スタートアップの社名変更、するならいつ?──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。リリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップパーソンのために、週次でウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──
土日にまとめて読みたいニュースを、毎週金曜日に更新中。
今週取り上げるニュースはこの3つ。
・IRIAM、ネクストユニコーンなるか
・6分で9億調達
・スタートアップの社名変更、するならいつ?
IRIAM、ネクストユニコーンなるか
今週、界隈ではこの話題で持ちきりだ。ZIZAIは子会社であるIRIAMをなんと150億円でDeNAに譲渡したと発表した。その評価額の高さに驚きを隠せないが、そもそもIRIAMというサービス自体をご存知だっただろうか?ZIZAI代表取締役CEO 塚本氏は自身のnoteでIRIAMを一言でこのように表している。
「イラスト一枚でキャラクターになってライブ配信ができるサービスです。」
現在日本においても多くの競合がひしめくライブストリーミング事業である。
類似サービスとしては、ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営するPocochaや、グリー(GREE)のREALITYなどが挙げられるだろう。
コロナ禍によるステイホームを余儀なくされる時間が増えた現代社会において、ますます盛り上がりを見せるライブ配信。近年では配信者にとっても“投げ銭”などのマネタイズ手段が確立したことで、今後もよりこのムーブメントは加速すると考えられる。
その中で今回、Pococha始め、SHOWROOM、ミラティブなど多くのライブストリーミング事業を輩出してきたDeNAと、IRIAMの新たなタッグ。塚本氏自身、「単独で上場したい」という気持ちがなかったわけではないと語っている。しかし何よりも大事にしたことは「IRIAMというプロダクトがグローバルで圧倒的No. 1になるためにはどうすべきか?」であったという。その証拠に塚本氏はキャピタルゲインを一円も受け取っておらず、今回の売却益の全てはIRIAMの成長のための資金にする。
「まずは3〜5年ほどかけてユニコーン企業を目指します」と語るIRIAMの強い意思。DeNAのプロダクトグロースへの覚悟と掛け合わさり、ネクストユニコーンへと成長できるか、期待が高まる。
6分で9億調達
コインチェックが運営する日本初のIEOプラットフォーム「Coincheck IEO」にて、7月1日より購入受付を開始したPalette Tokenが、開始からわずか6分で調達目標金額の9億3,150万円を達成したと公表した。
「6分で9億」
こちらにばかり気を取られてしまいがちであるが、「IEO」という言葉自体、馴染みがなくご存知ない方も多いのではないだろうか。IEOを簡単に解説すると、以前から注目を集めていた「ICO」の改良版である。
以前まではICOという、トークンを投資家に買ってもらうことで資金を集める仕組みが、多くの投資家に注目されていた。しかし仲介業者がなく信頼性が低いため詐欺などの被害が多発していたのだ。
今回その欠点を改善した仕組みがIEOだ。 ICOではトークン発行元と投資家がダイレクトで繋がっていたが、IEOではその仲介に取引所が入り、 認められたトークンしか取引できないため信頼性が格段に向上したという。まさに暗号資産の株式市場だ。
現状、国内における暗号資産における資金調達の選択肢は限定的な状況だという。今後、トークン発行を通じた資金調達手法が確立されていくことにより選択肢が広がり、国内暗号資産に関連する産業のエコシステムがより発展していくことが期待される。
スタートアップの社名変更、するならいつ?
フードデリバリーサービス『Chompy(チョンピー)』を提供するシンは6月26日付で会社名をサービス名でもある「Chompy」へと統一した。今回、新たに約7.8億円の資金調達を実施したタイミングでの社名変更。ブランドの強化を図る目的だという。
ここで注目したいのが、「社名変更のタイミング」である。スタートアップにおいて社名を変更、またはサービス名と統一する事例は多い。
- クックパッド(旧社名コイン)
- メルカリ(旧社名コウゾウ)
- SmartHR(旧社名KUFU)
などは日本においても特に有名な事例だろう。
そもそも会社名と、提供するプロダクトやサービス名に、異なる名前を付けるのは世界を見回しても特に日本に多いという。
これは何故だろうか。創業初期に複数の異なるプロダクト作る構想があったのか。あるいは、どのプロダクトがトラクションを獲得するか確信が持てない中で、会社名にした1つのプロダクトに縛られることなく、たくさんの異なるプロダクトをローンチできるようにしておきたいという思惑もあるかもしれない。しかし多くの会社は結局、生き残ったプロダクトの名前に会社名を変更することが多いというのも事実でもある。
スタートアップにとっては一つの名前を覚えてもらうだけでもハードルが高い。またプロダクトと社名が一致していないことは、ブランドを希薄化させ混乱を生じさせてしまう可能性もある。
アーリーなステージにおいては、社名変更に伴う費用はそこまで大きな負担ではないはずであるが、その是非についてはまだ確かではないだろう。
今回のChompyの事例は、後続に指針を示すものになりうるか、今後も目が離せない。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?梅雨も長引きおうち時間も増えているのではないでしょうか。ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2021年07月02日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。