連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

名古屋のスタートアップ熱、世界レベルへ──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信しいていく。題して、週刊スタートアップ通信──。

土日にまとめて読みたいニュースを、毎週金曜日に更新中。

今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から3本のニュースをピックアップ。

「ソフトバンク、世界最大規模のスタートアップ支援拠点を愛知に」

「需要増大する海外VC・スタートアップ情報、リサーチ法の正解は?」

「盛り上がるEC支援化事業、『メルカリShops』プレオープン」

について見ていく。

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ソフトバンク
世界最大規模のスタートアップ支援拠点を愛知に

「スタートアップ不毛の地」名古屋が今、変わろうとしている。愛知県は2024年をめどに、スタートアップの創出・育成・展開を図るための拠点施設「ステーションAi」を名古屋市内に設立予定だ。その事業者がソフトバンクに決まった。

ステーションAiは、フランス・パリに位置するインキュベーション施設「ステーションF」を参考に、2019年に開始した愛知県のプロジェクト。地上7階建てで、延べ床面積は約2万3000平方メートル。入居企業数は国内外約1000社を想定し、世界最大級の規模を目指す。投資ファンドも立ち上げる予定だ。

愛知県がなぜ今、スタートアップへの支援に積極的なのだろうか。愛知県といえば、世界のトヨタ自動車を筆頭にモノづくり中心の地として存在感を示してきた。しかし近年ではCASEやMaaSといったビジネスモデルの変革を背景に、自動車業界の伸びには陰りが見える。また、三菱航空機が「国産初のジェット旅客機」を目指した三菱スペースジェットの開発凍結は、下支えしていた中小の製造業にも大きな影響を与えた。こうした情勢を踏まえ、未来の産業を生み出すため、行政もスタートアップへの注目を強め始めたと見られている。

しかし現状、スタートアップの数や成功事例は多くなく、地方ではそれがより顕著だ。愛知では、名古屋大学を中心にアントレプレナーシップ教育は進むが、その活躍はごく一部のみ。IPOの事例も年に数回程度だ。

対して今回、統括管理者として選定されたソフトバンクと言えば、ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏が力を入れる「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」の存在が大きい。海外ユニコーン企業への投資で、何度も世間を賑わせている。支援や育成の経験やノウハウも豊富だ。

日本経済新聞によれば、ソフトバンクはスタートアップ向け教育プログラムも展開し、「ソフトバンクの育成プログラムにはスタートアップ支援を手掛けるSBイノベンチャー(東京・港)が参加する。グループからステーションAiに人材を派遣して、入居企業の活動を支える」とのことだ。

開業が2024年と、しばらく先にも思えるが、愛知県から世界レベルで活躍する企業が生まれる基盤が整っていくという期待を抱かせる。

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需要増大する海外VC・スタートアップ情報
リサーチ法の正解は?

スタートアップのWikipediaを目指すスタタイは、日本語で海外VCとスタートアップを検索できるデータベース『スタタイDB』を公開した。

事業選定や市場調査の際には、「タイムマシン理論」に基づいて誰しも一度は、Google翻訳に頼りながら海外の事例をリサーチした経験があるのでは。しかしそこでどうしてもネックとなるのが「言語の壁」。特定の専門分野をリサーチするならなおさらだ。例えば海外VCとのつながりを持ちたいとリサーチを開始しても、言語の不安から適切に調査できているのか不安は残る。

スタタイDBはこの課題を解決する。スタタイが厳選した海外VC30社の一覧と、海外のユニコーン企業や『CNBC DISRUPTOR2021』企業などを日本語で調べることができる。

データベースは国内のスタートアップを多く掲載する『STARTUP DB』をはじめ、『SPEEDA』や『FastGrow』、大学発ベンチャーに特化した経済産業省の『大学発ベンチャーデータベース』、海外のスタートアップ情報に特化した『zuva』などが既存サービスとしてすでに存在する。

普段忙しい人にとって、一括で調べることのできるデータベースは貴重な存在だ。同様のサービスが増加することは、さらなる注目がスタートアップやベンチャーに集まっている証拠のようだ。

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盛り上がるEC支援化事業
『メルカリShops』プレオープン

コロナ禍において、ネットで自社の商品を売るEC販売の需要は増加した。外出自粛から巣ごもり需要が急増。『BASE』が躍進した事例も記憶に新しいだろう。

富士経済「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 2021」によれば、2022年の国内市場見込みは16兆4988億円と2020年比1.2倍。中でも「食品・産直品」市場の需要が高く、2022年には2020年の1.3倍になる見通しだ。

その中でメルカリは新たな事業に乗り出した。メルカリではいらなくなったものを「売る」、そして欲しいものを「買う」という個人間取引がメインというのはご存知の通り。だが、今回サービスが開始されたメルカリShopsでは、クリエイターや生産者、小規模事業者が、ネットショップを開設できるサービスとなる。メルカリのグループ会社、ソウゾウが開発した、今年9月より本格開始予定だ。

EC化支援と言えばBASEやheyを思い浮かべる読者も多いだろう。競合するようにも見えるが、どのように戦っていくのか、これから徐々に明らかになっていくであろう戦略が楽しみだ。これにはアルの古川健介氏も前のめりに反応。

他にも今週は、EC支援化事業が盛り上がっている出来事があった。小売チェーンストアECの垂直立ち上げプラットフォームを展開する10xが、DCMベンチャーズやANRIからシリーズBで15億円を調達を発表。

ECを通じた販売が当たり前になったからこそ、今後もサービス、市場ともに拡大が期待される。

さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2021年07月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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