日本産のサービスを海外へ、ZEALS・ジョーシスの戦略──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。
土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。
今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。
・資金調達ラッシュ!注目はゲノム編集のスタートアップ?
・チャットコマースを世界へ、ZEALSがUSへ本格進出
・国内スタートアップデータベースがようやく海外展開へ
・たった8ヶ月で建築業界でシェア8割とれた新規事業とは?
について見ていく。
- TEXT BY HIKARU HAMADA
資金調達ラッシュ!
注目はゲノム編集のスタートアップ?
今週もまた資金調達リリースが多かった1週間だった。その中で今回は、ゲノム編集スタートアップのリージョナルフィッシュを紹介したい。
リージョナルフィッシュ、シリーズBで約20.4億円の資金調達を実施 https://t.co/OeU8o3DYnd via @PRTIMES_JP
— リージョナルフィッシュ (@regionalfish) September 5, 2022
同社は、京都⼤学⼤学院農学研究科准教授の⽊下政⼈氏と、近畿⼤学⽔産研究所教授の家⼾敬太郎らの技術シーズをコアとして設⽴されたスタートアップ企業。ゲノム編集などの品種改良技術と、養殖技術を活用し、今後不足するであろうと考えられる海洋資源から摂取できるタンパク質を代用、解決することを目的としている。
今回の資金調達により、シリーズBラウンドとして、Beyond Next Ventures、荏原製作所、NTTファイナンスなどから約20.4億円を調達。国内最大級の養殖プラントを新設。そのほか、研究費用に充てるという。
その他にも、英語圏での展開を見据えてシリーズAで総額44億円を調達した、ラクスル松本恭攝氏率いるジョーシスや、今までにない1倍非参加型優先株式による資金調達を行ったスマートラウンドなど注目の資金調達リリースが多かった印象だ。中でもジョーシスは、今回の調達により、2023年からインド・バンガロールを拠点に英語圏でのサービスを開始するという。松本氏はnoteで「ネットワーク効果が必要ない、サプライチェーンが必要ないからこそ、海外での展開がしやすくなっていくと考えています。ユニバーサルなサービスでポストコロナ時代の世界中のユーザーのリモートワーク環境を支えていきます」を力を込める。
4億円を調達した経営管理プラットフォームのDIGGLEも、FastGrowの記事がこれまでに3本あり、ぜひ合わせてチェックしてほしい。
チャットコマースを世界へ、ZEALSがUSへ本格進出
チャットコマースのZEALSが、アメリカ法人を設立した。
ジールスのアメリカ法人を設立しました!
— Masa Shimizu / ZEALS (@masa_zeals) September 4, 2022
チャットコマースのUS展開へ、ビザ取得後は僕自身も現地に飛び込んでコミットしていきます!!
やるからにはナスダック上場を目指して体制強化も一気に進めてるので興味ある方ぜひ!ともに、日本から世界をぶち上げましょう!!https://t.co/YzlghyD9Sf
チャットコマースは、ECに続く販売形式として注目を集めている。エンタープライズ導入社数は400社超、サービス利用継続率は98.9%と公表している。海外でもすでに、アパレルを中心に導入が進む。
SDKIの調査によれば、グローバルチャットボットの市場は2022年の43.7億米ドルから、2030年に266.9億米ドルまで6倍の成長を見せる。
今後、ますます巨大化する市場の中、どのような海外戦略を展開するのか期待したい。
国内スタートアップデータベースがようやく海外展開へ
ここまで、ジョーシスとZEALSの海外展開に触れてきた。2021年ごろからは海外マネーの国内スタートアップへの投資も増えてきていた。そうした動きと歩調を合わせるかのように、日本のスタートアップエコシステム自体が外を向く動きが増え始めている。
スタートアップ情報プラットフォーム『INITIAL』が英語版での配信を開始した。
INITIAL(Global Startup Database Service)English version released! Be Global!
— 仲川英歩/Uzabase (@eibu1024) September 6, 2022
INITIAL Adds English Translation Tool, Bringing Japanese Startup Information to the Global Markethttps://t.co/D8vRzf4HEH
スタートアップ担当相に山際大志郎氏が任命されたことを筆頭に、国がスタートアップ育成に力を入れていることは昨今のさまざまな報道を見ると明らかだ。一方で、国内の時価総額10億円以上のユニコーン企業は、日本経済新聞によれば6社。アメリカ470社、中国169社という数字を見ると、日本のスタートアップはまだまだ少なすぎる。
日本国内で活躍する起業家で、ユニコーン企業を目指す以上、海外VC等からの資金調達は重要なキーとなってくる。今後の展開に注目したい。
たった8ヶ月で建築業界でシェア8割とれた新規事業とは?
たった8ヶ月の新商品で業界トップシェアを獲得することができるのだろうか。そんなことはさも当たり前だろうという強い意志を持ったnoteが今、読まれている。
建材業界で立ち上げたサービスについてnoteにまとめました!
— 鶴岡 友也/BLUEPRINT, inc. 最高事業責任者 (@tsuru___chan) September 7, 2022
立ち上げから半年で法人化。初月からいきなり6000万円ほどの売上を出せたのはなぜなのか、振り返ってみました。
建材業界で新規事業を立ち上げて、8ヶ月で「業界シェア80%」をとれた理由 #note @tsuru___chan https://t.co/eTI6RMiQI9
起業の再現性を高め、スタートアップを量産する会社と称するBLUEPRINTのCPO、鶴岡友也氏が書いた「建材業界で新規事業を立ち上げて、8ヶ月で「業界シェア80%」をとれた理由」と題したnoteが注目を集めている。内容は、同社が目指すスタートアップを量産することを具現化した新サービスの一つ、建材商品の一括検索サービス『建材サーチ』の立ち上げ事例の紹介だ。
一般的に新規事業が黒字化するまで3-5年必要とする中、この建材サーチは初月で売上6,000万円、たった8ヶ月でエクステリア業界内でシェア8割を達成したという。そんな簡単に成功するサービスをどう立ち上げればいいのだろうか。
やはり、実際に開発したいサービスのユーザーとなり得る人が抱える課題の洗い出しと、関係者各位への交渉が肝のようだ。その上で、事業化へのロードマップを作成し、成し遂げる。当たり前のことといえばそうだが、難しい。新規事業の立ち上げの難しさを痛感しつつも、どうするのが最短なのか肝に命じることができるので、ぜひ一読をお勧めしたい。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2022年09月09日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。