連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

SmartHRが総額214億円のシリーズE実施。カギは「マルチプロダクト化の再現性」──5分で注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、ウォッチしておくべきニュースやコラムをまとめた記事を配信していく。題して、スタートアップ通信──。

土日にまとめて読みたい話題を、定期的に更新中。

昨今も国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせている。その中から1本の話題、そしてトレンドとして押さえたいニュース数本をピックアップ。

・4日に開幕のIVS、X上の熱気を紹介

・newmo、老舗タクシー会社買収で事業加速へ

・スタートアップが評価する大企業、7年連続KDDIが1位

・SmartHRが総額214億円のシリーズE実施。カギは「マルチプロダクト化の再現性」

について見ていく。

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News1──4日に開幕のIVS、X上の熱気を紹介

国内最大級のスタートアップイベントIVSが4日、京都市で開幕した。今回のテーマは「Cross the Boundaries(壁を超えろ)」。起業家や投資家の情報交換の場として毎年全国各地で開催されている。開催期間は4日から6日までの3日間。前年比5割増の1万5000人の参加を見込む。

ここからは初日を迎えた4日目の熱気を紹介していく。

また、IVSの面白みは何といってもサイドイベントだろう。今年は公式によると300を超えたとのことだ。ポーカーの開催やオフレコ対談など、イベントコンテンツは目白押しのようだ。

本日5日や、明日6日参加される方はぜひ楽しんできて欲しい。

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News2──newmo、老舗タクシー会社買収で事業加速へ

1月に創業したばかりのnewmoが、老舗タクシー会社を買収した。

newmoは、大阪市域交通圏を中心にタクシー車両数606台を保有する未来都を買収したと発表した。今回の買収により、newmoの保有タクシー台数は646台となり、同社によれば大阪府内のタクシー事業者として5位の規模となった。

newmoは、2024年1月に設立したライドシェアサービスの展開を目指すスタートアップ。シードラウンドで累計約20億円の調達を発表したばかりだ。

今回の買収は、ドライバーの働き手不足や移動難民の課題が深刻化する未来を見据え、ライドシェアへ本格参入するためのもの。地方でタクシー事業を展開する企業がライドシェアへ参入する場合、アプリや運行システムの構築に課題があった。今後もライドシェア実現に向け、IT企業とタクシー会社の連携が進む可能性が示唆される。

なおこの件をいち早く報じた日経新聞の記事によると、「近くベンチャーキャピタルなどから100億円を調達する」とのこと。メルカリマフィア経営者の一人として注目を集める青柳氏の想いや戦略について、新たな情報も見られるかもしれない、楽しみだ。

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News3──スタートアップが評価する大企業、7年連続KDDIが1位

経済産業省やNEDOなどが後援するILS実行委員会が取りまとめた「イノベーティブ大企業ランキング2024」で、KDDIが7年連続で1位となったことがわかった。続いてソニー、トヨタ自動車、ソフトバンクがランクインしている。

KDDIが1位の理由について、日本経済新聞によれば、「コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を通じた積極的な出資などが評価された」とのこと。実際、KDDIはスタートアップとの事業共創プラットフォーム「KDDI ∞ Labo」を手がけるほか、CVC「KDDI Open Innovation Fund」を運営している。

KDDI ∞ Laboは、大企業を中心とするパートナー連合各社が提供するさまざまな課題やアセットを通じてスタートアップの事業を支援する「MUGENLABO支援プログラム」や、宇宙事業の参入障壁を下げ、地球課題の解決を目指す「宇宙共創プログラム」などを展開している。

また、KDDI Open Innovation Fundは、AI開発を手掛けるSakana AIやスキマバイトのタイミー、政策共創プラットフォームのPoliPoliなどに出資している。 これらの総合的な評価から、KDDIは7年連続でスタートアップから高く評価される企業となっているようだ。

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Column──SmartHRが総額214億円のシリーズE実施。カギは「マルチプロダクト化の再現性」

SmartHRは、総額214億円のシリーズE実施したと発表した

内訳は、カナダ・オンタリオ州教職員年金基金のOTTPと、米大手投資ファンドのKKRをリード投資家とした第三者割当増資と既存株主によるセカンダリーの混合となっている。

今回注目すべきはOTTPとKKRからのファイナンスであり、STOCK JOURNALの中でCFO 森雄志氏は「我々の経営の視座を上げてくれると感じたから」と述べている。OTTPはSpaceXやCanvaなどに投資実績を持ち、KKRは弥生の買収で有名となったが、その他ツルハHDやサムソナイトなどの買収報道で度々目にする投資会社だ。

今回調達した資金の用途は、新プロダクト開発推進や、マルチプロダクト展開を見据えたSales & Marketing組織の拡大、採用、そしてM&Aとのこと。

SmartHRは協同基盤を生かしたマルチプロダクト戦略を取っており、資金調達発表と同時にシングルサインオン機能や従業員ポータル、勤怠管理など新機能・プロダクトを公開するとのこと。また2024年上半期には、労務機能や人事評価・スキル管理などで収集したデータをまとめて確認できる「キャリア台帳」や、従業員の研修や学習などの育成状況を取りまとめる「学習管理」などを公開している。 今後もSmartHRを導入する企業が、労務管理機能で収集した従業員データをあらゆるバックオフィス業務に活用できる状態を目指し、開発を進めていくとのことだ。

SmartHRの資金調達は、マルチプロダクト戦略を検討する企業にとって参考になる点が多かったのではないだろうか。ぜひこの週末に企業研究をしてみてはいかがだろうか。

さて、今回のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も定期的に更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2024年07月05日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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