連載ベンチャー人事報

最注目モビリティスタートアップに元Uber佐々木氏がジョイン。ほかスマニュー→hey、LINE→エクサウィザーズなど──20年10〜11月の注目転職情報

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ベンチャー・スタートアップの成長に影響する変数はさまざまあれど、最も重要なものは果たして何か。

それを「人」に見るのがFastGrowだ。そこで「ベンチャー界隈の注目すべき転職情報」を月刊でお届けすることにした。企業のスケールを推進するのは起業家や事業家だけではない。上場を何度も経験する「縁の下の力持ち」のような人材もいる。そうした多様なベンチャーパーソンの転職事情を随時、紹介する。

第1回目に取り上げるのは佐々木裕馬、藤原弘之、野崎翔吾、渡邊大介、佐々木励、山崎佑介の計6氏。ジョインの情報だけでなく、注目ポイントや各人のSNSもご案内する。

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Uberからキックボードへ転向?元Uber Japan営業本部長が大注目スタートアップ副社長に

昨今大注目、ベンチャーパーソンだけでなく学生からの知名度・注目度も急上昇の株式会社Luup。大手企業がMaaS(Mobility as a Service)の推進・拡大に躍起になる中で、いわゆる「移動のラストワンマイル」という難しい課題を解決しようとしている。

電動キックボードの社会実装に向けた政府認定下の実証実験の他、Luupは『小型電動アシスト自転車のシェアリングサービス』を都内で開始している。佐々木氏はLuupにおいて、ビジネスサイドの全責任を追っている。前職のUberといえば相乗りライドシェアを世界に広めた破壊的イノベーター。日本ではタクシー業界の反発などもあり、本格的な広がりは見られなかったものの、世界中で人々の移動体験を変えてきた蓄積を持つ。

佐々木氏がLuupのスケールへ「キーマン」になるという期待は、多方面で高まっている。これからの一挙手一投足に注目したい。

転職の概要

株式会社Luup(未上場)
電動キックボードを中心に新たな交通インフラを作るべく邁進中、2020年に知名度急上昇の再注目スタートアップ
佐々木裕馬(ささき・ゆうま):副社長・執行役員・CBO(Chief Business Officer)
東大→ENEOS→PEG(西アフリカ)→Uber Japan→Luup
東京大学フランス文学部卒業。新卒でENEOSに入社し、東南アジアの石油開発事業に従事。退職後フランスでのMBA取得を経て、西アフリカのスタートアップPEGに無給インターンで入社。3ヶ月で経営陣に抜擢され、ガーナで250人の営業部隊を統括。2018年に帰国後、UberJapanで営業本部長として事業牽引。タクシー会社との業務提携を進める。2020年にLuupにジョイン。

※参考URL
https://luup.sc/

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元キャピタリストの事業家がM&A市場活性化に乗り出す

ベンチャー界隈のニュースといえば「資金調達」「上場」「M&A」の3つのいずれかが、特に注目を集めるもの。しかしM&Aは必ずしも大々的に報じられるわけではない。ベンチャー企業にとって非常に大きな出来事であり、誰もが気になるものであるにも関わらず。それは「イグジットならやっぱりIPOを目指すべき」という一部の起業家の考え方が、日本では優勢になっているからではないか。

IPOもM&Aも、等しくチャンスがあるべきであり、ベンチャー業界においてその考え方が偏るべきではないはずです。そんな中でM&Aをひたすら活性化させるべく取り組む企業がM&Aクラウド

「イノベーター集団」を謳う通り、さまざまなビジネスバックグラウンドを持つメンバーが揃う。そこに新たに加わったのが、アクセンチュア・VC・スタートアップなどでの多様な経験を持つ藤原弘之氏。

当の本人も入社エントリとしてnoteに「CVCキャピタリスト時代から、スタートアップのExit手段としてM&Aが日本でももっと広がれば良いのにと常々感じていました」と記す。

その経歴はベンチャー・スタートアップにて活躍を目指す若者にとって非常に魅力的なもの。大手SIer「TIS」に新卒入社し、5年目でアクセンチュアに転じる。ITコンサルタントとして経験を積んだ後、あるスタートアップにジョインして経営企画などを担い、NHNグループへの売却まで導く。今度はNHNグループにて、M&A担当とベンチャーキャピタリストを歴任。そして「ケップル」へと、またもスタートアップに飛び込み新規事業をいくつも手掛け、2020年10月からM&Aクラウドにジョインを決めた。

