「支社配属=密度の濃さ?!支社だからこその強みがここには実在する」──就活生が気にするキャリアプラン。電通総研・広島支社に聞いてみた

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インタビュイー
坂本 竜樹
  • 株式会社電通総研 技術統括本部 バリューチェーン本部 PLM第4ユニット 

2010/4/1 新卒 40歳

藤原 洸平
  • 株式会社電通総研 営業統括本部 営業第一本部 製造営業第1ユニット 

2019/4/1 新卒 28歳

寺田 光作
  • 株式会社電通総研 技術統括本部 バリューチェーン本部 PLM第4ユニット 

2021/4/1 新卒 28歳

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キャリアを考えるとき、多くの人が「まずは本社でより多くの成長機会を得たい」と考えるだろう。本社ならではの大規模案件や経営層との近さは、若手にとって魅力的だ。しかし、本当に成長できる環境は本社だけなのか?

これまでFastGrowは、システムインテグレーション・コンサルティング・シンクタンクの3機能をもつ電通総研中部・豊田支社関西支社を取材。いずれの支社でも「本社と同等の働き方・待遇」に加えて、「支社だからこそ味わえる大きな裁量と現場への深いコミット」が見えてきた。

そんな中、最後に訪れたのが広島支社だ。

自動車から住宅機器、造船まで名だたる製造業が集積する地で、社員たちはどのような成長を遂げているのか。そのリアルを追ってみたところ、支社配属への固定観念を覆す“新たなキャリアの可能性”が見えてきた。

  • TEXT BY YUKO YAMADA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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「地に足ついたキャリアプラン」を描きやすい。
広島支社歴12年のベテランが明かす、“じっくり成長”のメリット

入社3年目、広島への異動通知を受け取った瞬間、坂本 竜樹氏(技術統括本部 バリューチェーン本部 PLM第4ユニット)は正直なところ不安を感じていた。大学は東京、広島には縁もゆかりもない。「本社から離れ、支社でのキャリアは本当に大丈夫だろうか」。しかし、今ではその不安が一変し、「広島支社ならではの成長機会を実感している」という。

坂本 広島支社では、クライアントと長くお付き合いしながら進める案件が多いという特長があるため、社員の入れ替えが少なく、そのおかげでじっくりとキャリア形成に取り組めるんです。実際、私も広島に来て13年目ですが、上司や先輩が腰を据えて育成に向き合ってくれるんです。比較的異動が少ないことは、広島支社のひとつの特徴かもしれないですね。

電通総研 坂本 竜樹氏 (Ryuki Sakamoto) 技術統括本部 バリューチェーン本部 PLM第4ユニット

同じように、2019年に配属された藤原 洸平氏(営業統括本部 営業第一本部 製造営業第1ユニット)も「最初は支社勤務に戸惑った」と言う。当時は新卒で広島支社に配属された前例もなく、20代の社員がほぼいない環境で、自身の成長が遅れてしまうのではないかと危惧していたのだ。

藤原 最初は「広島か……縁のない土地だけど大丈夫だろうか?」と不安でした。

しかし、実際に広島支社で働いてみると、少人数ならではの環境で、一人ひとりの成長を全員が見守り、むしろ早い段階から大きな案件を任されるようになった。結果的に、営業としてのスキルを磨くには絶好の場所だったなと思いますね。

電通総研 藤原 洸平氏 (Kohei Fujiwara) 営業統括本部 営業第一本部 製造営業第1ユニット

なぜ彼らは広島支社配属で“より自分らしいキャリア”を描けるようになったのか。その背景にあるのが「人材の流動性が比較的低い」という広島支社の特性だ。本社は複数の部署をまたいで多様な経験を積む社員が比較的多いとのことだが、広島支社はメンバーが固定化されやすく、そのぶん上司・先輩との関係を中長期的に深めやすいという。

