個人やスモールチームの可能性を最大限に広げるプラットフォームへ─GMV1,500億円超もまだまだ成長途上。BASEでさまざまなBizDevに挑戦できる理由とは

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インタビュイー
林田 秀平
  • BASE株式会社 BASE事業 Business Management Division Manager 

1993年生まれ。大阪大学工学部卒、大阪大学大学院情報科学研究科 博士前期課程修了。新卒で外資系経営戦略コンサルティングファームのA.T. カーニーに入社。主に消費財・小売・通信業界にて中期経営戦略・事業戦略・ブランド戦略の策定を中心にビジネスデューデリジェンス・サプライチェーン最適化など幅広なテーマに従事。大手企業のスピンオフベンチャー企業に出向した際には約1年間、B2BのIoT SaaSプロダクトのPjMとして参画し、新規事業の立ち上げを経験。その後、2022年にBASE株式会社に入社。経営戦略室を経てBASE事業のProduct Marketing Division Managerに就任。ブランド、セールス&マーケティング、BizDev、カスタマーサクセス領域の統括マネージャーを務める。現在はCOO直下で、BASE事業の中長期の事業戦略や事業計画の実現に向けた実行計画等の推進を主導。

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ネットショップ作成サービス『BASE』や購入者向けショッピングサービス『Pay ID』を運営するBASEグループ。2024年第3四半期、コロナ禍のピークを上回る過去最高の売上総利益を記録した。これは単なる数字の更新ではない。個人やスモールチーム向けのECプラットフォームとして知られる同社が、静かに、しかし着実に、変革を遂げつつあることの証左だ。

その変革とは、「プロダクト×ビジネス(事業開発)」という成長性のアップデートである。

「最近のBASEの成長は、これまでの強みであったマーケティングやプロダクト観点に加えて、事業開発を含むビジネス視点の取り組みが融合してきた背景があるんです」

こう語るのは、2022年に経営戦略室の立ち上げメンバーとして参画し、現在はBASE事業の中長期の事業戦略の責任者を務める林田秀平氏だ。

大学院でコンピューターサイエンスを学び、経営戦略コンサルタントとしてキャリアをスタートさせた林田氏。大企業の中期経営計画や事業戦略立案に携わり、さらにはスピンオフベンチャーでB2B IoT SaaSの新規事業立ち上げも経験してきた。その林田氏が、なぜBASEを選び、どのような変革を推進しているのか。その全容に迫った。

  • TEXT BY YASUHIRO HATABE
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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コロナ特需後の反動減を“経営力”で乗り越え、非連続成長を実現してきたBASE

「EC業界全般がコロナ特需を受けた2020年4〜6月の四半期、BASE事業のGMVは前の四半期の約3倍の310億円に拡大しました。そして今、最新の2024年10〜12月四半期のGMVはさらにその1.4倍の439億円にまで拡大しています」

林田氏はまず、コロナ禍でBASEが経験した急成長期を振り返る。当時、緊急事態宣言下でリアル店舗での買い物が制限される中、誰でも簡単にネットショップを開設できる『BASE』は、まさに時代が求めるサービスだった。

林田コロナ禍真っ只中の2022年頃までは、「誰でもかんたんにネットショップを開設できる」という価値を軸に、テレビCMなどマスマーケティングを中心に投資を行い、多くのショップオーナーの皆さまから支持をいただきました。ネットショップ作成サービスの認知度調査でも、『BASE』は常にトップクラスの認知を獲得していました。

「開設は無料で、商品が売れた時だけ料金が発生する」というビジネスモデル自体も創業当時は革新的で、PLG(Product-Led Growth)の世界観に近い成長モデルだったと思っています。

しかし、コロナ禍が収束に向かい始めた2022年頃から、状況は変化し始める。

林田日本でもEC化率が高まり続ける中、プレイヤー間の競争は激化。ネットショップEC市場も全体的に成熟期に入りつつあり、ネットショップを開設できるという価値は、一気にコモディティ化していきました。

