投資・M&Aのプロ数十人が集結。三井物産の投資精鋭チームがやりがい満載なキャリアを歩める理由【三井物産主催・株式会社Bloom実施協力ミートアップをレポート】
日本を代表する大手総合商社の1社、三井物産を知らない読者はいないだろう。だが、商社のビジネスモデルの一つである「M&A・事業投資」について、まだあまり広く知られていないように感じる。
三井物産では、エネルギーや化学品、生活産業といったセグメントに分かれた16の事業本部が、世界中でさまざまな投資やM&Aを実行しているわけなのだが、実は個別でバラバラに進めているわけではない。金融やPMIの知識や経験・ノウハウなどの提供を担い、各現場を支援する組織がある。
2024年11月、同社が実施したミートアップでは、全社の「M&A・事業投資」を支える精鋭チームにフォーカスされた。キャリア入社の3名が登壇し、具体的な取り組みに加え、業務の面白みやキャリア観点の魅力が披露された。(ミートアップを実施協力したのは、大手企業向けに特化したキャリア採用のWEBサービス『Bloomキャリア登録(株式会社Bloomが運営)』)
本記事はその様子をダイジェストとして整理・記録したものである。
知られざる「商社の投資支援」:コンサルや金融のプロが集結する精鋭組織
「金融経験豊富なプロがキャリア入社で集結」「戦略策定からM&A完了まで、投資実行の観点で全てを推進」「PMIからバリューアップ、ターンアラウンド、そしてEXITまで事業開発観点で具体的に支援」──。
そんな、なかなか表に出ることがない三井物産の投資精鋭組織について採用候補者向けに詳しく語られた。実際に使用されたスライドを拝借しながら、まずはこのセクション1で、内情を要約してお伝えしよう。
商社についての一般的な説明は割愛させていただく。非常に幅広い商社のビジネスの中で、事業投資・事業開発が、どのような位置づけで、どのように進められているのだろうか?
上記のスライドで示しているように、「投資することにとどまらず、事業を経営し、自らの手でバリューアップし、事業を広げていくことに力を入れている」という。イベント内でも、2023年度には開示済みの主要案件で46件もの投資実行があったと紹介された。
こうした動きの中心に、今回のイベントに登壇した3名がそれぞれ属する3つの組織がある。
上図の右側に記載している投資事業室、事業開発部、コーポレートディベロップメント・M&A推進室(略称:CDMA室)がそれだ。CDMA室は日常業務とフェーズ毎に担当室で分業してそれぞれのフェーズをサポートする一方、事業開発部と投資事業室は、チームとして一気通貫でハンズオン支援をしているという点が特徴となっている。
とはいえ、「それぞれ必要なことはなんでもやる」というスタンスのようだ。下図にあるように、投資実行前の戦略策定フェーズから、投資実行に関わるデューデリジェンス(DD)、M&A実施後のPMI実行や、その後のバリューアップ・ターンアラウンドそしてEXITまで関わり続けることもあるのだ。
各組織とも、キャリア入社(転職組)が全社と比較しても多い。三井物産ではキャリア入社の比率は12%(24年3月期)だが、各事業投資支援組織は半数~約8割の人員体制とあり、特にその比率の高い組織だと言えよう。
キャリア入社の面々の職歴は多彩だ。外資系・日系投資銀行や監査法人、メガバンク、コンサルティングファーム、PEファンドと多様な構成となっているという。まさにプロフェッショナルらによって組織されているわけだ。
知った途端「面白そうだ!」と感じた3名。
キャリア入社までの流れは
プロフェッショナルなメンバーが集まっているという点が気になった読者も多いだろう。ここからまずは、イベントのパネルディスカッションで語られた各メンバーのキャリアについて紹介しよう。
中村私は外資系投資銀行に勤務していました。そういったプロフェッショナルファームで数年がんばって昇進のタイミングになると、多くの人が「このまま続けるべきか、それとも他の道も探るべきか」と迷うんです。
私は7年目に「このまま50代になったら、こんな仕事をしているのだろう」というのがぼんやり見えてきてしまったのが気になり、他の道を見てみようと思ったんです。
ただ、商社への転職は想像もしていませんでした。たまたま、この三井物産の投資事業室の現役社員と話す機会がありまして、「やってる仕事がかなり幅広い」と驚きました。案件の種類も、展開する国もそうですね。たとえば今からアメリカの事業についてディスカッションして、その次はインドの事業について考えるといったような。また、エネルギーと一言で言っても、脱炭素や人口減少の流れの中で縮小していくような産業の未来を考えることもあれば、その1時間後の会議ではまだ全く市場がない新しい燃料について考えることもあります。