まさに「ザ・ベンチャーパーソン」とも言うべき経歴を引っ提げ、日本のM&Aをどのように活性化していくのか、注目です。FastGrowでも資金調達や上場に関わる記事は多く出してきましたが、M&Aとなるとそれほど多くはありません。これからの同社の躍進とともに、さらにベンチャー界隈を盛り上げられることを楽しみにしています。

転職の概要

株式会社M&Aクラウド(未上場)
事業を売りたい人(企業)と買いたい人(企業)をつなぐサービスを運営。「M&Aを抜本的に変えていくイノベーター集団」を謳い、注目度急上昇
藤原弘之(ふじわら・ひろゆき)
TIS→アクセンチュア→某スタートアップ→NHN JAPAN→NHN CAPITAL→ケップル→M&Aクラウド
大手SIer「TIS」に新卒入社し、5年目でアクセンチュアに転じる。ITコンサルタントとして経験を積んだ後、あるスタートアップにジョインして経営企画などを担い、NHNグループへの売却まで導く。今度はNHNグループにて、M&A担当とベンチャーキャピタリストを歴任。その後「ケップル」で新規事業をいくつも手掛け、2020年10月からM&Aクラウドにジョイン。
藤原氏のTwitterを見てみる 藤原氏のnoteを見てみる
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コインチェックのマネジャーから、日本初の電力取引プラットフォーム企業の執行役員へ

爆発的な盛り上がりを見せ、スタートアップも多く生まれたのが「暗号資産(仮想通貨)ビジネス」。しかし日本では刑事事件がメディアを賑わせるなどし、懐疑的な目を向ける人も多く、多くのビジネス・企業が勢いを無くしていった。そんな中で気を吐いていたコインチェックの企画やシステムを牽引してきた野崎翔吾氏が、民間電力取引プラットフォームを開発・運営するデジタルグリッドにジョインし、執行役員に就任した。

メガバンク出身から暗号資産ビジネスプラットフォームという転身ははまさに現代の金融パーソンという印象を誰もが受けるだろう。そこから新たな挑戦の場として選んだのは電力市場。レガシーが残る業界の変革を図るという点では先の転身と共通項があるかもしれないが、とはいえどれほどの親和性があり、野崎氏が活躍していけるのかという点は未知数と言えたのではないだろうか。

しかしジョインから約半年が経っての執行役員就任。良い意味で期待を裏切った形だ。ブロックチェーンなどの最先端技術を駆使した暗号資産プラットフォーム開発の知見が、これからより一層、電力取引プラットフォームに活かされ、発展していくという大きな期待を抱かせる。

同社の事業拡大に要注目だ。

転職の概要

デジタルグリッド株式会社(未上場)
国内初の民間電力取引プラットフォームを運営する注目ベンチャー。2020年、WiLや鹿島建設などから計10.5億円を調達し事業拡大中
野崎翔吾(のざき・しょうご):執行役員
東大院→三井住友銀行→コインチェック→デジタルグリッド
2011年東京大学大学院薬学系研究科修了後、三井住友銀行に入社し法人営業、デリバティブ商品のリスク管理、トレーディング業務などに従事。2018年よりコインチェックに転身し、仮想通貨取引プラットフォームの運営、企画、システム開発業務に携わる。2020年2月デジタルグリッドに入社し、プラットフォーム事業本部企画運営部部長を務める。

※参考URL
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000045726.html
https://www.wantedly.com/users/89863044

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Zeals執行役員に「CA×リクルートJV」元取締役

多くのスタートアップ・ベンチャー企業においてその活躍が目立つサイバーエージェント(以下、CA)出身者たち。このたび、注目スタートアップ「Zeals」にジョインを決めた渡邊大介も、同様の大きな期待を抱かせる存在だ。

同氏は2006年、CAに入社し、広告、新規事業、採用育成、合弁会社立ち上げなど、同社ならではの領域において豊富な経験を積んできた。中でも近年はHR TechのSaaS『Geppo』を開発・運営するヒューマンキャピタルテクノロジーを、CAとリクルートの合弁会社として立ち上げ、取締役としてその成長をけん引してきた。

そして次の挑戦後に選んだのがZealsだ。既にベンチャー界隈で豊富な経験を積んでいる同氏の目から見ても「ずば抜けた技術力」と「確かなビジネスモデル」があり、日本を代表する企業になる可能性が十分だという。