この時、「中長期を見据えると、成長性と収益性の両立が難しくなる時期が訪れるかもしれない」という課題が明確に見えてきたんです。

そこで、『BASE』というネットショップ作成サービスの価値の進化はもちろんのこと、事業としてのビジネス構造のアップデートを行いました。

成長の踊り場が訪れる前に、いかに先手を打てるか──。多くの経営者がこの難題に挑んでいる。BASE直近の業績を見れば、「この難題を攻略した」と評価することができるのではないだろうか。コロナ禍の反動減や市場の成熟といった逆風を見事に乗り越え、これから大きく成長していくための地盤を整えているのだ。

林田BASE事業では、主に2023年以降に取り組んだ「月額有料プランの料金改定」と「マーケティングチャネルのコスト効率化」が成長性と収益性の両立の実現に寄与しました。

コロナ禍の反動でECの開設需要も落ち着く中、2022年に「月額有料プラン」の提供を始めました。このプランは、ショップさまの売上規模が大きくなってもご利用頂きやすいように、月額固定費はいただきますが、代わりに決済手数料は業界最安水準でご利用頂けるプランになっています(当時の意思決定については、2022年12月期第1四半期決算説明会資料内の詳細をぜひご参照いただきたい)。

これにより事業面では戦略的に手数料率(テイクレート)を引き下げましたので、売上は一時的に減少(2021年12月期は84億円、2022年12月期は75億円)しました。

しかし、その後約1年の歳月をかけてプロダクトの付加価値を高め、2023年11月に「大幅な機能拡充を伴う月額有料プランの料金改定」を発表いたしました。幸いにも、料金改定後も多くのショップオーナーの皆さまにご利用いただけたため、結果として事業面では、GMVも増加を継続し、売り上げも増収となっています(2023年12月期は78億円、2024年12月期は91億円)。

また、マーケティングチャネルのコスト効率化では、2021年頃まではテレビCMをメインに投資をしていましたが、それまでに築いてきた認知度やブランドアセットを基盤に、SNSを含めたWebマーケティングの活用を進め、新規獲得におけるユニットエコノミクスが健全な状態を実現。プロモーションのROIコントロール精度は向上しています。

そして今の状況を、林田氏はこう強調する。

林田創業から一貫して個人やスモールチームの課題に向き合ってきた結果、230万を超えるショップオーナーの皆さまにご利用いただくことができました。

事業面では、「筋肉質化」というテーマのもと健全な経営基盤を確立し、新たな投資サイクルを開始できる段階に達しました。

これらの要素が揃った今こそ、個人・スモールチーム領域での非連続な成長に向けた事業開発のチャレンジができる、絶好のタイミングです。

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組織急拡大で見えた課題──“対話”重視の組織づくりが、新たな成長基盤に

事業開発のチャンスが拡大しているBASE。実はこの2~3年ほどの間に、組織内で大きな変化が起きていた。2021年の初めは170人ほどだった従業員数が、2023年には270人ほどにまで膨らんだ。

林田2021年頃まではBASEは、プロダクト、エンジニア、デザイン系のメンバーが多くを占めていました。そこに事業開発をはじめとするビジネス職のメンバーが多く加わり、組織のケイパビリティが一気に多様化したんです。

現在では、ITメガベンチャー出身者や、決済、物流、広告など各ドメインのエキスパートが在籍し、多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まっている。

だが2022年頃の拡大期には、リモートワークによるコミュニケーションの難しさも相まって、組織内では一時的な混乱も生じたという。

林田多様なバックグラウンドのメンバーが集まる中で、組織内の一部で混乱が生じていたというのが正直なところです。IPOから数年が経過し、ユーザーの皆さまだけではなく、上場企業としての期待にも応えていかねばなりませんから、成長性と収益性を両立するために、「事業」と「組織基盤」の両面をアップデートする必要があり、取り組んで来たのがこの2~3年でした。