坂本 広島支社は、お客様と長期で関係を築きながら進めるべき案件を多く抱えており、良い意味で人材の流動性が低いです。そのため、社内外の皆さんとともに、自分のキャリアもじっくり積み上げていきやすいと感じています。

常に同じ顔ぶれと議論しながら、一歩一歩キャリアを積み上げるので、“地に足ついたキャリアプラン”を築きやすいんです。実際に私も、新しいスキルを身につけたり、もう少し難度の高い案件に挑戦したりするときに、指導してくれる人が長期で伴走してくれたことで、着実に成長を重ねていくことができたと感じています。

こうした“安定したサポート体制”は、広島支社ならではの魅力と言えるだろう。定期的なIonI*やキャリア面談を通じて、個々の強みや関心を踏まえた成長プランを描き、その実行を皆でフォローする風土が根づいている。坂本氏が「地に足ついたキャリアプラン」と呼ぶのはそのためだ。

*……同社の独自施策。「1on1」の「1」を「I(私)」に変え、人間同士が誠実に協力的に対話するという意味で、表記を「IonI」としつつ「ワンオンワン」と読むかたちとしている。詳細は、FastGrowの過去記事や、1on1ツール『TeamUp』の導入事例記事などを参照

藤原 若手にとってはこの環境がありがたいんです。広島支社は、地に足のついたキャリアプランに沿って、着実に成長していきやすい環境だと思っています。広島支社なら、目指す方向性が決まっている人ほど、その方向性に向けての成長のステップを踏みやすいところがあるのではないでしょうか。

もちろん、“キャリア形成”のスタイルは人それぞれ。広島支社では「さまざまな部署で幅広い経験を積みたい」というキャリアプランには適さないかもしれないが、逆に「腰を据えて専門性を深めたい」「お客様と中長期的な戦略を描くような仕事を経験したい」というタイプにはぴったりだ。坂本氏が笑顔でこう締めくくる。

坂本 支社と聞くと、どうしても「成長の機会が少ないのでは」とイメージする人もいると思います。でも、少人数で密に連携するからこそ、1人の成長を全員で後押ししてくれる環境がある。私自身、そのおかげでここまでキャリアを伸ばせたと感じています。

広島支社の少人数体制×長期的な育成風土──この組み合わせが、“地に足ついたキャリアプラン”を描ける要因なのだ。

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「支社配属=昇進や昇格が遠のく」は先入観。
20代からの“現場経験”が育むリーダーシップ

「本社と比べると、昇格のタイミングが遅れてしまうのではないか」。「短期間での成長や、将来の成長の足掛かりにならないのではないか」。支社への異動や初期配属を伝えられた若手なら、誰もが一度は抱く不安かもしれない。2019年に新卒で広島支社へ配属された藤原氏も、当初はこの懸念が強かったという。

藤原広島支社で働く以上、本社ほど大規模な案件に関われないとか、評価されにくいんじゃないかと思っていました。でも実際はまったく逆でした。広島には名だたる製造業の重要拠点があり、少人数だからこそ若手にも大きなチャンスが巡ってきます。自分が担当する案件がそのまま広島支社全体の成果につながりやすい。社長や役員が広島支社の様子を見に来る際にも、自分が取り組んでいる内容を直接アピールできるんです。

実際、支社経験者の管理職や部長クラスが多くいるとのことだ。広島支社で10年以上勤務する坂本氏は、その理由を“若手でも現場を深く知り得る環境”にあると見ている。

坂本広島支社には、“現場の肌感覚”を細部まで把握する機会が多いと思います。顧客の製造ラインや研究開発現場といったコア領域に深く入り込めるので、若いうちから現場の課題をリアルに知ることができるのが強みです。

さらに、広島支社では製造業の基幹システムだけでなく、生産プロセス全体に関わる実践的な取り組みを進めるケースが多い。それは、将来的に大きな組織や事業を率いるときに欠かせない“本質的な課題把握能力”を培う場にもなっている。

