「本質的価値」を追究する、事業展開手法とは──“イノベーション創発ファーム”となる道を、エッグフォワード徳谷の戦略脳から読み解く
Sponsored今、最も急成長を見せている未上場のスタートアップと言われて、この企業を思い浮かべたら、あなたはかなりのスタートアップ通だと言えるだろう。それがエッグフォワードだ。
こちらの記事でも述べた通り、コンサルティングファームやベンチャーキャピタル(VC)のような事業を展開し、事業規模を急激に拡大している。だが、こうした表現で同社を捉えてしまっては、その本質を見逃す。表現するなら、“いまだない価値を生み出し続ける”ことにこだわり続け、創業10年を迎えた今も常に変化しチャレンジをやめないスタートアップなのである。FastGrowでは、唯一無二の“イノベーション創発ファーム”と呼ぼう。
コンサルティングを起点にプロダクト型事業にまで昇華させ、大企業からスタートアップ・中小企業まで巻き込むBtoB事業がその主軸。元コンサルタント徳谷氏の専売特許から始まり、磨き上げられた事業群はこれだけでも十分にユニークなものだ。だがそれだけでは終わらない。企業の課題だけでなく個人の人生観まで変えることを追求し、BtoCプラットフォームやスタートアップ投資といった新たな事業を展開している。
全ては、波及する社会構造そのものを創り、ミッションを果たすため。
エッグフォワードの核たる徳谷氏のマインドを紐解き、イノベーション創発ファームという姿の本質を知ることで、あなたも「イノベーションの起点」になることができるかもしれない。ビジネスパーソンなら、読まずにいてはいけない、これはそんな記事だ。
- TEXT BY TAKASHI OKUBO
- EDIT BY SHINICHIRO FUJITA
コンサルでも事業会社でもVCでもない、「イノベーション創発ファーム」
さて、あなたはエッグフォワードという未上場企業について、その内情をご存知だろうか?どちらかといえば、「あまり知らない」という答えになるだろうか。
一言でお伝えするなら、「急成長中のイノベーション創発ファーム」だ。
その姿の裏にある徳谷氏らの経営哲学が、あなたの事業家人生に与える影響は間違いなく大きい。「エッグフォワードを知るため」というよりもむしろ、刺激を得るために読み進めていただくと良いだろう。
まずは徳谷氏の経営哲学のうち、最も重要な「ミッション」に関する話を深く見てみたい。
徳谷この1〜2年で数倍もの事業成長を実現できています。その中身は、いずれも新たなチャレンジです。すべてのチャレンジは、常に「社会に波及していくターニングポイント、つまり構造を変えるきっかけを創り続ける」といったものになっています。
一人の変化や成長をきっかけに、周りの人・組織・社会も変わっていく。そんな事業を創り、育てていく。そうする中で、“イノベーションが波及していく社会構造そのもの”を創り続けようとしています。
エッグフォワード創業以来、事業成長が最も大きいのが今である。どうやらそうらしい。そんな現状をどのように受け止めているのか、そう問うと意外にも、言葉を選ぶようにゆっくりと話し出した。
徳谷私達エッグフォワードは、常にミッションに向かっています。それは“いまだない価値を創り出し、人が本来持つ可能性を実現し合う世界を創る”ということ。
一人ひとりが本来持つ可能性を、最大化し続けたい。事業を通してエッグフォワードが創り出したいまだない機会によって、人が、社会がどんどん変わっていく。あらゆる人の可能性が花開き、社会全体が前向きに変化し続ける構造そのものを創りたい。そうすることでこの世界に大きなインパクトを与えていきたいと考えています。
10年前の創業時からその思想は全く変わっていません。エッグフォワードという企業体がいる前と後で、人・世界が変わっていく、常にそんな存在でありたいのです。
エッグフォワードといえば経営組織コンサルティングの企業、そんなイメージを持つ読者も少なくないだろう。確かに「企業変革」や「人財開発」といったワードで露出する機会が多かったし、実際にリクルートやラクスルといった成長企業を「コンサルティングのような事業」で支援してきたという豊富な実績があるからだ。
だが、その内実はもっと複雑で、多様で、そして驚くほどイノベーティブだ。徳谷氏はその歩みを、独特の表現で語る。