ありとあらゆる国・産業・企業の中で、人々がどう生きて、投資を一つの手段としてどう立ち回って、どう巻き込んでいったみたいなところに幅広く関われるとわかり、とても魅力的に感じたんです。未知の世界ではありつつも、私のバックグラウンドがかなり活きて、面白そうだなと思いました。
投資銀行やPEファンドのような企業と比べても、次から次へと新しいビジネス機会に出会えるんだという勢いを感じたので、ここで新たな挑戦をすることに決めました。
井手口グローバルに大きな仕事がしたくて、新卒ではメーカーに入社しました。M&Aの世界は全く想像もしていなかったのですが、たまたま配属先の新規事業開発部で大型のM&A案件があり、アサインされました。この経験をきっかけに、全社のM&A担当組織へと異動することになったんです。
M&Aの領域でキャリアを高めていきたいという想いを持つようになり、投資運営会社に転職しました。M&Aの実行の局面だけでなく、投資先の経営や企業価値向上施策の検討等、幅広い仕事に関わることができて刺激的だったのですが、「事業会社で、事業をやりたい」という思いを持っていたことに立ち返るようになり、悩み始めました。
そのタイミングでたまたまエージェントの方から、三井物産の事業開発部を紹介してもらいました。まさに、M&Aの経験を活かしながら、事業現場にも自分の裾野を広げていけるんじゃないかなと期待を抱き、志望するに至ります。
高橋私は新卒で日系投資銀行に入社し、カバレッジとM&Aを経験しました。その後、総合商社の電力本部に転じ、管理職の他、投資先でディレクターを務めるなどしてきました。それからもっと全社的にM&Aを見たいというキャリアを目指し三井物産への転職を決めたという流れになります。
なぜ商社に?というのが気になると思うのですが、日系投資銀行時代、商社のお客様も多くいらっしゃったので、キャリアとしてもイメージがしやすかったんです。それでだんだんと、M&Aをクロージングした後まで担いたいだとか、プリンシパル投資をしてみたいだとか、そんな想いが強くなっていきました。
インフラ事業自体にも興味があったので、前職の商社では電力事業部を志望し、非常にやりがいのある時期を過ごしました。ただ、どうしてもぬぐえなかったのが「対象とするセクターがかなり限られてしまう」という点です。
そんなタイミングで三井物産のCDMA室を知りました。投資業務で全社支援組織になっているのが印象的で、他社ではなかなかないようだったので、「採用されなければ別に転職できなくてもいいかな」という気持ちで受けたら、採用いただけたんです。
冒頭でも紹介したように、三井物産の投資支援組織はまだそれほど広く認知されているわけではないようだ。近い業界で働いていたこの3名も、きっかけがあってその存在を知ったという共通点がある。その一方で、内情を聞くと一様に魅力を感じたのだという。
では実際の入社後、その魅力を感じられているのだろうか?
風通しの良い現場で、手を動かし続けながら感じる責任感の大きさ
実際に働く中で感じる面白みについてさまざまな角度から語られたのだが、「多様性」という共通点がありつつ、それぞれ「強みを活かせる」「手触り感」「幅広さ」といった点でやりがいを感じているようだ。
井手口実際に入ってみて、「トップダウンで物事が決まる」というわけではないと感じています。それよりも、アメーバ経営的に各々がやりたいことを持っていて、その中で強いものであったり、良いと思うものであったり、収益性が高く評価できそうなものであったりというところに自然と人が集まって、案件が大きくなってくるという感じですね。入社前のイメージと相違なく感じます。
他にもポジティブなギャップとして、いろいろな国のいろいろな案件があって、さまざまな投資スタイルがあり、担当者それぞれのバックグラウンドも多様な点も印象的でした。案件ごとに進め方のカラーが違いますし、内容も違うので、非常にバラエティに富んだ経験ができるとも改めて感じますね。
中村アドバイザーとして外から関わるのか、それともプリンシパルとして責任を持って業務に当たるのか。この二つには大きな違いがあると改めて感じています。
どのフェーズでどのような仕事をするにしても、最後の責任というか、意思決定の結果が、当然のことながら全て当社に跳ね返ってきます。これが事業会社に属しながら事業投資を担う醍醐味ですよね。なんだか、魂の入り具合や真剣度合いが段違いに強いですし、「他人事ではないんだ」という意識も感じますね。
今、すぐ隣に座っている事業部の人が、全身全霊をかけて案件に取り組んでいる。私が何かサポートしたらすぐにリアクションが返ってきますし、サポートに不足があればすぐフィードバックが返ってくる。喜びも大変さも全部シェアするっていうその中に入っている感覚になりますし、そんな人たちの姿からは刺激を受けますね。
