21万超の職人データが武器!中央官庁、業界団体、大手ゼネコンとも連携を深め、業界を席巻する事業戦略と組織の実情【累計66億円調達の「助太刀」とは】

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助太刀はスタートアップとして着実に成長してきた。建設人材マッチングプラットフォーム『助太刀』の登録事業者数は21万超にまで拡大し、創業当初から描いていた「建設産業の根幹に入り込み、変革を起こす」という立ち位置を確立し始めている。2024年10月には新規事業開発などに向けた17億円の資金調達を新たに実施。金融機関やスーパーゼネコンとのアライアンスも増え、さらに勢いを増しているという。

売上額は非公表のため知られていないが、事業は着実に成長している。さらには2024年、シティグループ証券にてTMT(テレコム・メディア・テクノロジー)グループの統括責任者を務めた北川憲二郎氏を取締役CFOに迎え、経営陣が盤石となるなど、見逃せないスタートアップだ。

その実態について、 既存事業/新規事業/組織という3つの側面から、FastGrowによる徹底取材で明らかにしたい。

  • TEXT BY HARUKA YAMANE
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既存事業/新規事業/組織、いずれも着実に前進

前述の通り、本記事では以下の3点から助太刀の実態について明らかにする。

  1. 既存事業は順調なのか?
  2. 新規事業を生み出せているのだろうか?
  3. 組織は強くなっているのか?

取材内容等を基にFastGrowにて作成

【論点① 既存事業は順調なのか?】

結論から言えば、非常に順調だ。

全社売上高は「着実に大きく伸び続けている」(CFO北川氏)。その半分近くが祖業であるマッチングプラットフォーム『助太刀』によるものである。「登録事業者数21万超」で圧倒的トップシェアを誇るだけあって、着実に売上を伸ばし続けているという。

なお、これまでの成長の理由は、大きく2つに分けられる。

  • 「受注案件を探す“職人”、”工事会社”のそれぞれ」に、売上・利益をもたらす機会を提供し続けられている
  • 「発注先を探す“工事会社”側」が建設工事を進めるために必要な職人・工事会社との出会いを、不足なく提供し続けている

マッチングプラットフォームであるからには、両者にとって価値があることが何よりも重要だ。助太刀の事業は、各ユーザーに「事業成長」へのチャンスを提供しているわけである。だからユーザーが集まり、リピートし、利用がどんどん増えていく構造となっている。


【論点② 新規事業を生み出せているのだろうか?】

第二の事業として『助太刀社員』をローンチしたのが2020年。5年目を迎えた現在は祖業の建設マッチングプラットフォーム事業とのシナジーを発揮し、売上成長を大きく支えている。

そして2024年9月、職人への教育サービス『助太刀学院』のローンチを発表し、2025年2月からオンライン教育の提供を開始した。

建設職人に関するさまざまなデータを蓄積し、人を中心としたプラットフォーム構築を進めてきた同社だからこそ、参入によって顧客への提供価値が最大化できるのが「教育」の領域である。このように、既存事業の強みをさらに活かし、相乗効果が期待できる領域で新たな事業を構築しており、さらに水面下では大きな構想が練られている。


【論点③ 組織は強くなっているのだろうか?】

2025年2月末時点で、従業員数は140名ほど。人数の増加ペースは落ちたが、売上の成長・利益水準の改善は続いており、生産性が高まってきた状況だといえる。

2020~2023年ごろの組織拡大期を経て、2024~2025年は地に足をつけて生産性の向上に重きを置いてきた。HR繁田氏のnoteで紹介されていたように、「クオリティグロース」という方針で、研修や人材開発に関する施策も増やしているという。

また、冒頭でも紹介したように経験豊富な北川氏がCFOに就任するなど、マネジメントレイヤーの体制も盤石になってきている。

それではここから、それぞれの論点に対するアンサーを、セクションごとに見ていこう。

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建設工事が増える中、人手不足は進行。
大手企業との提携などを通し課題解決へ

