「うざい」を乗り越えてこそプロ──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。リリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップパーソンのために、週次でウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──
土日にまとめて読みたいニュースを、毎週金曜日に更新中。
今回は、この4つのニュースをピックアップした。
・時計の次はリング
・広告のプロも、「広告はうざい」と思う
・NOT A HOTEL都市×フランチャイズ
・Fringe81、Sansanとタッグ。その狙いは?
時計の次はリング
指輪はもはやファッションではない。EVERING(エブリング)は日本初のVisaのタッチ決済対応のスマートリング『EVERING』を5月17日より、3000個限定での先行予約を開始した。
Visaのタッチ決済対応店舗であれば、このリングをそのままかざすだけ。今までのキャッシュレス決済のように、デバイスを取り出したり、アプリを立ち上げたり、ロックを解除したりといった動作は必要なく、スピーディかつスムーズな決済体験が可能だという。
また、今週もう一つの“リング”が話題を集めた。Ouraの提供する『Qura Ring』である。Qura Ringは人間の心拍数や活動量、体温の変化をモニタリングするセンサーを搭載し、睡眠スコアやコンディションスコアをスマホアプリで確認することができるという。
このリングを開発するOuraという企業、実はフィンランドのスタートアップなのだが、なんと日本の独立系VCであり、SaaSビジネスに特化して投資を行うOne Capitalが出資に参加したという。代表の浅田氏が留学時代、OuraのCOOを務める Michael A. Chappと知り合い、話しているうちに熱狂的なファンになったことがきっかけだと打ち明けている。
浅田氏によると、「指」は全身の中で最も皮膚が薄い部位であるため、リングを使えば、スマートウォッチといった他のデバイスよりも正確にデータを取得できるという。そう聞くと、この分野で世界に先駆けて開発を進めるOuraには確かに期待が高まる。
筆者もApple Watchを使用しているが、睡眠時には装着感がいささか気になるところでもある。リング型ならこうした抵抗を感じることもほとんどないだろう。コロナ禍によりさらに加速した世界的な健康志向の高まりの中で、ファッション性だけではない指輪の魅力が、新たに膨らんでいくのかもしれない。
広告のプロも、「広告はうざい」と思う
広告・マーケティングに関する必読の記事が公開された。GO代表取締役三浦氏がうざい広告と、愛される広告の違いを語り話題を集めたものだ。事業家を目指すなら知っておいて損はない内容だ。
なぜ、広告が嫌われるのかという話をしました。感情的になってしまい、かなり下品な口調になっていますが、その分わかりやすいと思います。広告・マーケティングに関係する方は読んだらいいと思います。@shin_R25
— 三浦崇宏 GO (@TAKAHIRO3IURA) May 17, 2021
https://t.co/jQFQL40eE5
特筆すべき点をまとめてみた。三浦氏はそもそも前提として「広告とは嫌われて当たり前のもの」であり、謙虚な姿勢が必要だと述べた。
「広告はうざいものなんだから、美しく、あるいは面白くするのは最低限の義務だ」
愛されている広告は、この認識をしっかり持てているからこそ作ることができるという。
また、最近特に広告が嫌われるようになった理由を「ターゲティング」としている点も興味深い。つまり、これまでは「お邪魔してすいません」という謙虚さがあったが、ターゲティング技術の発展により、「どうせこういう商品に興味があるんだろ」「イスについて検索したんだから机もほしいんだろ」と言った上から目線な広告になっていると指摘する。
日々数字だけを追いかけて、本来持ち合わせるべきクリエイティブさを失っている広告は多い。この記事は「どうすれば愛される広告になれるのか」の具体的な指針も提示しているため、押し付けがましくない良い広告とはどういったものなのか。考える良い機会となるだろう。
NOT A HOTEL都市×フランチャイズ
「ホテルとしても運用可能な住宅」という新しいコンセプトの住まいを提供する、ホテルD2CブランドNOT A HOTELが初の都市型コンドミニアムを福岡で展開すると発表した。これまで、郊外の自然の中でサービスを展開してきた同社。今回初めて都市部への進出を果たすことになる(NOT A HOTELをご存知ない方は、サービス概要が上手くまとめられているこちらの記事などをご参照いただくといいだろう)。
NOT A HOTELに注目すべき理由は、その提供する住まいの斬新さのみならず、ビジネス展開の仕組みにもある。今回のようにフランチャイズモデルとして、仕組みもブランドも全てまるごと提供しているのだ。
ソフトウェアの切売りではなく、フランチャイズとして、仕組みもブランドもまるごと提供していきます。https://t.co/KmFQGNCxHJ
— 濱渦伸次 | NOT A HOTEL (@shinji_hamauzu) May 19, 2021
また面白いことに、ホテルの「シェア買い」も可能だという。例えば、1年のうち1カ月だけ購入、またその1カ月の半分をだけ利用し、残りはホテルとして運用できるというわけだ。そんな細い要望もスマホひとつで簡単に操作ができる。
今日何を食べるか、何を着るかと同じく「今日どこに住むか」を自由に選択できる世界を実現したい。代表取締役の濱渦伸次氏が自身のTwitterで語ったこの想い、思わずワクワクしてしまう。
Fringe81、Sansanとタッグ。その狙いは?
Sansanが、新たにHR Tech領域のSaaSを取り込む。「コラボレーション改善クラウド」を謳い、大企業への受注も増えている『Unipos』だ。運営するFringe81が、Sansanとの資本業務提携に合わせて、「Sansanのグループ入りも視野に入れている」ことまで発表したのだ。
Fringe81といえばdocomo Ad Networkといったアドテクのイメージを持つ読者も多いだろう。だが今回の動きは「SaaSビジネスへ軸足を移動する」とも捉えることができる。38億円の調達も、『Unipos』のグロースに活用していくという。
新社名Uniposとしてのマザーズ上場維持とSansan子会社化は、口頭ベースで了承を得ている。時期は未定だが、Sansanへの利益貢献が見通せる頃という想定だ。
ガッキーと星野源の結婚報道にも引けを取らないほどの衝撃展開に驚くとともに、今後この両者のタッグがもたらす効果にも注目していきたい。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?統計史上1,2を争う早さでの梅雨入りを迎えた今週、少しでも皆様の心が晴れるよう今後も更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2021年05月21日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。