上場後にもJカーブ!50%成長予想を発表、Chatworkの戦略とは──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。
土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。
今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。
・Chatworkが目指すBPaaSで描く未来とは
・PKSHA、信託SOの納税対応に称賛の声も
・ヤプリが新規事業、領域はHR?
・プレシリーズAで3.5億円調達したソレクティブとは?
について見ていく。
- TEXT BY HIKARU HAMADA
Chatworkが目指すBPaaSで描く未来とは
2023年8月10日に発表した2023年12月期第2四半期決算で、Chatworkセグメント通期売上高予想は前年比約50%増と驚きの結果を公開。この決算結果についてX(旧Twitter)では、すごいとの声が相次いだ。
今回はそんなChatworkが目指す「BPaaS」について紹介していきたい。
note書きました!先日の決算内容も含めたChatworkのイマを書いていますhttps://t.co/Qe1iH2L23e
— 山本 正喜 / Chatwork CEO (@cwmasaki) August 14, 2023
現在のChatworkは、中小企業No.1ビジネスチャットとしてのポジションを確立させている。同社のHPによれば、30社以上で導入が進んでいるという。
業績面も順調に伸びている。今までスタートアップが上場した際に、その後の成長が鈍化するという話はよくきかれていた。しかしChatworkは上場後、従業員数は4倍の400人へ増加し、1Q決算で比較した売上高も4億円から6.2億円と緩やかに成長した。
その中でChatworkは新たに、ビジネス版スーパーアプリの中核を担う「BPaaS」になっていくことを公開した。この聞きなれないBPaaSは、Business Process as a Service の略で、アプリケーションの提供ではなく、ビジネスプロセスそのものを提供するクラウドサービスとのこと。一つのサービスを使用していれば、自然と他のSaaSサービスも使用できる状態を目指すという。
詳細は同社CEOの山本正喜氏のnoteをぜひ読んでいただきたい。
PKSHA、信託SOの納税対応に称賛の声も
国税庁の信託SOの見解から2ヶ月。以前週刊Startup通信でも当時の起業家たちの反応をまとめた記事を公開していたが、とうとう市場としてもインパクトのある発表がでてきた。
2017年9月に上場したPKSHA Technologyは、2023年9月期第3四半期決算で14億6600万円の特損を計上すると発表した。これは、同社が権利行使済みの信託SOについて、役職員に代わって源泉所得税を負担するため発生した特損という。
この開示は、起業家・投資家間で大きな反響を呼んでいる。
信託SOからの源泉徴収、パークシャ、特損14億円:日本経済新聞
— 伊藤信雄 @スタートアップ資本政策, Part-time CFO, M&A支援 (@tatekinkids) August 14, 2023
上場企業のプラクティスが出始めましたね。https://t.co/nquutwM3qW
人工知能(AI)開発のPKSHA Technologyは14日、株式報酬の一種である信託型ストックオプション(株式購入権)の課税処理を巡り、2022年10月〜23年6月期の連結決算で14億円の特別損失を計上したと発表した。国税庁が信託型について導入企業が想定していた課税処理と異なる見解を示したことに対応する。… pic.twitter.com/t1svWQn5jQ
— 高野秀敏/ベンチャー転職/エンジェル投資家/M&A (@keyplayers) August 14, 2023
PKSHA Technology、信託型SOで1,466,544千円を損失計上。
— もり まさや ┃ 会計士・税理士 (@MoriMasaya1) August 14, 2023
導入経緯を踏まえ、追加的な負担が生じない範囲で、求償権の一部を放棄するとのこと。
納税額1,934,929千円。。でかいね。ここが一番でかいのかな。
しかしこの求償権放棄の決断は勇気いっただろうな。それと同時に従業員は安堵しただろうな。 pic.twitter.com/E0FT8VXZeJ
今後、関係する上場ベンチャーがどのような決断を下していくのか気になるところだ。
ヤプリが新規事業、領域はHR?
ヤプリが新規事業を公開した。HR Tech市場の組織エンゲージメント領域に新たに進出を表明。今までノーコードで自社向けのアプリプラットフォームを作成できる『Yappli』を展開してきた同社だが、今回、Yappliと『Yappli CRM』を組み合わせて構築する組織エンゲージメントに特化した自社アプリが作成できるようになった。
本日、新製品ではなく、新サービス「UNITE(ユナイト)」を発表しました! *正式名称は「Yappli UNITE」https://t.co/hfmDdId2o8
— Yasubumi Ihara / ヤプリ (@ihaemon) August 9, 2023
ヤプリ社として初めてのHR市場への本格進出となります。そのローンチパートナーがなんと三菱UFJ信託銀行様の全社7,000人への導入。まじか。… pic.twitter.com/Xba42UWFBa
しかしなぜ今、組織エンゲージメント領域に特化したサービスを展開したのだろうか。リリースによれば、多くの企業が人事データや各種サーベイによるエンゲージメント「計測」のサービスを導入しているものの、従業員のエンゲージメント向上を目的とした社内施策サービスが少ないことに着目したという。
新サービスの特徴は、「理念・ビジョンの浸透」「ナレッジコンテンツで成長機会を提供」「カルチャー醸成や社内交流をサポート」など5つだ。すでに三菱UFJ信託銀行での導入が進んでいるという。
アフターコロナで従業員の働き方をどうするか、組織が揺らいでいる今、今後の組織エンゲージメントサービスに着目していきたい。
プレシリーズAで3.5億円調達したソレクティブとは?
毎週取り上げている資金調達ニュースだが、今回は少し特殊なリリースを公開したソレクティブを紹介したい。
ハイスキルフリーランスに特化した完全審査制プラットフォーム『Sollective』を軸に人材サービス、バックオフィスツール、コミュニティを展開するソレクティブは、Antlerなどから総額3.5億円を調達したと発表した。そのリリースが、なんとインタビュー形式となっていた。
同リリースには、共同創業者兼CEOの岩井エリカ氏、共同創業者兼COOのウォンアレン氏、そして今回投資家として参画したAntlerの梅澤亮氏が登場。なぜ投資を決めたのか、今回の資金調達を経た今後のソレクティブの戦略について語った。
気になった方はぜひ一読してほしい。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2023年08月18日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。