連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

非上場株式の流通!?30億円調達のNstock、2025年にセカンダリー事業を開始──5分で注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、ウォッチしておくべきニュースやコラムをまとめた記事を配信していく。題して、スタートアップ通信──。

土日にまとめて読みたい話題を、定期的に更新中。

昨今も国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせている。その中から1本の話題、そしてトレンドとして押さえたいニュース数本をピックアップ。

・「意思決定には血の匂いがする」とは

・Sakana AI、NVIDIAから出資を発表

・オルツ、東証グロース市場へ上場へ

・非上場株式の流通!?30億円調達のNstock、2025年にセカンダリー事業を開始

について見ていく。

  • TEXT BY HIKARU HAMADA
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News1──「意思決定には血の匂いがする」とは

安定した収益と、ゆるやかな右肩上がりの成長曲線を描くのはスモールビジネスであり、スタートアップの事業とは言い難い。スタートアップと言えば、Jカーブの事業成長が必要だ。

では、どうすればJカーブの事業成長を実現できるのか。そこで必要となるのが、不可逆的でリスクを伴う意思決定「血の匂いがする意思決定」を何度も繰り返すことだ。LayerX 鎌谷太士氏が公開したnoteは、この「血の匂いがする意思決定」について書いている。

「血の匂いがする意思決定」とは、企業における重大かつ不可逆的な意思決定を指す概念であり、その結果は企業の生産性や経営資源の効率に大きな影響を与える。

成功すれば、限られた経営資源で意思決定前よりも大きな成果をもたらす可能性があるが、逆に、時間、資金、労力、信用といった資源を投入したにもかかわらず、期待したリターンが得られない場合、企業全体の生産性が劇的に低下するリスクを伴う。また、社員の疲弊を招き、組織全体に負の影響を与える可能性が高い。このような意思決定は、企業の戦略や方針を左右するターニングポイントとなり、企業の存続や成長に深く関わる重要な局面である。

鎌谷氏の「血の匂いがする意思決定」は、前職時代のプライシング戦略の改革だ。手元の経営資源を活用し、企業全体の生産性向上を図るために実施し、「本当の顧客とは誰か」を突き詰めた結果、固定料金から従量課金に切り替えた。その結果、3ヶ月目から受注数は4倍、受注金額は3倍となったという。

このように、スタートアップは高頻度で「血の匂いがする意思決定」が求められる。Jカーブの事業成長を狙う事業責任者や経営者にぜひ読んでいただきたいnoteだ。

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News2──Sakana AI、NVIDIAから出資を発表

Sakana AIは、シリーズA資金調達ラウンドで、NVIDIAから出資を受けたと発表した。また、今回の資金調達ラウンドではNew Enterprise Associates、Khosla Ventures、Lux Capitalがリードしたことも明らかにした。今回のラウンドでは1億ドル(約145億円)を調達したとのことだ。

今回の資金調達により、NVIDIAはSakana AIに対して研究協力、データセンターの提供、国内AIコミュニティの育成に力を入れるとのこと。NVIDIAのジェンスン・ファン最高経営責任者は、「Sakana AIは、並列処理に強い我々の演算プラットフォームを活用し、AIの民主化を進めていく」との声明を発表した。

また、Sakana AIは今年の1月にもソニーやNTTグループ、KDDIなどから3,000万ドル(約43億円)を調達しており、AI領域で要注目のスタートアップとなっている。

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News3──オルツ、東証グロース市場へ上場へ

パーソナルAI開発のオルツは、東京証券取引所よりグロース市場への新規上場が承認されたことを発表したXでは従業員数が16名であることや、売上高41億円に対して経常損失が約13億円だったことが話題を呼んでいる。

オルツとは「P.A.I.」(パーソナル人工知能)、AIクローンをつくり出すことによって「人の非生産的労働からの解放を目指す」企業。AIの対話エンジンの開発から生まれた音声認識テクノロジーを活用したCommunication Intelligence『AI GIJIROKU』の提供や、ノーコード生成AIプラットフォーム『altBRAIN』、次世代ボイスボットの『AIコールセンター』などを提供・開発している。

今後は、全ての人がパーソナルAIを持つことによって、労働から解放され、アーティスティックな営みに没頭することができる世界の実現を目指していくとのことだ。

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Column──非上場株式の流通!?30億円調達のNstock、2025年にセカンダリー事業を開始

Nstockは、WiL、Coral Capitalなどから30億円の資金調達を実施したと発表した。今回調達した資金は、プロダクト開発と金融商品取引法関連の業登録、新規事業立ち上げ準備、採用に充てるとのことだ。

また今回の資金調達の発表により、セカンダリー事業を開始すると発表。

セカンダリー事業とは、SOや株式に流動性を持たせる機会が得られる仕組みを構築する事業を指す。 多くのスタートアップでよく聞くSOは、行使する条件が厳しく、現状のスタートアップで働くひとに対して大きなインセンティブとなっていない設計の場合が多い。

当セカンダリー事業では、発行体であるスタートアップ企業が取引参加者や取引条件をコントロールできる「社内取引所」を構築することで、非上場前でもSOや株式を取引できるようにするとのこと。その結果、SOが報酬としての魅力を増すだけでなく、SOの行使期限を理由とした望まないタイミングでの「スモールIPO」を回避できるようにするのだ。

SOに関しては過去にもスタートアップ通信で何度か取り上げている。

スタートアップエコシステムをより強固なものとしていくためにも、SOの流動性を高めることは重要だ。今後のNstockの発表に注目していきたい。

さて、今回のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も定期的に更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2024年09月13日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

濱田 ひかる

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