連載スタートアップを知りたいならここを見よ!FastGrow注目スタートアップ特集──FastGrow Pitchレポート

世界初のAI技術を用いた仮想人材派遣、複業時代のクラウドイントラ、本田圭佑氏のオンラインスクール。
個人・企業をエンパワーするスタートアップ──FastGrow Pitchレポート

登壇者
小代  義行

東京大学工学部を卒業後、NTTDATA、Microsoftなどの日米のITトップ企業と企業再生ファンド、Venture Capitalなどを展開するINSPiREでの業務を経験。自ら起業したユニークでは17年間に亘り、IT、AI、遺伝子医療、次世代教育、システムトレードなど、先端技術を活かした事業立上に従事。次世代リーダー養成をライフワークとし、これまで30人以上の社長を輩出。2020年6月にプラスゼロの代表取締役に就任。

一戸 健人

1990年生まれ、30歳。新卒でITベンチャーに就職し、営業、人事、社長室を経て2年目で顧問サービスを立ち上げ、3年で売上3億の事業に成長させる。同時にベンチャーキャピタル子会社社長も兼任。
2017年10月より株式会社ドゥーファを創業し、「働き方の新常識をつくる」をミッションに複業・転職のマッチングプラットフォーム「kasooku」を開発運営。

広瀬 楽人

2005年8月24日生まれ、S高等学校1年生。中学生の時から公教育に違和感を覚え、日本財団主催のフォーラムにて経済格差・教育格差について知り、それを解決するためにTwitter・noteにて発信活動を開始。2020年6月に本田圭佑に声を掛けられ、NowDo株式会社に参画。現在はコミュニティの責任者「UX Team」に所属しNowDoソーシャルオンラインスクールの更なる成長に向けて成長中毒者になる。

「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーション興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。

登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。

本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのは、株式会社pluszero、株式会社ドゥーファ、NowDo株式会社の3社(登壇順)だ。

  • TEXT BY OHATA TOMOKO
  • EDIT BY HARUKA MUKAI
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株式会社pluszero
“柔軟なAI”を駆使し、企業のイノベーションを加速

株式会社pluszero

最初に登壇したのは、pluszero代表取締役会長兼CEOの小代義行氏。

同社は、AI技術、機械学習や自然言語処理などのテクノロジーを統合的に活用し、事業コンサルティング、サービス提供を行なっている。

AIやITの専門性の高い技術者が集まっているだけでなく、そのメンバー一人ひとりに経営教育を行っているため、市場ニーズや課題把握から技術開発、サービス運用まで包括的に対応することを可能としている。

現在、主な事業としては「受託開発」「サービス開発」「技術開発」を展開している。受託開発で得られた資金を技術開発に積極的に投資。「スケーラビリティと変化に対応する力」を両立してきた。

小代氏がはじめに紹介したのは、2021年3月に特許を申請した、世界初の新技術を用いた『仮想人材派遣』だ。

小代『仮想人材派遣』は、ある特定ジャンルにおいて、AIが対話相手や利用者の利用可能語彙に応じた言い換えを行う技術です。これにより、あたかも人間が対応しているようなコミュニケーションを実現します。

現在は本特許における業務提携パートナーを募集しており、複数の企業と連携しながら開発を進めようとしています。

この『仮想人材派遣』は、pluszeroでかねてより研究開発を進めてきた「AEI(Artificial Elastic Intelligence)」という独自の概念をもとに特許申請された。「AEI」について、小代氏はこう語る。

小代近年、ディープラーニングを含め、AI技術は日々進化を遂げ、ビジネスへの応用も進んでいます。しかしAIにビッグデータを学習させる手法では、人間の言葉の意味などを理解したり、柔軟な課題解決に対応するのは難しい。

また、人間と同じように柔軟な課題解決を行う汎用人工知能(AGI)の開発も進んでいますが、まだまだ実現には時間がかかる状況です。

そこで私たちは、特定のジャンル内において、人間のように言葉の意味を理解し、柔軟に対応できるAI技術を目指しています。いわゆる「弱いAI」と「強いAI」の中間のような立ち位置だと捉えています。

