諸岡 裕人
株式会社カミナシ
代表取締役CEO1984年生まれ。2009年 慶応大学経済学部卒業後、リクルートスタッフィングで営業職を担当。2012年 家業であるワールドエンタプライズ株式会社に入社し、LCCのエアアジアジャパンやバニラエアの予約センターの立ち上げ、JALの羽田機内食工場の立ち上げなどに携わる。その中で感じた現場のペインを解決するため、2016年12月に株式会社カミナシ(旧社名:ユリシーズ株式会社)を創業し、ノンデスクワーカーの業務を効率化する現場DXプラットフォーム「カミナシ」を開発。
ご自身のバイブルとなっているような、何度も読み返す書籍はありますか?
いくつかあるので、それぞれ箇条書きでご紹介します。
「ビジョナリー・カンパニー」
100年続く会社にしようと視座を高めてくれた本。シード期に読んでも全然ピンと来なかった。シリーズA前後くらいの、事業が加速し始めたタイミングで読むとテンション上がりました。
「Who You Are」
カルチャーに投資する気持ちをより強くしてくれた本です。
「ザ・アドバンテージ」
最初にMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を作ったときに指針とした本。カルチャーは戦略に勝るということを確信しました。
「伊藤雅俊 遺す言葉」
セブン&アイを創った伊藤さんの本。ビジネス以前に商売を成功させる人としての心構えに感動した本。
「現場論 -「非凡な現場」をつくる理論と実践-」
ローランド・ベルガー会長遠藤さんの著書。「現場」という分かるような、分からないような概念を言語化した名著。デスクレスSaaSをやる人におすすめ。
諸岡 裕人氏の回答
コロナ禍で事業面において変化・影響はありましたか?
SaaSスタートアップにとって一番大切なことは何でしょうか?これからSaaS領域で起業する方へアドバイスするなら、どんなアドバイスをしますでしょうか。
前出の通り、市場選定が不可逆なので最も重要だと思います。
自分自身がまさにそうだったのですが、シード期には目立つために「課題で尖る」ということを考えがちです。しかし、ニッチな課題は市場規模が小さいこともあるので、気をつけましょう。
目新しさはないけど、普遍的で大きな課題を「尖ったソリューション」で解決するほうが、大きな事業に育つ気がします。
あとは、プロダクトをリリースして月商数百万あっても、より良い事業を思いついたら迷わずにピボットするべきです。起業初日のアイデアより、実際やってみて2年後に思いついた事業計画のほうが有望です。ピボットはチャンスなのに、ネガティブに捉えられがちだと思います。
諸岡 裕人氏の回答
ぶっちゃけ、DXは進んでいると思いますか?実際に取り組まれていることや事例、もしくはDXに対する考えなどがあれば教えてください。
諸岡 裕人氏の回答
いまも成長を続けられている要因は何でしょうか?
まだまだ途上ですが、事業と個人の2点を書きます。
まず、事業で言えば大きな市場で戦えているからだと思います。「ノンデスクワーカーの非効率を解消する」という、普遍的で多くの人が困っている課題を選択できたのは幸運だったと思います。
FONDの福山太郎さんが仰ってる通り、市場→プロダクト→戦略→戦術の順序が重要です。起業家は市場選択とプロダクトがすべて。戦略以下は、自分より出来る優秀なメンバーに任せることが可能なので、とにかく2つに全力投球しています。
個人に関して言えば、ピボットする時に「社内の誰よりも恥をかこう」と決めました。成長するために、分不相応な目標を掲げ、公言して、失敗しても少しずつ前進してゴールに近くと決めました。このマインドで、恥も外聞もなく動くことで、少しは人として成長できたように感じます。
諸岡 裕人氏の回答
いつ「PMF」したと思いましたか?また、SaaSにおけるPMFの定義もお考えがあればお聞きしたいです。
いくつかあります。①から④にかけて徐々に強くなっていきました。
①プロダクト完成前に受注したとき
→PMFが出来るかもしれないと感じた。しかし、確信を抱くまでにはなっていない。
②リードが毎月100件以上取れはじめたとき
→この課題が普遍的なもので、多くの人が興味関心があることが分かった。PMFの入り口に立てたように感じた。
③セールスが入社1ヶ月で受注できたとき
→営業力で売り切ってるわけではなく、プロダクトがフィットしていると感じた。PMFが近づいている強いサイン。
④セールス一人あたり月平均MRR30万円が再現性を持って売れはじめたとき
→前田ヒロさんが「1人30万円売れるようになったら、セールスを増やしてOKのサイン」と言っていた。一定のプロダクトが完成し、マーケが機能して再現性を持って売れる。一定のPMFを実感した。
カミナシはホリゾンタルSaaSのため、あるマーケットでPMFしても次が出てくるので、PMFに終わりはないなと思います。 社内では「PMF=あるマーケットで熱狂的に愛されている状態」だと定義していて、今もPMFの途上だという認識です。
諸岡 裕人氏の回答
創業時、競合の存在はどのように考えていましたか?アイデア構想から実際の開発まで至った経緯、また競合などもいる中で見えていた「勝ち筋」があれば教えてください。