徳谷今、確かに事業は成長していますが、まだミッションに対しては0.1合目にしか過ぎません、いやもっと低い位置にいるかもしれませんね。
これまで私達は、社会貢献性の強い大企業や先進ベンチャー企業を顧客として、コンサルティングのようなかたちを中心に支援してきました。しかし、そうした組織にどれだけ深く入り込み、成果を上げたとしても、社会全体を前向きに変えるようなインパクトを実現していくまでにはまだまだあまりにも距離があります。
ひたすらミッションに向かい、すべてをミッション起点で意思決定する。このことに向き合い続ける。社内でも「(徳谷さんって)コンサル出身なのに、意外にもピュアですね」と言われるくらいです(笑)。
コンサルティング事業自体もそうですし、それを抽象化・一般化させたBtoBビジネスのサービス・プロダクト群もそうです。そして、短期的な採算を度外視したBtoCプラットフォーム事業も複数立ち上げつつ、利益創出まで長期間を要するスタートアップ投資事業も本格化しているのも、ミッション起点。
うまくいくことばかりではないですが、こうした事業を総合的に立ち上げ、スケールさせ、イノベーションの起点をいくつも創出していく。そうすれば、本質的価値を提供する構造が生まれ、育つ。そのときになってようやく、売り上げだけでなく社会的インパクトも大きくなっていくのではないかと考えています。
コンサルティングのような事業が中心となってきたが、コンサルティングファームという表現で自社を語ることはほとんどしてこなかった。そして事業を次々と拡大。自社サービス・自社プロダクトを数多く提供し、かつスタートアップ投資を本格化させ始めた。
自社を「○○の企業」といった表現に当てはめるなどということを、徳谷氏は全力で否定し、取り組んできたとも言える。ミッション・あるべき姿を実現するために、必要だと思ったことは前例や固定観念に囚われることなくなんでもやる。わかりやすく言えばこういうことだろう。
ただし、節操なくどんなことにでも手を出す、というわけでももちろんない。その経営戦略と事業戦略をかたちづくる徳谷氏の世界観やこだわりについて、ここから深掘りしていきたい。
本質的価値、波及、構造……イノベーションに必要な3要素
先ほど紹介したように、これまでの事業展開をわかりやすく伝えるのなら、コンサルティング事業、BtoBプロダクト事業、BtoCプラットフォーム事業、スタートアップ投資事業といったかたちになるだろう。
この、一見それぞれが独立していそうな事業すべてを貫くミッションの言葉が「いまだない価値」だ。この「いまだない価値」を言い換えるのであれば、イノベーションを起こしうる起点だと言えよう。その起点がすなわち、ビジョンに掲げる「ターニングポイント」になるのだ。
「いまだない価値」がさまざまな場で創出されるためのターニングポイントになる。これが、各事業において当然のこととして目指されている。
徳谷エッグフォワードは、いまだない価値を創り続けるために存在しています。ただし、自分たちだけで完結するのではない。「起点を創り、波及していく」と私は表現しています。そういう価値・機会が連鎖していく。
この考えに基づいて、さまざまな事業を愚直に推進していった先で、唯一無二の存在としてのエッグフォワードを創り上げていくというのが、私たちのやるべきことです。
多くのスタートアップで、「ミッションに向かう」などということはもはや当たり前と捉えられている。むしろ、ミッションやビジョンを掲げていないことのほうが圧倒的に珍しいかもしれない。そしてその多くが抽象的で壮大な言葉を据えている。そう、エッグフォワードと同様に。
だが、エッグフォワードほどに、多彩な手を繰り出し続けられる企業がいるだろうか?コンサルティング、BtoBプロダクト、BtoCプラットフォーム、スタートアップ投資……。日本ではほとんどいないだろう。
そんな徳谷氏が参考とする存在の一つが、例えばGoogleだ。世界の構造、さらに言えば人の意思決定を大きく変えたという点を強調し、語り出す。
徳谷「インターネット検索」という点だけ見れば後発ですが、にもかかわらずその機能をシンプルに突き詰めた結果、人間の生活のあらゆる意思決定の際に頼られる存在にすらなっています。つまり「検索」は表面的な価値であり、「意思決定の手助けをする」が本質的な価値といえるでしょうか。
