連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

2023年上半期調達額、1位は110億円調達のキャディ──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。

土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。

今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から5本のニュース・話題をピックアップ。

・生成AI・LLMサービスが日本でも続々。VCの動きは?

・フォトラクションが17億円、デイブレイクが20億円。今週の資金調達

・日経、2023年上半期調達額ランキング発表!1位はキャディ

・日本郵便EV社用車93台に導入された『YaneCube』とは

・ラクスル代表をバトンタッチ!創業者が社長の座を降りる時とは

について見ていく。

  • TEXT BY HIKARU HAMADA
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生成AI・LLMサービスが日本でも続々。
VCの動きは?

LLM(大規模言語モデル)を活用したプロダクト開発・リリースが急増している。そこで今回は、この流れを受けたAI技術の進歩について、VCがブログを公開していたので紹介したい。 1本目は、ALL STAR SAASの「生成AI・LLMソリューション続々登場!VCはどう見る?」だ。

LLMの台頭により、SaaSの開発がどのように変動するのかをテーマとしている。

中でも注視したい章は「iPhoneが登場し、App Storeが確立した時期に似ている」だろう。記事内のALL STAR SAAS FUNDのアドバイザー 宮田氏のコメントを引用すると、「LLMの意味や構造を理解し、それに対する問題解決をどのように進めるのかを深く考えてプロダクトにつなげていくことで、次のフェーズでの競争力を維持できるのではないかと考えています」とのこと。常にLLMの最新の情報をインプットし、どうプロダクト開発に繋げていくかがやはり鍵になりそうだ。

2本目は、Coral Capitalの「AI革命でスタートアップが台頭するのか、それとも大企業が勝つのか?」だ。この記事によるLLMの期待は、「依然としてSaaSの導入が遅れている業界や分野との「ギャップ」を橋渡しする力もあります」とのこと。

LLMは未知の領域であるものの、事業に、サービスに率先して利用していくべきものとなってきているようだ。

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フォトラクションが17億円、デイブレイクが20億円。
今週の資金調達

今週の資金調達は、建設業向けBPaaSを展開するフォトラクションが17億円を、特殊冷凍テクノロジーのデイブレイクが20億円の調達を、それぞれ発表した。

一方で今週は、独立系VCで、スタートアップ向けファンド組成が相次いでいる様子も伺えた。その中でも100億円規模という巨額ファンド組成は、7月5日に発表したデライト・ベンチャーズの150億円規模に次ぐ大きさでインパクトを残した。

それが独立系VCのAngel Bridge。100億円規模の2号ファンド「Angel Bridge Unicorn Fund2号」の募集を完了し、運用を開始したと発表した。投資対象は、シード・アーリー期、大学発やディープテック事業を手掛けるスタートアップとなるようだ。1社あたりの投資額は最大20億円、初回投資の場合は最大5億円になるという。

Angel Bridgは今まで、事業者と個人をマッチングするミツモアや、ヘルスケア系のスタートアップなど、22社へ総額52億円の投資を行ってきた。すでに2号ファンドも開始しており、東京工業大学発バイオベンチャーのLogomixやAIによる外食産業の業務改善クラウドサービスを展開するGoalsなどに投資している。

また同日、愛知県のスタートアップエコシステムを形成するSTATION Aiでも1号ファンドファイナルクローズを発表。STATION Ai参加企業を対象として、今後も投資を加速していくという。

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日経、2023年上半期調達額ランキング発表!
1位はキャディ

今年も半分が過ぎ去った。

スタートアップ冬の時代と言われて久しいが、驚かされる資金調達ニュースが毎週のように公開されている。日本経済新聞は19日、2023年上半期(1〜6月)のスタートアップの資金調達ランキングを発表。同ランキングによれば、1位は110.9億円でキャディとなった。

そこで今回は、資金調達ランキングを受け、Twitterでの起業家・投資家たちの反応を見ていきたい。

INITALによれば、昨年2022年の国内スタートアップ資金調達額は8774億円と過去最高だった。 すでに今回日本経済新聞が発表した上位20社のみで約922億円調達、上位3社が100億円以上調達している。今年もまだ日本には「スタートアップ冬の時代」が訪れないのかもしれない。

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日本郵便EV社用車93台に導入された『YaneCube』とは

社用車でEVを使用している企業はまだまだ少ない。国内のEV普及率は、日本自動車販売協会連合会によれば、2022年の新車販売台数は31,592台と前年の約1.5倍となった。順調に販売台数は伸びているものの、全体構成比はたったの1.4%。普及しているとは言い難い状況だ。ましてや社用車は尚更だろう。

普及のネックとして考えられる理由が、「充電のしにくさ」があげられる。この課題解決を目指すサービスが、東京大学発スタートアップからリリースされた。

Yanekaraは、EVの普通充電を低コストで遠隔制御できるEV充電コントローラー「YaneCube」を公開したと発表した

既設の充電コンセントに電気工事不要で設置可能な日本初のEV充電コントローラーと、充電器を新規導入する際に壁掛け等で設置する2種類を公開。充電を遠隔コントロールすることで、電気代の抑制につなげ、企業へのEV普及に貢献するプロダクトのようだ。

また日本経済新聞によれば、日本郵便局のEV社用車にて93台の導入実績があるようだ。同記事によれば、1台あたり年間3万円の削減効果が出たとのことだ。

今回のリリースにより、法人向けに販売を開始するとのこと。今後のEV普及に向け、気になる企業が出てきた。

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ラクスル代表をバトンタッチ!
創業者が社長の座を降りる時とは

ラクスル代表のバトンが渡された。

ラクスルは、同社創業者であり現代表取締役社長 CEOの松本恭攝氏が、取締役社長 CEOの座を、現取締役 CFOの永見世央氏へ「バトンタッチする」と発表した。同日には、なぜ取締役CEOの座を永見氏へ渡すのか、その理由を書いたnoteも公開。Twitterではかなりざわついたようだ。

過去にSmartHRの社長の座を交代したNstockの宮田氏や、LayerXの福島氏が、今回の交代についてコメント。スタートアップのTwitterにて大きく盛り上がった。

昨今、2000年代に創業したベンチャー企業の代表交代の発表が相次いでいる。会社を日本を代表する企業としてグロース、成熟させていくために代表の座をどう「世代交代」していくのか、今後も同様のニュースに着目していきたい。

さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2023年07月21日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

濱田 ひかる

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