エルサルバドルが日本を揺らす、仮想通貨の話──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。リリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップパーソンのために、週次でウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──
土日にまとめて読みたいニュースを、毎週金曜日に更新中。
今週ピックアップするのは、この3つだ。
・法定通貨になった仮想通貨が与えるインパクト
・SmartHRの調達額が確定
・メルペイ代表がatama plusのアドバイザーに
世界初、仮想通貨が法定通貨になるのか?
今週は、やはりエルサルバドルが世界初、仮想通貨を法定通貨として承認する法案を提出・承認したことが話題を呼んだ。
I’ve just sent the #BitcoinLaw to Congress pic.twitter.com/DljnxsXlyt
— Nayib Bukele (@nayibbukele) June 9, 2021
そもそも、法定通貨とは、国家が法律で保証しているお金であり、債務者が法定通貨で支払う場合には債権者は、その支払いを拒否できなくなる。日本では、日本銀行の発行する紙幣と造幣局が製造・日本政府が発行する硬貨のことを示す。
当たり前だが、税金を日本円で支払っている人が多いのもこのためだ。一方で、日本では電子マネーや仮想通貨は、法定通貨として認められていない。厳密にいうと、日本をはじめとした先進国の多くは、仮想通貨は「通貨」ではないため「暗号資産」と呼んでいる。
その中で、エルサルバドルは、この法定通貨の一種として仮想通貨を認めた。つまり、あらゆるサービスで、仮想通貨が使えることになり、税金の支払いも仮想通貨で可能になる。ただ、仮想通貨は国家単位で管理することが難しく、管理のための電力消費が激しいことで知られる。エルサルバドルでは、地熱発電を利用して賄うようだ。
一見すると、異国の仮想通貨の話が日本とどう関係あるのかと思われるかもしれない。しかし、今回のニュースは、外国の法定通貨の一つに仮想通貨が加わることを意味する。すなわち、日本で仮想通貨を使って税金を支払える可能性が出てきたのだ。仮想通貨をめぐる法律問題だけでなく、実生活にも大きな影響を与えることは間違いない。
鵜呑みできない部分もあるが、こちらにわかりやすくまとめられている。
http://manabufan.com/2021/06/11/elsalvador-japan/
156億円
SmartHRの調達額が確定
5月末のニュースでSmartHRのシリーズD資金調達を取り上げたが、ついに調達額が156億円で確定した。最初に報道された時よりも約30億円プラスとなった。
SmartHR、シリーズDのオンライン記者発表会をやりました。そのスライドを少しだけ公開します!
— Shoji Miyata (@miyata_shoji) June 8, 2021
・約156億円を調達
・ARR 45億円(YonY +106%)
・Churn Rate 0.4%未満
・エンプラ比率が上昇
・幅広い業種で導入
ARRは初公開、Churn Rateは会見内で口頭で開示した数値です。https://t.co/7pgp1w7kHP pic.twitter.com/AKE0O5uAqe
代表を務める宮田氏のツイートをみるだけで、SmartHRのすごさが伝わった人も多いだろう。
新規投資家として、Sequoia Capital Global Equities、Arena Holdings、Greyhound Capitalさらには Whale Rock Capital Managementなど名だたる海外投資家が加わっている。また、社名非公開の1社もあるが「1931年にアメリカ・ロサンゼルスで設立された世界最大級の機関投資家。運用資産は約2兆ドル」と書かれており、あえて言及はしないが、大方の見当はつきそうだ。
さて、今回のSmartHR関連で、シリーズDの裏側を特集した記事も多く発信された。ユニコーンとしての前例を作ったSmartHRの実態を、土日の間にまとめ読みしてみてはいかがだろうか?
【あわせて読みたい】
メルペイ代表がatama plusのアドバイザーに
教育系スタートアップのatama plusに株式会社メルペイ代表取締役CEO 青柳直樹氏がアドバイザーに就任した。atama plusはカルチャーに投資することで話題のEdTechスタートアップ。青柳氏は、ドイツ証券投資銀行部門、グリー取締役CFO、米国法人CEO、事業本部長を経験後、メルペイ代表取締役になった人物だ。経験からもわかるように、企業の戦略やマネジメントに知見が深い。
青柳氏は就任にあたって、こうコメントしている。
情熱とユーモアに溢れたatama plusのメンバーとお話する中で、ミッション実現とカルチャー醸成への強いこだわりを肌で感じました。atama+が世界中に広まることで、生徒の学習をどれだけ変えられるか、教育に携わる方々にどのように役立てるか、社会がどう変わっていくのか。無限大の可能性を感じ、ワクワクしています。自らも新しい領域でのチャレンジを楽しみながら、スタートアップ経営やサービス開発の経験を活かして、ミッション実現に貢献してまいります。
atama plusのアドバイザーに就任しました!とても楽しみです!https://t.co/eSubNBIoFd
— Naoki Aoyagi @メルペイ (@naoki) June 10, 2021
ファイナンスのバックグラウンドを持つ青柳氏のジョインで、atama plusはさらなる資金調達を目指すのか?少なくとも経営基盤が非常に強化されることは間違いないだろう。
こちらの記事は2021年06月11日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。