連載資金調達の週報
自動で服を折りたたむタンスから、日本初のクラウドファンディングサービスまで──押さえておきたい資金調達ニュース【10月15日〜21日】
資金調達が活況となり、日々のニュースが溢れている。全てを追いきれない読者のために、FastGrowでは週次で国内外スタートアップの資金調達ニュースを紹介。
今週は日本から4社をピックアップした。
2018年10月15日〜2018年10月21日分
- TEXT BY MASUMI OSAKI
- EDIT BY TOMOAKI SHOJI
ASTINA:自動で衣類を折りたたむタンス
資金調達概要
調達額 |
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2000万円 |
調達先 |
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ウォンテッドリー |
ほしのかけら |
AS-ACCELERATOR |
複数の個人投資家 |
サービス概要
自動で衣類を折りたたみ収納する新しい家具「INDONE」。
ASTINAはロボット・IoTデバイスの設計とコンサルティングを手がけるスタートアップだ。同社では「ふだん使いのロボティクスを」というコンセプトに沿って、コンシューマ向け製品の開発に着手。現在は、本体に設置された衣類カゴに乾燥済みの衣類を入れるだけで、自動で衣類をたたんで棚に収納してくれるタンス「INDONE」を開発している。
衣類の折りたたみ作業は家庭内だけでなく、生産工場や介護業界、アパレル業界、ホテル業界の現場でも発生するもの。INDONEの技術を応用した機器を、そのようなシーンで生産性向上の手段として活用してもらうようなことも考えているようだ。
今回調達した資金は製品化に向けた研究開発、採用強化に用いるという。
READYFOR:日本初のクラウドファンディングサービス
資金調達概要
調達額 |
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5.3億円 |
調達先 |
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グロービス・キャピタル・パートナーズ |
Mistletoe |
石川康晴氏 |
小泉文明氏 |
サービス概要
クラウドファンディングサービス「Readyfor」を運営。
2011年3月にスタートした日本初のクラウドファンディングサービスであるReadyforは、約7年間で9000件以上のプロジェクトを掲載。50万人以上の支援者が参加し、70億円以上の資金が集まるプラットフォームに成長しているという。
特に直近ではNPOや医療機関、科学研究分野、その他公共セクターなど既存の金融サービスではお金が流れにくい領域での利用が増加。自治体向けの「Readyfor ふるさと納税」や大学向けの「Readyfor College」といった特化型のサービスも展開する。
今回、READYFORにとって初めての外部調達だ。主にSaaS事業やローカルパートナーシッププログラムの強化、SDGs関連事業 に投資をする計画だという。
メルティンMMI:サイボーグ技術を開発するロボットベンチャー
資金調達概要
調達額 |
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20.2億円 |
調達先 |
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大日本住友製薬 |
SBIインベストメント |
第一生命保険 |
サービス概要
コア技術である「サイボーグ技術」を活用して、アバターロボットのコンセプトモデル「MELTANT-α」や医療機器を開発する大学発ベンチャー。
MELTINのサイボーグ技術は、「生体信号処理技術」と「ロボット機構制御技術」を融合させたものだ。独自の生体信号処理アルゴリズムによって、多彩な生体信号を高精度でリアルタイムに解析する仕組みを構築。それらを実空間で忠実に再現することに取り組んできた。
MELTINではこのサイボーグ技術を活用したプロダクトの開発と実用化を推進し、実用性の高いBrain Machine Interface(脳や神経と、機械やコンピューターを接続するためのインターフェース)や義体の実現を目指しているという。
今回調達した資金を活用して、実空間で本格的な遠隔作業ができるアバターロボット「MELTANT」の実用モデルや医療機器の開発を加速させる計画だ。
AppBrew:コスメのクチコミコミュニティ
資金調達概要
調達額 |
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10億円 |
調達先 |
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グリー |
個人投資家 |
サービス概要
10代〜20代の女性を中心に支持を集めるコスメのクチコミコミュニティ「LIPS」を運営。
同サービスはメイクをする上での疑問やコスメ選びに関するユーザーの投稿を軸としたCGM(ユーザー投稿型のサービス)だ。
2017年1月のリリースから約1年半で100万ダウンロードを突破。現在のダウンロード数は150万件を超え、クチコミ件数も50万件以上に及ぶ。それに伴って広告出稿企業も増加し、これまで国内化粧品メーカーを中心に40ブランド以上の出稿実績があるという。
今回調達した資金はさらなるユーザーの拡大に向けて「LIPS」の開発体制の強化及び組織強化における採用、マーケティング等に充当する予定だとしている。
今週は計4社の調達状況を紹介した。今後も、FastGrowは週次で調達状況を発信していく。
こちらの記事は2018年10月24日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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執筆
大崎 真澄
編集
庄司 智昭
ライター・編集者。東京にこだわらない働き方を支援するシビレと、編集デザインファームのinquireに所属。2015年アイティメディアに入社し、2年間製造業関連のWebメディアで編集記者を務めた。ローカルやテクノロジー関連の取材に関心があります。
1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。
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