言語の壁を取り払い、誰もが好きな場所で生きられる多文化共生社会の実現を目指す。プレシリーズAで総額2.7億円を調達──株式会社Oyraa
重要なのは、調達額の大きさ?バリュエーション?ラウンド?いやいや、スタートアップの資金調達とは、もっと奥深く、緻密で複雑なものである。
FastGrow編集部では、調達リリースを見るたび、その裏側について思いを巡らせ、その後のビジョンについて予測や仮説立てをしてきた。そのために知りたい情報を、ぜひ外部向けにも記事としてまとめてみよう──そんな想いで始まったこの連載。
今回は、2024年6月に資金調達を発表したOyraa(オイラ)について、その「横顔」をまとめる。
FastGrow編集部が注目するポイント
注目ポイント1
代表のコチュ氏は日本在住歴18年。ボストンコンサルティンググループ出身起業家で、大阪・関西万博「政府出展事業検討会議」や内閣府「クールジャパン戦略プロジェクト」にも参画
注目ポイント2
モバイルアプリで24時間使える通訳を実現。長く存在する「言語の壁」という社会的ペインの解決に挑む
注目ポイント3
ユーザーの約4割は海外在住。さらに、日本語以外の外国語間の通訳が全体の約6割を占めるなど、グローバルでもマーケットを拡大中
代表について
代表取締役社長 コチュ・オヤ氏
調達に際してのコメント
今回の資金調達の背景には、私たちが目指す「言語の壁を超えたコミュニケーションの自由」を実現するためのさらなる成長と進化があります。私たちは、グローバルなプラットフォームとして、より多くのユーザーに迅速かつ高品質な通訳サービスを提供するため、技術開発や市場拡大に向けての投資を続けていきます。
今後の方針としては、AI技術を活用したサービスの強化を図り、よりパーソナライズされたユーザー体験を提供していくことを目指します。また、グローバル展開をさらに加速させ、多言語対応の幅を広げるとともに、地域ごとのニーズに応じたサービスを展開していきます。
プロフィール
トルコ出身。トルコで電子・通信工学を専攻。東京大学大学院・工学系研究科精密工学を卒業後にボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社し、経営戦略コンサルタントとして勤務。2017年に株式会社Oyraaを立ち上げ。
2018年に日本国籍を取得。多文化共生社会作りのため幅広く活躍。外国人雇用協議会の理事、新宿区多文化共生まちづくり会議の委員、日立財団・多文化共生社会構築事業の委員を務める。内閣府のクールジャパン官民連携プラットフォームの審査員、2025年大阪関西・万博の政府出展事業検討会議の委員、知的財産戦略構想の委員として活躍。4ヶ国語を話す(トルコ語、英語、日本語、ドイツ語)。
調達の概要
プレスリリース |
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株式会社Oyraa、総額2.7億円の資金調達を実施 |
調達額 |
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2.7億円 |
ラウンド |
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プレシリーズA |
主な使途 |
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サービス・プロダクトの機能強化 |
サービス・プロダクトのプロモーション強化 |
採用強化 |
投資家からの評価(抜粋) |
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株式会社Adlib Tech Ventures 代表取締役社長 戸祭 陽介 氏 この度はOyraaへの投資機会をいただき大変感謝しております。外国人とのコミュニケーションが増える中、複雑な手続き説明など既存の通訳アプリでは対応が難しい事案も増え、人による通訳の必要性を改めて感じております。Oyraaは通訳をモバイルアプリ化し、1分単位で簡単に使える画期的なサービスを開発しました。これにより、誰でも気軽に通訳を利用することができる世界が実現され、Oyraaの事業成長も実現されることを期待しております。また、日本語以外の言語間での通訳利用も多く、今後、海外でも活躍する日本発ベンチャーとして、世界に羽ばたくことを楽しみにしております。 |
株式会社ジェネシア・ベンチャーズ Investment Manager 祝 煜洲 氏 日本は高齢化、人口減少、労働者不足等、先進国が抱える人口動態の課題が深刻化しています。しかしながら、外国人の移住先としては非常に魅力的な点が多く、近年は観光だけでなく外国人の移住者数が急速に増えています。今日本に再び国際社会のスポットライトがあたり、今後世界との交わりはより一層加速すると見込まれます。そこで生じる言語による社会の摩擦をスムーズにするOyraaのサービスに惹かれ、今回出資させて頂きました。コチュさんは原体験から来る強い信念を持ち、グローバル化に最初からチャレンジする高い視座を持つ起業家で、One Asiaで投資を行うジェネシアチーム一同、今後Oyraaをサポートしていきたいと思います。 |
関連ポスト
【プレスリリース】
— ジェネシア・ベンチャーズ|シードVC (@Genesia_VC) June 10, 2024
ジェネシア・ベンチャーズは、同社が運用するGenesia Venture Fund 3号より、いつでもスマホからで1分単位でサポートを受けられる通訳アプリ『Oyraa(オイラ)』を提供する株式会社OyraaのプレシリーズAラウンドにおいて出資したことをお知らせします。https://t.co/HQf5oMlLdO
主なサービス・プロダクト
通訳アプリ『Oyraa』
153言語2,000名以上の通訳者を、24時間365日いつでも予約不要でスマホから呼び出し、1分単位でサポートを受けることができる通訳アプリ。主に母国外の国で生活をする人々が活用する通訳サービスとして、ビジネスの現場から生活に根付いたニーズにまつわる言語サポートまで、幅広く利用が可能。
『Oyraa』はスマートフォンやタブレットで利用できるため、役所手続きや医療機関受診、電話での問い合わせといった日常生活のあらゆるシーンで通訳者による言語サポートを受けることもできる。
FastGrow編集部の注目ポイント
- オンデマンド通訳サービスというニッチ市場を攻めている。
- 安価に1分単位から利用可能な使いやすいサービス設計で、言語の壁という社会的ペインの解決を目指す。
- 法人向けサービスや新機能開発も積極的に進めており、大手企業での導入も始まっている。
採用関連情報
こちらの記事は2024年06月19日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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