LayerX、福島氏 x 松本氏の両雄再び──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。リリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップパーソンのために、週次でウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──
土日にまとめて読みたいニュースを、毎週金曜日に更新中。
LayerX、福島氏 x 松本氏の両雄再び
ブロックチェーン事業や請求書読み取りソフトなどを手掛けるLayerX。1月には経理業務を効率化する請求書AIクラウド『LayerX INVOICE』を公開したことでも話題となった。そんな中、スタートアップ界隈に衝撃が走るニュースが3月1日に発表された。元DMM.com CTOの松本勇気氏がLayerXの代表取締役CTOに就任することが発表されたのだ。これにより、LayerX代表取締役については福島良典氏と松本勇気氏の共同代表体制で、経営をリードしていくことになる。
3/1よりLayerX CTOに就任しました。突然の発表となってしまいましたが、経緯や思いなどnoteに書きましたのでご興味ある方こちらをどうぞ。
— 松本 勇気 (@y_matsuwitter) March 1, 2021
LayerX CTO就任によせて|Matsumoto Yuki @y_matsuwitter #note https://t.co/OHwHE2VKv3
直近ではDMM.comのCTOに就任し、テックカンパニー化をミッションに改革を推進してきた松本氏。気になるのは、なぜ今LayerXに参画することを決めたのかだ。その理由を松本氏は「自身のテーマとLayerXの見ている世界が重なったから」だと語っている。LayerXが現在取り組んでいる、「企業活動の効率化を行うSaaS事業」「三井物産デジタル・アセットマネジメント事業」「行政領域のLayerX Labs」の3つの柱が松本氏が感じていたテーマと重なったのが決め手ということだ。
また、今回の発表の裏では、取締役で前CTOである榎本氏の「コトに向かう振る舞い」も称賛を集めた。自身は強みであるプロダクト視点と圧倒的な開発速度を活かしてSaaS事業に専念し、松本氏がCTOとして開発組織全体をサポートすることがLayerX全体にとって大きな価値を生むという意思決定だ。意識が個ではなく、コトに向かっているこの姿勢からもLayerXらしさを感じられるエピソードだ。
今回の人事で特に強調したいのは、取締役で元CTO榎本(mosa)の振る舞い。松本が加入することが決まり、僕自身が悩んでるときに自ら「松本がCTOになるべき、自分は事業に集中するポジションにしてくれ」と。この流れを経て改めて彼へのリスペクトと信頼が高まった。そして完全に正しい意思決定だった
— 福島良典 / Yoshinori Fukushima (@fukkyy) March 1, 2021
hey、自治体向けにワクチン接種システム提供
日本国内でもついに厚生労働省より新型コロナ感染症ワクチンの正式承認が発表され、医療従事者を筆頭に、4月頃からは高齢者をはじめ、国民への接種が予定されている。この新型コロナウイルスワクチン接種に対して、オンライン予約システムなどを手がけるheyが予約システムの提供を始めたことが話題となった。
heyの経営陣と話す機会に恵まれた起業家は、
— 有安 伸宏 / 起業家・エンジェル投資家 (@ariyasu) March 3, 2021
何ヶ月前から、何人体制で、何をどんな順番でやったら、このように自治体へ食い込めたのか
を、超具体的に聞きまくり、こういう大きな打ち手をリアルに発案できるようになるといいと思う。大きな打ち手だ。すばらしい https://t.co/8HQoMc1wfR
新型コロナウイルスワクチン接種の提供を予定している自治体・病院・事務局に対し、予約管理業務を効率的に実施いただくために『STORES 予約』を活用した特別プランの提供と専用相談窓口での導入支援の実施を行うという。
これによりサービスを利用する自治体の担当者は、予約状況・在庫状況を一括管理できるほか、住民からの電話を代わりに受けてもらえるコールセンター機能などの効率化メリットを享受できる。大手ITベンダーではなく、スタートアップが社会に大きなインパクトを与えるシステムを手掛け、自治体に食い込むといった事例は業界にとって朗報となった。
バルクオム、森岡毅氏率いる刀と資本提携を発表
メンズスキンケアブランド『BULK HOMME』を展開する株式会社バルクオムが森岡氏率いる刀との資本提携を発表。名だたる起業家が揃って尊敬する屈指のマーケター森岡氏と、法人化から4期目で黒字化を達成し、急成長しているスタートアップのバルクオムの組み合わせに驚きと称賛の声が集まった。
刀社と資本提携を締結いたしました。BULK HOMMEを今後、かならず世界No.1のブランドにするための柱となるプロジェクトです / https://t.co/m4bdkBU5PM