藤原若手の私が、製造業の技術者と一緒に試作品のデータを検証し、原因や改善策を提案するといった機会があるんです。広島支社では「現場で課題を掴む→具体的に解決策を示す→顧客から評価と信頼を得る」という経験を若手のうちにたくさん積める。これはリーダーになるためにも欠かせないプロセスなのではと感じています。

彼らの話を聞くと、「広島支社配属=昇進や昇格が遠のくのでは?」という懸念は、単なる先入観に過ぎなかったと気付かされる。むしろ広島支社経験が幹部候補としての素地を作るケースも多いのだと感じられる。とりわけ、ユーザーと直接向き合う現場力は、将来マネジメントを担ううえで大きな“武器”になり得る。

坂本顧客の業務にも入り込んで得た経験は、本社勤務になっても相当活きるはずなんです。

私も、広島支社での経験を通じて、「実際にモノを作る側の気持ちや制約条件」を理解できるようになりました。だからこそ、上流工程の戦略やシステム設計の段階から「現実的に使えるか」を想定しながら発言できる。こういう総合力は、管理職やリーダーを目指す人にとっては大きな強みになります。

昇進や昇格をする/しないにかかわらず、キャリア開発の道は一つではない。本社で多様な部署を回りながらキャリアを広げる道もあれば、支社で現場視点を深く養い、若手のうちから成果を出す道もある。広島支社が後者の選択肢を体現しているといえるだろう。次のセクションでは、そんな広島支社の若手が実際にどのように現場力を培い、どんなスキルを磨いているのかを覗いてみたい。

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現場の顔が見えるからこそ“共感”が芽生え、
使命感が成長の原動力に

「誰のためのシステムなのか」。広島支社で働く技術者や営業にとって、この問いは日々の行動を突き動かす重要な軸だ。製造ラインを動かすエンジニアや品質管理者といった現場の技術者の“生の声”を直接聞き、そのニーズを踏まえて提案を形にできる環境が、若手のやる気と学びを大きく加速させている。

坂本氏は、大手住宅設備メーカーのプロジェクトに参加した際、「過去10年の設計データや試験結果を一元管理したい」という切実な要求に応えようと奔走した。

坂本本社配属だったころは情報システム部門とやりとりするのがメインでしたが、広島支社では現場の技術者とかかわる機会が増え、直接「弊社の商品を使っていただいるエンドユーザーのために、早急にシステムの見直しを計りたい」と言ってくれるので、“顔が見える相手のために急がなければ……!”とより強く背中を押されます。誰が何に困っているのかがわかるからこそ、使命感がぐっと高まるんです。

3人目のインタビュイーであり、チームリーダーとして技術チームを率いている寺田 光作氏(技術統括本部 バリューチェーン本部 PLM第4ユニット)も、同じく顧客の現場に入り込んでさまざまな経験を積んでいる。

入社後まもなく製造現場に足を運び、課題を聞き出す場に立ち会ってきた。要件定義や実装の段階でも「現場では想定外の使い方をするかも」といった視点を持ち、細かな修正を重ねられるのは、エンジニアでも顧客と直接コミュニケーションを図れるからだという。

電通総研 寺田 光作氏 (Kousaku Terada) 技術統括本部 バリューチェーン本部 PLM第4ユニット

寺田現場を肌で知っていると、“作って終わり”にならず、導入後の運用面まで関心が向きます。実際のユーザーから「ここを直してほしい」と言われればすぐ動き、改善効果を確認してさらにアップデート。そうやって試行錯誤を繰り返すうちに開発スキルも急速に身につくんです。

さらに、この“現場密着”は顧客企業だけでなく、社内の営業と技術の間でもメリットを生む。少人数の広島支社では、職種を越えて相談しやすく、アイデアが出るとすぐ実行に移せるのだ。