多様性が高まっていくチームをまとめる上で、BASEが重視してきたのが「議論」と「対話」の使い分けだ。

林田BASE事業では「議論」「対話」の2つのモードの違いを認識し、適切に使い分けることに取り組んできました。「議論」とは、何らかの目的に向かって意思決定を行うことを主眼とするコミュニケーション。一般的に、ビジネスの場面ではこちらが重視されていると思います。

一方で「対話」とは、お互いの価値観を深く理解し合うためのコミュニケーションだと定義しています。中長期的な事業の成長を考えていくためには、チーム内で良い対話が増えていくことは大切だと思っています。一つひとつの事業や施策について、ときにはその目的設定自体が正しいのかどうかも含めて問い直し続ける必要があります。そのためには、価値観を理解し合っているチームであることが必要だと考えているんです。

加えて、ドキュメンテーションにも改めて注力してきた。

林田当社では「ハイブリッドワークスタイル(オフィス出社とリモートワークの併用)」を採用していますが、リモートワークが進む中で、特に課題となったのが暗黙知の共有でした。プロダクト開発やデザインノウハウ、ユーザーの皆さまの声など、従来は自然と共有されていた知見を、意識的に言語化・文書化する必要が生じました。

そこで、GoogleやNotionを活用し、ミーティング時のアジェンダや企画のフォーマット作成したり、議事録の作成を推奨したりして、決定事項や検討過程をドキュメントに残すようにしました。また、チーム間のナレッジ共有を促進するため、各チームでの積極的な情報共有も始めました。

このように振り返ると、当たり前のことばかりのようにも思えます。ですが、根気強く活動を続けることで、チームワークの向上につながっていると感じています。

こうした組織基盤の向上が、新たな事業やプロダクトの付加価値の創出にもつながっている。ここから、BASEにおける事業開発がどのように価値を創出してきたのか、具体的に見ていこう。

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「10万円の売り上げを持つ10万ショップ」がBASEらしさ──Microセグメントに見出した独自の可能性

BASEの事業開発を理解する上で、重要な特徴がある。それは、ユーザーの特性だ。

林田『BASE』は個人やスモールチームにフォーカスしています。私たちが“オーナーズ”と呼んでいるこの方々は、1名でネットショップを運営している方が7割を超えており、一般的に言われているエンタープライズという意味でのtoBとは違い、そのことがBASEにおけるBizDevの仕事を特徴づけていると思い、仕事の醍醐味でもあると思っています。

事業規模で分類したときにSMB(Small to Medium Business)と呼ばれるセグメントがありますが、『BASE』のユーザーはその中でも規模が小さく、世界的にはMicroセグメントに分類されます。『BASE』をご利用頂いているショップオーナーさまの約75%は1名で運営されており、5名以下で運営されている方々となると99%を占めます。1ショップ当たりの平均的な売り上げは月17万〜18万円程度です。

BASEは過去に「事業成長のためには、売り上げ規模の大きいショップの支援に注力すべきだ」というご指摘を多くの方からいただいてきました。

でも、私たちがやりたいことはその逆なんです。創業者のCEO鶴岡の言葉ですが、「100億円の売り上げがある1社」ではなく、「10万円の売り上げがある10万ショップの皆さま」とお付き合いしたい。なぜならば、私たちは「インターネットによって個人や小さなチームがより強くなったその時に、世界はもっともっと良くなる」と信じ、個人やスモールチームをエンパワーメントすることにフォーカスしているからです。この想いを、創業からずっと貫いているんです。

こうした特性を持つユーザーに対して、BASEの事業開発には2つの重要な役割があるという。

林田1つは、個人・スモールチームの課題に向き合いながらプラットフォームとしての価値を「創造」すること。もう1つは、その価値を「伝達」することです。

これらを両立するのが、『BASE』事業におけるBASE Appsの開発です。その一つひとつがスモールスタートアップと呼べるくらい、チャレンジしがいのあるテーマになっています。

『BASE』のプロダクト構造には特徴がある。「誰もがかんたんにネットショップを開設できる」ことを大事にする『BASE』において、基本機能は必要最低限のものに限られている。デフォルトの機能がいくつもあると、ユーザーがどれをどのように使えばよいのかわからず、難しく感じてしまうからだ。