私生活においても、仕事においても、世界中の情報を透明化・一元化しており、今や切っても切り離せない存在ですよね。変化の起点になり、波及を生んでいる、そういう意味でまさに私たちが目指すべき「構造」を実現したと言えるので、極めてイノベーティブです。
たしかに他にも、大きなインパクトを出したように見える企業はたくさんあります。ただ、多くの場合、その企業がいなくなってもたいてい、探せば代わりはいるし、そこまでユーザーは困らない。
そうではなく、「なくなっては困る」という不可欠な存在でないと本質的な存在価値はない。これが目的化してはいけませんが、そうあるべきという強い気持ちでいるからこそ、我々は、迷うことなく、前例にとらわれず、多様な事業を推進していけるのだと思います。
Googleの事業を徳谷氏なりに分析すると、「本質的価値」を突き詰め、それを「波及」させる仕組みを創り上げているという点で「構造」として定着しているわけだ。この3つの言葉が、時代を象徴するイノベーションに必須の要素となる。
さて、ちなみにエッグフォワードのミッションには、時代に先駆けたある思想が詰まっている。同社の事業において、先進的な挑戦をすでに数多くしてきたという大きな強み、それを表す言葉ともなるのが、昨今叫ばれる「人的資本経営」だ。この点において明らかに「時代の先駆者」であると言える徳谷氏の想いを、今じっくりと聞かない手はない。
「人的資本経営」の誤謬と、あるべき姿
徳谷いまだない価値を創り出し続けるには、新しい途方もないチャレンジを強い強度で継続し続けなければなりません。成長してきた単一の事業の採算性を高めることも重要ではありますが、やはりもっと重要なのが、新しい価値を“常に”創り出し続けること。「価値の種まき」を、永遠にやり続けること。
このために私たちが企業向けにやってきたことのあくまで一つの見え方の例が、最近ようやく言われるようになった、「人的資本経営」なんです。
「人的資本経営」においては、人財こそが、企業における本質的価値を創出するための源泉である、すなわち“重要な資本である”と位置づける。そのために、「人に関わる投資」を戦略的に実行し続けることで一人ひとりが創出していく価値を最大化させることが、経営の役割だと言えるでしょう。その結果として、事業成長が実現できるし、企業価値も高まっていく。
この「人的資本経営」の定義を、否定的に見る読者はほとんどいないだろう。だが一方で「真に理解している方はまだほとんどいない」とも徳谷氏は語る。
徳谷巷で言われている「人的資本経営」はどうしても表層的で、本来のあるべき形から乖離してしまいがちです。特に注意すべきは、主語が企業だけになってしまっていること。つまり「マーケットへの説明責任を果たすために、人的資本を開示する」という捉え方が強いように思うんです。
この考え方では、企業本位のルールが整備されるにとどまり、社会変化にはつながらないかもしれません。いま示され始めている指標だけでは不十分です。
例えば、女性の管理職比率が話題に上がることが増えてきた。確かに、この比率が高まっていくことは必要だろう。だが、この議論だけが先行すれば、企業は女性メンバーの登用を考えるだけであり、本来登用されるべきだった男性メンバーの存在が見逃される恐れがある。女性メンバーの側も、必ずしも管理職になりたいという意志を持っていないかもしれない。こうしてひずみが生まれていく可能性がある。
また、HR関連のサーベイを行うサービスが増えてきたものの、点数を上げるために「不満を持つメンバー」への対処を念頭に置いたものが多くなっている。これでは、成果を残したメンバーや、強い意志を持ったメンバーが活躍し続ける組織開発には不十分だと指摘する。
徳谷我々のミッションの後半の文言には、「人が本来持つ可能性を実現し合う」という言葉があります。「一人ひとりが自らの望むありたい姿に向かい、創出する価値を最大化させる」ためには、あくまで主語が個人一人ひとりになるべき。経営が重ねて考えるべきは、パーパス実現、事業成長に加えて、「社内メンバー一人ひとりが、最高の人生を送るための自己実現」の支援です。
常に、本人のWILLに繋がる機会を提供したい。エッグフォワードでも、理想は常にそうありたいとして進めてきましたし、支援先のクライアントさんのメンバーに対してもそうです。