CFOとなった北川氏は、入社前の我妻氏(助太刀 代表取締役社長 兼 CEO)との初回面談で、同社の事業内容と成長ポテンシャルを聞き「これは面白い」と驚いたそうだ。

北川氏の心を動かした要因は、大きく2つ。

  1. 建設業の人手不足を解消するという“ブルーオーシャン”な領域
  2. 本当のイノベーションを起こせる事業

ANDPAD』や『SPIDERPLUS』などバーティカルSaaSがすでに台頭するなか、助太刀が手がけているのは、建設業の人手不足を解消するための建設人材DXプラットフォーム。

建設業では、発注元となる工事会社が、取引のある職人や工事会社を手配して現場を回す。しかし、建設業就業者数(2022年平均)は479万人と、ピーク時(1997年平均)から約30%減になっており、建設投資額の増加に対比して人手不足は深刻な状況(参照:国土交通省『建設業を巡る現状と課題』)だ。従来から取引のある職人・工事会社だけでは手配ができず、現場が回せなくなりがちだ。

そんな中、ツテをたどるようなかたちで“電話で連絡”し、工事に必要な職人・工事会社を集める作業がいまだに多く残っている。人手が確保できず、現場を断るなど機会損失を抱えている工事会社も少なくない。

それが『助太刀』を利用することで、Webやスマートフォンアプリを介して手軽に職人・工事会社を探し、新たな繋がりを創出し、事業を維持・拡大することができるようになったのだ。

ITやWeb業界に触れる機会の多い読者からすれば「Webで探すなんて当たり前では?」と思うかもしれない。だが、特殊な構造・法規制のある建設業では、これまでそういった仕組みを持続できる会社がなかった。さらに言えば、有料職業紹介・人材派遣が法令で規制されていることで、人材大手会社も参入しにくい領域だった。そこに、風穴を空けるような独特のビジネスモデルを実現させたのだ。

特殊な業界構造がゆえに、以前は“10年間で3社以下しか取引先が増えない(同社調べ)”ところに、“1年間で取引先が平均3.1社増える”という今までにない価値を生み出した(同社実績)。まさに、ゼロ・トゥ・ワン(*)。建設業に本当のイノベーションを起こせるポテンシャルの大きさが北川氏の心を動かしたのだ。

*……水平的な進歩(これまでの延長)ではなく、垂直的な進歩(非連続的な変化)を指して使われる言葉(参照:『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』 著 ピーター・ティール)

提供:株式会社助太刀

そしてさらなる成長へ、「アライアンスの取り組みを増やしていく」(北川氏)。ここ数年の間、すでに全国の地方銀行との提携によって、新たな導入企業の獲得が進んでいる。こうした動きをさらに加速させつつ、業界変革にまで波及させていくために注力しているのが、「大手ゼネコン・サブコンとのパートナーシップ」だ。

既にリリースされているように、業界を代表する電気サブコンであるきんでんとの連携(プレスリリースはこちら)、空調衛生サブコンである高砂熱学工業によるサービス導入(プレスリリースはこちら)を実現しており、ほかにも未公開で複数の大手ゼネコン・サブコンとの提携が進んでいる。

加えて、CEO我妻氏はもちろん、CFO北川氏も前線に立ち、スーパーゼネコンと呼ばれる業界大手企業の経営者との調整を進めている。大手建設会社向け協力会社支援『助太刀パートナーシッププログラム』の第1号案件として、2025年1月に竹中工務店の導入を発表。大規模な重層下請構造を広く捉える一手として、今後のさらなる成長を占う動きとなりそうだ。

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ビジネスマッチングと正社員採用の既存事業へ新しい価値を提供し、相乗的な成長を狙う新規事業とその先の構想

