文化を、ひたすら醸成せよ!CEO主導の組織づくりを学ぶ──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。
土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。
今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。
・「100話で心折れるスタートアップ」完結!あるある話だった?
・3Sunny、帝人子会社へ!スタートアップのM&Aとは
・LayerXと10Xの共通点は、「CEOが組織に徹底コミット」?
・シリーズAで15億円調達したScalarとは
について見ていく。
- TEXT BY HIKARU HAMADA
「100話で心折れるスタートアップ」完結!
あるある話だった?
Twitter連載漫画「100話で心折れるスタートアップ」がようやく、100話を迎えた。起業家たちにとっては、首がもげるほど頷きたい内容ばかりだったのではないだろうか。
敢えて99話をここには貼り付けるので、続きが気になる読者は自ら確認してみてほしい。
#100話で心折れるスタートアップ
— 100話で心折れるスタートアップ (@HeartBreakSU) October 6, 2022
99話目#スタートアップ pic.twitter.com/XcE0NoNBes
そもそもこの漫画はどのような話なのだろうか。
M大学起業サークルに所属するうさぎが、起業して、そして心が折れてしまうという話だ。はじめは仲間のコアラと共に起業し、エンジニアとして心強いイヌと出会うものの、共同創業者が途中で離脱。事業もうまくいかず、何度もピボットを繰り返し、ようやく軌道に乗り始めたと思った矢先に…という話だ。
まさに、フィクションだけれども「スタートアップあるある」の話ということもあり、Twitterでは大きな盛り上がりを見せた。
100話で心折れると言われているスタートアップ、20年やってる
— KAZUMA IEIRI / 家入一真 (@hbkr) October 5, 2022
100話で心が折れるスタートアップが大変な人気。起業してもそこで働くにしても毎日のように大変なことがありますよね。研究においても投下時間×熱量で結果が出た時にモチベーションが上がると言います。心がまさに折れるか折れないか。春の来ない冬はない。今日も一日頑張って参りましょう。
— 高野秀敏/ベンチャー転職/エンジェル投資家/M&A (@keyplayers) October 5, 2022
賛否両論はあるものの、スタートアップは楽しいことばかりではない。そう肝に命じながら、この漫画を楽しんでいただけるといいかもしれない。
なお、100話で終話するわけではないのだという。復活劇がみられるのか、それとも……?我々も、いちファンとして楽しみだ。
3Sunny、帝人子会社へ!
スタートアップのM&Aとは
スタートアップのエグジットには大きく2種類あると言われている。一つ目はIPO。これはよく耳にするだろう。スタートアップの新規上場は「一つの成功の形」とも言える。だが、日本ではこの「IPOこそ目指すべきエグジット」という流れが強すぎるという指摘がなされて久しい。
もう一つの形としてのM&Aが、もっと注目を集めていいはずである。そうした考えから、今週明らかになったM&Aの事例について深掘りしてみたい。
ヘルステックスタートアップの3Sunnyが、帝人の子会社になったと発表した。もとより2020年から資本業務提携を結んでいた両社。帝人の有形・無形の経営資源を最大限活用し、ビジネスを躍進させていくという。
帝人は、創業100年超の日本を代表する大企業だ。繊維関連メーカーとして拡大したのち、1970年ごろから事業を多角化。メイン事業となっているマテリアルセグメントの売上高は9,261億円にのぼり、医薬品や在宅医療といった事業領域で取り組むヘルスケアセグメントも売上高は1,836億円となっている(2021年3月期決算)。
このヘルスケアセグメントにおける新規事業として地域包括ケアの基盤を構築している中での、今回のM&Aとなったわけだ。
【ご報告】
— 志水文人@3Sunny (@shimonnzu) October 5, 2022
3Sunny、帝人子会社となります。
この度、3Sunny社は、帝人株式会社の子会社として、グループインすることになりました。
(1/n)https://t.co/9TqcC0j2V4
3Sunnyが展開する『CAREBOOK』は、この約2年で利用病院数が10倍以上に増え、東京と大阪においては全病院の3割ほどに利用されるまで急拡大。さらなる拡大を、帝人の大きなアセットも活用しながら目指していく。
気になる今後の体制についても、創業メンバーの代表取締役CEO志水文人氏、取締役CTO 矢澤慎之介氏、取締役COO榎本順彦氏が残るとはっきり明言。完全子会社としての新たな挑戦が始まることになる。
日本ではなかなかスタートアップのM&A事例が出ない。最近で言えば、アミューズメント事業を手掛けるZIZAIがDMMに参画したことや、クラウド請求管理サービスのmisocaが弥生にジョインした事例など探せば多々あるものの、なかなか注目されることはない。
今後もIPO以外の選択肢として、M&Aによるエグジット事例が「あたりまえ」の選択肢となり、かつ成功事例としての注目案件が増えていくよう、FastGrowも尽力していきたい。
LayerXと10Xの共通点は、「CEOが組織に徹底コミット」?
