パートナーと同じ会社で働くのは「アリ」?──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。
土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。
今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から5本のニュース・話題をピックアップ。
・コインチェックの再挑戦、目指すは米市場
・軽・小型車技術を、“飛行”に活かせ!スズキの新戦略
・出張撮影サービスのラブグラフ、ミクシィにグループジョイン
・パートナーと同じ会社ではたらく、とは
・起業家たち『ベンチャー・キャピタリスト』をどう見る?
について見ていく。
- TEXT BY HIKARU HAMADA
コインチェックの再挑戦、目指すは米市場
新規上場──スタートアップにとっての大きなマイルストーン。そのタイミングや選択する市場の最適解を、どのように考えるべきか、多くの経営者が今後頭を悩ませるようになるかもしれない。例えば、国内での上場よりも、海外へ出ることが当たり前の時代になることも予想できなくはない。
コインチェックの決断を、他人事としてとらえることはもはやできないだろう。
NASDAQでのSPAC上場に向けてやっていきます!https://t.co/vZcQa2kWPE
— 天羽健介KensukeAmo/コインチェック (@amokensuke) March 22, 2022
マネックスグループのコインチェックは、特別買収目的会社(SPAC)であるThunder Bridge Capital Partners Ⅳ, Inc.等との統合を通じて2022年中に米ナスダックに上場する計画を示した。この上場が実現すれば、日本の仮想通貨交換業者では初となる。また、人材獲得や提携先獲得を目指し、アメリカやヨーロッパで海外展開を目指す。
ここ最近、将来を期待された日本発スタートアップのグローバル展開が止まらない。
ヤプリCFOの角田耕一氏は、「すごいスタートアップがどんどん海外にいってしまうなあ」とコメント。
コインチェックさんNASDAQにSPAC上場かー。いや、でもそうだよなあ。下がったとは言え時価総額4兆円のCoinbaseも居るし。そもそも日本じゃIPOできるのか分からない。すごいスタートアップがどんどん海外に行ってしまうなあ(直近の数字は衝撃でした)https://t.co/2tPdrTJOqe pic.twitter.com/tP3gHbkM9q
— Koichi Tsunoda | CFO @Yappli (@KoichiTsunoda) March 22, 2022
その他にも、コインチェックのナスダック上場準備はTwitterを騒がせた。
CoincheckのSPAC上場
— y.ito@finatext (@110110110110) March 22, 2022
・val1500億
・アーンアウト600億(?!)
・上場後も72.5%保有維持(これでもNasdaq上場できるんすね)
・コインチェック他株主が9%保有(旧CCの新株予約権が行使できた感じでしょうか?!)
マネックスさん的には、タイミングとしては完璧だよなぁ。スゴイhttps://t.co/96kb7jJoN2 pic.twitter.com/IPauSt9wXG
これを実現させるマネックスの凄さ…
— 阪井 優|ペイトナー(旧yup)|BtoB決済プラットフォーム|ファクタリング&請求書SaaS (@redxyz_) March 22, 2022
コインチェック上場へ:日本経済新聞https://t.co/8JpQkVONmi
今後のコインチェックの動向、そして国内スタートアップのグローバル化に注目したい。
軽・小型車技術を、“飛行”に活かせ!スズキの新戦略
空飛ぶクルマの実現に、あのスズキも参入した。
SkyDriveとスズキは、「空飛ぶクルマ」の事業化を目指し、連携協定を締結した。スズキが得意とするコンパクトカーの製造技術を活かし、世界最小のコンパクトで電動の空飛ぶクルマを目指すという。
その他にも両社は、「製造・量産体制および計画」や「スズキの四輪・二輪・マリンに空飛ぶクルマを加えた新しいモビリティの具体化」、そして「インドを中心とした本件対象の海外市場開拓」を共に目指す。研究から量産体制へ、一歩前進したようだ。
しれっと、すごいことしてる。
— 堤達生 ベンチャーキャピタリスト/STRIVE代表パートナー (@tatsuken0205) March 22, 2022
にしてもスズキさん、四輪、二輪、マリンに加えて、空飛ぶクルマまで!凄すぎる! https://t.co/4RCTHMAVOk
今後SkyDriveは、2025年の大阪・関西万博開催時の大阪ベイエリアでのエアタクシーサービスの実現と各地域での事業展開を目指す。インドに強みを持つスズキのバックアップを得たことで、さらなる飛躍に期待したい。
出張撮影サービスのラブグラフ、ミクシィにグループジョイン
最近、メガベンチャーにM&Aされグループジョインするスタートアップが以前よりも増えている。今回のニュースはその一例だ。
出張撮影サービス『Lovegraph』を運営するラブグラフは、ミクシィへグループジョイン。子会社となった。これにより、ミクシィが展開する写真・動画共有アプリ『家族アルバム みてね』の事業拡大に貢献。「写真業界のNo.1プラットフォーム」を目指すという。
この度
— こまげ / ラブグラフCEO (@komage1007) March 22, 2022
株式会社ラブグラフは株式会社ミクシィのグループ会社となりました。
創業より7年、とても長い間応援していただいた沢山の方々本当にありがとうございます!
