連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

なぜシリーズAスタートアップは破産したのか?──5分で注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、ウォッチしておくべきニュースやコラムをまとめた記事を配信していく。題して、スタートアップ通信──。

土日にまとめて読みたい話題を、定期的に更新中。

昨今も国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせている。その中から1本の話題、そしてトレンドとして押さえたいニュース数本をピックアップ。

・ログラス、Sequoia Heritageなどから70億調達!次の戦略はAI ERP

・タイミー上場、時価総額は一時1,500億円超まで増加

・「stand.fmは吉本興業グループになりました」

・なぜシリーズAスタートアップは破産したのか?

について見ていく。

  • TEXT BY HIKARU HAMADA
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News1──ログラス、Sequoia Heritageなどから70億調達!次の戦略はAI ERP

ログラスは、シリーズBで約70億円を調達したと発表した。リード投資家は、米国の機関投資家であるSequoia Heritageと、既存株主であるALL STAR SAAS FUND。国内外の投資家14社を引受先としたエクイティ調達となった。

資金調達の用途は、開発・デリバリー体制の強化、プロダクトのラインナップの拡充、M&Aとのこと。開発体制の強化では、60名規模の新規事業開発チームを組成するため、1年間で新たに事業開発やエンジニア、PdMなどを新たに50名採用するとのことだ。またデリバリー体制の強化では、2024年11月に関西支社を開設し、顧客企業の伴走支援ニーズに応えていくとのことだ。

また資金調達の発表と同日にログラスは、クラウド経営管理システム『Loglass』にて新機能「AI予実分析レポート」の提供開始のプレスリリースも発表。AI予実分析レポートとは、生成AIが予実差の根本原因の特定をサポートするもの。ユーザーが掘り下げたい分析軸をクリックで指定すると、生成AIがドリルダウン分析を実行し、新たな「数表/グラフ/コメント」を自動生成するとのことだ。

そして、オービックビジネスコンサルタント(OBC)とパートナー契約を締結したとのプレスリリースも出された。OBCが提供する『奉行V ERP クラウド』と、ログラスの『Loglass 経営管理』のAPI連携を可能とし、会計業務と経営管理業務をシームレスに連携するシステム環境を構築することができるようになった。

グロース真っ只中の企業として、注目を集める3本の相次ぐリリース発表となった。

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News2──タイミー上場、時価総額は一時1,500億円超まで増加

タイミーは2024年7月26日、東京証券取引所グロース市場へ上場した。以前も、タイミー上場に関するニュースについて触れている。

公開時価総額は1,380億円、終値ベースの時価総額は1,569億円となり、東京証券取引所グロース市場で時価総額が1,000億円を超えた。また、株価は26日、公開価格(1,450円)を28%上回る1,850円で初値が付いた。終値は1,650円だった。

ロイターが上場について報じるほど、国内外で注目を集める上場となっていた。2021年のシリーズDの資金調達以降、運用会社や年金基金などの機関投資家であるAspex Management、Keyrock Capital ManagementやKadensa Capitalなど海外投資家も投資参画していた。

上場を目指していた2021年10月、「タイミーという世の中になくてはならないサービスをインフラにしていくための最善の選択肢を選ぶ」(note 「上場で感じたこと」)ため、延期した。あれから2年で売上を10倍にし、上場した。2023年10月期通期の売上高は161.4億円だった。

スタートアップとしては久しぶりの大型上場だ。新規株式公開(IPO)後も持続的に事業成長できるモデルケースとなれるのか、注目を集める。

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News3──stand.fmは吉本興業グループになりました

stand.fmは、音声配信プラットフォーム『stand.fm』を、吉本興業グループのFANYへ事業譲渡すると発表した。stand.fm社はStand Technologiesへ社名を変更し、今後音声AI事業に注力していく。

『stand.fm』は、誰でも自分の音声配信チャンネルをつくることができ、声を通じてリスナーとの交流が楽しめる音声プラットフォーム。累計配信者数は14万を超え、エンタメからビジネスまで幅広いジャンルの配信者が活動している。

今回FANYへ事業譲渡するにあたり、代表の中川綾太郎氏がnoteを書いている。どのようにして『stand.fm』が生まれ、今回の株式譲渡へ至ったのか。その理由を、ぜひご一読いただきたい。

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Column──なぜシリーズAスタートアップは破産したのか?

スタートアップは、“普通”では成し得ないことを達成するために、「実際に世の中で流れる時間よりも、10倍、20倍の速い時間で成長しなければいけません」。かの松本恭攝氏の言葉だ。国内スタートアップは米国などと比べ生存率が高いと言われているものの、日本経済新聞によると、2023年は業歴10年に満たない企業の倒産件数が増加し、2023年度は約2,700件だったという。

しかし、スタートアップの倒産ストーリーが語られることはなかなかない。今回は、累計4億円の資金調達を実施した教育系スタートアップDoorkelのCTOが語る倒産ストーリー「累計4億円調達したシリーズAのスタートアップやってたけど破産したヨ」を紹介していく。

破産の原因は主に、「過剰な事業投資」と「バックオフィス整備を怠っていた」の2点という。特に、バックオフィス整備を怠っていたことについては、「キャッシュの先行きが危険水域に達している時期に人を新規採用していたり、オフィスの移転をしていたりと、かなりチグハグな経営になっていた」ようだ。

事業が立ち行かなくなり、事業譲渡の検討と弁護士選定を行い、約1ヶ月経たない程度で破産申立を行った。輝かしい大企業へのエグジット事例はよく見られるが、今回はそれが叶わなかったようだ。

非常に生々しい話であるため、X(旧Twitter)では「勉強になる」「今後のために残してほしい」などといったコメントが多く見られた。

ぜひこの週末、スタートアップがどのようにして破産するのか、その生々しい話に興味がある方はご一読いただきたい。

さて、今回のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も定期的に更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2024年08月02日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

濱田 ひかる

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