連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

税制適格SO、優遇へ。政府、スタートアップの成長後押し──5分で注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、ウォッチしておくべきニュースやコラムをまとめた記事を配信していく。題して、スタートアップ通信──。

土日にまとめて読みたい話題を、定期的に更新中。

昨今も国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせている。その中から1本の話題、そしてトレンドとして押さえたいニュース数本をピックアップ。

・大谷翔平、日本最速でARR100億円?

・人気Podcast「フリーアジェンダ」が新企画を募集か

・マネフォファンド、総額61.5億円へ

・Helpfeel、シリーズDで総額20億円を資金調達

・税制適格SO、優遇へ。政府、スタートアップの成長後押し

について見ていく。

  • TEXT BY HIKARU HAMADA
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News1──大谷翔平、日本最速でARR100億円?

大谷翔平は日本で最速のスピードにてARR100億円に到達したSaaS企業となったという内容のnoteが話題を読んだ。

一体何の話なのかというと、アメリカのメジャーリーグベースボールリーグ(MLB)で活躍を続ける大谷翔平選手が、ロサンゼルスドジャースと10年間総額1,000億円超の契約を結んだというニュースを踏まえ、スタートアップではお馴染みのARR成長曲線になぞらえた大谷選手の年棒をLayerXのメンバーがグラフと共にnoteにまとめたというもの。

いわゆる「T2D3」を超え、日本国内最速で達成したSmartHRよりも急角度の成長を遂げたと分析している。

なお、我々も半ば悪ノリでこのnoteを紹介し始めたわけだが……スタートアップの成長について理解を深めることができる機会と捉えることもできる。せっかくなので国内SaaS企業の成長について少し振り返ろう。先述のSmartHRについてはこのニュース記事このnoteなどにある通り、2017年8月にARRが1億円となり、2022年4月にARR100億円を突破した。

また、Next SaaS Media Primaryのまとめなどによると、2023年にARRが100億円を超えるとされる上場SaaS企業はラクス、Sansan、Appier Group、サイボウズ、フリー、マネーフォワード、インフォマート、プラスアルファ・コンサルティングの8社。ただし目前に迫る企業も増えており、2024年にARR100億円を超える企業がどれだけ出てくるか、今から楽しみだ。

大谷選手に例え、スタートアップの成長について知ることができるこのnote。ぜひ気になった方はこの土日にご一読いただきたい。

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News2──人気Podcast「フリーアジェンダ」が新企画を募集か

今回もまた、ゆるいPodcast番組を紹介したい。メルカリでデータアナリストチームのヘッドを務め、現在はデジタル庁でデータ分析を担う樫田光氏と、10X代表取締役CEOの矢本真丈氏が語り、最近は毎回早口言葉で締めくくっている番組『フリーアジェンダ』だ。

そんな彼ら、今週の更新で「愛される番組となるため」定番企画を作る気になったようだ。リスナーからお便りが届いているにも関わらずなかなか読まず、最近では届かなくなってきているというのに、だ。

一応、早口言葉で締めるという定番(?)のコーナーはあるものの、これについてX(Twitter)でつぶやかれている様子もあまり見受けられない。

そんな番組だが、根強いファンが多くいるのは事実。これからも、ながら聞きできる番組として、これからも時々、つかみどころのあるトークを繰り広げていってほしい。

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News3──マネフォファンド、総額61.5億円へ

マネーフォワードベンチャーパートナーズは、『HIRAC FUND』の2号ファンドにおいてセミ・ファイナルクローズを実施。ファンド総額が61.5億円となったと発表した。今回参画した企業は、三菱UFJ銀行、岩手銀行、京都信用金庫、静岡銀行、凸版印刷、プログリットなどとなっている。

同ファンドは、テクノロジーによる社会課題解決を目指すシード・アーリーステージを投資対象としたもの。今まで入社後のポテンシャルを可視化するテストを展開するHRportや、介護サービスモデルとテクノロジーの2軸で事業を展開するスリーエスなどに投資してきた。

ファイナルクローズに向け、最大80億円規模のファンドを目指していくとのことだ。

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News4──Helpfeel、シリーズDで総額20億円を資金調達

Helpfeelは、グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社をリード投資家とし、シリーズDラウンドにて総額20億円を資金調達したと発表した

Helpfeelは、企業サービスの問い合わせ削減や社内情報の検索による業務効率化検索SaaS『Helpfeel』を展開。2023年11月には導入社数は200社を突破。LINEヤフーや、ビザスク、みんなのマーケットなどへの導入実績がある。

今回調達した資金は、プロダクト機能の拡充やマーケティングへの投資、採用強化に用いるとのこと。より生産性向上を求めている企業・部署への売り込みと機能改善を加速していくとのことだ。

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Column──税制適格SO、優遇へ。
政府、スタートアップの成長後押し

スタートアップの投資機会を民主化する。

先週末、日本経済新聞の「ストックオプションの税優遇、年3600万円に上限引き上げ」という記事が注目を集めた。政府・与党が、国内の税制適格ストックオプション(SO)に対して、未上場時の権利行使における「保管委託要件撤廃」、年間行使価格上限を1200万→3600万に引き上げ、社外人材への付与要件の緩和の3点を盛り込んだとのことだ。これは、14日に公開された令和6年度税制改正大綱にも盛り込まれた。

この結果、スタートアップ経営者はエグジットとしてM&Aを選びやすくなるほか、スタートアップのメンバー単位で税制適格SOを未上場でも換金できるようになる。そのほか、今まで税制適格SOを渡すことができなかった社外のメンバーにも税制適格SOを渡すことができるようになる。そのため、正社員で採用することは難しいがキーパーソンとして会社の成長に尽力する弁護士や会計士など専門的なメンバーにも税制適格SOを渡すことができるようになるというわけだ。

この報道を受け、X(Twitter)は盛り上がった。「全力ロビイングの成果です」や、「満額回答ではないけと勝ち取ったぞ!」といった投稿が見られた。

また、日本経済新聞の報道を軸に、税制適格SOに関してすでに一つ、大きなアクションがあった。

Nstockは、第3の事業としてVC事業を開始すると発表した。プレA-シリーズAのスタートアップを対象とした、30~50億円規模のファンドを組成するという。スタートアップの投資機会を、起業家やファウンダー出身者だけではなく、メンバー単位でも行使できるよう、その体制を整えるという。

SOに関する最新情報が得られるイベントも開催間近!

さて、今回のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も定期的に更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2023年12月15日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

濱田 ひかる

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