既存事業の拡大と並行して、新規事業の動きも着実に進めている。

第二の事業として2020年にローンチした『助太刀社員』は、祖業の『助太刀』と、下図のような関係性でシナジーを発揮し、工事会社と職人それぞれにとって欠かせない役割を担っている。

取材内容等を基にFastGrowにて作成

2024年には職人向けオンラインキャリア支援サービス『助太刀学院』のローンチを発表した(プレスリリースはこちら)。

特定の危険性を伴う業務を行う場合に必要となる専門的な教育を「特別教育」と呼び、そのような危険な業務を行う作業者に対し、事業者側が教育を受けさせる義務を負っている。

法律で決められた時間・カリキュラムで網羅的に作業の危険性などを学ぶのだが、職人は現場を休んで受講する必要があり、日程調整も必要となる。そこで『助太刀学院』では、オンラインでコツコツと受講できるオンデマンド型の特別教育を提供する。

アクセスしやすく、質の良い教育を提供するだけではなく、その受講データや履歴は既存サービスである『助太刀』や『助太刀社員』へと連携されていく。

これにより『助太刀』を通して職人を探す工事会社は、受講した特別教育の正確な情報を持って信頼性を評価でき、『助太刀社員』で求職者を探す際も、採用企業は自社の工事内容で必要な特別教育を受けているかどうかで、適切な人材かを判断をすることができる。

実はこの教育事業は、助太刀の10年、20年後を描いた「VISON BOOK」にも記されていた。

VISION BOOKの一部。2024年に開催の全社キックオフで配布され、助太刀の描く大きな未来が共有された(提供:株式会社助太刀)

大きな構想を描き、それを着実に一つひとつ実現しようとしている。

17億円の資金調達時には、使途として「今後の事業成長と組織体制の強化、新規事業開発などに活用していく」とプレスリリースで表明していた。

こうした展開にこそ、社外の投資家からの期待がある。創業時から複数回、エクイティファイナンスを実施してきた。

  • 2017年8月:総額約5,000万円の資金調達を実施(旧社名:東京ロケット時代)
  • 2018年4月:約5.3億円の資金調達を実施
  • 2019年7月:総額約7億円の資金調達を実施
  • 2022年7月:18.5億円の資金調達を実施
  • 2024年7月:パナソニックホールディングスから資金調達を実施、パナソニック ハウジングソリューションズと協業契約を締結
  • 2024年10月:日本郵政キャピタル、三井住友信託銀行などから17億円の資金調達を実施

株主には、著名VCや著名大企業が名を連ねており、業界変革への大きな期待を抱かせる。

とくにパナソニックホールディングスのパナソニック ハウジングソリューションズとの間では協業契約を締結済み。ほかにも具体的に資本業務提携先との事業開発も進んでおり、複数のサービスを展開できるプラットフォームへの進化を進めている。

なおこうした新規事業はいずれも『助太刀』に蓄積された21万登録事業者の膨大なデータによって支えられている。職人の資格や技術名称、工事実績といった情報が日々蓄積され、それが新たな事業展開を可能にしているのだ。CFO北川氏も、この展開に大きな期待を持っている。

北川今後は職人・工事会社同士の相性や技能の定性的な評価まで可視化していきたいですね。マッチングプラットフォームから、建設業界全体のインフラへと進化させていくのが目標です。

そのために必要な機能を、一つずつ着実に構築する。職人の方々の市場価値を正しく評価し、キャリアパスを可視化することで、業界全体の活性化にも貢献できるのではないでしょうか。

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“規模拡大”よりも“高い生産性”が重要。従業員の成長を実現する人事組織施策とAI活用のバランス

従業員数は140名ほどで、スタートアップらしい増加・拡大ペースは一巡した。だがそれは、生産性の高い組織へと変貌する序章なのだという。まさに今も、売上の急成長・利益の改善が続いている。

HR繁田氏のnoteでも明かされていたように、2023年9月から「クオリティグロース期」の方針をとってきた助太刀。以下のようなビジョン・狙いで、人事制度構築が進められた。