このような取り組みの先に、経営陣やマネジメント層の多様性が達成されるべきでしょう。
エッグフォワードが支援してきた企業は、住友商事やリクルートホールディングスといった大企業に加え、サイバーエージェントやユーザベースといった上場ベンチャーまで様々だ。これらの企業に対して、「人への投資」という側面から徹底して支援を行ってきた。
そう、エッグフォワードが、10年来これまで進めてきたこうした事業が、すでに「本質的な人的資本経営」となっていたのだ。巷で言われている「人的資本経営」よりも数段深いことを、これまでも実践してきたのだ。それにより、クライアント企業と自社の事業成長を同時に実現してきた。
ではこの背景にあるのは、徳谷氏の頭脳ということなのだろうか?そうした面もあるかもしれないが、そうではない面からぜひ学びを得てほしい。それが、冒頭でも触れた、こだわりの事業展開だ。
不採算も上等。
ミッション起点の意思決定が、スケールを生む
エッグフォワードは、異なるビジネスモデルを持つ事業を、言わば戦略的に複数抱えている。上場企業や大企業でなら、そうした存在も少なくはないが、未上場で100名未満の規模の企業としては極めて珍しいと言えるだろう。
その中で創業事業とも言える企業変革コンサルティング事業は、依頼はひっきりなしではあるものの、現在ではすでに売上全体の1~2割程度とその割合は少ないのだという。
売上の多くを構成するのが、BtoBのプロダクト型事業。単なるプロダクトではない。
コンサルティング事業で見つけた課題を、しっかりと深掘りして、本質的な社会課題として捉えなおしてきた。そして暦年の知見を活かして、ソリューションを徹底的に抽象化。そうすることで、より深い本質的価値の提供を実現したプロダクトだ。
徳谷従来のコンサルティング型のビジネスモデルでは、どうしても属人性が高く且つご支援できる企業にも限りがあるという問題がありました。もちろんそれによって素晴らしい価値提供ができていたわけでもありますし一つの成功モデルでもありましたが、企業としてそれだけではいけない。
ミッション実現のためには、よりサステナブルで、かつ社会全体にスケールする仕組みにしていく必要性、いわばこれまでのエッグフォワードの成功パターンを否定する、自己革新の必要性を、強く感じていました。
コンサルティング事業を通じて、素晴らしいノウハウや知見を蓄積できていた事実はあったので、なんとかして社会への提供を拡大していきたい。日本、さらには世界中にとどけられる可能性を追求して、抽象化・仕組み化したソリューションをパッケージ化・昇華させたプロダクトという選択肢をとったんです。
徳谷氏が今紹介するBtoBプロダクトは二つ。経営の意思決定を支援するための目標管理SaaS『Aim』と、科学的アプローチでマネジメントの実務を支援する『Management Compass』だ。更には、採用のマッチングと活躍を科学する『Trail』も今後拡大していくという。
これにより、従来の主要ターゲットだった大企業や急成長ベンチャーだけでなく、世の中のほとんどの企業に対して価値提供が可能になった。これまでとは比較にならないほど多くの企業に対して、支援が可能になったというわけだ。
一般的に考えれば、他ファームのようにコンサルティングファームとして、収益を維持しながらじわじわと拡大していく戦略も採れたはず。もしくは、顧客基盤や営業体制が強化された後々のタイミングでプロダクト型事業を始めることだってあり得ただろう。それでもあえて今、プロダクトを開発した。ミッション実現のためには、そうしたスピード感が何よりも大切だと、徳谷氏は強調する。
プロダクトは、徳谷氏自身も経験のないものだったが、すべてはミッションのため、意思決定し、愚直にチャレンジしてきたのだ。
これらのBtoBプロダクトは、イノベーションの創発に向け「企業の起点をつくる」ためのものである。そして、「個人・社会の起点をつくる」としているもう一つのチャレンジが、プラットフォーム型のBtoC事業。
『みんなのエージェント』『バーチャルランチクラブ』『The 3rd door』がその事業例だ。
