「ユーザーが求めているものか」と「社会全体の中で自分たちが作るべきものか」の2点を大事にしています。後者は言い換えると、「本当の意味での客観視ができているか」ということです。実は世の中のほとんどの事業・サービスは、リソースもアセットもある大企業が作った方がいいはず。その中で、なぜ僕らのような小さいスタートアップがやるべきなのか?という問いは重要だと思っています。
Luupを例にすると、電動モビリティは究極的にはトヨタさんのような大手企業がやる方がいいんです。機体の製造に関しては、ものすごく積み上げられたノウハウもありますし、小さい組織で作るより全然良いものができるはずで。それでも僕らが取り組むのは、既存の産業構造と今後訪れるモビリティ業界の未来に「溝」があるから。具体的には、これまでの売り切りモデルの終焉、高度なソフトウェア開発の必要性、そして各関係省庁および地元との共生という地味なオペレーションの3つです。これらを既存の大手メーカーさんがスピード感を持って取り組むのは現実的ではないという観点で、Luupというのは存在しています。
スタートアップが取り組むべきことというのは、実は本当に奇跡的に小さいポイントしかないと思っており、その本質を見誤ってはいけません。その意味で、僕らはデータベースやアプリケーションレイヤーとオペレーションの2つは自分たちで作るべきだと思っていますが、機体の製造は最終的には国内メーカーが行った方が良いと思っています。