藤原大きな組織だと、ちょっとした仕様変更でも部署ごとに根回しが必要ですが、電通総研の広島支社では「これが顧客に喜ばれそう」と思ったら、すぐ技術側のメンバーに意見を聞き、サンプルを見せるところまで一気に進められます。

こうした連携の速さは、顧客との信頼関係を厚くし、結果的に若手が大きな裁量を得やすい環境をつくり出す。顧客が「もっとこうしたい」と新たな要望を出すたびに、メンバーは“自分の提案を試せるチャンス”と捉え、行動の幅を広げていける。

寺田坂本さんが言うように、相手の顔が見えるとモチベーションが上がるものだと思うんです。 「急いでほしい」という声を直接聞けば、「この目の前のお客様の為に早く仕上げよう!」と頑張る意欲が生じます。自分の仕事の意義についても考える場が多い気がします。支社ってどうしても地味なイメージを持たれがちですが、実際はこういう連鎖が起きやすい、ポジティブな現場だと思います。

顔の見える相手と迅速に協力し合うからこそ、生まれる共感と使命感。広島支社では若手でも“誰のために何を作り、どんな結果を得たいか”を明確に意識しながら仕事に取り組める。これが、成長を後押しする最大のエンジンになっているのだ。

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「支社の仕事ってインパクトだせるの?」
広島支社が生み出す社会的価値とは

広島支社で得られる経験は着実なスキルアップに直結しやすい。一方で、「支社は本社ほどの規模やインパクトがないのでは?」という声があるのも事実だ。

しかし、これまで中部・豊田支社、関西支社を取材してきたFastGrowの結論は、電通総研の支社はただの地方拠点ではなく、“その土地ならでは”の重要な役割を果たしているということ。藤原氏もこう語る。

藤原電通総研の支社のミッションは、その地域の主要企業をITの力で支えることです。広島は日本を代表する製造業の集積地。自動車や住宅機器、造船など、世界的に有名な企業とのプロジェクトが多く、売上面でも支社が担う割合は決して小さくありません。

実際、広島支社は電通総研の主要顧客を数多く抱え、重要な拠点となっている。寺田氏が就活時代に衝撃を受けたのは、当支社による『塗装シミュレーター』の事例だった。支社であっても、最先端のデジタル技術で現場を革新するダイナミックな仕事が実際に行われていることを知り、強く惹かれたという。

寺田「支社だから大きな仕事ができない」なんてことは全くありません。製造業の根幹を支える技術開発を、最先端の手法で支援しているんです。

さらに藤原氏は、製造現場の課題をデータ分析やシミュレーションで解決していく具体例を挙げる。たとえば、図面どおりに部品を成形しても微妙なズレが生じる問題を、熱や気候の影響を数値化・可視化して対策を導く──“勘や経験”に加え、科学的アプローチを組み合わせることで工程の精度を格段に高めたのだ。

藤原私たちはまずお客様が本当にやりたいことを理解し、その成功に全力で寄り添います。その結果、感謝していただけたときは、仕事の意味を実感できますね。

広島支社で働く醍醐味は、製造業の最先端を支えつつ、自分たちの成果が社会に直結していると実感できることだと3人は強調する。たとえば車を眺めても、そこに使われている部品の開発秘話が自然と頭をよぎり、自分の関わった製品が街を走る姿に誇りを感じられる。また、プロトタイプ段階の新技術を一緒に考える機会も多く、“数年後に世に出るかもしれない”ワクワク感がモチベーションになるのだ。

寺田誰もが毎日使うような住宅設備機器の、製造工程改善プロジェクトに携わった経験から、その製品に対して強い愛着を感じるようになりました。その後、自宅を建てる際には、迷うことなく自分が関わった製品を選びました。