徳谷BtoB事業は、型化・仕組み化した価値提供が比較的やりやすい。従来のコンサルティング事業が基となっていますから。その一方で、BtoC事業は「意思と志」を持って始めたものが多く、しっかりとした収益化に至るまでには非常に長い時間がかかることを覚悟しています。
にもかかわらず、すでに複数の事業をローンチしています。いずれも目先は不採算なわけです(笑)。取り組む理由は何か?それは、「企業からだけでなく直接個人・社会を変える起点を創りたい」つまり「ミッション実現のためにいずれ必要」そして「時間がかかるからこそ、今始めなければ間に合わない」という3点があるためです。
例えば「みんなのエージェント」は、転職におけるミスマッチを防ぎたいという考えから始まりましたが、本当はキャリア支援に留まらず「ビジネスパーソンの人生における意思決定を最適なものにすること」を目指しています。キャリア支援を謳う事業者は多数いますが、「人生における意思決定」という本質的な課題と向き合っている事業者は、残念ながらそこまで多くないのではないかと感じます。
私たちはこの事業領域に挑戦することで、個々人におけるイノベーション起点の創出に向かっていくんです。
さらに、他にもBtoCプラットフォームのかたちを様々に模索中だ。スタートアップ向けの起業家が交錯する起点となる場所を創ると渋谷にコラボレーションスペース(GOLDEN EGG Labo)を立ち上げたと思えば、更にはあるメンバーが「経営者同士が本音で相談し合えたり、他にない出会いを創れたりする起点を創りたい」と言い出したことから、クローズドなBarに近いサロン業態の運営もひそかに始めている。(詳細非公表)
徳谷サロンの件は、これは完全に非公開なんですが(笑)。形式上は、飲食を伴って交流することもできる場ではありますが、一般ユーザー向けにオープンにして営業しているわけではなく、場所も内容も非公開です。
もちろん、飲食店として採算を合わせようとしているわけでもないんです。あくまでミッションに基づいて、経営者や志高い意志のある方が胸襟を開いて、本音で話せたり、そこからいまだないケミストリーが生まれたりする、そんな最適なありかたを探ろうとしています。実際、個々から新しい事業連携や協業の話が実現したという事例もどんどん生まれています。
ミッションの実現に近づきそうなことなら、まずは小さくてもいいのでやってみます。そうやって試してみないことには、何も実現しません。実際、こうした場から私たち自身も想像しえなかったコラボレーションが生まれる。こうした起点が重なり、我々の中でもそして各事業が融合された形としての、社会のインフラに近づいていく状態「デファクト」を目指します。
「いまだない価値(Egg)を創り出し、人が本来持つ可能性(Egg)を実現し合う世界を創る。」というミッションに紐づくバー経営とは、どういうものなのだろうか?それが、この記事で伝えたいもう一つの事業、スタートアップ投資にも通ずるものなのである。すでにお腹いっぱいという読者もいるかもしれないが、もう少しだけ、深みを覗きに行ってみよう。
スタートアップ投資でイノベーション実現を狙う理由
イノベーティブなスタートアップに対して、出資とコンサルティングサービスを提供する『GOLDEN EGG(概要はこちらのリリースを参照)』という事業。すでに20社近い直接投資を実施しているほか、UBベンチャーズやココナラスキルパートナーズといったコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)に出資(LPとして参画)するなど、積極的に活動し始めている。
この事業を司るのが、ジャフコやデジタルガレージで国内外250社以上の投資とハンズオン支援に携わってきた三村泰弘氏だ。
三村氏はこれまで、VC業界の黎明期から、スタートアップ支援に携わり、⽶アジアで250社以上のスタートアップ投資に関与しハンズ・オンでの戦略策定、国内外の事業開発の支援を行なってきた業界での著名人だ。
ということは、三村氏の知見と経験を活かすため、エッグフォワードがCVCを立ち上げたというかたち……だと理解するにとどまっては、本質を見逃す。徳谷氏は「CVCあるいはVCのかたちに見えるだろうが、全く異なる課題意識と世界観から取り組んでいる」と強調する。
