マツリカ、プレCで10億調達。その勝ち筋は──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。
土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。
今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。
・マツリカ、セールスの働き方を変える!大手企業が注目するクラウド営業ツールとは
・エンジニア評価のフルサービス登場、経済底上げなるか?
・AI学習の先駆け『Aidemy』、ついに上場
・生成AIにも積極投資へ!Wが2号ファンド20億円増額
について見ていく。
- TEXT BY HIKARU HAMADA
マツリカ、セールスの働き方を変える!
大手企業が注目するクラウド営業ツールとは
今週の資金調達リリースは、web3インキュベーターを運営するFLICKSHOT FZCOの約7億円調達や、家庭料理宅配サービスのAntwayの約8.7億円調達、国内製造業のDXを推進するスカイディスクの約8億円資金調達リリースなど、手堅い資金調達が多い印象だった。その中でも今回は、クラウド営業ツールを展開するマツリカについて紹介していきたいと思う。
マツリカは、三菱UFJキャピタルをリード投資家として、DNX Ventures、Archetype Ventures、いよぎんキャピタル、きらぼしキャピタル、tb innovations、Sony Innovation Fund、大分ベンチャーキャピタルからプレシリーズCで総額10億円を調達したと発表した。
資金調達とコーポレートリブランディングの発表を行いました。 https://t.co/IVycA0cZz6
— Eiji Kurosa@Mazrica inc (@eiji_kurosa) May 24, 2023
マツリカは、営業の属人化が引き起こす、不安定なクラウドサービス運用の課題解決を目指すスタートアップ。同社によれば、営業課題を解決するはずのSFAやCRMといったクラウドサービスを導入したとしても、55%が課題を解決できていないという。ここからマツリカは、セールスのための現場主義プラットフォーム『Senses』を開発・運営。使われるSFAやCRMを目指し、日本経済新聞によれば、すでに導入企業社数は約2,800社にのぼるという。
また同社は4月に、新サービスのカスタマーコラボレーションプラットフォーム『DealPods』を公開。海外で注目の新セールステック、デジタルセールスルーム領域での新規プロダクトとなっている。
先週も紹介したように、昨今大企業系CVCによる投資が加速しているように思う。今回のマツリカの資金調達でも、ソニーのCVCであるSony Innovation Fundが新規投資家として参画した。今後も、大企業系CVCが資金調達リリースに名を連ねてきそうだ。注目して見ていきたい。
エンジニア評価のフルサービス登場、経済底上げなるか?
あなたの会社のエンジニアの給料は、適正だろうか?
PROJECT COMPは、企業向け評価・報酬決定プラットフォーム『PROJECT COMP(プロジェクトコンプ)for Business』の提供を開始したと発表した。
企業向けに「評価制度作りから評価査定までワンストップで支援する」評価・報酬決定プラットフォームサービスをリリースしました!https://t.co/9oeUt0H9ZW
— 田川 啓介 | 給与データベース (@tagawagata) May 17, 2023
・社員の給与のフェアバリューがわかります
・人事評価制度が作成・更新できます
・現場での評価査定プロセスが構築・管理できます…
PROJECT COMP for Businessは、IT人材に特化した800社にもおよぶ企業の給与データプラットフォーム『PROJECT COMP』に、経験を積んだコンサルタントによる評価の目を介入させた企業向け評価・報酬決定プラットフォーム。企業の適切な評価制度作りから評価査定までをサポートするという。
実際、給与データベースとなるPROJECT COMPを確認すると、ソフトウェアエンジニアやプロダクトマネージャー、研究開発エンジニアなど、スタートアップには欠かせない職種の給与に関する平均年収や中央値を確認することができる。
最近では会社紹介資料で給料を公開する会社も出てきている。企業側も給与水準をオープンにし、より優秀な人材を採用する時代が来ているのかもしれない。
またPROJECT COMPに関しては、過去FastGrowでも、XTech Ventures代表パートナー手嶋浩己氏との対談企画記事を出している。ぜひ読んでみてもらいたい。
AI学習の先駆け『Aidemy』、ついに上場
学生起業の先駆けとなったアイデミーが上場承認を受けた。申請を受けた19日には、新規上場申請のための有価証券報告書が公開され、Twitterでは喜びの声がみられた。
投資先アイデミー上場承認!とてもハッピーな日です。若手起業家豊作な1992年生まれ第1号上場かと(多分) @ai_aidemy
— 木下慶彦(Max) / Skyland Ventures (@kinoshitay) May 19, 2023
#起業しろ pic.twitter.com/L4KLlY8MGD
今回はこのアイデミーとはどのような会社なのか。そして同社代表である代表取締役執行役員社長CEOの石川聡彦氏についても紹介していきたい。
アイデミーは、DX人材育成サービス『Aidemy』を展開するエドテックスタートアップ。toC、toB向けのAIプログラミングやデータ分析、E資格取得などの教育サービスを中心としつつ、AI運用サービスも展開している。
またアイデミーについては、代表にも注目したい。代表の石川氏は、1992年生まれの学生起業家。学生起業家あるあるネタで有名で、ブログ記事『「学生起業家あるある」は全部俺がやった。3年間失敗し続けた秘訣を大公開。』では、過去に弁当のデリバリーやポイントカードアプリなど、何度も事業をクラッシュアンドビルドした話を書いている。
一般的に、学生起業はビジネス経験がないために、なかなか成功しないと考えられることが多い。その中でも堅実にビジネスを軌道に乗せた好事例となった。
生成AIにも積極投資へ!
Wが2号ファンド20億円を増額
スタートアップではすでに、生成AIを使いこなすことが当たり前となりつつある。その中で、シード・アーリーステージのスタートアップを中心に投資を行うWは、2号ファンドの総額を50億円から70億円まで増額したと発表した。
2号ファンドを増額させていただきました。国内シリーズA投資や東南アジア投資も頑張っていきます!みなさま、是非連携させてください!!https://t.co/N3csFxfCWl
— 新 和博@W fund代表パートナー (@shinsan_vice) May 23, 2023
Wの投資対象は、シード・アーリーステージからシリーズAまでの、toC事業を運営するスタートアップ。これに加えて、今回のリリースでは生成AIやブロックチェーン事業を展開するスタートアップも対象とすると公開した。
また今回のファンド増資により、東南アジアへの投資を開始すると発表。
今後のWの投資活動に注目していきたいところだ。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2023年05月26日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。