隠れた大物スタートアップ?たった“9人”で米ナスダックへ──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。
土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。
今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。
・どうやってグローバル化した?Warranteeの挑戦
・大和証券、スタートアップ投資本格参入か
・どうなるLOVOT。前澤ファンドが買収
・関西で最もアクティブな人物が手がけるインキュベーション施設とは
について見ていく。
- TEXT BY HIKARU HAMADA
どうやってグローバル化した?Warranteeの挑戦
社員わずか9人で米ナスダック上場を申請──。
今週、ITmediaの記事「社員9人で米ナスダック上場 日本のベンチャーWarranteeが進める“無料保険”とは何か」が注目を集めた。
社員9人で米ナスダック上場 日本のベンチャーWarranteeが進める“無料保険”とは何か https://t.co/uz2HvIZ1h6
— 庄野 裕介 / Warrantee (@shounoYSK) March 15, 2022
Warranteeは、保証や保険を無料で提供するサービス「フリーインシュアランス」と、検査・治療や医療機器を無料提供する「フリーヘルスケア」を手がけるスタートアップ。フリーインシュアランスに関しては国際特許を申請しており、ナスダック上場を機に世界展開を目論んでいると言う。
そもそもなぜ国内市場を飛び越えてナスダックなのかと疑問に思った読者も少なくないだろう。 ITmediaの記事によれば、現状Warranteeの売り上げの8割は日本という。これをナスダックに上場することでグローバル企業にするということだから驚きだ。すでに拠点はシンガポールに設立している。
代表取締役の庄野裕介氏はFastGrowの取材に、「海外での上場という選択肢はまだ一般的ではないけれど、不可能などということはありません。スタートアップがスケールしていく手法はもっとたくさんあるはずなので、私たちも一つの新たなモデルにもなれたらと思って頑張ります」とコメントした。
同記事を受け、起業家からは驚きの声が上がった。
9人でもナスダックに上場できるという事実。
— 加納裕三 (Yuzo Kano) (@YuzoKano) March 15, 2022
みんな固定概念に縛られすぎ。https://t.co/1uWX216tAf
素晴らしい。感動した。
— 熊谷正寿【GMO】STOP WAR (@m_kumagai) March 15, 2022
この事例が良い例だが、世の中を良くするアイデア、そしてチャンスは無限。
若者よ。大使を抱け。
社員9人で米ナスダック上場 日本のベンチャーWarranteeが進める“無料保険”とは何か https://t.co/HBYNuIWRue
これすごいな。顧客情報の集め方が変わる!https://t.co/OtzMdeRnTb
— 緒方憲太郎(Voicy代表) (@ogatakentaro) March 15, 2022
純粋に国内市場でIPOを目指すスタートアップからすると「異常」かもしれない。しかし、bitFlyer共同創業者の加納裕三氏が言うように「みんな固定概念に縛られすぎ」なのかもしれない。
大和証券、スタートアップ投資本格参入か
大手証券がスタートアップ融資に参戦した。
大和証券グループ本社は、ベンチャーデット事業を行うブルー・トパーズを子会社にしたと発表した。これにより大和証券は、従来のIPOやビジネスマッチング支援に加え、融資からもスタートアップを支えることができるようになった。
ブルー・トパーズは2019年設立。2週間程度で1000万円から2億円を融資する。すでに135件の融資を実行しており、日本経済新聞によれば大和証券との相乗効果は高いとの見通しだ。商号は大和ブルーフィナンシャルに変わるが、代表取締役川原朋子氏の留任をはじめとして、現在の執行体制は継続することを想定しているという。
ヤプリ取締役CFOの角田耕一氏は「スタートアップでも増資以外で資金調達する仕組みも増えてきてる。さらに選択肢が広がりそうで期待」とコメント。
これは、、、!最近は銀行の融資とかsiiiboさんの様な社債とか、スタートアップでも増資以外で資金調達する仕組みも増えてきてる。さらに選択肢が広がりそうで期待
— Koichi Tsunoda | CFO @Yappli (@KoichiTsunoda) March 15, 2022
大和証券、スタートアップ融資参入 ノンバンクを買収https://t.co/j3AYDg1REF
今後もスタートアップがビジネスを展開しやすい社会となるよう、資金調達の仕方が多様化することに期待したい。
どうなるLOVOT。前澤ファンドが買収
2018年12月に発表し、2019年8月から一般販売を開始した、“役に立たない家族型ロボット”の『LOVOT』。このLOVOTを開発・販売するGROOVE Xは、同社の全株をZOZO創業者の前澤友作氏の前澤ファンドが買収すると発表した。一時、マスメディアに引っ張りだことなっていたLOVOT。一体どうなってしまうのだろうか。
LOVOT(らぼっと)って知ってますか?