そのため基本的なもの以外の機能は「BASE Apps(≒追加アプリケーション)」という拡張機能として提供している。各ユーザーはショップで扱う商材や規模感に応じてそれぞれが必要なAppを選び、『BASE』上でインストールするかたちで利用している。

林田230万のショップさま(2024年12月時点)がどのようなニーズを持っており、『BASE』として事業成長と両立するよう、どのような付加価値の提供を目指すべきか。徹底的に考え抜いたうえで、機能として新たに開発する推進を、事業開発(BizDev)のメンバーが担っています。

たとえば『かんたん発送App』はヤマト運輸や日本郵便といった大企業とのアライアンスを進めるという難しい事業開発案件だ。発送作業は、ネットショップを運営する中で時間のかかる工程になるが、すでに多くの注文がこのAppを通じて発送されており、ユーザーからは「発送作業の時間が3分の1になってありがたい」という声も届いているという。

また、『海外販売代行App』は、現在アメリカ、シンガポール、タイなど190カ国以上に対応。越境ECの仕組みを整えるためには、各国独自の特性の理解や物流事業者との調整も多く必要となる。まさに事業開発の腕の見せ所が多い仕事といえそうだ。『BASE』のユーザー層において、言語や通関手続きの壁が高く、挑戦をためらう方が多かった領域でもあり、「だからこそ価値がある」と考えて推進された。

これらに関して林田氏が強調したのが、事業としてのKPIに関する検討だ。

林田KPIは、それぞれのAppの特性を踏まえて検討しています。たとえば『かんたん発送 App』は、提供価値の主眼を「売上規模が100万円未満のショップ」と定義しています。そのため、勿論売り上げも大事ですが、それ以上に重要なKPIはAppをご利用いただいているショップ数および注文数が重要なKPIだと考えています。

もし、売上を重視してしまうと、「売上規模がもっと大きなショップさまに営業し、多く使っていただこう」という話になりますよね。ですが、本Appが提供している付加価値は、売上規模の大きなショップさんだけではなく、売上規模がまだ小さなショップさんです。このようにプロダクトの付加価値や狙いを考えていくと、KPIとして追うべきものは異なってくるはず。

私は、最終的な事業のP/Lを見る立場として、もちろん売り上げも見ながらも、プロダクトの付加価値に即した重要なKPIをいかに伸ばしていくのかというチームの議論にも参加し、事業とプロダクトの両方が成長できるよう、BizDevのメンバーとともに取り組んでいます。

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機能から事業へ──『YELL BANK』の特徴に見る事業開発戦略

BASE Appsと並んでもう一つ、BASEの更なる躍進を支えているのが金融事業だ。

林田『BASE』ではショップオーナーさまを対象とした『YELL BANK』という資金調達サービスを提供しています。

『YELL BANK』の機能立ち上げから関わってきた柳川(柳川 慶太氏)が事業責任者を担っていますが、『YELL BANK』は、当初は『BASE』に内包された機能の1つに過ぎませんでした。それが着実に成長し、「機能」ではなく「事業」として独立したのです。2024年7〜9月の四半期には2.4億円の売り上げに達し、前年同期比で約3倍という大幅な伸びを記録し、今やBASEグループの売上総利益を支える新たな柱になりつつあります。

『YELL BANK』自体は拡張機能とは異なるが、これも、1つの機能が独立した事業へと成長していくという、まさに事業開発の好例だ。

林田まさに、BizDevが推進すべき仕事といえるのではないでしょうか?「一つひとつのAppが、スモールスタートアップだ」という考え方を象徴するものだと考えています。『YELL BANK』が「機能」から「事業」へ成長したように、こうした事例をもっと創出していきたいと考えています。