自分が使用するたびに、「社会全体で同様に、この便利さが享受されているのだろう」と感じることができ、誇らしい気持ちになりますね。

「面倒見が良い」という職場環境は魅力的だが、そこで受け身になっているだけでは、真の成長は得られない。広島支社ならではの経験を積極的に積み上げるため、この地域に根差した産業の現場に入り込み、社会貢献をイメージしながら働いていく。そんな姿勢こそが、自分のスキルを伸ばし、社会的なインパクトを生む仕事へつながっていくのだ。

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新人のフォローも、キャリアの後押しも広島支社全体で担う

広島支社が若手の成長を加速させる理由の一つに、「メンバー全員で新人を育てる」という風土がある。中部支社の約半分、関西支社の3分の1ほどの規模である広島支社。一人ひとりの存在が際立ちやすく、自然と互いを気遣う土壌ができているのだ。

寺田氏は、入社以来その恩恵を実感していると話す。

寺田新人が数名しかいないので、誰かが困っているとすぐに周囲が気づきます。営業から技術、先輩から後輩まで、部署や世代を越えて「大丈夫?」と声をかけてくれるんです。たとえば、業務が集中しすぎてキャパオーバーになっているときも全員がサポートしてくれるので、精神的に追いつめられることはありません。

こうした「みんなで育てる」カルチャーは、キャリア面でも顕著に表れる。先に述べた通り、異動が比較的活発な本社では、担当上司やメンターが変わる可能性が高い。しかし、広島支社なら比較的長いスパンで同じメンバーが在籍しているため、1〜2年ではなく、3〜5年、あるいはそれ以上の視点でより親身に新人を育てようという意識が根づいているようだ。

坂本私が広島支社に来たころもそうでしたが、広島支社では“新人を1人の力で成長させる”より、“チーム全体でバックアップしよう”という雰囲気が強いですね。上司がマンツーマンで面倒を見るだけでなく、先輩たちが自主的に勉強会を開いたり、新人の力量を踏まえた案件を割り振ったり。少人数だからこそ、計画的に若手を育てる仕組みをつくりやすいのだと思います。

プライベートでの交流も、こうした育成を後押しする要素だ。新入社員を歓迎する場があれば、部長クラスも含めて大勢が顔をそろえ、「広島支社は未経験でもやっていけるよ」と口々に励ましてくれる。強制参加ではないため、飲み会やイベントが苦手な人は遠慮なく断れるが、積極的に参加してみると先輩や上司を身近に感じられ、相談のハードルもぐっと下がるという。

寺田広島支社には転勤組が一定数おり、地元とのつながりを持たない人も少なくありません。だからこそ、仕事以外でも「一緒にご飯を食べに行こう」と声をかけてくれる先輩が多い。こうしたちょっとした気配りが新人にとってはありがたいんですよね。

また、電通総研の場合は、本社・支社問わず「給与や福利厚生など待遇面は同じ基準」で運用されている。

いわゆる“地域限定職”とは異なり、昇給や昇格の仕組みも全国共通。これが若手を安心させ、腰を据えて挑戦できる心理的な土台になっていると藤原氏は言う。

藤原支社だと「給与が低く、都合よく使われるんじゃ…」と不安を抱く人もいるかもしれませんが、電通総研においてはそんな格差はありません。むしろ広島は家賃相場や生活費も比較的安いので、経済面での心配が少なく、自身の仕事に集中できるのが大きなメリットですね。

支社という看板を外してみると、そこにあるのは「少人数体制の高密度なコミュニケーション」と「本社と同等の待遇」が同居する空間だ。新人からベテランまでが自然と支え合いながら、お互いのキャリアや働き方をサポートし合う。こうした環境が、「支社配属を不安に思う人」のイメージを大きく変えるのではないだろうか。

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広島支社で得られる「現場感覚」と「大規模案件への挑戦機会」で、20代からリーダーへ