徳谷コンサルティング事業をはじめとした事業群で、大企業や上場ベンチャーだけでなく、有望なスタートアップを全力で支援したいという想いを強く持っていました。ですがこうした企業は、どうしても投資余力が乏しく、従来のかたちでは中長期的に伴走するパートナーとなることが難しかった。
一方で、スタートアップ経営者と対話をするほど、ベンチャーキャピタルから出資を受けても、その後の経営や組織運営のサポートには限界があるという声が多かった。
そこでエッグフォワードが、資本参画(出資)と合わせて、「パーパス経営」や「MVV経営」を実現する支援を行うビジネススキームを発想しました。長く伴走し、一緒にイノベーションを創出し波及させていくことで、バリューアップを実現するんです。
同時に、ここからが本質なのですが、私たちエッグフォワードはスタートアップ個社を支援するだけではなく、社会に志高いスタートアップが生まれ、波及し合い、発展し続けるための“共創のエコシステム”を創り上げたい。それこそが、社会の新しい起点になると考えています。
これにより、「成長可能性に満ちたスタートアップが、いまだない価値を創り出し、世界を前向きに変えていく起点」としての存在感をさらに強めていこうと考えています。
エッグフォワードは、単に複数事業を運営しているというのではない。本来であれば労働集約的ともいえるコンサルティング事業を起点に、BtoBとBtoCをかけ合わせ、さらに投資事業を行う。「選択と集中」という考えを基にワンプロダクト特化で上場を目指すスタートアップも増えてきた中、明らかに異色の存在と言えるだろう。
全ては「“いまだない価値”を創り出し、人が本来持つ可能性を実現し合う世界を創る」ため。ミッション重視の経営を続けてきたからこそ、今のエッグフォワードがある。
徳谷氏がここまでミッション重視に振り切れる理由は、どこにあるのだろうか?
徳谷自己資本経営を続けていますし、投資に足る利益体質も構築できています。つまり、エッグフォワードは誰かに言われて経営しているわけではないんです。
売上や利益の目標はもちろんあります。ですがそれ以上に、自分達の意志に対してひたすらピュアに向き合えているわけです。それが私個人だけではなく、本気で向き合いたい仲間が参画し、経営しているわけなんです。
赤字の事業も複数あります。ただ、私たちもスタートアップですから、短期的な収益性にほとんど意味はありません。将来を見据えて、「今この瞬間に張るべきところ」を見極め、リソースを投下する。これが経営者としてのスタンスです。もちろん失敗も数多くありましたが、それでも、思い切って意思決定してきましたし、これからもしていきます。
惰性を徹底排除し、意志に基づいて行動し続けよ
ミッション実現に向け、立ち止まることを知らないかのように見える徳谷氏。その大敵が、「惰性」だ。危機感について聞いてみた。
徳谷惰性、あるいは以前の延長で物事が進んでいると感じたら、危機感を持つようにしています。一旦立ち止まる。この取り組みは、ミッションにどう繋がるのか?立ち上げメンバーのWILLは力強く保たれているか?やり続けること自体が目的化していないか?そう問い続けなければならないですよね。
そして、事業を推進する中で特に意識しているのは、やはりミッションに向かって社会的インパクトのある規模にスケールするか否か、ですね。簡単ではないですが、「再現性のある構造」を創ることができなければ、絶対にスケールしません。だからこそ、事業現場では常に「社会に必要とされる本質的価値は何か?」「再現性のある構造を如何にして創るか」を考えています。
そして私の大切な役割は、「今、どこを目指して動いているのか?」と考え続けること。もちろん短期的な数字という結果も見ますが、もっと他に注意を払うべきことがたくさんある。非連続的な挑戦をし続けるためにも、自らを変え続けるという思想がもっとも大切ですね。
変え続けるために大事なのが、とにかくバットを振る。どれだけ三振をして失敗をしようが、挑戦をし続けること、そこから、失敗と成功を繰り返し、徐々に道筋をつけていくんです。
徳谷個人も、経営でも事業でもたくさん失敗もしてきましたし、でもそれをプロセスをと捉え、自己変革して、次に繋げ続けるしかない、その繰り返しでしか未来は拓かれないと思っています。
とにかく少数精鋭を保ってきたエッグフォワード。従業員100名未満で、これだけの事業を抱え、極めて高い生産性と、他で類を見ない業界トップ規模の事業成長を実現しているのだから驚きだ。