そしてもう一つ、『want.jp』は、2024年8月にグループジョイン(M&A)を発表した越境ECに取り組む企業で、BASE事業とのシナジー創出が期待されている

林田want.jp社は金(金 泰成氏)が代表を務めていますが、世界中のカスタマーが、フェアな価格と最高の利便性で世界中の商品を購入できる仕組み創りを目指し、日本のEC運営者が商品をアジアを中心とした数十各国のマーケットプレイスに販売できる事業を行っています。

越境ECは、これ自体が一つの企業や事業として成り立つほど深い専門知識が求められる領域の1つですが、『want.jp』にはすでに多くのノウハウが蓄積されており、コラボレーションにより、一気にBASE事業における越境ECの取り組みも加速しています。現在は、ショップオーナーの皆さまが、「かんたんに越境ECに挑戦できる機能」の提供にシナジー活動として共同で取り組み、早期提供を目指しています。

このように、BASE事業では多様なBizDevが重要になってくるわけだ。たとえば、「かんたん発送 App」やYELL BANK事業のように、内製の開発やアライアンス等の手法を用いて立ち上げ、適切なKPIを設計して必要なアクションを打ち続けること。あるいは、『want.jp.』のような“スタートアップフェーズの企業のグループジョイン(M&A)を起点としたシナジー創出の事業をゼロから企画したりすることが挙げられる。こうした“スモールスタートアップ”に関するさまざまな事業開発機会がすでに、BASEグループの中では生まれている。

そして林田氏の言うように「これからは事業間のコラボレーションにも注力」するフェーズのため、BizDevとして躍動するチャンスがますます増えていくと言えそうだ。

なおこうした方向性はいずれも、BASEグループのミッションである「Payment to the People, Power to the People.」に沿ったものであるということにも改めて言及したい。個人やスモールチームが、より大きな可能性に挑戦できる環境を整備するための事業やプロダクトを拡充していくことこそ、BASEにおける一人ひとりの重要な使命なのだ。

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三つの基盤が整った2024年──新たな投資サイクルの始動

「BASEは今、個人・スモールチームのエンパワーメントに挑戦できる非常に面白い局面を迎えました」と林田氏は力強く語る。

その根拠として語られたのが、この3点だ。

第一に、ユーザー基盤。創業から一貫して個人やスモールチームの課題に向き合ってきた結果、『BASE』で開設された230万のショップと『Pay ID』を利用する1,500万アカウントを超える購入者というユーザー基盤を確立できたこと。業界内でブランドが確立されている、と言い換えることもできそうだ。

第二に、投資する力。「筋肉質化」というテーマのもと健全な経営・財務基盤を確立し、新たな投資サイクルを開始できる段階に達したと言える。

そして第三に、この1年で多様なメンバーが活躍できる組織基盤が整ってきたこと。本記事序盤で解説したとおり、プロダクトやマーケティング系の職種だけでなく、事業開発に強みを持つビジネス系職種が増え、チームの力が増している。

林田すでに公表しているように、想定よりも1年前倒しの2024年12月期に、営業利益の黒字化を実現しています。そして中長期の目標として、2024年第4四半期の決算にて、グループ全体で、2027年12月期には売上高約280億円、売上総利益約137億円の目標数値を発表しています。

そのために今、経営陣はもちろん、VPoP(Vice President of Product)の神宮司(神宮司 誠仁氏)や各部門の責任者とも協働する立場にいるのが私です。中期と短期の両面から事業戦略・事業計画を策定しつつ、実現に向けた進捗のモニタリングやレポーティングを行っているのですが、プロダクト開発を伴う事業開発の推進はこれからの一つのキーになると考えています。

BASE株式会社コーポレートサイトIRページ「2024年12月期第4四半期決算説明会資料」から転載

林田事業企画における一番の役割は、P/Lをしっかり管掌すること。BASE事業は、足元の取り組みが、中長期の事業インパクトに大きく影響する事業構造になっているため、責任は重大だと感じています。中長期的な影響をしっかり予測し、足元の細かな変化を早く察知し、社内の各所にイシューとして伝えながら先回りの対応を試みています。