こうした独自の技術を、pluszeroは積極的に水平展開している。例えば、求人広告が規定法規に従って書かれているかをチェックするなど、企業の要望に合わせて応用している。

さらに受託開発においては、様々な企業と連携し、自然言語処理や画像動画処理、データマネジメント、IPシステム、AI開発など幅広くソリューションを提供している。

これらのソリューションを通して企業のイノベーションを加速したいという思いは、社名にも現れている。

小代pluszeroと聞くと、「0(ゼロ)を足しても何も意味がないじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、実はかつてゼロという概念がインドで発明されたことによって、数学が進化を遂げたことに由来しています。我々も現代におけるゼロを発見し、大きな進歩を率いたいと考えています。

「中長期的に、pluszeroを応援してくれるサポーターのような企業を探しています。興味があればぜひお声がけください」と、参加者に呼びかけた。

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株式会社ドゥーファ
副業・複業が当たり前になる時代のクラウドイントラネット

株式会社ドゥーファ

続いて登壇したのは、『kasooku』を開発・運営するドゥーファ代表取締役の一戸健人氏。

kasooku』は、副業・複業の仕事を探すユーザーと、人手が必要な案件をマッチングするプラットフォームだ。登録ユーザーは本業以外の案件を通して経験やナレッジを得ることができ、企業も案件に必要な人材と出会うことができる。

2019年5月のローンチ以来、登録ユーザーはおよそ1.6万人(2021年6月時点)。主にIT企業に勤めている人が多く、業種は営業や事業開発、エンジニアなどさまざまだ。

一戸ユーザーのなかには転職意向を持つ方も多く、副業から転職にいたるケースも多いです。大企業に勤める人が、いきなり会社をやめてスタートアップにジョインするのはハードルが高いものですから。副業をした上で転職する動きが増えているのではと思います。

最近では、企業側も選考に副業期間を設け、ミスマッチを減らそうとしている。働く側と企業側、双方の副業・複業ニーズの高まりを感じています。

また、業務ツールを一括でクラウドイントラネット『myooon』を展開している。

myooonではChromeに拡張機能を追加すると、AIがブラウザの閲覧履歴からよく使うサービスをレコメンドしてくれる。それをベースに、よく使うツールのURLを登録してブックマークを作成、社内メンバーと共有できる。

一戸氏は「社内の情報共有におけるブラックボックスをなくすことができる」と紹介する。

一戸利用する外部のSaaSが増えるなかで、ツールの管理に手が回っていない企業も少なくありません。myooonでは、登録したサービスの利用状況を可視化し、使われていないツールやメンバー間の使用頻度の違いなどを把握できます。

また、クラウドでツールの一覧やURLを共有できるため、チャットツールやSlackで毎回個別に案内する手間も省けます。新しく入社したメンバーへのオンボーディングや外部人材との連携などをスムーズに行えます。

ツールの管理を効率化したい企業に加えて、複業ワーカーを雇用している部署単位での利用も多いのだという。複業ワーカーは会社から支給されたPCを利用するのではなく、プライベートなPCを利用することが多い。そのため複数の企業で働くと、複業ワーカー側、企業側、双方にとってツールやURLの管理は煩雑になる。そうした課題も解消するのがmyooonの特徴だ。

現在、資金調達に向けて投資家を募集しているそうだ。「我々も採用を募集中です。ご興味ある方は、メールやTwitterなどでご連絡ください」とピッチを締めくくった。

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NowDo株式会社
好きなことで生きていくためのソーシャルオンラインスクール「NowDo」

NowDo株式会社

最後に登壇したのは、ソーシャルオンラインスクール『NowDo』を運営するコミュニティー責任者の広瀬楽人氏。

同社は「だれもが夢を追い続けられる世界を創る」をビジョンに掲げ、日本を代表するプロサッカー選手、本田圭佑氏が創業した。背景には、2010年南アフリカワールドカップで目の当たりにした、現地の子供達の姿があったという。

