スタートアップは東京駅周辺に”群れて”いる?──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。
土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。
今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。
・スタートアップが東京駅周辺に増殖中?
・3rd Party Cookie規制から見る、次なる広告の可能性
・新経営体制発表相次ぐ!どうなるヤフー
・「誰かのためにお金を使う」という巨大市場、爆誕?
について見ていく。
- TEXT BY HIKARU HAMADA
スタートアップが東京駅周辺に増殖中?
東京駅周辺にスタートアップが増殖している。
ミドル層の起業家を中心にスタートアップ投資を行うXTech Venturesは、八重洲・日本橋・京橋を中心とした東京駅周辺エリア(YNKエリア)で、年々スタートアップ企業数が増えていることを、直近のプレスリリースで指摘した。同社作成の『スタートアップ関連企業MAP』によれば、宇宙関連・医療関連のスタートアップが他エリアより多く存在している他、IT・インターネット事業で急成長中の企業も、オフィス移転先として東京駅周辺エリアを選択しているという。
VCと同居して起業するという機会。
— 西條晋一(Shinichi Saijo)@起業家/投資家 (@s_saijo) January 31, 2022
スタートアップ界隈で存在感を増す東京駅周辺エリアにて、VCとのシェアオフィス型インキュベーション施設・プログラムを22年4月始動【XTech Ventures】 https://t.co/EBGBCYIyGg @PRTIMES_JPより
東京駅周辺でスタートアップが増殖している背景として、同社は転職組を受け入れやすくする点、賃料が渋谷や六本木に比べて安い点、そして大企業のアクセラプログラム・ワークスペースが比較的多く存在する点と、3つの理由を挙げている。
これを受けXTech Venturesは、VCとのシェアオフィス型インキュベーション施設『xBridge - Yaesu』を東京駅八重洲口から徒歩1分の場所にて、2022年4月にオープンすると発表した。 また、資金調達前の起業家がVCを最大限利活用するインキュベーションプログラム『X-Gate』を発表。VCからの資金調達前のシードかつ9月末までに資金調達を目指すチームを対象に、参加を募集するという。
ITスタートアップの立地と言えば、渋谷、五反田を思い浮かべる読者も多いだろう。東京駅エリアが新しいメッカとなるよう、XTech Venturesは起業の渦を巻き起こしていく考えだ。
3rd Party Cookie規制から見る、次なる広告の可能性
プレイドは1st Party Cookieデータ活用によりサイト内外で一貫した顧客体験を実現する『KARTE Signals』の提供を開始。Google 広告とFacebook・Instagram広告への提供をはじめた。
KARTE Signalsをリリースしました広告でもKARTEが使えます
— 倉橋健太(プレイド / Kenta Kurahashi / kuraken) (@kuraken314) February 2, 2022
サイト内とサイト外(広告)をユーザーのContextで適切に繋ぎ、ユーザー体験としての設計が可能になります。断片的かつ数字都合の広告ではなく、体験として再構築する。その潮流は不可逆なものだと思います(続くhttps://t.co/4yLMG2n7kW
背景には、3rd Party Cookie規制がある。従来通りに顧客情報を追うことが個人情報保護の観点からできなくなる中、ユーザーに最適な広告をどうやって提供すればいいのか思案する広告主は多い。その中でKARTE Signalsは、1st Party Cookieに注目。1st Party Cookieデータを所有するGoogleやFacebookと提携しデータを取得するとともに、自社サイトでのユーザー行動データや、自社CRMの購買データやオフラインPOSデータなどもすべて統合することで従来通りの最適な広告を提供していくという。
同社は2019年にGoogleから資金調達を実施。今後もさまざまなプラットフォーマーと連携していくことで、広告の可能性を広げていくという。
新経営体制発表相次ぐ!どうなるヤフー
ヤフートップの座が、代表取締役社長CEOの川邊健太郎氏から、取締役専務執行役員COOの小澤隆生氏へ移動する。
18年から4年間務めたヤフー社の社長を3月末で退任致します。後任は小澤隆生さんで、私は退任後、ZHDの社長に専念します。
— 川邊健太郎 (@dennotai) January 31, 2022
井上元社長、宮坂前社長と続いた良き慣行に則り、ヤフーの会長には就任いたしません。
支えくださったユーザー、社員、株主、全ての関係者の皆様に感謝を申し上げます。 pic.twitter.com/LW69BpKhSE
Zホールディングス傘下のヤフーの経営体制が変わる。今まで、Zホールディグスの代表取締役社長も勤める川邊氏が務めていたが、この4月からはトップの座を交代するという。 軸となっている事業の更なる成長を加速させるために、より迅速かつ機動的な意思決定と業務執行を行う新経営執行体制への移行が必要だという判断があったという。
今回、新たに代表取締役社長CEOに就任する小澤氏は、「eコマース革命」による新ビジネスモデル導入のほか、アスクルやZOZOの連結子会社化を成し遂げた人物。その他、キャッシュレス決済サービス「PayPay」の立ち上げや、ZHDとLINEとの経営統合を推進し、ZHDグループの成長もけん引してきた実績の持ち主だ。
一方ヤフーといえば、EUにおけるプライバシー保護規則「GDPR」による欧州からのYahoo! JAPAN閲覧規制も気になるところだ。とはいえ、対象ユーザーは1%程度。GDPR規制から気になる動きではあるが、社会的な影響は少ないとみえる。
今後、ヤフーは国内のプラットフォーマーを目指すのか、もしくはどのような形を描いているのか。PayPayがようやく三菱UFJ銀行との口座連携ができるようになったが、どれも完全首位は取れてはいない。今後の戦略が気になるところだ。
「誰かのためにお金を使う」という巨大市場、爆誕?
自分のためだけではなく、他のプレイヤーのためにお金を使う──。
ミラティブ代表取締役の赤川隼一氏は今、ライブ配信とゲームが高度に融合した「ライブゲーミング」が強烈な勢いで拡大しているとnoteに綴っている。視聴者が配信者のプレイに介入したり、アイテムをプレゼントしたりすることで、ゲームとゲームの融合が生まれているというのだ。
note書きました。実はとてつもない大きな変化が起こっていると思ってます!!読んでみてほしい!
— Junichi Akagawa @ミラティブ (@jakaguwa) February 2, 2022
ありそうでなかった大市場=「誰かのためにお金を使うゲーム市場」が生まれてきています @jakaguwa #note https://t.co/cXhuzqcJUG
今まで、ゲーム市場は自分のためにお金を使う市場だった。ゲームソフトの購入や、スマホゲーム上でアイテムを購入するための課金など、すべて「自分のため」にお金を使っていた。 ゲーム市場が加速すればするほど、ゲーム実況がお金になるようになった。一方で視聴者はゲームに参戦することができず、「何か協力したい」「一緒に戦いたい」との思いがあっても、何もすることができなかった。
ミラティブはこの市場形成を目指し、新規事業を立ち上げるという。ゲーム市場がどうなっていくのか、気になるところだ。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2022年02月04日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。