スタートアップが、年収で大手に勝つ時代、到来か──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。
土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。
今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。
・大手→スタートアップはあり?
・華麗なるM&A!ZIZAIの次なる戦略は
・クラシコムのマーケティング支援に「恐るべし」
・「投資なんて大体断られる」?
について見ていく。
- TEXT BY HIKARU HAMADA
大手→スタートアップはあり?
日本経済新聞のある記事が話題になっている。「大手から新興、転職7倍 縮む年収差が追い風に」というタイトルの記事だ。
この記事は、VCや起業家、スタートアップで働く人たちの中で話題を呼んだ。
ベンチャー投資増加に伴い、ここ1年でスタートアップの平均給与は2割程度上がっているという話を耳にします。
— 朝倉祐介 -Yusuke Asakura (@Jockey723) March 6, 2022
その煽りを受け、人材の狩場になっている大企業でも給与水準の調整に向けた動きが出ています。
日本の賃上げの起点は、スタートアップ支援だったのかもしれません。 https://t.co/ELQiaDBmXR
給与水準の差や大手からの転職にスポットが当たってますが、労働市場とキャリアの柔軟性こそ大事だと思います。
— Tomosaku Sohara(宗原智策)/Nordic Ninja VC (@TomosakuS) March 6, 2022
北欧の場合、大手→スタートアップの一歩通行でなく、逆もあるし、更にそこから起業の道も、色々なキャリアパス・選択肢を歓迎する社会を作っていきたいです。https://t.co/3gYVm9teox
スタートアップが労働市場で市民権を得てきたという記事。ただし、この程度では未来は変わらない。起業、スタートアップ、VCキャリアが最たるブライトキャリアにならないと、War for Talent→賃金向上→生活向上には繋がらない。強力なスタートアップエコシステムを構築し、競争力の向上を実現します。 pic.twitter.com/yp8GMNRVGL
— 志水 雄一郎 | フォースタートアップス株式会社 代表取締役社長 (@You7089) March 6, 2022
今まで、スタートアップで働くといえば「年収が低い」「リスクが高い」印象が強かった。そのため、スタートアップへ飛び込むハードルは高かった。しかしこの記事によれば、「大企業からの転職者は3年前に比べて7倍に増えた」という。また、ミドル層が大手からスタートアップへの転職も増えている。
また求人で提示する額も高騰している。「年収1000万円超は2割を超え」ている状態で、スキルさえあれば転職しやすくなっている状態だ。この結果、記事のタイトルにもあるように2021年4月-9月で大手からスタートアップへ移った件数が2018年4-9月と比べて7倍になった(『AMBI』調べより)ということだ。
今後も、大手からスタートアップへの流れはさらに加速していくのだろうか。
華麗なるM&A!ZIZAIの次なる戦略は
ZIZAIは、アミューズメント事業の一部を残し、それ以外の事業を新たに設立したMEDIXに継承。ZIZAIをDMMに譲渡したと発表した。昨年、ZIZAIは子会社のIRIAMを評価額150億円でディー・エヌ・エー(DeNA)へ譲渡したばかり。この華麗なる事業売却はなぜ行われたのか、ZIZAIの創業者の塚本大地氏のnoteに迫った。
このたび
— 塚本大地/MEDIX Inc. CEO (@daichi_medix) March 8, 2022
新設分割によりMEDIX株式会社を新規設立し、同時にZIZAIの全株式をDMMに譲渡しました。
新規設立したMEDIXでは
「メディア産業のアップデートを通じて
人々により良い意思決定を」
をミッションに、動画メディアを軸とした事業展開を進めていきます。https://t.co/eri10dTviI
そもそもZIZAIは、名古屋大学在学中に塚本氏と渡辺稜太氏が立ち上げたベンチャー企業。パチンコ・パチスロの最新情報や設定判別が一目でわかる『スロパチステーション』を運営。過去には、イラスト一枚でキャラクターになってライブ配信ができるサービス『IRIAM』も手がけていた(2021年7月にDeNAグループ入り)。