広瀬貧困によって教育を十分に受けられなかった子どもたちが、犯罪に手を染めたり、病気にかかってしまったりする。そうした現状を変えたいという思いを以前から抱いていたそうです。

COOの鈴木は、代表本田と共に2012年からサッカースクールを運営し、夢を持つことの大切さを教えていました。そのなかでサッカースクールへ通うにもお金が掛かり貧しい子供達は通えず、根本の教育格差の課題をなかなか解決が出来ないことに課題意識が深まったことから、本格的に解決するべく2017年にNowDoを創業しました。

同社が展開するソーシャルオンラインスクール『NowDo』では、プログラミングやビジネス、スポーツなど、様々な業界・分野で活躍するプロフェッショナルが講義や学びたい大人と教えたい大人がマッチングする音声SNS「classroom」の運営を主に行なっている。中高大生を対象としており「公教育では補えない教育の問題をサポートする」ことを目指す。

広瀬私たちは公教育を否定しているのでは全くなく、公教育と組み合わせることで子供たちがより社会の情報に触れることができ、夢を見つけるきっかけにつながると思っております。世界が想像以上にのスピードで変化し続けている時代に、自分で考えて行動する「生きる力」が重要だと考えます。

そこでNowDoでは、25歳未満なら無料でライブ講義や音声SNS「classroom」を視聴できるサービスを展開しています。もちろん25歳以上でも、NowDoプレミアムに加入することで、ライブ動画もしくはアーカイブ動画が見放題になります。

また、音声SNS『NowVoice』では、月額980円でアスリートやタレント、クリエーター、ビジネスなど業界のトップランナーの声を聞くことができます。

現在は、オンラインソーシャルスクールや音声SNSが主流だが、今後は、さらに深い学びや子どもたちの個々の夢を応援できるレッスンやマッチング事業の展開を予定しているという。

2021年3月には数々の著名人やエンジェル投資家から総額4.8億円の資金調達を実施。スポーツ庁との実証事業『NowEX』や、発展途上国にNowDoのサービスを届け教育格差などの社会課題を解決するためのNPO法人『NowDonation』、オンラインサロン型のサッカークラブ『EDO ALL UNITED』なども展開している。

今回ピッチを行った広瀬氏は現在15歳。NowDoの最年少アドバイザーだ。質疑応答で自身のモチベーションをたずねられると、自身の体験や想いを共有してくれた。

広瀬中学生の頃から学校教育があまり合わず、教育の変革に向けて、SNSで活動していました。将来は自分の好きなことを仕事にした。そうした想いを抱きながら発信をしていたところ、直接、本田から声をかけてもらいました。

NowDoは社会的意義の高い教育事業を実践しながら、マネタイズに取り組んでいる。私個人の目標と会社の目標もマッチする部分が多く、働けること自体がモチベーションになっていると感じます。

採用情報の他にもエンジニアや複業人材、学生インターンなども随時採用しているという。「今後も様々な事業を通じて、世界に夢を届ける活動をしていきます。応援のほど、よろしくお願いします」と広瀬氏は参加者に投げかけた。

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記念すべき第45回目となったこの日は、AIを駆使したビジネスソリューションや副業・副業時代のマッチング・イントラサービス、「好きなことで生きていくため」のオンラインスクールの企業が登壇した。

今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひチェックしてほしい。

こちらの記事は2021年06月14日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

大畑 朋子

1999年、神奈川県出身。2020年11月よりinquireに所属し、編集アシスタント業務を担当。株式会社INFINITY AGENTSにて、SNSマーケティングを行う。関心はビジネス、キャリアなど。

編集

向 晴香

inquire所属の編集者・ライター。関心領域はメディアビジネスとジャーナリズム。ソフトウェアの翻訳アルバイトを経て、テクノロジーやソーシャルビジネスに関するメディアに携わる。教育系ベンチャーでオウンドメディア施策を担当した後、独立。趣味はTBSラジオとハロプロ

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