さて、中部・豊田、関西と巡ったFastGrowの取材も、ここ広島支社で一区切りとなる。いずれの拠点でも共通しているのは「支社は本社と同等の待遇や案件規模を持ち、さらに若手が大きな裁量を得やすい」という事実だった。では、支社で働くメリットとは最終的にどこにあるのだろうか。

坂本氏は「少人数体制の広島支社では、社員同士の距離も近く、現場との距離も近い。それがキャリア形成において大きな強みになる」と述べる。

坂本冒頭にも述べた通り、広島支社はある程度腰を据えて仕事に取り組める分、顧客企業や社内のメンバーとの関係を深めやすい特長があります。私は広島支社に10年以上いますが、その長期的な視点で若手をサポートし、新しいプロジェクトを一緒に作り上げる楽しさは非常に大きいんです。

一見「支社=仕事のインパクトが小さい」と捉えられがちだが、広島支社には名だたる自動車メーカーや住宅機器メーカーの重要案件が存在しており、少人数組織でこれらの企業規模も大きく、顧客としても重要な案件に挑めるからこそ、若手であってもメイン担当やサブリーダーを任される機会が巡ってくる。

藤原氏は、こうした“密度の濃い”環境で得られる学びを「自分の成長を強く意識できるプロセス」と表現する。

藤原大手企業の決裁者に直にプレゼンしたり、技術メンバーと共に日本全国で使われる製造システムの仕様を決めたり──どれも私のような20代が本社にいたらライバルたちも多く、実現は容易ではなかったかもしれません。広島支社は人数が限られるので、一人ひとりの役割が明確で責任も大きい。失敗も含めて学ぶことが多く、結果としてキャリアアップが早いと感じています。

寺田氏も、「広島支社だからこそ、ものづくりの現場と強く結びついた仕事ができるのだと思います」とコメントする。

寺田自分の仕事の成果が、数年後には“街を走るクルマ”や“誰かの家に設置された設備”として形になる。そう考えると、よりリアルな達成感が得られます。広島支社勤務だと技術者や研究員の方々と直接やり取りする機会が多い分、細かい仕様決めから大きな構想まで踏み込んで関われますし、その経験が自身の成長につながっていると実感します。

「20代で支社に配属となると、昇進や昇格の機会が得づらいのでは?」という問いかけに対しては、3名の経験を見れば答えは明らかだ。広島支社での現場感覚と大規模案件への挑戦は、むしろリーダーシップの素養を育み、ビジネスパーソンとしての総合力を底上げする可能性が高い。大企業の中でも“要”となる製造拠点を相手にしているからこそ、若手が早期から成果を出し、社内外で評価されるチャンスがあるというわけだ。

ただし、広島支社がすべての人にとって最良の選択肢というわけではない。

あらゆる部署をローテーションしながら幅広い業務を経験したいのなら本社が合っているかもしれないし、製造業以外の幅広い産業にタッチしたい人は別の拠点の方が合っているかもしれない。

坂本大事なのは、“自分がどんなキャリアを築きたいか”を明確にすることです。

支社には支社ならではの深い学び・やりがいがあるし、本社には多種多様な経験を積めるメリットがある。自分がどのタイプなのかをよく考えたうえで選べば、20代というキャリアの土台を築く時期に大きく伸びるはずです。

冒頭で挙げた「本社でなければ成長できないのでは」という固定観念は、少なくとも電通総研・広島支社の現場を見れば疑問符がつく。若手が裁量を持ち、広島ならではの案件に挑戦し、地元と世界を同時に支えている姿は、“支社だからこそ”の可能性を存分に示していると言える。

自分に合った場所を選び、最大限に成長する。それは本社でも支社でも構わない。

もし「支社でしか得られない経験を積みたい」という想いがあるなら、広島支社のような拠点は有力な選択肢だろう。自分の描くキャリアのために、どのような環境を活かすか──その問いに対して、本記事が一つのヒントになれば幸いだ。

こちらの記事は2025年03月17日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

山田 優子

写真

藤田 慎一郎

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