だがこれも結果論に過ぎない。少数精鋭になることを目指したわけでは、決してないのだ。愚直にミッションに向かって挑戦し続けられる人財を選りすぐった結果である。「どの企業よりも、採用に妥協していない」と徳谷氏はそのこだわりを示す。
徳谷エッグフォワード自身も「人的資本経営」についても改めて考える機会が増えてきて、最近特に強く感じるようになったのは、同じミッションを見据えながら、メンバー一人ひとりのWILLと強みが活きるような環境を整え、多様な仲間を集めていくことこそが最重要ということです。
短期視点で、同質的な人を集めたり、決められた範囲の中でそこそこ活躍する人を増やしたりするのではなく、強いWILLを持ち、例えば数年がかりで結果が出なかったとしても、将来を見据えた、もっと先の将来の事業成長を創れるような人は魅力的ですよね。
個々の強みはそれぞれでいい、エッグフォワードという船に乗ることで、改めてそれぞれが持っている本来の可能性や強みが発揮される。そういう人を輩出していく組織体でありたいし、支援先企業においてもそういう人を増やしていきたい。
外部資本に安易に頼らなかったからこそ、ここまでミッション重視の経営ができていたのではないか。そう思った読者もいるかもしれない。しかしエクイティファイナンスをしないというわけではないし、最適な時期でのIPOも当然のこととして目指している。
徳谷資本市場への向き合い方も、これも一種のいまだないチャレンジだと捉えています。上場後も引き続き、非連続的な成長を遂げている企業は実は多くない。IPOのあり方や、上場後ベンチャーとしての社会インパクトの出し方、短期的収益に左右されない事業経営の維持方法、といった点でも、「上場後のエッグフォワードって更にユニークだよね」と言われるような、唯一無二の存在であり続けたいという想いはあります。
社会へのメッセージという意味では、IPOを経てパブリックな立場になり、ステークホルダーを増やしていくことが、私達のミッション実現にとっても必要なアプローチです。もちろん通過点に過ぎないのですが。
「上場」という一つのアプローチについても、その重要性を徹底して考える。もちろんその起点はミッションだ。そうしていまだない本質的価値を追い求めチャレンジし続け、日本や世界を変えるイノベーションが創出され続ける社会を実現していく。
徳谷社会課題や本質的価値をいきなり見抜けたらいいですが、まだ私達の実力ではそう簡単に見抜けません。だからこそ、行動し続けるんです。
ただし、闇雲になんでもするのではなく、私達のミッションに近づくことを優先して実践し続ける。とにかく私達は主体者でありたい。その主体性とは、企業が前向きに変革するきっかけや、スタートアップエコシステムそのものを新たに創り出したりも1つですが、それぞれがイノベーションの起点となり、それを相互に波及・連鎖させるということです。
コンサルティングファームでもあり、プロダクトカンパニーでもあり、プラットフォーマーでもあり、VCでもある。このように言うこともできるだろう。だが徳谷氏に言わせれば「そのどれとも異なる」。そうすると、FastGrowとして表現させてもらうならばやはり、イノベーション創発ファームという表現がしっくりくる。
徳谷氏の考えるイノベーションとは、いまだない価値が、広く深く、そして長く、社会にその影響が波及し続ける構造を創ること。法人に対しても個人に対しても社会に対しても、イノベーティブなチャレンジを続ける。事業展開やビジネスモデルに対する興味関心も起こっただろうが、徳谷氏が最も期待するのはおそらく「ミッションに向かう熱」への共感だ。あなたは、どう感じただろうか?
ここから先のさまざまな事業展開が、あなたの興味をさらに惹くであろうことも、きっと間違いない。ぜひ何度もこの記事に立ち返り、「イノベーション」に必要なマインドを学び続けてほしい。
【限定8枠】エッグフォワード経営陣直結 特別面談ルート
こちらの記事は2022年07月28日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
大久保 崇
編集
藤田 慎一郎
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