カーライル、日本のスタートアップに取締役派遣伴う成長投資──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。
土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。
今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。
・BtoBウェビナーのノウハウを、あの企業が大公開
・決済アプリ、ついに実質“銀行”になる日が
・カーライルが投資する日本のMedTechスタートアップとは
・SaaS+Fintechは第4世代のビジネスモデルとなるか?
について見ていく。
- TEXT BY HIKARU HAMADA
BtoBウェビナーのノウハウを、あの企業が大公開
コロナ禍になり増加したウェビナー。今までは現地に直接行かなければ参加できなかったセミナーも、自宅や職場で「簡単に」聴けるようになった。一方で運営側にとっては、「リアルよりもユーザーの反応がわからない」「リードになかなかつなげにくい」といった課題感も多々あるようだ。
そこで今回は、才流の公開した「ウェビナー開催の基礎知識/目的やテーマ選定のポイントをBtoB企業向けに解説」について紹介していく。
「そもそもBtoBにおいて、ウェビナーってどういう役割なの??」という方向けに基礎知識のコンテンツを作りました!
— 安住久美子/才流(サイル)インハウスエディター (@081123tadatama) August 17, 2022
BtoBマーケティングにおけるウェビナーの目的は、リード獲得とリード育成・案件化。目的を理解して形態やコンテンツを検討しましょう。 pic.twitter.com/7vgI12rRpo
ウェビナーで狙うのはもちろん、「リード獲得とリード育成・案件化」。ただ、いきなり受注につなげるにはハードルが高い。そこで才流が提案するのは「顧客の検討段階や目的に沿ったウェビナーの開催」だ。 記事では顧客を明確層、顕在層、準顕在層、潜在層の4つに分類し、ユーザーの本気度により適切なウェビナーを開催すべきとしている。
当然ながら、参加するユーザー全てが同じニーズ・課題を持っているわけではない。ユーザーに合わせて興味関心を引くコンテンツを提供することで、適切なタイミングで適切なアクションを想起させる必要性がある。そのためのノウハウが提供されている。
BtoBビジネスを担う人なら必見のこの資料、ぜひ一度読んでみてほしい。
決済アプリ、ついに実質“銀行”になる日が
とうとう、決済アプリ同士で銀行を介さずに送金できる日がやってくる。
日本経済新聞などは、全国銀行協会がFinTech企業を対象に、銀行間の送金システム「全国銀行データ通信システム」への加入を解禁すると報じた。日本銀行に口座を開設することが条件となる。これにより、スマホ決済アプリ『PayPay』や『LINE Pay』などで今までは同じアプリ同士でしかできなかった送金が、異なるアプリや銀行との間でも可能となる。
スマホ決済アプリの需要は年々増加している。矢野経済研究所の調査では、国内のスマホ決済(キャッシュレス決済)市場は、2025年には2021年の1.5倍にあたる153兆円までに拡大するという見立てとなっている。背景にはモバイルアプリ内での電子決済の浸透や、BNPLの浸透などの理由がある。
この影響について、これから一層議論が巻き起こるだろう。野村総合研究所(NRI)もコラムを公開しており、「全銀システムの決済業者への開放は、現在乱立状態にあるスマートフォン決済業者の一部が淘汰され、また経営基盤の強い業者に吸収されていく、といった業界再編の引き金となる可能性もある」と指摘する。
銀行振込は4万円振り込むのに660円かかったりするので使う気がおきない。
— 青ヶ島でカツ!岡部典孝(JPYC) (@noritaka_okabe) August 16, 2022
しかし、為替取引と称して他業種の参入を阻んで価格を維持してきた。
今回全銀ネットを資金移動業者に開放するというが、
日銀口座開設を条件とするらしい。
実質無理、とならないことを願う。
決済アプリ間での送金が可能になったことで、新たなビジネスが生まれそうだ。今後のフィンテック企業の盛り上がりに期待したい。
カーライルが投資する日本のMedTechスタートアップとは
投資ファンドの中でも有名とも言えるカーライル・グループが、成長投資を行う日本のスタートアップ企業がある。
国内でデジタル療法を提供するCureAppは、カーライルより出資を受け、取締役を1人受け入れたと発表した。カーライルによる投資額は総額70億円、累計資金調達額は約134億円となった。
医療用アプリ開発のCureApp社がカーライル・グループから約70億円を調達したと発表
— 大久保 亮@Rehab CEO (@ryokubosan) August 16, 2022
これまた、すごい。 https://t.co/4sUrqCrUKK
CureAppとは一体どのような会社なのだろうか。同社は「ソフトウェアで『治療』を再創造する」を掲げ、今までは治療が不十分だった病気を治すことのできる医学的エビデンスに基づいた医療機器プログラム『治療アプリ』を開発している。高血圧症やニコチン依存症などといった症状改善を補助するという。
今後CureAppは、カーライルとともに、今まで開発・提供してきたアプリの国内外販路、マーケティング強化に力を入れていくという。
SaaS+Fintechは第4世代のビジネスモデルとなるか?
LayerX代表の福島良典氏のnoteがまたも話題を呼んでいる。
SaaS+Fintechという巨大潮流について書きました。LayerXでも法人カードのリリースによりこの挑戦のスタートラインに立つことができました / SaaS+Fintechは第4世代のソフトウェアビジネスモデル|福島良典 | LayerX #日経COMEMO https://t.co/uGZpf25l0b
— 福島良典 | LayerXはSaaSとFintechとPrivacyTechの会社です (@fukkyy) August 12, 2022
今回のテーマは、今同社が賭けている「SaaS+Fintech」という新しい潮流についての話だ。福島氏によると、この第4世代と呼ばれるSaaS+Fintechは、日本初のようだ。
そもそも第4世代とはなんだろうか。これはソフトウェアビジネスモデルの歴史についての話のようだ。 今、わたしたちがよく聞くSaaSはその前の第3世代。その前の第2世代はクラウド型サブスク。そして第1世代は、オンプレミスの基幹システムという。
このSaaS+Fintechには、Shopifyや法人支出管理のBill.com+Divvy、法人カードのRampなどがある。彼らは米国市場で急成長しており、Rampに関しては2022年にARR(年間経常収益)100億ドルを達成したとのことだ。
へ〜 こんな進化なのね
— 国光宏尚 元gumi (Hiro Kunimitsu) (@hkunimitsu) August 15, 2022
ソフトウェアビジネスモデルの進化の歴史
第1世代 オンプレミスの基幹システム
第2世代(2000年代) クラウド型のサブスクSaaS
第3世代(2010年代) PLG型のSaaS
第4世代(2020年代) SaaS+Fintech
SaaS+Fintechは第4世代のソフトウェアビジネスモデル https://t.co/ckE36XjR7d
LayerXといえばクラウド型経理DX支援システム『バクラク』に加え、8月には法人カードに乗り出したばかり。今後の福島氏の頭の中にあるSaaS+Fintech企業が気になるところだ。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2022年08月19日に公開しており、
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