塚本氏のnoteによれば今回の売却は、「今までは競争相手という関係で市場を牽引してきましたが、亀山さん(DMM会長兼CEOの亀山敬司氏)をはじめとしたDMMの皆さんとコミュニケーションを深めていくうちに、お互いの持っている強み・アセットが全く異なり、それらを共有することで、1+1=2ではなく、それ以上のシナジーを出すことが間違いなく出来ると確信」したことがあるという。
もともと「DMMさんのような会社に憧れて創業した会社」。そして次なるステップでは、「複数領域における動画メディアを起点とした事業を継承し拡大」していくという。今、一番注力したいことに「選択と集中」で挑む起業家の姿勢が見れたリリースだった。今後の新たなメディア戦略に期待したい。
クラシコムのマーケティング支援に「恐るべし」
クラシコムが手がけるマーケティング支援『BRAND SOLUTION』が伸びている。同社のリリースによると、提供開始の2015年7月から2021年7月期まで、年間売上平均160%増のペースで事業成長し、累計100社超に導入されたという。このサービスは、「北欧、暮らしの道具店」の事業内でのサービスだから驚きだ。
クラシコム、マーケティング支援もしているんか・・・(おそるべし)。https://t.co/3BwGRqivgq
— Takato Sakurai|HONE (@LOCAMA_AT) March 8, 2022
BRAND SOLUTIONは、動画制作やYouTubeでの配信、顧客へのサンプリング、商品開発など、ブランドの創造や価値向上を図る包括的なマーケティング支援サービス。単なる商品紹介ではなく、見応えがあるエッセイや動画を制作している点が評価されたという。
toC向けのマーケティング施策の中では群を抜いているかもしれない。それにしても、平均160%の成長は凄すぎる。
「投資なんて大体断られる」?
NOT A HOTEL代表取締役の濵渦 伸次氏のつぶやきが注目を集めている。
投資なんて大体断られる。
— 濱渦伸次 | NOT A HOTEL (@shinji_hamauzu) March 8, 2022
シードラウンドは鼻で笑われて、
シリーズAはまだPMFしきれてないと言われ、
シリーズBはシードの時に入れたかったと言われる。
それでも1人でも面白い!と言ってくれる投資家さんがいると信じて今日も頑張るのです。
折れない心大事。
(絶賛ファイナンス中)
資金調達は前よりもしやすくなった。しかし、現状は「困難」なようだ。
このツイートは起業家の共感を呼んだ。
分かる。
— 緒方憲太郎(Voicy代表) (@ogatakentaro) March 10, 2022
諦めないことと、自分の事業を信じることと、未来何があってもやりきる自分をもつこと大事。 https://t.co/enfGaIY25O
ほんまにこれofこれ、月並みな表現だけど頷き過ぎて首折れた。
— 清水信哉/Elephantech/カジュアルDM歓迎 (@kakenman) March 9, 2022
「イノベーションは多くの人に理解されない」と言いつつもやはり心折れそうになるもの。ほんと世の起業家はこの点凄いと思ってます。
一方で多くの人が理解しないものに投資する投資家にも尊敬しかない。
(なお絶賛ファイナンス中) https://t.co/h9gzSBYSDi
共感。
— 天沼 聰/エアークローゼット代表 (@satoshi_amanuma) March 9, 2022
断られることが事業に対する否定と感じてしまう時もありますが、全員の人が全員良いと感じる事業はだいたい既存事業の延長が多い気がします。新しい価値観や新しい概念を生む事業は、まだ価値が見えにくいもの。きっと信じてくださる方に出会えることを信じて、自分の伝え方を磨くのみかなと。 https://t.co/ep7mKI3AET
エアークローゼット代表取締役社長兼CEOの天沼聰氏が言うように、投資家に投資してもらうためにも、「伝え方」はものすごく重要だということを感じる。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2022年03月11日に公開しており、
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