— NOGUCHI Takuya (@nogutaku) March 5, 2021
森岡氏率いる刀は昨年の大型資金調達以来、従来のマーケティング事業に加え、「資本参加を伴う経営サポート事業」を検討してきた。その第一号として発表されたのがバルクオムとの資本提携だ。発表の中で両社は、日本の男性スキンケア市場は、女性スキンケア市場や他の先進国市場と比べ、未成熟なマーケットで成長の余地が大きいと分析している。
今後は、森岡氏を筆頭に、世界唯一のマーケティングライセンシングカンパニーである刀が持つ広い事業領域における高度なマーケティングノウハウを活用し、消費者視点のブランド設計・コミュニケーション戦略等の強化を通して事業成長を更に加速させていくという。まずは、数年内でのメンズスキンケアブランド国内シェアNo.1獲得実現を目指すというバルクオム。今後の活躍に期待が高まる。
『BASE』が新たに『Amazon Pay』の取り扱いを開始
ネットショップ作成サービス『BASE』を提供するBASEがAmazonが提供するID決済サービス『Amazon Pay』の取り扱いを3月3日より提供開始したと発表。これにより、『BASE』加盟店は『Amazon Pay』を決済に導入することが可能となった。同社が推進してきた取引の安全性を保証するエスクロー(第三者寄託)決済サービス「BASEかんたん決済」がこれによりクレジットカード決済、コンビニ決済・Pay-easy、銀行振込、後払い決済、キャリア決済、PayPal決済、Amazon Payの7つの決済方法に対応することとなった。
さあ満を持して
— 鶴岡 裕太 / BASE, Inc. CEO (@0Q7) March 3, 2021
BASEでamazon payが使えるようになりました!!
しかも、個人法人問わず全てのショップで今この瞬間からご利用可能です!!!!
BASEをご利用の皆様、手数料等も変わりませんのでぜひご利用ください!
「BASE」が新たに「Amazon Pay」の取り扱いを開始 https://t.co/2gOifKj8K3
『Amazon Pay』は、Amazon以外のサイトでもAmazonアカウントに登録された住所と支払い情報で支払いができる決済サービスだ。BASE加盟店で商品を購入するユーザーは、Amazonアカウントに登録した支払い方法と住所情報を再入力せずに使って注文できるため簡単に商品を購入することができる。
また、BASE加盟店からしても『Amazon Pay』導入が与えるインパクトは計り知れない。それは『Amazon Pay』を使った購入手続きが非常に簡単でストレスがないため、ユーザーが離脱しにくくなり、CVRの劇的な改善を期待できるからだ。一度体験したら元には戻れないとも言われる『Amazon Pay』の決済システム。今回の導入で『BASE』はより多くの方が便利で快適なネットショッピングを送れるよう、さらなる進化を遂げた。
これまでAmazon Payを入れたサイトのデータ見る限り、Amazon Pay導入後、CVRが激烈的に引きあがるのよね。凄いことになりそう
— sem_master (@semlabo) March 3, 2021
「BASE」が新たに「Amazon Pay」の取り扱いを開始 https://t.co/2Is1iUd5of @binc_jpより
freee、ARR100億円突破
freeeは3月2日、保有契約残高の年換算額を示すARRが100億円を突破したと発表した。日本国内におけるSaaS企業としては、創業以来最も早い水準である8年8か月での突破となった。
フリーのARRが100億円を突破 創業から8年8ヶ月でhttps://t.co/JjG8BD67n5
— 官報ブログ (@kanpo_blog) March 3, 2021
クラウド会計サービス提供のフリーのARR100億円突破です。今後の成長も楽しみにしております
ALL STAR SAAS FUNDを運営する前田ヒロ氏も自身のTwitterでSaaSスタートアップがゼロからARR100億円を達成するには少なくとも8年は必要と語っていたが、まさしく9年目を前にしての達成となった。
日本国内ではfreeeの他に、Sansan、サイボウズ、ラクス、ユーザベースがARR100億円を突破しているが、ARRの成長率という観点ではfreeeが他社SaaS企業を抑えてトップとなっている。今後のさらなる成長に注目したい。
SaaSスタートアップはゼロからARR 1億円達成までは2年かかり、
— 前田ヒロ ALL STAR SAAS FUND (@djtokyo) July 17, 2019
そこからARR 10億円まで2.5年かかり、
さらにそこからARR100億円まで3.5年かかる。
ARR 100億円目指すなら少なくとも8年の覚悟が必要。
長いような短いような。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2021年03月05日に公開しており、
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