個人情報漏洩、便利なツールを使いこなせない大人の責任か?──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。リリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップパーソンのために、週次でウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──
土日にまとめて読みたいニュースを、毎週金曜日に更新中。
今週は、この4つのニュースをお届けする。
・3秒で完売した「仮想空間の土地」とは?
・令和トラベル始動。今、旅行業界で起業した男の正体
・Clubhouseに投げ銭機能追加、さらには4,000億の資金調達か
・便利なツールを使いこなせない大人にならないために
3秒で完売した「仮想空間の土地」とは?
少し前、月の土地の売買が流行ったことを覚えているだろうか?今となってはその熱が下火になった気がするが、近年新たに注目を集めている土地がある。それが、仮想空間の土地である。今回、約3秒で売り切れたのは仮想空間内にある土地「LAND」だ。
まず、『The Sandbox』と呼ばれるユーザー主導のゲームメイキングプラットフォームがあり、その仮想空間の中にある土地が「LAND」だ。LANDは、最大16万6,464個と個数が決まっているため、希少価値が生まれ、売買されている。
3秒で完売しました… https://t.co/jREpOPEcyo
— 大塚雄介 (@yusuke_56) April 6, 2021
気になるLANDの価格は、一区画あたり0.7イーサリアムであった(2021年4月6日現在、1イーサリアムは約23万円)。販売されたLANDの数は、33であるから約500万円を3秒で売り切ったことになる。
今後も「デジタル資産」を持つ流れは加速していくだろう。とはいえまだ「興味本位の売買」や「短期的な利益を狙った投機」の域を出ないのかもしれない。暗号資産やNFTが資産として市民権を得て、老後に向けた資産形成の選択肢の一つとなるような日は、いつやってくるだろうか。それは案外、遠くない未来なのだろう。
「ハワイの海にでも飛び込みたい」と言う男の挑戦がはじまった
今週、大きな注目を浴びたのは、このnoteだった。宿泊予約サイトの立ち上げ・運営後、YouTuberとして活躍していた篠塚孝哉氏が旅行業界で起業したというニュースだ。社名は「株式会社令和トラベル」だ。旅行業界というと、コロナ禍によってシュリンクしていると思う方がほとんどのはず。しかし、篠塚氏は、「今、マーケットが崩壊しているからこそ参入しやすい重大な経営戦略上のポイントが旅行業界なら多数ある」という。
なぜ、この単なる起業宣言をニュースとしてFastGrowが取り上げたのか。それは、事業を始めるときに大切な3つの観点が網羅的に書かれていたからだ。「なぜ、このサービス・領域なのか?」「なぜ、自分がするのか?」「なぜ、今なのか?」という観点である。このnoteには単なる創業ストーリーに止まらない、事業づくりに大切な視点も養えるのではないだろうか。
Clubhouse第二回戦開幕
“Creator First”の100%還元へ
続いては、Clubhouseに投げ銭機能(β版)が追加されただけでなく、40億ドルの資金調達を実施する可能性があるというニュースだ。Twitterも買収を本気で検討していただけに注目が集まっている。投げ銭機能では、ユーザーの投げ銭はクリエイターに100%届けられる。
Clubhouseの公式の発表はこう述べている。
- To send a payment in Clubhouse, just tap on the profile of a creator (who has the feature enabled) and tap "Send Money".
- Enter the amount you would like to send them. The first time you do this, you’ll be asked to register a credit or debit card.
- 100% of the payment will go to the creator. The person sending the money will also be charged a small card processing fee, which will go directly to our payment processing partner, Stripe. Clubhouse will take nothing.
Clubhouseは、2月末から急速に拡大し、一大旋風を巻き起こしたものの、今は下火になっている。ただ、だからといってClubhouseがオワコンになったわけではない。夏頃にはAndroid版のリリースもあると言われている。初期のTwitterがそうであったように、ユーザーの性質が転換している途中なのではないだろうか。
ここからClubhouseの乱、第二回戦が始まりそうだ。
問われるのは、ユーザーの責任か?サービス側の責任か?
どこからともなく炎上し始めた、Trelloの公開設定をめぐる問題。週明け早々、みなさんの中にTrelloの公開設定を確認した方も多いはずだ。この問題は、Trelloで新卒採用を管理していた一部の企業が、採用候補者の個人情報を社外の人物にもみられる設定にしていたことから始まっている。
この問題は、昨年、個人情報保護法の改正が決まった中で起きた事件だ。改正されると、個人情報を漏洩した場合に、漏洩した個人情報の当人及び個人情報保護委員会への通知が努力義務から義務化される。さらに、ペナルティも重くなる。漏洩した法人に対しても最大1億円の罰金が課せられる場合があるのだ。当該法律の施行は、2022年4月1日であり、ちょうどその1年前に本問題が起きたことになる。
この問題については、ネット上ではさまざま意見が飛び交っている。Trello側の警告機能に問題があるとの意見や、使うユーザーのネットリテラシーが低すぎるという意見もみられた。コメントの一つ一つを詳しく紹介しないが、個人のリテラシーだけでなく、カスタマーサクセスというポジションがいかに大切なのかを思い知らされただろう。「便利なツールを使いこなせない大人たち」になるのは避けたいところだ。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2021年04月09日に公開しており、
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