高橋事業部の一員というような感覚は私もありますね。進行中の案件で一つ、かなり大きいものがあります。ハンズオンで入っていて、プリンシパルの交渉まで含めて担っています。最初のRFPのつくり込みから手を動かすなど、事業部のチームの一員としてやっている感覚です。大変ですが、それ以上に楽しく感じます。
今はだいたい4案件ぐらいを同時に持っているのですが、私のバックグラウンドがインフラ系ということで、プロジェクト本部の案件が多いですね。クロスボーダートランザクションもありますし、規模的にもかなり大きいものもあります。そういったところで、私の投資銀行時代のバックグラウンドと商社のバックグラウンドを両方活かせるような案件を担当させていただいています。
3名いずれも投資・M&Aのプロフェッショナルでありながら、過去の経験や知見に囚われることなく、純粋な気持ちで新たな挑戦を楽しんでいる様子が見て取れる。
多様なバックグラウンドのメンバー構成が生む面白さについても語られた。
高橋思った以上に風通しが良かったですね。先日、CDMA室内である投資案件に関する議論をしたとき、部長など管理職含め、若手まで一緒にフェアにやっていました。同様に、支援している事業部の案件でも、支援先の部長まで含めて、私からも言いづらいようなことを言いやすくしてくれています。非常にやりやすいです。
中村想像以上に、“日本的カルチャー”がなかったですね(笑)。いわゆる昔ながらの日本企業みたいな雰囲気も多少はあるのではないかと想像していたのですが、全く感じないくらいです。すごくフラットで、風通しもそうです。ベンチャーと言ったら言い過ぎなんですけれど、凝り固まった仕組みで意思決定を進めるというのは感じません。一方で制度や環境などのハード面はしっかりと整備されている。
そのおかげか、キャリア入社メンバーも含め、皆さん非常に生き生きしていますね。案件ごとに性格が全然違うという話が先ほどもありましたが、ディールチームメンバーそれぞれが持つ知見も多様で、面白い化学変化が生まれています。
例えば一つの案件を進めるにしても、事業領域の業界全体にすごく詳しい人もいれば、CO2電解の技術活用に深い知見を持つ人もいます。博士号を持つ人もいます。事業・ファイナンス・技術・知財等々、それぞれが培ってきた知見を持ち寄ってワンチームとして働く中で、私がこれまで全く知らなかった世界を知ることも多いですね。
井手口いろいろな経験をされてきた方々がいるのは、投資の文脈で非常に良いことなんじゃないかと思います。最近の商社としての投資は、経営目線が強まっています。その中で、やはり事業の現場に詳しい人は、より一層活躍していけるんじゃないでしょうか。
事業投資からのトランザクションだけでなく、投資実行後の経営やバリューアップという観点で、これからも大いにチャンスがありますから。
いかがだろうか。大手商社の投資やM&Aについて、これまで見えなかった実態が少しずつ見えてきたのではないだろうか。
ただし、この場では語り尽くされなかった面白さが、他にも多くあるとのこと。仕事の性質上、なかなかメディアには生々しい話が出にくいだろう。ぜひ一度、イベントへ参加し、より詳細な実態を追ってみてほしい。
採用ポータルサイトはこちら
キャリア採用の登録なら
こちらの記事は2024年12月26日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
おすすめの関連記事
「ハイリスクを避けて変革を語るな」──フリークアウト本田とUUUM鈴木に訊く、世をざわつかせるTOP 0.1%の事業家の心得
- 株式会社フリークアウト・ホールディングス 代表取締役社長 Global CEO
実はポジションや機会が豊富?──20代に今伝えたい、BizDev挑戦環境があるベンチャー特集・5選
「エンプラ事業のセールス、相当アツいです」──人材育成とポートフォリオ戦略に強いRAKSULが放つ、セールスキャリアの拡張
- ラクスル株式会社 執行役員 / ラクスル事業本部 Marketing&Business Supply統括部 統括部長
「広告の限界、感じてませんか?」──電通、Amazon出身者らが集ういつも.の“EC×事業プロデュース”にみる、マーケ人材のネクストキャリア
- 株式会社いつも 上席執行役員 事業推進本部長
【160名超まとめ】起業家だけじゃない!CxOやVPが多数活躍。グロースの遺伝子を持つDeNAマフィアたち
「支社 = チャンスがない」は誤解──全社表彰を連発する電通総研の中部・豊田支社。秘訣は“立地”と“組織構造”にあり
- 株式会社電通総研 製造ソリューション事業部 製造営業第5ユニット 豊田営業部
ファーストキャリアの選択は、戦略的投資──新卒向け・FastGrow取材記事まとめ8社
「昇進より、技術者として勝負したい」──特殊冷凍のデイブレイクに集結した大手メーカーのエースたちが語る、決断の瞬間
- デイブレイク株式会社 TEC部門長