地方に基盤を置くスタートアップが増加!?──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。 そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信しいていく。題して、週刊スタートアップ通信−−。 土日にまとめて読みたいニュースを、毎週金曜日に更新中。 今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から3本のニュースをピックアップ。 「山梨発、誰でも愛車の主治医を見つける時代に」 「愛知県、首都圏で活躍するVC13社を誘致」 「起業家が若者の学びを支援、メルカリCEO山田氏財団設立」
について見ていく。
山梨発、誰でも愛車の主治医を見つける時代に
信用できる愛車のための整備工場との出会いは困難だ。一般社団法人日本自動車整備振興会連合会の『令和2年度 自動車特定整備業実態調査結果概要』によれば、整備工場とディーラーのどちらかに頼っている結果となっている。中でも整備工場は得意先を見つけることが難しく、愛車を購入したディーラー、もしくはやオートバックスやイエローハットのようなチェーン店に委ねるケースが多い。
この課題を解決するのが山梨県に拠点を置くスタートアップ、「メンテモ(旧Ceremony)」がリリースした『メンテモ』だ。「愛車の主治医を探す」をコンセプトに、山梨県から同サービスを開始した。
『メンテモ』は、自動車整備・板金工場の検索サイト。事業者側は同サイトに登録するために、メンテモの独自基準を通過する必要がある。
しかし何と言っても同社が注目を集める点は、本社拠点を東京から山梨へ移転させた件だ。山梨県は代表の若月佑樹氏の地元であり、全自動車の1人あたりの保有台数が全国1位と「車がなければ生活できない土地柄」。ユーザーが多く、また同サービスに適した土地に拠点を構えることで仮説検証を行い、他地域での展開を目指すという。
メンテモのサービス開始に際し、若月氏は自身の愛車の写真とともに投稿。
お知らせ、写真は僕の愛車です。
— 若月佑樹 / メンテモ (@Qrymy) August 2, 2021
1/ 自動車修理や整備をネット予約できる「メンテモ」というサービスを山梨限定で公開しました。祖父が鈑金業を営んでいることから肌感覚が強く、僕が最も好きなクルマというドメインで、事業を進めています。https://t.co/ZO5v6hWXJT pic.twitter.com/awfTcjfTf4
もともと、チャットアプリ『NYAGO』で注目を集めた起業家で注目度は高かった。
チャットアプリ NYAGOからのメンテモ。
— 堀井 翔太 / Shota Horii (@shota) August 2, 2021
メンバーが離れても、東京じゃなくても諦めず打席に立ち続けるの素晴らしい https://t.co/7XkvicaIXT
また同社は、直近にシードラウンドで資金調達も実施しており、日本経済新聞 によれば、調達額は5200万円。年内には2都道府県に取り組みを広げる計画もある。読者の皆さんの街に『メンテモ』がある時代もそう遠くないだろう。
愛知県、首都圏で活躍するVC13社を誘致
首都圏に集中するVCを地方に呼び込む施策が愛知県で始動した。
愛知県は、同地域のスタートアップの資金調達環境を改善する目的を掲げ、ANOBAKAを筆頭に三菱UFJキャピタルやサムライインキュベートなど13社のVCをパートナーとして迎え入れた。愛知県の起業家に対して勉強会やピッチイベントを行い、資金調達をサポートしていく。
新たに愛知県との取り組みをはじめました!
— 長野泰和 (@hiro_nagano) August 2, 2021
「【地方起業家を支援】ベンチャーキャピタルANOBAKA、東京のVCと愛知県のスタートアップをつなぐ『AICHI STARTUP BRIDGE』を始動!」https://t.co/7Dnhf2yXP0
その他の地域でも、スタートアップを盛り上げる目的で同様の動きがみられる。
神戸市はBonds Investment Groupと共同で、「ひょうご神戸スタートアップファンド」を設立。兵庫県内に本社、拠点を置くシード・アーリー期の企業に対し、10億円規模のファンドとなる見込みだ。
INITIALの2020年度「Japan Startup Finance ~国内スタートアップ資金調達動向決定版~」の地域別の調達額割合によると、83.7%が東京であり、VCの東京一極集中が目立つ。企業側も東京に拠点をおいた方が資金調達のしやすいのが現状だ。
しかし、企業が拠点を置く地域が、スタートアップにとって必要な資金調達ができる環境下であれば、東京へ拠点を移す必要はない。愛知県の施策のように、VCを首都圏から招き入れる体制を作り上げることで、地域からの首都圏流出を抑える仕組みづくりができるかもしれない。
起業家が若者の学びを支援、メルカリCEO山田氏財団設立
メルカリ代表取締役CEOの山田進太郎氏は、個々人の個を尊重するダイバーシティ&インクルージョンを推進していく目的で、『山田進太郎D&I財団』を設立した。第1弾として、理系(STEM)女子高校生向けに奨学金プログラムを実施。2022年4月に高校入学予定の女性に対し、国公立の場合は年間25万円、私立の場合は年間50万円を支給する。採用人数は100人を予定する。
財団を作って、STEM(理系)高校生女子奨学金を開始しました。まず来年高校受験する女性向けです。多くの方のご応募お待ちしてます! 財団運営は分からないことばかりですが、学びながらよくしていきたいと思います https://t.co/3apR1hmuXQ
— 山田 進太郎 / Mercari, Inc. CEO (@suadd) August 4, 2021
今回の財団発足に対しては、各方面から賞賛の声が上がった。
先ほどの書き方で「毎年1000人」と書いたのは、常時約1000人に奨学金を支給ということ。初年度の募集は100人ほどということです。詳しくはこちらから。https://t.co/U1VJd46Hrw
— 浜田敬子 (@hamakoto) August 4, 2021
「私自身はマジョリティー(多数派)として何不自由なく育ったが、多様な社員と働き、多様なお客様にプロダクトを提供するなかで日本でも女性・外国人などは公平でない立場にあることがわかった」として、山田社長がアクションに踏み出すと発表https://t.co/a0NxntYyCX
— ロバート キャンベル (@rcampbelltokyo) August 4, 2021
財団設立といえば、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏らが立ち上げた感染症対策や貧困撲滅を目指す『ビル&メリンダ・ゲイツ財団』が有名だ。その他にも、今回の新型コロナウイルス感染症に関してTwitterのジャック・ドーシーCEOは10億ドル相当のSquare持株を慈善団体に寄付した。
日本ではZOZO創業者の前田友作氏が、個人間の寄付プラットフォーム『kifutown』を開設。新しい寄付の形ができつつある。成功者として未来を担う若者に支援する文化形成に、今後も期待したい。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2021年08月06日に公開しており、
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