連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

スタートアップ社員に朗報!SOの価値を再定義──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。

土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。

今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。

・SOの課題、根本解決へ。宮田氏立ち上がる

・ANRI 気候変動・環境問題特化型の新ファンドを設立

・freeeと楽天に何が?API連携契約満了

・フラットな組織、実はスケールしない?

について見ていく。

  • TEXT BY HIKARU HAMADA
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SOの課題、根本解決へ。宮田氏立ち上がる

SOとは何だろうか──。

そんな疑問を持つ人も少なくないだろう。スタートアップで働いていれば、一度は耳にするSO(ストック・オプション)。入社時や、ある一定期間を経過すると説明を受ける機会が設けられたのかもしれない。しかし、このSOを持っていることで何が起こるのか、そもそも保有していてもほぼ行使することなく離職してしまう人も多いことが実態だろう。

この課題を解決すべく、SmartHRの前代表取締役CEO宮田昇始氏が立ち上がった。

宮田氏は新会社Nstockを設立。株式報酬の発行・管理・行使などを効率化するクラウド型ソフトウェア『Nstock』の開発・運営を行うという。背景にはSO発行によるバックオフィスの業務増と、そもそも従業員にそのメリットが伝わっていないことがあるという。

従業員にも還元したいとの思いから、SO付与を考えるスタートアップの経営者は多い。しかしそのメリットが伝わらなければ意味がない。この課題を解決するためにもNstockの発展に期待したい。

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ANRI 気候変動・環境問題特化型の新ファンドを設立

独立系ベンチャーキャピタルのANRIは、気候変動・環境問題に特化した新ファンド「ANRI GREEN1号」を設立した。現在運用中のフラッグシップファンドとは別に運用する。

背景にはカーボンニュートラル実現に向けた社会の動きがある。世界が大きく脱炭素を叫ぶ中、国内でも2050年の脱炭素化に向けて大きく社会構造を変えていく必要がある。そのためには企業のビジネスでも気候変動問題に積極的に取り組まなければいけない。

最初の投資先も確定しつつある。日本経済新聞(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC196PK0Z10C22A1000000/)によれば、レーザー光を活用した発電技術の実用化を目指すEX-Fusionになる予定だという。

また同ファンドの運用開始に際し、ANRIは産業革新投資機構、関西電力グループであるK4 Venturesなどから合計43億円の一次募集を完了。運用期間をファンドには珍しく最長15年とし、最終的なファンド総額は100億円規模を予定しているという。

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freeeと楽天に何が?API連携契約満了

一体何が起こったのだろうか。

freeeは楽天銀行とのAPI連携を契約満了により終了すると発表した。これにより、freee会計での楽天口座明細の自動振込みができなくなる。この発表を受け、freeeユーザーからは驚嘆の声が上がった。

日本経済新聞は、連携にかかる料金設定などで折り合わなかった可能性を紹介。freeeが連携を再契約したり延期したりしなかったケースは初めてとなるという。

freeeはスタートアップでも利用の多い会計ツール。楽天銀行を利用する副業メンバーも少なくないことが予想され、今後の連携がどう動くのか気になるところだ。

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フラットな組織、実はスケールしない?

「フラットな組織づくり」は一度立ち止まって考えたほうがいいのかもしれない。

『米大学で意外な研究結果「スタートアップが失敗する原因は、組織にヒエラルキーがないことだ」』(https://courrier.jp/news/archives/276127/)によれば、フラットな組織構造を持つスタートアップは失敗する可能性が高いという。

なかでも印象的なことばは、「多くの起業家は気づくのは、どんなに優れたビジネスアイデアがあっても、どんなに優秀なチームでも、管理がうまくいかないと結局ビジネスは失敗するということです。残念ながら、管理体制が整っていないのが原因で、スタートアップが失敗するケースは少なくありません」。 優れた管理者がいない限り、プロジェクトの取り合いなど社内での紛争が発生し、従業員の士気が下がる恐れがあるという。

また、フラットな組織体制を謳うことで女性採用を強化する採用広報も多々見かけるが、こちらにも警笛を鳴らす。現に、フラットさを求人情報で明記した場合、応募者に占める女性の割合が25%も減少するという研究結果も出ている。

「30人の壁」と言われるように、スタートアップがスケールしていく中で組織づくりの壁がある。この壁をどう乗り越えるかが、アーリー期のスタートアップにとっては重要となるだろう。

さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2022年01月28日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

濱田 ひかる

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