Clubhouseの次は『Dispo』──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。リリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップパーソンのために、週次でウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──
土日にまとめて読みたいニュースを、毎週金曜日に更新中。
米人気Youtuberが生んだ、話題の次世代写真SNS『Dispo』とは?
2021年が幕を開けて以降、Twitterのタイムラインは『Clubhouse』の文字で溢れ、スタートアップ内外を問わず、話題の中心となっている。しかし、今週Clubhouseを超えるのではないか?と呼ばれるほどの期待を集める次世代SNSアプリがテック業界を中心に話題となった。それがInstagramの再発明とも呼ばれるアプリ、『Dispo』だ。
dispo何かよく分からんけど、めちゃくちゃすごいな!これはもうclubhouseとか話にならんくらい流行ってしまいそうな気配を感じる、、、切実にそうあって欲しい!!そして、もう一つだけ願うことは早くtest flightの上限解除されて欲しい!!
— あやたん (@ayatan48) February 15, 2021
『Dispo』を理解するにはまず人気Youtuberで創業者のデビッド・ドブリック氏を理解しなければならない。もともと『Vine』で人気を集めていたクリエイターであり、今ではメインチャンネルだけでも登録者数1880万人を抱えるアメリカの超人気Youtuberだ。
では、『Dispo』は一体どのようにして生まれたのだろうか?その誕生はデビッド氏がLAで友達のパーティーに参加していたときのこと。ある日友達のパーティに参加していたデビット氏とパーティの参加者達は、Instagram好きの女友達から使い捨てカメラを手渡された。そして、「とりあえず写真をたくさん撮って。明日の朝に集めるからね。」と言われたという。言われた通りデイビッド氏はパーティーを楽しみながら写真をたくさん撮った。翌朝、女性達が参加者の使い捨てカメラを回収して参加者に写真を送信するという流れだったという。
デイビッド氏はこの経験を通じてあることを発見した。それは使い捨てカメラでは高度な設定や写真を瞬時に確認することができないため撮影時間が短縮され、皆が「今を楽しむこと」に夢中になれたということだ。さらには使い捨てカメラの現像には時間がかかるため、「どのように現像されているかを待つ楽しみが生まれる」ということにも気が付いた。これが『Dispo』の誕生秘話であり、この発見は『Dispo』の大きな特徴にも生かされている。
【次世代のInstagram?】
— いと|図解でWEBマーケティング (@itowebrigaku) February 14, 2021
2/14から日本で流行っている『Dispo』の図解をしました。
YouTuberの@DavidDobrik 氏の考案アプリです。
アップしても翌日の9時にならないと見れないワクワクさせる斬新なコンセプト!
招待して頂いた@EntreGulss さん、ありがとうございました#Dispo pic.twitter.com/MXAxHWqO7W
『Dispo』は「使い捨てカメラ」x「SNS」という側面 を持っている。『Dispo』で撮った写真は使い捨てカメラのように少しエモい風味を帯びており、取った写真を「Roll」と呼ばれる共同アルバムに保存することで、友人と使い捨てカメラのフィルムを埋めていくような体験が出来る。最大の特徴は、撮った写真が翌日の朝9時にならないと見られない点だろう。これにより、「今を楽しむこと」と「仕上がりを待つ楽しみ」が生まれるのが『Dispo』のミソだ。
現在はClubhouseと同様に招待制のアプリとなっており、また、β版のテストフライトの利用可能人数である上限の1万人を超えてしまったことから新規のユーザーは利用できない状態となっている。一方で、デイビッド氏は今後日本での本格的な展開も視野に入れていると話しており、今後の動向に期待が高まる。
『FUJIMI』のトリコ、ポーラ・オルビスホールディングスにグループ入りへ
化粧品大手のポーラ・オルビスホールディングスは2月12日にパーソナライズスキンケアのD2Cブランド『FUJIMI』を展開するトリコの買収を明らかにした。買収金額は38億円。株式譲渡実行日は2021年3~4月を予定しており、今回の株式取得によってトリコはポーラの100%子会社になる見込みだ。
今回FUJIMIの成長、ひいてはトリコの成長を加速していくためにグループ入りの道を選択しました。今後も事業目標は変わらず「私らしい美しさで、私をもっと好きになる」のミッションのもと、FUJIMIを5年以内に500億ブランドにするというものです。https://t.co/xvUPHQw9lP
— ふじかな FUJIMI (@fjkn_8723) February 12, 2021
代表の花房氏はもともと『ヘアラボ』など複数のメディアを運営するアラン・プロダクツ(旧名:ゴロー)で学生時代にインターンをしていた人物。同社がユナイテッドに買収されたことをきっかけに自身で会社を興してみたいと感じたという。
