連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

若手起業家はスモビジ志向に偏重?東大・馬田氏の投稿から考えるスタートアップの未来──5分で注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、ウォッチしておくべきニュースやコラムをまとめた記事を配信していく。題して、スタートアップ通信──。

土日にまとめて読みたい話題を、定期的に更新中。

昨今も国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせている。その中から1本の話題、そしてトレンドとして押さえたいニュース数本をピックアップ。

・エンペイ、8.5億円の資金調達を発表

・マネフォ”らしさ”追求チーム発足!

・Brave group、シリーズD総額31.1億円を調達

・Z Venture Capitalの2023年投資実績は

・若手起業家はスモビジ志向に偏重?東大・馬田氏の投稿から考えるスタートアップの未来

について見ていく。

  • TEXT BY HIKARU HAMADA
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News1──エンペイ、8.5億円の資金調達を発表

「やさしいフィンテックを。」をミッションに掲げるエンペイは、MIXI、DNX Ventures、Spiral Capitalと、デットファイナンスで商工組合中央金庫からシリーズBラウンドで総額8.5億円を調達したと発表した。プロダクト開発と組織の拡充に使用するとのことだ。

同社は集金業務のキャッシュレス化・DX化を実現する『enpay』や、口座振替による集金業務をより便利にする『koufuri+』を提供。現金や銀行振替といった決裁が中心だった保育園、幼稚園、小学校、学童などの保育・教育関連施設を中心に導入が進む。

サービスリリースから累計のGMV(流通取引総額)は100億円を突破。また、2021年のシリーズA発表時点から、アカウント数は6.6倍、MRR(月次経常収益)は6.4倍へ増加。順調な事業成長を見せている。

また同日、MIXIとの資本業務提携も発表。MIXIサービス『家族アルバム みてね』を含む多様なサービス群とエンペイの持つアセットを掛け合わせ、新規事業の創出などに取り組むとのことだ。

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News2──マネフォ“らしさ”追求チーム発足!

マネーフォワードは新たに、マネーフォワード”らしさ”を追求する『Corporate Identity推進室』を発足したと公開した。VP of Cultureの金井恵子氏が自身のnoteにてなぜ今発足したのか理由を解説。今回はこのnoteに沿ってCorporate Identity推進室とは何かを紹介していきたい。

Corporate Identity推進室とは、マネーフォワードらしさ(Corporate Identity)を確立させ、MVVCに沿った一貫した世界観を示し、社会からの期待と信頼を醸成していきたいという想いのもと発足したチーム。

発足した背景には、組織拡大と事業の拡大がある。2,000人規模の会社であるマネーフォワードでは、自らアンテナを立てて情報を取りにいかないと、会社全体像を把握することが難しくなっているようだ。

どうすれば、「マネーフォワードは世の中にとってどのような存在意義があり、どんなチャレンジをしているのか。それは自分たちのサービスや事業とどう繋がっていて、自分はどう貢献できているのか」。この問いに答えるべく、Corporate Identity推進室が発足したという。詳細が気になる方はぜひ金井氏のnoteを一読してほしい。

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News3──Brave group、シリーズD総額31.1億円を調達

Brave groupは、サードウェーブ、住商ベンチャー・パートナーズ、YostarなどからシリーズDで総額31.1億円を調達したと発表した

Brave groupは『世界に、日本の冒険心を』というパーパスを掲げ、次世代Virtual esportsプロジェクト『ぶいすぽっ!』やバーチャルミュージックレーベルを擁する『RIOT MUSIC』などVTuberの総合プロデュースを行うIP事業を中心に、Platform事業、esports事業など、複数の事業を展開している。

今回の資金調達では、グローバルIP事業のさらなる推進や国内外における経営統合・アライアンスの強化などを想定しているとのことだ。

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News4──Z Venture Capitalの2023年投資実績は

Z Venture Capitalは、2023年の投資実績を公開した。東京、ソウル、サンフランシスコの3拠点を中心に、日本、韓国、東南アジア、アメリカなどの39社に対して、合計で約39億8800万円の投資を実施。ジョーシスLayerXアイリスなどがポートフォリオに並んだ。

シードからレイターまでオールステージを対象としている。中でも最も多かったステージはシードで19社と、全体の48.7%を占めた。事業領域別では、Media、Commerce、Fintechといった注力領域に加えて、Enterprise SoftwareやAI領域にも新たに注力。地域別では日本が24社と過半数を超え、韓国、東南アジアの企業にも投資を実行している。

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Column──若手起業家はスモビジ志向に偏重?
東大・馬田氏の投稿から考えるスタートアップの未来

今週、X(旧Twitter)で、「企業について優秀な若手のスモールビジネス志向が高まっている」といった内容の投稿が盛り上がった。

これは東京大学・FoundXのディレクター 馬田隆明氏の投稿。全文を引用すると、「起業について優秀な若手のスモールビジネス志向が高まっているという話を昨日伺ったのですが、同様の感想はここ数年私も持っています。稼ぐ手段も増えましたし、数億円の資産を作りたいならスタートアップよりも確度は高い。逆に言えば、大きな事に挑戦したい人は希少で応援されやすくなってるのかなと」。

2022年に発表された「スタートアップ5か年計画」では、2027年度に投資額を10兆円規模(2022年の10倍)にするほか、スタートアップを10万社創出し、その中からユニコーン企業を100社創出することが掲げられている。

一方、今年の日本経済新聞の「NEXTユニコーン調査」によれば、推計企業価値が1500億円を超える企業は2022年同様5社のみ。社会を大きく変えるようなビジネスモデルであり、資金調達を必要とする起業家は定量的に見ても、まだまだ少ない傾向にあるようだ。そのため、馬田氏の投稿は的を得ていると見ることができるだろう。

馬田氏の投稿に対し、起業家やVCが反応。元クラウドワークスCOO副社長の成田修造氏は「めっちゃわかる。上場とか目指さないスモールビジネスオーナーになるっていうのはすごく魅力的な選択肢」とコメント。起業であればそもそも何でも好きなことをすればいいとしつつ、Nateeの代表取締役の小島領剣氏は「サムアルトマンが言っている通り、どうせ起業したら大変なことだらけなのだから困難な挑戦をした方が優秀な人材が集まっていい、というのは一定真理だと思います」とした。

スモールビジネス起業家とのやりとりをフックに、投資家としてのリアルを投稿したのは、アニマルスピリッツ代表パートナーの朝倉祐介氏の投稿。現に外部から資金調達を受けていないスタートアップから調達のご相談を受けた際、ざっくり7割に対しては「あなたのビジネスなら資金調達しない方がいいんじゃないですか?」と伝えているという。スモールビジネスにとって逆に資金調達は足枷になると感じるからという。そもそも、スタートアップに向いている事業モデルそのものが少ないのも大きな要因かもしれない。

スタートアップとしていかに大きくスケールするか、それとも小さくコツコツと事業を積み重ねるのか。この議論が尽きることはないのだろう。

さて、今回のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も定期的に更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2023年12月22日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

濱田 ひかる

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