提供:株式会社助太刀

先ほど詳しく紹介した既存事業の成長の裏には、まさに人材開発がある。メンバーに対する成長施策として、e-learningや管理職研修などを行ってきた。

社内勉強会では、全社での成長機会を提供し能力向上に繋げること、自律的に学び共有し合う文化をつくることを目的とし実施をしてきた。

テーマは、ビジネススキルやスタートアップでのマインドセットなど、実務に活かせる知識や考え方が身につく内容を設定してきた。また、外部から講師を招き、新しい知見や情報を得る機会を作るなど、試行錯誤をしながら継続をしている。

過去6回実施してきたが、メンバーからは「視座が高まった」「実際に業務に役立った」という声が上がってきたり、次の勉強会のテーマの提案が自発的に上がってくるなど、効果が見られてきたという。

部署横断勉強会の軌跡(提供:株式会社助太刀)

また、2024年7月から管理職研修も行ってきた。長期的な企業の成長を実現するためには、全社の戦略理解度と凝集性を高める必要があり、まずは経営と現場をつなぐミドルマネージャーの育成に力を注いできた。

テーマはマネジメントの役割を担うために必要なスキルの獲得や、共通認識を持つことを目的に設定してきた。例えば、第二回「経営と現場を繋ぐ役割の理解と会得」では、戦略・方針の浸透のために、管理職がメンバーに正しく会社の方針を伝え、現場の状況も踏まえて腹落ちしてもらうことができるかを体感するワークショップを行った。

研修を通し、自分以外のマネジメントスタイルや考え方に触れることで、アンラーニングや新たな発見に繋がる機会となったという。

管理職研修のテーマ(提供:株式会社助太刀)

加えて、スキルアセスメントの実施、人材開発会議やジョブポスティング制度など成長に繋がる仕組みを着実に整備し始めている。

他方、生産性向上に大きなインパクトを与える施策として、最新のAIモデル・ツールを積極的に活用している。『助太刀』のユーザーに向けたマッチングアルゴリズムのアップデートに加え、自社のカスタマーサクセス向けに求人原稿作成補助システムや顧客別にカスタマイズされた提案資料の自動作成機能、などをリリース。

これらを社内では「リープフロッグ」と呼んでいる。リープフロッグとは、「カエル跳び」のことで、「先行している存在を一気に追い越す」ことを意味する。 新興企業や後発組が最新技術・手法を導入し、既存プレイヤーを凌駕する際にも使われる。助太刀においてもAI技術を取り入れ、ユーザー企業にとっての価値を高めていくと同時に、顧客対応時間を増やすため社内メンバーの業務効率改善も進めている。

リープフロッグプロジェクトによって既に1カ月あたり数百時間分の工数削減が実現している。

カスタマーサクセスの業務自動化の結果。2024年11月から2025年2月にかけて、準備時間は24%削減され、顧客対応の時間が13%向上した(提供:株式会社助太刀)

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スタートアップとして、事業成長のファクトで応える助太刀

スタートアップの成長に重要な「既存事業の成長度合い/新規事業の立ち上げ状況/組織体制の強さ」の3点から、助太刀の現状を確認してきた。

「助太刀があったから、社会インフラが維持され、時代の変化に合わせて街や社会が発展の歩みを止めずに済んだ」──これから実現しようとするのは、そんな世界線である。プラットフォーム事業で業界変革を急加速していく様子がきっと見られるはずだ。

とはいえ「建設業の変革について、あまりイメージが湧かない」という読者もまだいるだろう。そんな人には、同じように建設産業の門外漢ながら参画を決めたCFO北川氏のインタビューを読んでほしい。きらびやかな経歴とは裏腹に物腰柔らかで、「どのような変革をこれから起こしていくのか」などについて、込み入った質問にも真摯に答えてくれた。

北川氏インタビューはこちら

こちらの記事は2025年02月28日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

山根 榛夏

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