今週SNSで話題になったものといえば、LayerXと10Xの両CEOのブログだろう。双方とも、組織づくりに注力した日々をまとめたブログを公開。
LayerX代表取締役CEOの福島良典氏は、「企業文化に投資する」と題したnoteを公開。
最近のLayerXの企業文化への取り組みをまとめました / 企業文化に投資する|福島良典 | LayerX #日経COMEMO https://t.co/V3G040k8i2
— 福島良典 | LayerXはSaaS+Fintechの会社です (@fukkyy) October 3, 2022
LayerXでは、事業戦略と同じレベル、それ以上に企業文化に投資しているという。特に組織人数が50人、100人と拡大してくると、どうしても古参メンバーと新しいメンバーとでカルチャーのギャップが生まれてしまう。せっかく期待して入社を決めてくれた新しいメンバーが、カルチャーのギャップにより退職してしまっては元も子もない。そうならないためにも、企業文化の形成は重要ということだ。
対して、10X代表取締役の矢本真丈氏は「組織と人事に向き合ったCEOの12ヶ月」と題したブログを公開。事業に課題が出てきたタイミングで、その根幹が「組織」と判明。10Xにとってどのような組織がいいのか頭を悩ませたという。
組織と人事に向き合ったCEOの12ヶ月https://t.co/T7Vt1Jxhib
— yamotty (@yamotty3) October 2, 2022
この1年向き合ってきた社内の組織と人事について、大きくアップデートを行い、その背景を書きました。
両者のブログからも分かるように、売り上げに直結しない組織づくりは疎かにされがちだが、事業を成長させる、そして企業を成長させる上では欠かせないものだ。組織づくりに悩む起業家は多い。ぜひ2人の記事を参考にしてほしい。
シリーズAで15億円調達したScalarとは
今週の資金調達では、三井住友海上キャピタルとMIRAITRONCを協調リードにシリーズAで15億円調達したScalarを見ていきたい。
ScalarはシリーズAラウンドで15億円の資金調達を実施しました。国内での販売と製品強化を加速し、米国展開を進めて参ります。#scalar #scalardb #scalardlhttps://t.co/Cu2eyzjB9F
— Scalar, Inc. (@scalar_labs) October 4, 2022
Scalarは2017年設立の分散型台帳ソフトウェアの研究と開発を行う企業。トヨタ自動車の知財DXプラットフォームに採用された実績も持つ。
また同時に同社は、海外進出の準備に伴いDeepKey Dataとパートナーシップ契約を締結。本格的に海外進出を加速させていくという。
その他今週は、シリーズAエクステンションラウンドでMicoworksが18億円を調達したほか、UbieがシリーズCラウンドを総額62.6億円でクローズしたという発表もあった。短期間で多くの投資家から資金を集めているというすごさもあれば、資金調達リリースを分散させてPR効果の拡大を狙う戦略も垣間見える。興味深い事例と言えるだろう。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2022年10月07日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。