当時既に著名ネット企業の内定を獲得していたものの、辞退して起業の道に進むことを決意。しかし、一社目の起業はなかなか結果が出ず、立ち上げから1年ほどが経ったタイミングで会社を清算。花房氏は当時を振り返ったnoteで、ただただ自身の実力不足が悔しかったと語っている。
しかし、到底諦めきれなかった花房氏は貯金を取り崩し、2社目となるトリコを立ち上げることに。モノやサービスの選択肢があふれかえる世の中になり、自分にとってベストな選択肢を見つけるのが難しくなっている現代だからこそ、自分に最適な商品が届く“パーソナライズ”は大きな可能性があるのではないかと思いパーソナライズサプリメント事業を手掛けるに至った。
今回の大手化粧品会社によるD2CブランドのM&Aをきっかけに、国内でもD2Cブランド買収の流れが立ち上がるのか。今後の流れに注目したい。
メルカリ、ついに時価総額1兆円突破
2月16日、メルカリがついに時価総額1兆円を突破した。設立から8年での時価総額1兆円突破に称賛の声が集まった。
ついに日本からも創業10年以内で時価総額1兆円を超えるスタートアップが誕生したとか胸熱過ぎるだろ。。。。
— AraiTakao (@tko99999) February 16, 2021
全てのメルカリ関係者の皆様おめでとうございます!!!!!!!!!!#メルカリ pic.twitter.com/r3lr0ZO9KD
ベンチャー企業が創業から時価総額1兆円の大台に達するまでにかかった年数を振り返ってみると、ソフトバンクが12年、エムスリーが15年、ZOZOが19年となっている。これらと比較することでメルカリが創業10年以内で1兆円に達したスピード感をより実感できるだろう。
メルカリが設立8年で時価総額1兆円突破!ベンチャー企業が設立から時価総額1兆円までにかかった年数一覧↓
— グロースボウズ (@growthbozu) February 16, 2021
リクルート→51年2ヶ月
GMOPG→25年8ヶ月
モノタロウ→19年7ヶ月
ZOZO→19年3ヶ月
エムスリー→15年8ヶ月
ソフトバンク→12年3ヶ月
光通信→11年7ヶ月
メルカリ→8年0ヶ月
ヤフー→7年9ヶ月
またメルカリが時価総額1兆円を突破した裏では、メルカリに次いでマザーズ2位の時価総額を誇るfreeeが時価総額6000億円を突破したことも話題となった。freeeが2019年12月17日に上場した初日の時価総額が1,259億であったため、IPOから約5倍まで拡大していることがわかる。
アドウェイズ、岡村氏に変わり、山田氏が新社長へ
昨年末に東証一部に市場変更したことでも話題となったアドウェイズが社長交代を発表。創業者であり、これまで代表を務めてきた岡村氏に代わり、山田氏が7月付で新代表に就任する予定だ。岡村氏は会長としてこれまで通り株主とのコミュニケーションや全社の管理に携わっていくという。
2021/7/1よりアドウェイズの代表取締役社長に就任させていただく予定の発表が先程なされました。
— やましょー / YAMADA Sho (@BULB7) February 16, 2021
とはいえなんで変わったの?これからどうなるの?っていうところがみなさん気になるポイントだと思いますのでこちらをご覧いただければと思います!https://t.co/OljJ3I3SXa
山田氏は2007年に新卒でアドウェイズに入社。2013年からはUNICORNの代表取締役社長に就任し、全自動マーケティングプラットフォーム『UNICORN』を主力プロダクトへと成長させた人物だ。
今回の異動の理由について岡村氏は、同社の経営理念である「人儲け」、そしてスローガンである「なにこれ すげー こんなのはじめて」をこれからも形にし続けるためには自身よりも山田氏のほうが適任だと感じたためだと語った。アドウェイズをこれから更に成長させていくためには今回の人事が最も適切であるという決断だ。
北の達人が北海道のラジオ局「FMノースウェーブ」を子会社化
オリジナルブランドの健康美容商品などを販売するEC事業を展開している北の達人コーポレーションが北海道のラジオ局「FMノースウェーブ」を子会社化すると発表した。FMノースウエーブが有している音声コンテンツの制作ノウハウと北の達人が有しているマーケティングノウハウを通じて、デジタル音声広告の攻略に取り組んでいくという。
D2Cブランドがラジオ局を買収するという今回のニュースに驚きを覚えた方も少なくないはず。その狙いとはどこにあるのだろうか。一つは顧客と繋がるためのチャネルの拡大だろう。自社商品をダイレクトに消費者に届けるD2Cビジネスでは自社発信での集客が求められる。地方ラジオ局とはいえ『radiko』などを通じて日本全国にコンテンツを届けられる現代においては大きなポテンシャルを持ったチャネルであることが期待できるだろう。
D2Cブランドのメディア化が加速している中、国内でも今後どのような動きが見られるのか、注目が集まる。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2021年02月19日に公開しており、
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