるかという議論に切り替わる。結局、ミスを掘り下げるだけだと状況は変わらない。そこから何を学び、どう前に進むかが大切なんです。その責任感と前向きな姿勢こそが、私たちのカルチャーだと思います。
中部・豊田支社の特徴として、少人数ならではの密接なコミュニケーションも挙げられる。部署や世代を超えたつながりが自然と生まれ、それが組織としての総合力を高めているのだ。
取材中も、部署も世代も異なる谷口氏と米丸氏の会話からは、日頃からの距離の近さが伝わってきた。「仕事ではしっかりと意見をぶつけ合いますよね」と米丸氏は笑顔を見せる。アットホームな雰囲気の中にも、必要な場面では率直に意見を交わし、切磋琢磨する。その姿勢が、支社の成長を支える原動力となっているのだ。
中部・豊田支社で見えてきたのは、「支社」という言葉が持つ古い固定観念を覆す新しい働き方だ。ここは単なる地方拠点ではない。日本のものづくりの心臓部で、次世代を担う若手たちが挑戦し続ける、イノベーションの最前線である。
大きな裁量と責任。密接な顧客との関係。そして、失敗を恐れず挑戦できる文化。これらが融合し、若手社員たちの急成長を促している。支社だからこそ得られる可能性は、想像以上に大きい。
世界に誇る日本の製造業の中核地域で、最先端のデジタル技術を駆使し、顧客と共に未来を創造していく──。それこそが、電通総研が中部・豊田支社に込めた戦略的な狙いなのだろう。
この取材を通じて浮かび上がってきたのは、従来の「東京一極集中」型のキャリア観を覆す、新たな可能性だ。今後は関西支社、広島支社など、各地の電通総研拠点で活躍する若手たちの姿を追っていく予定である。
こちらの記事は2024年11月29日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
山田 優子
写真
藤田 慎一郎
編集
大浜 拓也
株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。
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