まさに司令塔といった役回りの林田氏。今後の、より具体的な動きについても、明確なビジョンを持っている。

林田まずは、幅広い潜在層へのマーケティング活動に力を入れていきたいと考えています。これまで『BASE』は、”無料でかんたんに利用できるネットショップ作成サービス”というイメージが強かったと思います。その特性は変わりませんが、事業開発の手法も取り入れながら付加価値を高めてきたプロダクトと、多くの魅力も持っています。この魅力を将来の新たなオーナーの皆さまにも届くようにマス向けプロモーションも含めた活動を強化していく想定です。

最後に、BASEグループのスコープにも重なりますが、事業間コラボレーションおよび新規事業の創出の実現です。基幹事業であるBASE事業を軸に複数のプロダクトがある中で、それぞれをつなぎ、シナジーを生み出していくこと。今日お話したこと以外にも、山村・髙橋が述べたように、購入者向けショッピングサービスの『Pay ID』との相乗効果は、ショップと購入者のツーサイドプラットフォームとして大きなインパクトを生み出す余地があります。その他、『BASE』を起点とした新規事業や新規App開発も選択肢として検討を始めていたりと、すでに一定の基盤が確立された中で新しい付加価値の創出やシナジーが発揮されるとどうなるのか、楽しみで仕方がありません。

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生成AIとソロプレナーの時代──個人の可能性を広げるプラットフォームの実現が加速へ

前回の記事でも、山村氏が「個人やスモールチームが活躍する未来への変化の入り口に差しかかっている」と強調していた。林田氏も同じく、時代の流れから、BASE事業のさらなる成長を大きくイメージしている。

林田生成AIが台頭し、個人やスモールチームの創作や販促活動のハードルが下がってきました。また、「ソロプレナー(*)」という新しい言葉に代表されるような、大きな企業に属さず、個人でビジネスをするという新しい生き方の価値観が生まれています。

*……自分一人でビジネスを立ち上げ、運営する起業家のこと。この言葉は、起業家を意味する「アントレプレナー(Entrepreneur)」と、一人を意味する「ソロ(Solo)」を組み合わせた造語。一般的には、従業員を雇わず、すべての業務を自ら行う

林田氏自身、「生まれる場所や環境は先天的な要素であり自分では選べない。しかし、意志を持ち目標に向けて、後天的な努力を積み重ねていけばできることは広がっていくことを証明する」という個人的なライフテーマと、BASEグループのミッション「Payment to the People, Power to the People.」が重なり、参画を決意したとも振り返る。そして、近い想いを持つ仲間をこれから増やしたいとも最後に語った。

林田BASEグループのミッション「Payment to the People, Power to the People.」の実現はもちろんのこと、その先に目指す社会であるFoundation「We are All Owners」の考えや価値観に基づいたチャレンジを、さらに事業を通じて拡大できるよう取り組んでいきます。

グループ全体で言えることですが、チーム全体で、ミッションやFoundationの価値観を共有し、力強く歩んでいます。特に、「メンバーは皆、ショップオーナーさま、加盟店さまのことがとても好きで、真摯に向き合ってそれぞれの事業に取り組んでいる」のがこのチームの魅力です。私がここにいる理由でもあります。実現していきたいことや課題もまだまだ山積みなので、共感を覚えてくれたみなさんからのご連絡をお待ちしています!

第2・第3の柱が立ち上がり、既存事業・新規事業両面で非連続的な成長の絵図を具体的に描けるようになった。まさに、上場スタートアップとして新たな成長ステージに立つBASE。プロダクトやマーケティングという強みに、これから事業開発としての強みも加わってくるというわけだ。

「誰でもかんたんにネットショップを開設できる」という比較的シンプルな価値提供のプロダクトから、個人やスモールチームの可能性を最大限に広げるプラットフォームへ。BASEの変革は、単なる事業モデルの進化を超えて、新しい働き方、新しい経済のあり方を提示する挑戦となっていくのだろう。

こちらの記事は2025年03月21日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

畑邊 康浩

写真

藤田 慎一郎

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