連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

アスエネとSBI、カーボンクレジットで協業へ──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。

土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。

今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から3本のニュース・話題をピックアップ。

・クックパッドが110名の人員削減へ

・手軽に野菜が摂れる、『GREEN SPOON』シリーズBで2億円調達

・アスエネ、SBIと新会社設立!その事業内容は

について見ていく。

  • TEXT BY HIKARU HAMADA
SECTION
/

クックパッドが110名の人員削減へ

今週、Twitterでは驚きの投稿が多く見られた。

クックパッドは、「人員削減の合理化及び営業損失の計上に関するお知らせ」を発表。その中で、日本・海外で110人の退職勧奨・解雇を行ったと公表した。同社は2023年、2月3月に希望退職者を募集し、約120人が4月までに退職していた。今回の発表はこれに続くものとなった。

クックパッドは1997年に設立。2009年に東証マザーズ(現グロース)に上場し、2016年にはアメリカ進出を開始。有価証券報告書によると、2023年3月末時点での従業員数は409人だった。

今回の110人の人員削減により、従業員の約1/4が削減されることとなった。

クックパッドの人員整理により、Twitterではエンジニアやデザイナーの募集・支援を行う投稿が相次ぎ、いわゆる「Twitter就活」がトレンドに。同社のエンジニアはRubyを得意とする人材が多いことが特徴でもあり、注目を集めた。

また元クックパッド社員もTwitterで「私でよければ、お話ししましょうー」などと投稿。

企業側も、クックパッドから放出されるエンジニアやデザイナーに直接アプローチをかけ、投稿はさらに加熱。採用情報が多く出回った。

この動きに対してTRACK RECRDSは、エンジニア向け・デザイナー向け合同会社説明会を開催すると発表。

また同社はエンジニアに特化した各社の採用ピッチ資料まとめも公開。

この一連の動きが意味するのは、「転職活動のオープン化」そして「エンジニア・デザイナー採用の激化」だと言えるだろう。

日本においては長らく、転職活動をオープンな場で語ることがタブーとされてきた雰囲気がある。だが今回は、SNS上で自ら転職先を募るような投稿までみられた。拍車をかけているのが、多くのスタ―トアップが苦労しているエンジニア・デザイナー採用だ。需要に対して人材供給が追いついておらず、こうしたきっかけをキャッチして瞬発的に動くことが重要な一手になるのかもしれない。

だが、冷静に見ることも重要だ。クックパッドの事業や組織の安定、そして人員整理の対象者一人ひとりが、自身にマッチした転職先を無事に見つけること、そうした帰結が訪れることを願うばかりだ。

SECTION
/

手軽に野菜が摂れる、『GREEN SPOON』シリーズBで2億円調達

今週も多くの企業から資金調達リリースが公開された。FairyDevicesは取引先であるダイキンやNTTテクノクロスなどから総額約21億円の資金調達を実施。モノ貸しアプリを展開するピーステックラボは、日本郵政キャピタルやJR東日本スタートアップなどから総額10億円の資金調達を実施した。そのほかにも、抹茶を世界に広めるWorld Matchaはデジタルガレージやエンジェル投資家などから総額5億円を調達したと発表した。

その中で今週紹介したいのは、一人暮らしなら誰もがおそらく一度は目にしたことがあるであろう『GREEN SPOON』の資金調達を紹介したい。GREEN SPOONは、2億円の資金調達をしたと発表。設備強化や商品開発への投資のほか、マーケティング強化、人材採用に活用するとのことだ。

同社が手掛ける『GREEN SPOON』は、日本人に不足しがちな野菜がそのまま摂れることを意識した商品開発を行っている。

厚生労働省によれば、日本人の平均野菜摂取量は280.5 g。一方で厚生労働省が目安としている1日の野菜摂取量は350g。ここからも『GREEN SPOON』は、野菜摂取が難しい、ビジネスパーソンに向けた商品として注目を集めている。

すでに同社はスムージー、スープ、サラダなどを展開。今後も新商品開発に力を入れていくという。

SECTION
/

アスエネ、SBIと新会社設立!
その事業内容は

二酸化炭素排出量見える化・ESG評価プロダクトを展開するアスエネは、SBIホールディングスと共同で排出量取引所を開設すると発表した。新会社の名称は「Carbon EX」。共同代表取締役兼Co-CEOとして、アスエネ代表の西和田浩平氏と、SBIグループ、SBIリクイディティ・マーケット執行役員の竹田峻輔氏の2名が就任する。

排出量取引とは、太陽光や風力など、再生可能エネルギー設備の新設や森林保全などのプロジェクトに伴う二酸化炭素排出量の削減分を売買する取引。自社だけでは二酸化炭素排出量を減らすことができない場合、排出量取引所を通じてカーボンクレジットを購入することで、相殺できる仕組みだ。

ブルームバーグNEFによると、世界のカーボンクレジット市場は現時点で約20億ドルと試算され、2037年には1兆ドルに達する可能性があるとのこと。

今回両社が設立した新会社Carbon EXは、この排出量取引所を日本で初めて開設することを目指すという。また東京証券取引所でも、年度内の排出量取引所の設立を目指しているとのことだ。

日本でもようやく注目を集めてきたカーボンオフセット。今後の動向に注目していきたい。

さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2023年06月09日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

次の記事

記事を共有する
記事をいいねする

執筆

濱田 ひかる

会員登録/ログインすると
以下の機能を利用することが可能です。

新規会員登録/ログイン