“家庭教師”に1000億円の価値。EdTechの大きすぎる可能性──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。
当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信しいていく。
題して、週刊スタートアップ通信──。
今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。
・ハイジもクララも、実はAI教育を受けていた?
・Notionがついに日本語対応!起業家から歓喜の声
・ソニー、学生起業家限定インターンシップを開催
・VCがPodcastで起業家たちの隠された秘密を赤裸々に?
について見ていく。
- TEXT BY HIKARU HAMADA
ハイジもクララも、実はAI教育を受けていた?
アニメ「アルプス少女ハイジ」を起用したCMでも馴染みの深い『家庭教師のトライ』。運営会社のトライグループは1990年設立、現在全国に1,100カ所の拠点を置く、国内有数の教育事業会社だ。この創業30年を超える非上場企業が、話題をさらった。
日本経済新聞によれば、英投資ファンド「キャピタルパートナーズ」が約1,000億円で買収するという話が浮上したのだ。「新型コロナウイルスの感染下でオンライン教育が浸透するなか、人工知能(AI)関連の投資を増やし競争力を高め、3~4年後の上場を目指す」という。
今回の買収報道の背景には、日本のEdTechの底知れぬ可能性の大きさがある。atama plusがシリーズBラウンドの51億円調達でシンガボールやアメリカのファンドから出資を受けたニュースは記憶に新しい。また、プログラミングスキルが学べるProgateはインドで大躍進。リクルートが経営する『スタディサプリ』で教育AI研究所所長を務める小宮山利恵子氏がルワンダ共和国政府のEdTechアドバイザーへ就任。日本のEdTechの盛り上がりは急速に高まっているのだ。
家庭教師のトライが評価されたであろう部分は「トライ式AI学習診断」がひとつ考えられる。トライ式AI学習診断は、単元別の理解度を10分で診断するもの。アプリ形式で、科目は英語、数学、理科など、主要なものはすべて揃っている。日経xTECH EXPO 2019にて「教育AI賞」を受賞するなど、実績もあるサービスだ。
今回の買収報道に際し、Twitterからは「家庭教師のトライってユニコーン企業なの!」といった声が多く聞こえた。
個別教室のトライが英ファンドが値付けをすると“ユニコーン”だった。僕の「日本の未上場株は日本市場によって過小評価されている説」を裏付けていたりしてね。https://t.co/zqlRXbxwT5
— アクシオン|経済メディア (@axion_zone) October 11, 2021
私たちが想定する「ユニコーン企業」の存在について、考えを改める必要があるのかもしれない。
Notionがついに日本語対応!起業家から歓喜の声
Notionがついに日本語対応した。2021年10月13日より、Notion日本語ベータ版が登場。もともと英語のみのサービス提供だったため、少しハードルが高かった。しかし、2020年8月からは韓国語が、そして満を辞して日本語でも使えるようになった。
Notion 日本語化がついに...
— Notion Japan (@NotionJP) October 12, 2021
みなさま、大変お待たせしました!
本日よりNotionは日本語でご利用できます
今回、Notionが取り組んだのは、Translationではなく、Localization。日本の文化も踏まえた、新しいNotionをぜひご堪能ください。 #NotionJapan https://t.co/gItI4ciNWh pic.twitter.com/5cgopNQ9uU
今回の日本語対応を受け、Twitterからは賞賛の声が聞こえた。
Notion 日本語版が β リリースされました!
— Yuji Tsuburaya (@___35d) October 12, 2021
今夜のイベントでも日本語化についての最新情報が発表される予定です!お時間ある方はぜひ。(ワイもパネルディスカッションで登場する予定です) https://t.co/eXfP5J9s8S
NotionはEvernoteに代わる、自由で使い勝手のいいサービスだ。スタートアップではスタンダードになりつつあるサービス。ぜひ、その他の機能拡充も期待したい。
ソニー、学生起業家限定インターンシップを開催
起業経験のある学生を求むー。
ソニーグループは、起業コンテストの受賞歴や起業経験のある学生を対象としたインターンを開催する。従来のインターンシップとは別枠で、約15人が参加予定という。
同インターンでは、1ヶ月超にわたってアイデア出しから事業構想の練り方など、ソニーが提供する起業支援プログラムを体験。新規事業や起業家育成を支援する社内チームと連携し、ソニーの新たな柱となりそうな事業の構想をつくる計画だ。
今回の報道を受け、Z世代の起業家などが歓喜に沸いた。
【速報】Sonyが起業家の学生のみを対象とするインターンを始める。
— のぶよし (@nobuyoshiasia) October 12, 2021
今後この動きは益々増えていくと思う。
企業が採用する際に重視する視点は、今後ますます学歴(答えのある問いを正確に見つける力)→起業(答えのないところから何かを創り出す力)へと、傾いていく。 https://t.co/mz9LLtl36K
VCがPodcastで起業家たちの隠された秘密を赤裸々に?
Podcastを活用するVCが増えている。XTech Venturesは『スタートアップオフレコ対談』の配信を開始。初回はメルカリ共同創業者の富島寛氏を呼び、共同創業に至るリアルな流れや、創業時のリアルな日常を赤裸々に聞く会だった。ニュースや企業からの発信では見聞きすることのできない貴重な番組として、多くの起業家から注目を浴びた。
メルカリ共同創業者(トミー、亮)とのpodcast、前半の創業期ディティール編だけでなく、後半のUS事業と退任後の生活編もアップされてます。https://t.co/Ac9ulKcma9
— 手嶋浩己 (@tessy11) October 13, 2021
その他にも、ALL STAR SAAS FUNDの前田ヒロ氏の『前田ヒロ Startup Podcast』や、Skyland Venturesの木下慶彦氏の『木下慶彦のStartup Podcast』など、多くの番組が存在する。また、AppledoreCOOの宮武徹郎氏と、もとVCの草野美木氏が配信する『Off Topic』も有名だ。アメリカのビジネスやスタートアップ業界の情報を気軽に聞ける番組として注目を集めている。
昨今、このようにVC自身がPodcastの番組を持ち、配信するようになった背景には、海外VCによるPodcast配信がある。中でも世界最大の独立系VCのPodcast「The Twenty Minute VC」の存在は大きく、10万人以上のリスナーを持つと言われている。Twitterでの情報配信の次は、Podcast本格始動の時代が来ているのだ。
VCのおすすめPodcast3選
スタートアップオフレコ対談 |
前田ヒロ Startup Podcast |
木下慶彦のStartup Podcast |
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2021年10月15日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。