今や日本で「広告」を扱う企業としてはナンバーワンの呼び声もあるCAにおける経験を活かし、Zealsにおいて広告・マーケのDXをいかに進めていくのか、各方面から期待が高まる。

転職の概要

株式会社Zeals(未上場)
チャットボットを活用し接客をDX、「次なる産業革命」を目指す学生起業スタートアップ。2019年にはアジア展開も始めるなど事業成長を急加速中
渡邊大介(わたなべ・だいすけ):執行役員
サイバーエージェント→ヒューマンキャピタルテクノロジー→Zeals
2006年サイバーエージェントに新卒入社。広告やSNSマーケ、サービス開発、採用育成など他領域で活躍。2017年にHR Teh領域でSaaSを起案し、リクルートとJVを立ち上げ取締役に就任し、『Geppo』をリリース。2020年、Zealsに執行役員としてジョイン

※参考URL
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000094.000019209.html

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“AIカタリスト”がLINEからエクサウィザーズに移籍

AIと脳科学において日本有数の知見を持つ佐々木励氏が、華麗な経歴を引っ提げてAIイノベーションベンチャー企業「エクサウィザーズ」にジョイン。すでに同社が構築しているAIプラットフォームを基盤に、BrainTech事業を立ち上げるという。

脳科学の専門的知見を持ちながら、戦略コンサルにおけるビジネスエキスパートとしての経験も併せ持つ同氏。メガベンチャー「LINE」のAI事業『LINE BRAIN』を牽引した。グループ会社Gateboxのボードメンバーにも就任し、経営支援も推進してきた。

LINEという巨大なtoCプラットフォームから、AIの専門性により特化したプラットフォームを持つエクサウィザーズの移籍で、同氏の仕事が社会に与えるインパクトはさらに大きくなるはず。「BrainTech事業」を起こすと言われても、われわれもその詳細を創造することすら難しいが、多くの人がなんだかワクワクするのは確かだ。

転職の概要

株式会社エクサウィザーズ(未上場)
AIを他領域にて利活用し産業革新と社会課題解決を図るベンチャー企業。HR TechやCareTech、RobotTech、MedTechなど産業×テクノロジーを次々と実現するプラットフォームを構築する
佐々木励(ささき・れい)
東北大→IBM→ボストンコンサルティンググループ→LINE→NowDo・エクサウィザーズ
東北大からIBMにエンジニアとして入社、第2・第3世代のAI開発を推進。その後ボストンコンサルティンググループに移りAI/IoTビジネス戦略を扱う経営コンサルタントに転身する。2017年からはLINEにてAI事業『LINE BRAIN』の立ち上げと推進を担い、2020年からNowDoに関わりつつ、エクサウィザーズにてBrainTech事業立ち上げを推進する。
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スマニューのマーケ牽引・山崎氏がheyへ

スマートニュースの高成長をマーケターとして牽引した山崎佑介氏が、2020年7月の退社後に自らのマーケティングカンパニーも立ち上げつつ、11月からheyのマーケティングディレクターにも就任することが発表された。ベンチャー業界、特にマーケター界隈では驚きを持って受け止められたこのジョイン。FastGrowとしても「STORESが何か変わるのか?」という興味が尽きない。

ECといえばBASEの大躍進がひたすらに目立つ2020年。もちろんSTORESも伸びてはいるのだが、一部では差がついたようにも見える。同氏がスマニューの経験を活かしてどのように事業をさらに加速させていくのか、注目だ。

転職の概要

ヘイ株式会社(未上場)
EC解説サービス『STORES』を中心にデジタルストアプラットフォームを展開。フリークアウト創業佐藤裕介氏が代表を務める
山崎佑介(やまざき・ゆうすけ):マーケティングディレクター
京大→サイバーエージェント→スマートニュース→I am your fan設立→hey
2013年に京大経済学部を卒業後、新卒でサイバーエージェントに入社し、データアナリストとして修行。2016年にスマートニュースに転じると、マーケティングの統括を担い、特にテレビCMの製作で才能を発揮。事業拡大を力強く推進した。2020年に退社し、マーケティング支援を行うI am your fanを設立。支援を請け負っていたheyに魅力を感じ、11月から同社マーケティングディレクターに就任。
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こちらの記事は2020年11月09日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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