— 前澤友作 (@yousuck2020) March 15, 2022
クゥンクゥン言いながら近寄ってくる、癒し系ロボットなんです。
まさに人の愛を呼び覚ましてくれるロボット。こんな時代だからこそ世界中に拡げたい。林社長と一緒に頑張ります!
LOVOTオーナーの皆様、これからよろしくお願いしますhttps://t.co/GycRJIzRZH pic.twitter.com/Z4utd7Rur1
GROOVE Xは、トヨタ自動車とソフトバンク出身の林要氏が2015年に立ち上げた企業。あのロボットPepperの開発者でもあり、当時LOVOTの発表にはかなりの注目が集まった。また、過去何度か資金調達を実施しており、直近ではNTTドコモとの資本業務提携も発表、累計調達額は133億円に達していた。
ここまで注目を集めていたプロダクトであり、会社だったが、なぜ急に前澤ファンドに全株売却となったのだろうか。
日本経済新聞によれば、「21年10月期の売上高は前の期比3倍の約24億円」と売り上げ自体は伸びていたという。しかし2021年ごろから、「パーツの原価高騰、コロナ禍でのファクトリースタッフ不足」を理由に値上げを複数回決行。2022年4月からの新価格は一般的なプラン(ソロ・スタンダード、月額サービス料)は月額14,960円(消費税込み)と、発売当初と比べて月額5,980円の値上げしている計算になる(支払い方法、キャンペーンなどで価格は前後する)。
今後、前澤ファンドの力でどうLOVOTは変わっていくのか気になるところだ。
関西で最もアクティブな人物が手がけるインキュベーション施設とは
スタートアップのソーシングとアクセラ運営のRe:Vive代表の鈴田泰久氏が手がける、京町家を使ったインキュベーション施設「京町家スタートアップ拠点」が正式にオープンしたという。これを受け、スタタイがインタビュー記事を公開。SNSで盛り上がりを見せている。
7月からステルスでスタートアップを集めていた京町家を正式オープンしました!
— 鈴田 泰久 Suzuta Yasuhisa (@yasuhisa199811) March 14, 2022
これからの世界を変えていく起業家すでに複数入居しており、総来訪者数で140名を超えています!
関西アツいです。
京都に町家を使ったインキュベーション施設を正式オープンしましたhttps://t.co/f9VLrnKKFM
関東や関西、中部、九州など、昨今増えてきた行政主導のコワーキングスペース。しかしなかなか、運営がうまくいっている、シナジーをうまく生み出している、といった施設は多くない印象だ。京町家スタートアップ拠点は、世界を変えていく若者が泥臭く、熱量高く、事業に専念できる環境を目指し、幕末の松下村塾や初期のPayPal、Googleが入居していた165 University Avenueなど「熱量の高い若者が集まり世界をかえてく人々が集まってきた場所」を目標とするという。
すでに、関西のスタートアップや東京のスタートアップ、VCや行政のハブとしての役割を担っている京町家スタートアップ拠点。世界を変えたい若者たちの思いを醸成する場を期待したい。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2022年03月18日に公開しており、
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