成長は「やるべきことに集中」すること。邪念を振り払うこと──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。
土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。
今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から3本のニュース・話題をピックアップ。
・カミナシが松尾研発AIスタートアップを買収
・自分が成長しているときは「やるべきことに集中」しているとき
・SmartHR取締役会を、コバケン氏が「FBが明確」と評価
について見ていく。
- TEXT BY HIKARU HAMADA
カミナシが松尾研発AIスタートアップを買収
今週はM&Aやサービスの買収発表が多く見られた週となった。
タレントマネジメントサービスを展開するHRBrainは、welldayから社員のエンゲージメント向上をサポートするサービスを展開する『wellday』を買収。NTTドコモは、マネックスグループの子会社であるマネックス証券と資本業務提携を締結。NTTドコモがマネックス証券の株式49%を取得し、連結子会社とした。
またカミナシは、東京大学松尾研究室発のAIスタートアップであるStatHackの全株式を取得し、完全子会社化したと発表。同社サービスである現場DXプラットフォーム『カミナシ』に、画像認識AIを活用した新機能の追加や、現場向けの新たな事業を展開することを想定しているとのことだ。
今回完全子会社化したStartHackは、AI技術を活用したソリューションを提供する東京大学松尾研究室発のAIスタートアップ。AIを活用した外観検査を中心とした属人的な製造工程の自動化に取り組んできた。まだ創業して2年余りだが、1年目にして黒字化を達成。
一方で、ソリューションをビジネスにしていく難しさ、最適なソフトウェアを受託する形でビジネスモデルを展開してきたため、「より早く多くの企業に価値を届け、より多くの現場で労働を変えられないことをもどかしく思って」いたとのことが背景にあるようだ。今後はカミナシとともに、カミナシの顧客基盤やビジネスサイドの知見を生かしつつ、顧客課題を解決するプロダクト化を目指すとのことだ。
今までメガベンチャーがスタートアップを買収する事例は多々存在したが、グロースするスタートアップが新たな技術をプロダクトに取り組むためにM&Aを行うのはかなり珍しい。今後も注目していきたい企業だ。
自分が成長しているときは「やるべきことに集中」しているとき
次はFindyの代表山田氏のnoteを紹介したい。
皆さんは、「どうしても周囲が気になってしまう、しかしなかなか自分の仕事は上手くいっていない」と感じるタイミングはないだろうか。スタートアップはマルチタスク、複数の仕事を同時に抱え込む現象がよく生じる可能性がある。
そのせいもあってか、成果を出したい部分にコミットできないなど、課題を抱える人も多いだろう。
そんな忙しすぎるビジネスパーソンにとって、このnoteは心に響くものとなっている。諸岡氏自体も、「自分よりできる人がめっちゃ気になる」や「やばい、”あの人”のように事業が立ち上がらないのではないか気になる」と横を気にしていた時期があったようだ。
こういった「邪念」を振り払い、自分のことに集中する。「やるべきことに集中するため、気になる何かと一時的にお別れするのはお勧めです」とのこと。ちなみにおすすめの手法は「坐禅」だそうだ。
X(Twitter)では、「それな感」「情報遮断系の営みはオススメです」などのコメントで溢れた。さまざまな情報に触れることは面白いが、成長したいのであれば、その期間は情報を遮断してもいいのかもしれない。
SmartHR取締役会を、コバケン氏が「FBが明確」と評価
取締役会の運営について、株主など外部からはどのように映っているのだろうか。
SmartHRの創業者 宮田昇始氏は、自身のブログにて「VCから見たSmartHRの取締役会(社内文章を公開します)」との記事を公開。シニフィアン共同代表の小林賢治(通称コバケン)氏から見たSmartHR取締役会の特徴7点を言語化していたので紹介したい。
7点はどのような内容なのだろうか。「発言に対するフィードバックが明確にある」「Side talkとメインの議論が区分されている」「議題についてタブーがない」「ちょっとした違和感をそのままにしない」「議長と事務局のペースコントロールが優れている」「議論したあとの「その後」のフォローがしっかりなされている」「取締役の人選が適切」だ。
この中から「発言に対するフィードバックが明確にある」を少し掘り下げていきたい。
SmartHRの取締役会では、重たい議題だとしても「Zoomのチャット機能をうまく使うことによって、発言者に対して賛成 / 反対 / 補足など、ありとあらゆる反応が伺うことができ」るとのこと。これにより、参加者が発言できる環境、意欲が醸成されるという。
そのほかにも、Side talkで盛り上がる時もあるが、あくまでもSide talkのまま。本質的な議論とは分けて行われ、「今日いろいろ話したけど、なんかようわからんかったなー」状態にはならないとのことだ。
この記事でのポイントは取締役会だけではなく、どの会議にでも通用することだろう。ぜひ明日からでも取り入れていきたい。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2023年10月06日に公開しており、
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