引き続き愛ある世界を作っていくためチームみてねと一緒に幸せをお届けしていきますhttps://t.co/jXmNL3qtSw
写真業界における旧来の主役であった撮影や現像などの事業は今、苦境に立たされている。スマートフォンで楽に撮影できるようになったことで、町からは写真館が消えた。 東京商工リサーチによれば、この写真業界の売上高は年々減少。「毎年約5%」ずつ低下しており、2017年度は2,004億8,900万円だったが、2018年度は1,907億500万円(前年度比4.8%減)、2019年度は1,820億5,300万円(同4.5%減)となっているようだ。
一方で、プロのカメラマンに写真撮影を依頼したいというニーズは一定以上あるという。ピクスタの運営する家族・子ども向け出張撮影プラットフォーム『fotowa』では、出張撮影が2020年で前年比1.2倍の16,040件と増加。中でも、新生児の期間を撮影する「ニューボーンフォト」が人気という。
写真の需要は消えない。その中で、どのようなサービスを提供するのか、新たなラブグラフに期待したい。
パートナーと同じ会社ではたらく、とは
夫婦やカップルといったパートナー同士が揃って同じ会社で働くことは、簡単ではない。そう感じる人はまだ、少なくないかもしれない。さらにいえば、パートナーと同じ職場で働くということ自体を、「ポジティブ」に思えない人だってそれなりにいるのではないか。
今回紹介するnoteは、筆者が抱えているそんな感想に、メスを入れる内容となっている。
この記事すごい素敵なのでぜひ読んでください。GOENが過ぎる!
— 瀧俊雄|マネーフォワード (@sutebuu) March 23, 2022
なお、たまに芝浦でご夫婦とすれ違うのですが、仲睦まじくて気づいて貰えないですwhttps://t.co/IzHPqWEyGi
マネーフォワードで働く福岡慎也・福岡吏菜夫妻は、2017年から共に働いている。 2016年から大阪支社で慎也氏が働き始め、2017年に吏菜氏を「誘った」。いわゆるリファラル採用で、マネーフォワードでは「GOEN採用」と呼んでいる。
はじめはざわついた、と赤裸々に語られるこのnote。2017年当時は夫婦でのGOEN採用の前例はなかったからだ。
しかし福岡夫婦は同じ職場で働くということを「ポジティブな選択」と明確に発信。仕事が夫婦間での共通点になったからだという。また、双方が良き理解者になるため、仕事でもフィードバックしあえる関係にもなる。相談にのりやすく、会社にも馴染みやすくなる。そして、パートナーの「かっこいい働く姿」も見ることができると言う。
社内結婚こそ以前から見られるものではあるが、結婚後にジョインするというのは、パートナーシップのかたちとしてまだ目新しいものと言える。だが、こういう関係性が増えていくことは、一つの理想として歓迎すべきことなのではないだろうか。
起業家たち『ベンチャー・キャピタリスト』をどう見る?
NewsPicks副編集長、後藤直義氏等著作の『ベンチャー・キャピタリスト──世界を動かす最強の「キングメーカー」たち』が人気を集めている。 同著作は、シリコンバレーで有数の投資実績を誇るSozoVenturesの協力を得て50人以上のVCへの独自取材を行い、集約したもの。グローバル化を目指す国内の起業家にとっては、喉から手が出るほど欲しい情報が詰まっている。そのためか、発売してすぐ注目を集めた。
話題の「ベンチャー・キャピタリスト」も献本頂き拝読しました!
— 寺田修輔|Shusuke Terada@スプリームシステム|ミダスキャピタル (@ShusukeTerada) March 19, 2022
具体事例豊富でめちゃくちゃ勉強になるし、自分は投資家としてまだ全然リサーチや深堀りがぬるいなと反省。ファンドの若手メンバーへの課題図書にします。 pic.twitter.com/HzyWk3dmHr
後藤さん@naoyoshi510 のご著書、『ベンチャー・キャピタリスト』めちゃくちゃ面白かったです。米国VCのみならず、世界各地のVCも取り上げられていて、とても勉強になりました!メディアに取り上げられることがなかったVC投資に関する情報や注目している業界などが赤裸々に語られているところも必読! pic.twitter.com/VhOZlRNZ4n
— Hideo.N@East Ventures (@HideoNw) March 18, 2022
ベンチャー・キャピタリスト(VC)に関する本は、特に日本語はほとんどない。翻訳本の『VCの教科書: VCとうまく付き合いたい起業家たちへ』や『シリコンバレーのVC=ベンチャーキャピタリストは何を見ているのか』は有名だが、それだけだ。そのほかの本は、VCの実務的な内容に限られている。
スタートアップの世界は、VCと切っても切り離せない関係にある。気になった方はぜひ読んでみて欲しい。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2022年03月25日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。